6015.2023年11月1日(水) 「不便で面倒だ!」こんな旅行嫌いがいるとは?

 煩いとか、街が汚れるとマイナス・イメージが喧しかったハロウィーンが昨日には終わり、渋谷駅周辺は人の立ち入りを防ぐために立てられた防護板が取り除かれ、漸く平常に戻った。今年は駅周辺へ人が集まることを制限したために、例年の人出もさほど多くなく騒ぎもほとんどなかった。渋谷区や近くの商店街もきっとホッとしていることだろう。

 さて、芥川賞作家の町田康氏が、今朝の朝日のコラム「輪の芽」に「旅行、そんなに行きたい? 不便だし面倒なのに」と持論を展開している。氏が言いたいのは、旅行には行きたくないというこれまで誰からも聞いたこともない思いがけない気持ちである。理由は不便だからというだけである。家にいれば快適に過ごすために用意されているものを、旅先まで持って行かなければならないことが面倒だとまで書いている。普通は偶には旅行でも行こうかと、何とか時間のやりくりをして、旅費も小遣いをはたいて心が躍るような気持ちで出かけるものだ。それを準備が面倒くさいとか、不便だとか言うのは、とても普通の感覚とは思えない。私なんて若いころからいつもどこへいつ旅行しようかとか、何を目的に出かけようと考えてばかりいたものだ。その旅への憧れが、今世界の注目を集めているイスラエルや、戦時中のベトナム、いつも話題を提供するアラブ諸国まで足を伸ばすことになり、その分臨場感を持って現実に起きている社会現象を感じ取ることが出来たと考えている。旅には数々のプラス面があるが、不便だなどと感じたことは1度もない。むしろこれまでの人生において、旅から得た教訓、知識、友人などは何事にも代え難いと思っている。「可愛い子には旅をさせろ」と昔からの教えがあるように、楽しい旅、厳しい旅、それぞれに得るものは大きい。私は旅のない人生など無意味だと思っているくらい旅に惚れ込んでいる。

 元ロック歌手でもあった町田氏は、気持ちを発散出来るのは、家の中で想像力を解放して思考したり、ものを書いたりすることだそうだ。それはそれで良しとして、普通はそのように室内に閉じこもっている生活から精神的に解放されて、思い切って外の空気を吸うために旅へ出たいというのが、誰もの希望であり、常識的な考えだと思う。この人の不可解な気持ちの中には、旅は予約とか、道に迷うとか、不安だらけだという後ろ向きの気持ちがあるようだ。例え、当初の予定通り旅が出来ずに、変更せざるを得ないとしても、それは別の意味で旅の面白さであり、魅力でもあると思う。

 このような普通の感覚とは思えない性格であるために、町田氏は他人とよくトラブルを起こすようである。私が最もよく覚えているのは、2007年に同年齢のギタリスト布袋寅泰に顔を殴られたと警察に被害届を出して事件になったことがあった。

 氏の言い分をまとめてみると次のように言っているのだ。「自分が旅好きか、嫌いかを見極めることが大事ではないか。何となく周りに合わせて『旅行に行かなきゃ』と思う必要はないし、もし、家で発散するタイプであったなら、堂々と家で遊ぶことをおすすめします」とまで言っている。旅嫌いも極まれりである。

 どう考えてもこの型破りの作家の、旅行が嫌いという気持ちが理解出来ない。

2023年11月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6014.2023年10月31日(火) 国会は、世間知らず、苦労知らずの集会場

 今岸田首相への支持率は過去にないほど低く、初めて危険水域である26.9%にまで落ち込んだ。それも一時的なものではなく、支持率は6か月連続で下がり続けているという。反対に不支持率は51.8%で、これでは解散・総選挙を視野に入れている自民党幹部も気が気ではないだろう。

 今不人気の最大の原因は、首相の言わんとしている「減税」と「給付金」が、国民にとってあまり恩恵とは受け取られていないからである。政府が考えているのは、1人当たり4万円の減税と言われているが、所得税3万円と住民税1万円を合わせた4万円に、住民税非課税世帯(約1,500万世帯)に1世帯当たり7万円を給付する案のようである。但し、これは1回限りである。野党は、もっと永続的で日常生活において消費者が恩恵を受ける消費税の減税を行うべきだと主張している。この2年間に税収が増えたことから、政府は消費者物価高騰に悩まされている国民に税収分を返還しようと安易に考えながらも、腹の内では来年度以降の防衛費の増額分をカバーするために増税しようとの下心があるからである。国の借金を返そうとの考えはさらさらないようだ。どうも一時的に2兎を追っている。こんな考えでは、いくら資金があっても足りない。

 ところで、政治家というのはどうしてこうも世間常識に欠けているのかと思うことがしばしばある。4月に行われた統一地方選で東京都江東区長に初当選したばかりの元衆議院議員の木村弥生区長が、追い込まれてついに辞任すると述べた。区長選中に動画投信サイトで投票を呼び掛ける有料インターネット広告を出したことが、公職選挙法違反に問われたためである。立候補する以上何が公職選挙法に違反するか、なんて当然調査済だと思う。それを敢えて冒してまでも広告を出すとは、ばれずに当選すると思っていたのだろうか。だとすれば、世間を甘く見過ぎてはいないだろうか。また、立候補するに当たって、成すべきことと行ってはいけないことぐらい候補者本人と周囲の支援者は当然知っていた筈である。

 その上、区長に投信サイトへの広告を勧めた愚直な衆議院議員が他にいたことが分かった。同じ穴のムジナ議員は、法務副大臣の柿沢未途議員である。柿沢氏は自らの責任を認めあっさり副大臣辞任を申し出た。柿沢氏が木村区長に動画広告を勧めたからということである。2人で同じように公選法違反を犯し、見つかるまで惚けていたことになる。

 柿沢氏と言えば、父親は柿沢弘治元外相で、祖父は日本銀行元副総裁、遠縁には湯川秀樹博士もいるというから代々に亘ってサラブレッドである。自身も東大法学部を出た俊秀ではあるが、学校の秀才必ずしも社会における英才ではないことを知るべきである。名前の「末途」は「末路」と似たり寄ったりではないか、いよいよ追い詰められたか。所属政党を転々として定まらず、今では自民党員ではあるが、かつて日本維新の会に所属していた当時、維新の会創設者である橋下徹氏に日本の政治家の中で一番判断力が弱いとこき下ろされたこともある。

 先週山田太郎・文部科学政務官が辞任したばかりで、短期間に2人も政務三役が職を辞することになった。野党からの追求も厳しく議員辞職を求める声もあり、流石に首相も任命責任を感じると述べた。これでは、政治家のレベルの低さを世間に知らしめることになり、岸田人気は益々下がる一方である。

2023年10月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6013.2023年10月30日(月) ラグビーWC好評と濃霧の中の女子サッカー

 9月8日から51日間に亘りフランス各地で開催されていたラグビー・ワールドカップ(WC)決勝戦が昨日行われ、南アフリカが宿敵ニュージーランドのオールブラックスを12対11の僅か1点差で破り、2大会連続4度目の優勝を飾り、盛況の内に大会は終了した。試合は日本の明け方に行われたので、生では観られなかったが、午後のひと時をテレビ録画でじっくり楽しむことが出来た。スコアが示す通り、接戦の好ゲームだった。欲を言えば、レフェリーの判定が遅すぎるのと、分かり難いジェスチャーにイラつく場面が大分あった。ニュージーランドにとっては、ケーン主将が前半半ばでレッドカードにより退場させられたのが痛手だった。違反タックルも、それほどラフなプレーには見えず、イエローカードで済ませられるのではなかったかと思ったほどだった。決勝戦でレッドカードが出されたのは初めてである。試合運びは、日本チームのスタイルとは少し異なり、両チームとも体力的に優れているせいか、FW戦に持ち込むケースが多く、バックスへの展開場面があまり見られなかったのが、私には少し物足りなかった。

 今大会の日本チームは、前大会に続き2大会連続で決勝トーナメントに進出することは出来なかったが、持てる力を存分に発揮して健闘したと思う。実際イングラントとアルゼンチンが、ニュージーランドに次いで3、4位となったが、日本はその両国と同じ予選グループで対戦し惜しくも敗れ、決勝トーナメント進出の機会を逸したくらい日本も実力を身に付けてきた。次回大会の活躍ぶりを大いに期待している。そしてこれから、国内のラグビー・シーズンが佳境に入りラグビー界は活況を呈することだろう。

 さて、華やかで盛り上がったラグビーWCとは対照的に、女子日本代表サッカー「なでしこジャパン」が、昨日パリ・オリンピックのアジア2次予選開催のウズベキスタンで、同国チームとグループCで対戦し2―0で快勝した。ところが、この戦いぶりが物議を醸している。というのは、日本は、前半15分までに2点を奪ったが、その後パス回しばかりしてシュートを1本も打たなかったというから珍しい。グループAの強豪オーストラリアと対戦しないよう、ウズベキスタンに得点を与えずに得点と失点を計算しながら手加減をした試合をしたとして、特に中国のメディアから厳しく非難されている。「なでしこジャパン」がそんな顰蹙を買うようなせこい戦い方をするとは信じられないが、中国のメディアが非難している点にはそう受け取れないこともないとも思える。いずれにしても全力を傾けてプレーして、後ろ指を指されないよう気を付けてもらいたいというのが細やかな希望である。

 最近女子サッカーに関しては、あまりすっきりしたニュースが伝わってこない。過日開催された杭州アジア大会サッカー女子決勝で、「なでしこジャパン」は北朝鮮に4-1で勝ち、日本が金メダルを獲得し、北朝鮮は銀メダルに終わった。試合後の表彰式で国歌♪君が代♪が演奏されていた最中に北朝鮮の選手たちは全員国旗に背を向けた。悔しい気持ちは分かるが、スポーツでは例え敗れても相手に敬意を表して称えることを、行動で示すよう気を付けなければいけない。北朝鮮チームは、男女ともラフプレーでも大きな話題になった。国のトップ金正恩・朝鮮労働党総書記に倣い、他人に迷惑をかけることを国是にしているのではないかとつい考えてしまう。

2023年10月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5912.2023年10月29日(日) 海外武者修行論は、成長環境によって異なる?

 今朝の朝日新聞に国末憲人・論説委員が興味深い論説を書いている。命題「日曜に想う」で述べたお説に、興味を覚える反面賛否相半ばの感想を持った。「田舎者よ、海外を目指せ」というテーマでで書いておられるが、氏は瀬戸内の山間の集落に生まれ育って高校卒業するまで、外国人を見た記憶がほとんどないということから、自らを「田舎者」と下がって謙虚でありながらも、やや自虐的に書いている。私でも小学生のころは終戦時から房州の田舎の漁師町にしばらく住んでいたが、米軍兵士を含めて何人かの外人を見ている。そのような外国とはまったく触れ合いのない集落で成長された環境のせいか、国末氏の主張は、2010年にノーベル化学賞を受賞した、高校の先輩・故根岸英一博士とも意気投合した私の持論「若者よ!海外へ出でよ!」とは、少々趣が異なるようだ。

 まず、国末氏が若い内に海外へ出て積極的に外国と生で接触し、新しい発見をして臨場感によって本質を感得せよという点は私も同感であり、それほど考え方にずれはないと思う。しかし、基本的に異なる点は、ご自身の成長環境から自分を田舎者と卑下して、田舎者こそ先ず海外へ出てみるべきだという意識と、私は誰もが若い内に海外へ出るべしと主張し、特に成長過程や環境には拘らないということである。

 国末氏は、終始海外取材では洗練さで自身が引け目を感じたとか、たどたどしい英語とヤボな振る舞いを恥じたという。それだけに氏は田舎者はゼロから外国に接した経験上、初心者の立場を理解しつつ、外国について平易に語ることが出来ると妙なプライドを持っている。最後にオチがあった。「海外を目指せと言いたい。何より、私自身が自らにそう言い聞かせている」。これほど自虐的にならずとも、若者よ!海外へ飛び出せ!だけで充分ではないかと思う。

 さて、パレスチナ・ガザ地区の攻防が泥沼状態になってきた。イスラエルはガザ地区の陸上侵攻を準備しながらハマス壊滅のためにガザ地区へ侵攻すると公言していたが、その言葉とは裏腹に度々空爆を試みて、今日まで3夜連続で越境攻撃を行い、ガザ北部は、多数の死傷者が出て街は瓦礫と化している。イスラエルのあまりの非人道的行動について、イスラエル側とハマスを支援するアラブ諸国側に沿った和解案、戦争の一時停止に関して国連の緊急特別会合で、27日漸く決議案を採択した。これまで度々否決されていたものと大きな差はない。採択されたその決議案とは、「敵対行為の停止につながる人道的休戦」を求めるというものである。

 但し、この決議案が提案通り実行されるか否かは、極めて不透明である。というのは、決議案に拘束力はなく、加盟国193か国の内、当事国イスラエルとその支援国アメリカが反対したからである。賛成は120か国、反対14か国、棄権45か国、無投票14か国だった。アメリカの言うままの日本政府や、韓国などは、アメリカに逆らうことも出来ず、さりとて国際世論も考えて棄権した。反対したイスラエルの言い分は、「国際社会の大半は、イスラエルより『ナチスのテロリスト』を支持した」と述べ、同じく反対をしたアメリカは、「テロ攻撃の加害者を名指ししないのは言語道断。人質になっている無実の人びとへの言及もない」と身勝手過ぎる言い分である。それぞれ一理はあるが、現実に現在食料、電気、水、医療品などが欠乏し、死ぬか生きるかの瀬戸際の人びとの苦悩について何らの配慮もなく、自らの言い分だけを述べている。これでは問題が解決する見通しは立たない。あと数日もすれば、ガザ地区に生き残っている人がいなくなるのではないだろうか。恐ろしい世の中になったものである。

2023年10月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6011.2023年10月28日(土) 渋谷ハロウィーン前哨戦と日本シリーズ

 毎年多くの若者たちが、街へ繰り出して騒ぐ光景が目立つようになった。特に最近は、ハロウィーン期間中のJR渋谷駅前スクランブル交差点周辺の人だかりである。今月31日のハロウィーン(Halloween)を迎えるに当たって、仮装した若者たちがスクランブル交差点周辺でアルコールを飲みながら嬌声を上げ、街の人びとの顰蹙を買っている光景が年々エスカレートしている。その前触れ現象が、昨夕からぼつぼつ表れ始めた。最近暴力的行為や、路上飲酒による瓶や缶の投げ捨てなどで地元に多大の迷惑をかけ、手を焼いた地元商店会が、渋谷区とともに、昨日から11月1日までは、極力渋谷へは立ち寄らないよう渋谷区長名でメッセージや、You tubeで英語版の動画を発信する有様である。狭いエリアで大勢の人が密集し、あまりにも危険と考えられていた時、1年前の明日韓国ソウルの繁華街・梨泰院(イテウォン)の狭い路地で多数の群衆が押し合いへし合いの挙句に、159人もの犠牲者を生む大惨事を引き起こしてしまった。

 それらの事故を踏まえて今年は、渋谷でもその期間中路上飲酒は禁止され、界隈の酒類販売店で酒の販売を自粛するよう警告が出された。少々厄介なのは、この渋谷ハロウィーンを楽しみにして訪日する外国人観光客がかなりいることで、路上で飲酒し、飲酒禁止のルールを知らない彼らに商店会の人が説得する場面が散見される。

 そもそもハロウィーンは日本では、一般的には40年ぐらい前から知られるようになってきたが、それまでほとんどの日本人は知らなかった。実際私自身1985年10月下旬に旧文部省・兵庫県海外教育視察団にお供した際、アメリカでちょうどハロウィーン期間に当たり、ハロウィーンを体験する機会に恵まれてこれを知った。訪問した小学校で子どもたちが、カボチャで仮装したり、実際に「Trick or treat!」と叫びながら家庭を何軒か訪問してお小遣いをもらうのに同行したことがある。その時同行した視察団の先生らも誰一人としてハロウィーンをまだ知らなかった。それが今では、渋谷を中心に広く、特に市街地でお祭り騒ぎとなっている。

 その起原は、2000年以上も遡る古代ケルト人の宗教が、キリスト教文化に吸収され10月31日の「万聖節前夜祭」だけが、アイルランドからアメリカに渡り、宗教色が薄まった形で子どものお祭りとして伝えられている。アメリカのハロウィーンは、渋谷の行き過ぎた路上飲食や、トラックを倒すような暴力行為とは、まったく別物である。渋谷のハロウィーンは、主催者もおらず、自然発生的に拡大したようだが、本来の「ケルト人の宗教」「子どものためのお祭り」からかなり脱線してしまった。もう少し周囲に迷惑をかけない形で個々に楽しまれるようになって欲しいものである。

 テレビ・ニュースで渋谷のスクランブル交差点の様子が度々伝えられているが、そこかしこに「渋谷はハロウィーンイベント会場ではありません」とか、「ハロウィーンの渋谷は、ゴミ箱でも、ナンパ場でも、灰皿でもありません」の横断幕や、立て看板が掲げられている。外国人観光客も一緒に写真を撮ることが多くなった、渋谷の象徴でもある「ハチ公像」の周囲も板塀が取り巻くようにして隠された光景は、何か心寂しいような気がする。
 一方、関西地方では、今日から始まるプロ野球日本シリーズで、18年ぶりにセ・リーグ優勝を果たした阪神タイガースと、3年連続パ・リーグ優勝チームのオリックス・バッファローズの関西対決が大分盛り上がっているようだ。何せ関西チーム同士の日本シリーズは、1964年の阪神タイガース対南海ホークス戦以来というから、実に59年ぶりである。その時は4勝3敗で南海が日本シリーズを制覇したが、幸か不幸か7回戦当日が東京オリンピック開会式にぶつかり、優勝を賭けた大一番であったにも拘らず、観客は1万5千人程度しか入らなかったという。さあて、今年は阪神が当時のリベンジを果たし、甲子園を満席にすることが出来るだろうか。

2023年10月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5910.2023年10月27日(金) 前首相急死、外相・国防相解任は習体制に歪みか?

 今朝のテレビ・ニュースで中国の李克強・前首相が深夜に心臓病で急死したと知り驚いた。享年68歳だった。2012年発足の習指導部で共産党内序列は習主席に次ぎ2位となった。そして温家宝氏から首相を引き継ぎ、爾来今年3月まで10年間に亘り中国政府のトップを務めていた。だが、それ以前には習近平・国家主席のライバルとされていたが、李氏が担当して実績を上げていた経済部門を習主席に譲る格好となり、習独裁体制が強化された。一応李氏は健康上の理由で首相を辞め引退したと言われていたが、習主席は自身と距離のある李氏を退けたと受け止められている。

 中国政府の要人では前記のように、李克強・前首相は引退し、今朝急逝したが、実は他に外相と国防相の2人の大臣が、今年になって就任間もないにも拘わらず最近になって立て続けに更迭されている。

 ひとりは泰剛・前外相である。昨年12月に王毅外相の後任として抜擢されたばかりで、しかも習主席に近い期待の若手と見られていたが、駐米大使時代にテレビ局女子アナウンサーとの不倫が暴露されたこともあり、今年7月に解任され、再び王毅氏が返り咲いた。

 もうひとりは、3日前の24日に国防相の地位を電撃的に解任された李尚福・国務委員である。同時に中央軍事委員会委員からも外されることになった。昨年まで軍の調達部門のトップにいたが、装備品の購入にからむ疑惑で捜査を受けていたとも言われていた。就任以来多くの国々の防衛関係者と会談し、国際会議にも出席し、ロシアのプーチン大統領とも会見をしていた。だが、外相同様に唐突に失脚する羽目になった。

 これら中国の外交、防衛のトップとしてその重職を担ってきた2人が、はっきりした理由もなく相次いで解任されることは極めて異例であり、3期目に入った習近平指導体制にとっては、盤石と見られていた体制に異変が起きている可能性があるとして内外から注視されている。

 中国にとっては、こんな話もある。先般北京で巨大経済圏構想「一帯一路」をテーマにした国際協力サミットフォーラムが開催された。「一帯一路」については、グテーレス国連事務総長が、国連で「多くの発展途上国が債務に溺れている」と苦言を呈したばかりである。初めて中国を訪れ、このフォーラムに出席したロシアのプーチン大統領が習主席と会談し、両国の政治的な信頼は深化したとお互いの結束を誓い合っていた。しかし、ウクライナ戦争で多額の戦費を注ぎ込んだロシアは、国家財政がかなり厳しくなった。今まで以上に対中債務が増え続けている。実際中国政府の一帯一路資金の3分の1をロシアに融資してきたが、ほぼ全額が不良債権化しているとの欧米筋からの情報がある。ロシアは返済を石油や天然ガスの輸出で賄うつもりのようだが、中国にすべてを見透かされた状態にあり、これから中国はロシアに対してかなり強気の姿勢を示すのではないかと見られている。

 だが、盤石だった習体制下において人事面で体制内部の不満が表れ、また不動産業を主に中国経済の悪化が伝えられ、香港法人の投資銀行幹部が中国本土から出国を禁止されることにもなり、外国への門戸を閉じようとしているのではないかと懸念の声が出ている。難問を抱えた習近平主席が今後どう国内経済のかじ取りを行っていくのだろうか。しばし、目が離せない。

2023年10月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6009.2023年10月26日(木) 首相演説、パレスチナ紛争と米銃乱射事件

 23日の臨時国会で岸田首相の所信表明演説に対する各党党首の質問は、内閣支持率が低落傾向にあるだけにかなり厳しいものだった。それはむしろ当然であるが、昨日の参議院本会議では身内である自民党の世耕弘成幹事長の質問が、自民党員としては稀なほど首相演説の内容につき鋭い追及だった。

 支持率の低空飛行について首相の心境、リーダーとしての姿勢が示せていない、首相の「決断」と「言葉」に弱さを感じる、「還元」の意味がよく分からない、等々かなり辛辣な質問だった。自民党内でも驚きがあったようだが、よく言ってくれたとの声も聞かれる。これらは、首相が蒔いた種であるが、ここまで突き上げられるのは、首相の言動、特に政府のやるべきことが充分伝わっていないことを示しているからでもある。首相もこれらの厳しい指摘を受け止め、強い意思を持って政策を実現する姿勢を示すことが重要だと応えていたが、意思があまり強そうにも見えない岸田首相に、それをやり遂げ、実績を示すことが出来るか、鼎の軽重を問われるところである。

 それにしてもこういう質問の仕方は、これまで野党のスタンスだったが、それを与党内の実力者が行うことに若干従来の国会質疑が異質になったような感がある。国民感情としては、両者の質疑を形骸化させることなく、政策を実現することによって国民に返してもらいたいと思う。

 中でもちょっと引っかかったのは、世耕幹事長が、「首相のいう『還元』の意味がよくわからない」と質問していたが、「還元」とは正確には、どちらかと言えば、あまり良い意味には使われない。改めて手元の辞書を見ると「白紙還元」とか、「もとに返す」、科学的用語では「酸素化合物から酸素を奪うこと」など、このような質疑ではマイナスイメージが強い言葉だと思う。言葉の意味はどうあれ、私は個人的には、現在物価高騰などで家計は大変だと思うが、国家の家計簿も累積赤字が溜まりアップアップ状態で、多少税収増があったなら、国民に「還元」することも重要ではあるが、その増収分をまずは国家財政の赤字を埋めることに使って欲しいと希望している。

 一方で気になっているパレスチナ・イスラエル紛争であるが、一昨日グテーレス国連事務総長が国連の場で、パレスチナ・ガザ自治区でハマスとイスラエルの軍事衝突を巡り、イスラエルによる空爆と封鎖が続くガザ地区で国際人道法違反が見られると前置きしたうえで、発言したことがイスラエルの憤りを買い、謝罪と事務総長辞任要求へ発展している。事務総長の発言の要旨は、「ハマスの攻撃が理由もなく起きたわけではない。パレスチナの人びとは56年間も占領下におかれている。彼らは自分らの土地が入植地とされ苦しめられてきた」とパレスチナにやや同情的なコメントを述べた。この発言に対して、イスラエルのエルダン国連大使は、烈火のごとく怒りを表し、この発言はテロを容認するものだと述べ、猛反発している。

 今ガザ地区へのイスラエル軍の地上攻撃がいつ行われるか、緊張したシーンが続いているが、同時に現地では避難民に対する食料品と物資が枯渇状態に陥り、避難民は餓死の危機を迫られている。漸く援助物資がエジプト側から不十分ながらも搬入されたとは言え、とても多くの需要を満たすには不十分である。爆撃により、すでにパレスチナ側で6,500人超、イスラエル側に1,400人超の死者を出している。グテーレス発言以上に、現地では人道上の飢餓が残忍な形で現れないことを祈るばかりである。

 さて、パレスチナ地方において同情を買うような悲劇的惨状とは真逆で、人を無闇に殺害する銃乱射事件が、今朝アメリカ東部メーン州で発生し、少なくとも22人が死亡したと伝えられた。またかというのが率直な感想である。今年に入ってからアメリカ国内で1度に4人以上が殺害された銃撃事件は、何と565件に上がっている。一昨日までに銃で死亡した人は、自殺者を含めて驚くなかれ、35,200人を数える。このようにアメリカ人は人を殺害することに抵抗がなく無神経になり、国は銃規制の出来ない殺人国となり、世界中で戦死者が出ても平気でいられる野蛮人であることが益々明瞭になった。そのアメリカに属国化した今の日本が、アメリカ政府の押し付けで敵基地攻撃能力を高め、軍事費を増額するのは当然なのかも知れない。日本も殺人王国に加担しつつあるということになる。憂うべき情けないことである。

2023年10月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6008.2023年10月25日(水) 僧侶の変貌で退廃する仏教国ミヤンマー

 2021年2月1日ミヤンマーにおける軍事クーデター、8月アフガニスタン・タリバン政権復活、22年2月ロシア軍のウクライナ侵攻、そして今月に入ってイスラエル・パレスチナの攻防、など世界的地殻変動が相次いで起き、2年半前に勃発したミヤンマーの軍事クーデターはやや霞んできた。民主派政権が国軍により崩壊させられた衝撃的なミヤンマーのクーデターは、その後前記の事件が頻発したことによって、世界的に報道されることが少なくなり、やや影が薄くなった印象である。世界から監視が薄らいだその間に、ミヤンマーでは国軍が着実に地歩を固めたようだ。ミヤンマー国民の間では圧倒的な人気を誇る77歳のアウン・サン・スーチー国家顧問は、33年の禁固刑に処せられ、これでは終身刑に科せられたも同然である。国軍のトップ、ミン・アウン・フライン最高司令官が権力を握る軍事政権は、国軍による国家の統制、治安に重点を置いた政策で経済面が疎かなため、国内の避難民が100万人以上も生まれ、公共サービスは低下し、加えて国軍が国連との関係が悪く、国際機関による支援がほとんど期待されない状態で、国民は苦しんでいる。

 その中で昨日の朝日朝刊「見えない明日~ミヤンマー・クーデターが壊したもの①」を読んでショックを受けた。ミヤンマーは国民の約9割が仏教徒で、僧侶は国民から信頼され尊敬されている。市街を歩いているとあちこちで市民が托鉢する僧侶に食べ物を恵んでいる光景を目にして、爽やかな気分になる。ところが、同記事によるとクーデター後にその僧侶たちへの国民の尊敬の気持ちが大分変容したようだ。僅か2年半の間にこれまでの仏教や僧侶への帰依が、「疑念」に代わりつつあるというから驚きである。それは国民の味方と見られていた僧侶が、クーデター後国軍の厳しい弾圧に対して抵抗や反対を唱えることがなくなったことである。クーデター前には、スー・チー氏らの民主派にも国軍側にも立たず、政治的に中立だと繰り返し説いては、困ったことがあれば何でも相談に来なさいとまで言っていた僧侶の長老が、反クーデターデモに参加しないよう信徒らに通達を出したり、彼らが拘束された時には、沈黙していたという。

 更に驚いたのは、これら仏教徒の頂点にいる長老たちが、国軍首脳らに付いて外遊にも同行していたという過去にはなかったような事実が伝えられたことである。経済的に貧しいミヤンマーで、その国家経済とは疎遠である筈の僧侶が、国軍のアン・ミライ・フライン総司令官らとロシアへ旅行してVIP待遇を受けていた。名作「ビルマの竪琴」に描かれているように、ミヤンマーでは、僧侶とは地方都市へ素朴な巡行をするものだと承知している。僧侶らのあまりの変化に呆れ、失望した。現状では世界の目がミヤンマーには残念ながら注がれない。仮に以前の民主化政府時代に逆戻りしたところで、これでは僧侶たちに居場所がなくなるのではないかと思う。

 仏教国ミヤンマーから仏教を体現する僧侶が失せたら、ミヤンマーからミヤンマーの良さが消えてしまう。ミヤンマーには何度も訪れ、思いが強いだけにがっかりすると同時に寂しい気がしてならない。

2023年10月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6007.2023年10月24日(火) 物足りない岸田首相と林真理子日大理事長の言動

 昨日臨時国会開会冒頭に岸田文雄首相が来年度の施政方針演説を行った。このところ首相の言動についていろいろコメントや批判が飛び交っている。メディアでは今日も首相の演説に皮肉を交えた取り上げ方をしていた。首相の頭の中にあるのは、変化の流れを絶対に逃がさず、経済に力を注ぎ込むとの気持ちを露わにし、演説中「経済!経済!経済!」と絶叫するように力を込めて訴えていたが、「経済」という言葉が29回も発せられたとか、「変化の流れ」の言葉尻を捉えて、「変化の流れ」が13回使われたとの皮肉っぽい取り上げられ方をされた。

 首相は、経済に重点を置いて変革を強く進める「供給力の強化」と、不安定な足元を固め、物価高を乗り越える「国民への還元」の2つを「車の両輪」として総合経済対策をとりまとめ、実行すると強調した。しかし、これでは支出が増えるばかりである。

 実は、首相の本心は、すでに決めたアメリカ政府の要請による防衛費の大幅増額であり、それに伴う増税で、それが国民への負担となることから税収が若干増えたので運用し、その一部を国民に還元することで国民を納得させようと考えたのである。これによって防衛費増額への不満を和らげようとの腹である。しかし、気になるのは、歴代首相がいつも念仏を唱えるように口にする「健全財政」への気持ちがまったく感じられないことである。毎年借金予算を組み、借金が雪だるま式に増えていく現状を是正しようとの姿勢が一向に見られないことである。

 現状からすれば、税収増は財政均衡へのステップとして、先ず国家の借金を返すことを考えるべきであり、防衛費増額を取り止めるか、大幅に減額して、その分で給付金を支給することが最も理にかなっている。さすれば低所得世帯は救われるだろう。尤もそれでは自民党支持者には、反対されるだろうが・・・。

 自民党としては、一昨日投票日だった衆議院長崎地区と参議院四国の補選で、2人の当選を狙った。しかし、これは1勝1敗に終わり、自民ムードを盛り上げたうえで、考えていた解散総選挙を行うというわけには行かなくなった。不人気の岸田首相としては、これから支持率の回復を図りながら「経済」政策を断行しなければならない。どんな手を打つのだろうか。

 さて、懸念されていた日本大学への今年度の私学助成金は不交付と決まった。3年連続で交付されない。3年前には全国の大学で2番目に多い約90億円が交付されたので、3年間も不交付だとすると日大としては全般的に財政が苦しくなる。不交付の理由としては、「ガバナンス体制について改善が見られず、機能不全に陥っている」と不名誉な言葉が付された。実際外へ漏れた日大理事会内部のやりとりや内輪もめも、大麻事件に対応していた澤田副学長が、大麻所持のアメフト部部員が他にもいるにも拘らず警察に届けず、その事実を林理事長らに伝えていなかったコミュニケーションの欠如によるものだと指摘されている。そのあおりで澤田副学長は林理事長から解任を求められている。

 不祥事を起こした田中英壽前理事長による独裁体制から、心機一転外部からOGの林真理子氏を理事長として招いたが、一向に改善されず、執行部内でも意見の対立が甚だしいらしくコミュニケーションが不十分なようだ。これには文部科学省も呆れたのではないか。現状が改善されないとすれば、今年に留まらず来年以降も日大に私学助成金が交付されるという保証はない。

2023年10月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6006.2023年10月23日(月) アメリカ大統領選で「老人対被告」再戦か。

 イスラエルの緊急事態にバイデン米大統領がテルアビブ入りして、ネタニヤフ・イスラエル首相と会談した。訪問の大きな目的は、国際社会が民間人の犠牲者が拡大する中で警戒を深めており、同盟国のイスラエルとの連帯を強調し人道問題で失敗すれば、その矛先がアメリカ自身に向けられることを懸念してイスラエルに自制を求めることだった。だが、当初予定していたパレスチナ暫定自治区のアッバス議長や、エジプトのシシ大統領との会談は行われず、バイデン大統領はとんぼ返りで帰米した。それには、来月81歳になる大統領にとっては、慌ただしい行程で長く滞在することは高齢者にとってタフ過ぎるからである。

 実は、来年行われるアメリカ大統領選で立候補を予想されている人物が、あまりにも高齢であることにアメリカ国民も憂慮している。現在有力視されているのは、民主党から来月81歳になるバイデン現大統領、共和党からは77歳のトランプ前大統領である。このままでは4年前と同じである。バイデン大統領の言動は、年齢以上に老けた感じがする。言葉に迫力も勢いもないし、歩き方ものろのろして危なっかしい。一方のトランプ氏も2年前の連邦議会襲撃事件を始め、起訴事件をいくつも抱え大統領選前には更に起訴される可能性が高い。

 これら候補者の高齢と老害に民主主義国家を謳うアメリカ国民も流石にイライラしているようだ。バイデン氏に対しては、有権者の77%が年齢を取り過ぎていると考えている。とりわけ民主党支持者でさえ69%が高齢過ぎると受け止めている。共和党支持者に至っては、その89%がそう捉えている。月刊誌「選択」10月号の「米大統領選で『新星』は現れないのか」の見出し記事には、「不安だらけの『老人VS被告』再戦」の副題が付いている有様である。世論が懸念しているのは、仮にバイデン氏が大統領に再選された場合、史上最年長の大統領となり、86歳まで大統領の激職に耐えることが出来るかということである。身体が億劫なせいか、バイデン大統領は今でもメディアとの接触を避ける傾向があり、質問に対しても「YES」か、「NO」と簡単に応え勝ちだそうである。

 半年前にはフロリダ州の共和党候補者として45歳のデサンティス知事の人気が高かったが、今ではトランプ氏に大きく水を空けられている。ケネディとニクソンが争った時は、ともに40台前半で若々しく、いかにもアメリカらしいエネルギッシュな空気が感じられたが、今ではアメリカ政界は老人天国となってしまった。ロシアのプーチン大統領は71歳、習近平国家主席は70歳と世界の大物政治家は、後期高齢者ばかりになってしまった。世界の政治が変化に対応出来ず行き詰まるわけである。

 他方、老人大国の日本の政治家も彼らに負けず劣らず年齢では負けない。平均年齢は衆議院55.5歳、参議院54.4歳と一般企業社員の平均年齢43歳に比べてかなりお年を召している。さらに、所属する政党内で長老が幅を利かせていることが問題である。そんな時に一昨日、菅直人元首相が次回総選挙で政界を引退すると公表した。現在喜寿77歳である。最近健康悪化を理由に衆議院議長を辞めた細田博之議員は、菅氏より2歳も年長であるが、次回の総選挙には立候補するというから相変わらず権力志向が強いのだろう。現在衆参両議院を合わせて713人が在職しているが、その内80歳以上は9人で、私より若いが、最年長の二階俊博氏、麻生太郎氏、小沢一郎氏らを筆頭に彼らは政治をわがもの顔に利用して引退しそうもない。日本のみならず、世界は老人によって支配、運営されるようになりつつあるようだ。

2023年10月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com