5590.2022年9月2日(金) 地球温暖化の異常現象に来年以降が心配

 今年の気候は世界的にやや異常で、豪雨・洪水で住宅が流されるような情報がしばしば伝えられている。その一方で、雨が一滴も振らず河川が干上がってしまい水不足に悩んだり、大きな山火事が発生した地方もある。ヨーロッパの一部地域では、7月に40℃以上の高温が続き、水不足に見舞われた。日照り続きの結果、降雨がないため河川の水量が減り、ドナウ川では水位が下がり、第2次世界大戦時のドイツの軍艦が川底から表れる異変まで起きている。

 他方、アジアでは激しい豪雨に襲われ河川の水位が上昇して氾濫し、住宅が水没したり、流された国が目立っている。特にバングラディッシュでは、国土の約1/3が水没し、3千万人が被害を受け、900人以上が死亡した。インド・アッサム州では420万人以上が避難した。韓国でも8月初めに首都ソウルで洪水が発生し、道路が水没し、地下鉄駅構内が浸水する騒ぎとなった。7月にはオーストラリアのニューサウスウェールス州でも、4日間の雨量が平年の8か月分にのぼったという。

 産業革命以降、工業の発展とともに化石燃料の使用が増え、排出された温室効果ガスが大気中に閉じ込められた状態になっている。この熱分が地球上に均一に広がるわけではなく、地域によって異常気象を引き起こす。いま世界中で大気圏内に各国が排出する二酸化炭素ガスが溜まることによって、地球温暖化現象が現出されその防止対策が喫緊の課題となっている。この地球上の温室ガスを減らすこと以外に、これといって地球温暖化現象を防ぐ決定的な方法はない。

 昨日から日本の南方近海に停滞していた台風11号も、北方に方向を変え大型台風となって本州方面へ向かう様相を見せている。その前触れというのだろうか、今日の東京も朝から降ったり止んだりしながら、時には激しい雨を降らせている。テレビで観る豪風雨が襲来した地方の画像では、かなり浸水した道路を車が走行している。今後こういう極端な寒暖気象が襲ってくるなら、山間部、海や河川沿岸部、低湿地帯などでは、早めに対策を講じる必要がある。今も窓から外を眺めていると空は曇り雨が降り続いている。自然というのは、そのパワーを自己コントロール出来ず、正に自然のまま、気ままであるから怖い。

 昨年度の文化勲章受章者でアメリカ在住のノーベル賞受賞者・真鍋淑郎博士が、コロナ禍のため1年近く遅れて昨日ニューヨーク総領事館で総領事から文化勲章を授与された。真鍋博士は昨年地球温暖化を予測する研究でノーベル物理学賞を受賞した。授賞式後に、博士は今では旱魃がどんどん増えており、雨が降る所は大量に降りその頻度が増えていると話した。更に日本についても大洪水が最大の問題になると指摘した。今までのやり方では、コントロール出来ず、これからは大洪水、山崩れに直面することになるとも警告を発している。こうした警告を知ると、いよいよ地球温暖化は抜き差しならぬ事態になりつつあるということをはっきり意識せざるを得ない。

 メディアが、安倍元首相国葬や旧統一教会について報道するのも結構であるが、人類にとって存亡の危機である地球温暖化についてももっと広く分かり易く伝え、国民に警告を促すべきではないかと思う。

2022年9月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5589.2022年9月1日(木) 天災は忘れた頃にやって来る。

 今日は関東大震災が発生して99年になる。恒例により全国各地で避難訓練が行われた。最近大小の地震が各地で頻発しているので、また大きな地震が起きなければ好いがなぁというのが率直で切実な願いである。

 実は、大災害が起きるとその犠牲者にはそれぞれ死因に特徴らしきものがある。関東大震災の犠牲者には焼死者が多かった。また阪神・淡路大震災では倒壊した建築物の下敷きによる圧死者、東日本大震災では津波による溺死者が多かった。関東大震災で焼死者が多かった原因は、日本海沿岸を北上する強風が関東地方に吹き込み、木造住宅が密集していた当時の東京の下町などで、火災が広範囲に発生した火災旋風という現象が起きたせいだそうだ。正午前ということもあって、食事の準備のためにお勝手で火を使っていた家庭が多かったことも火災が多かった原因である。強風や水道管の破裂もあり、火災は3日間も続いた。とにかく10万5千人もの犠牲者を生んだ近代日本史上における最大規模の被害をもたらした。

 「天災は忘れた頃にやって来る」と言われるように、今日の「防災の日」を機に平素より身近に震災が襲来するのを想定して、心の準備をしておくことが大事である。

 ところで今日は、暦の上で台風や豪雨の多い「二百十日」でもある。どうやら今年も南方方面に台風がやって来ている。台風11号が沖縄近海にいるが、かなり強風を伴い今後向きを変えて北上し本州に向かうようだ。中心の気圧も920hPa(ヘクトパスカル)というからかなり強烈だ。東京では今日は一部地域の驟雨を除き、降ったり止んだりだったが、台風が襲来しないことを願うばかりである。

 さて、各省庁から2023年度国家予算の概算要求が出そろった。これは敢えて言えば、第1次要求額とも言えるもので、年末に出される年度予算の予備のようなものだ。しかし、要求総額がすでに110兆円を超過している総額に、今年もまたかとの懸念が消えない。最も多くの予算を求めているのは、例年通り高齢化による社会保障費が自然増の厚生労働省である。実に33.2兆円の要求で今年度予算に比べても1.9%の増加である。しかし、こればかりは国民の生活及び健康に直接関係ある支出であり、止むを得ない点もある。

 その一方、近年最も不自然に要求額が増大しているのが防衛省である。その金額たるや過去最高の約5兆6千億円である。すでに、防衛予算は文教・科学振興や、公共事業予算とほぼ同額の水準に達している。

 今回の概算要求の特徴は、金額を示さずに「事項要求」というへんてこな仮の要求があることである。特に防衛省は、岸田首相が防衛費を国内総生産(GDP)の約1%から2%以上を念頭に置いているとの発言を受けて、増額要求のお墨付きをもらったかのように、5年内に更なる増額を期待しているようだ。

 しかし、ガソリン価格や食料品の値上げをはじめ、円安も加わり、物価の高騰が止まらない現状である。先月かなり多くの一般消費者物価が値上げされ、家庭の主婦も家計のやりくりに頭を痛めているようだ。今月も多くの品目の値上げが懸念されている。防衛省のトップは、増額予算分捕りを当然のように受け止めているようだが、予算担当官は、これらの庶民の家庭の悩みを真摯に考えたことがあるのだろうか。

2022年9月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5588.2022年8月31日(水) ゴルバチョフ元ソ連大統領、91歳で他界

 旧ソ連の最後の指導者だったミハイル・ゴルバチョフ大統領が昨日91歳で亡くなった。ソ連崩壊後日本ではその消息がほとんど伝えられていなかったが、一時代を画した偉大な政治家であったことは間違いない。独裁者だったスターリン、あわや第3次世界大戦勃発かと思わせたキューバ危機を引き起こしたフルシチョフらと並び、ソビエト社会主義国家体制時代をリードしたゴルバチョフは、一時期東西冷戦時代の一方の旗頭でもあった。社会主義経済の停滞を打破するための市場経済導入を柱とした経済改革を意味する「ペレストロイカ」、そして情報公開を意味する「グラスノスチ」などの改革を行った。この聞き慣れない2つの言葉は当時かなり印象的だった。今どうしているだろうと時折気にはなっていた人物である。

 ゴルバチョフは、外交政策で欧米諸国との対立を緩和するため実行した、社会主義圏の東ヨーロッパの民主化や、東西ドイツの統一を容認したことは、決断力と懐の深さを示したと言えよう。何といっても核軍縮が進まない今日、ゴルバチョフはすでに1985年ジュネーブでレーガン米大統領との最初の首脳会談を行い、87年アメリカとの間で核兵器削減条約の中距離核戦力全廃条約に署名した。89年ブッシュ米大統領と東西冷戦の終結を宣言したことは衝撃的で、昨日のことのように思い出される。これによって翌90年にはノーベル平和賞を授与された。この年共産党の一党独裁体制を廃止して大統領制を導入し、最初で最後のソビエト大統領となった。

 しかし、あまりにも早い民主化を進めた結果、ソビエト連邦の共和国に独立の機運が一気に高まり、1922年12月レーニンのロシア革命によりスタートしたソビエト連邦は、建国70年目の91年12月あえなく崩壊した。ゴルバチョフは政治の舞台から退くことになった。以後ゴルバチョフの動静はようとして伝えられなかった。ロシア大国を崩壊させたとしてロシア国内での評価はあまり高くないようだ。それでも昨年12月ロシアの通信社とのインタビューでは、ウクライナを巡るロシアとアメリカの対立を念頭に、双方が対話を続けることの重要性を訴えていたという。すでに現在のウクライナ戦争の勃発を予見していたのである。そして、2月ロシア軍がウクライナへ侵攻した際には、交渉による一刻も早い停戦の実現を求めていたそうである

 広角的な視野で世界を見ていたゴルバチョフに引き比べて、現在のプーチン大統領には、ゴルバチョフのような洞察力と懐の深さが見られない。ロシア革命時代のスターリンを偲ばせるような独裁的、覇権的言動は、独断専行で周囲に恐怖感を与えているだけに思えて仕方がない。ゴルバチョフの訃報に接して、バイデン米大統領が「世界中の人びとに安心をもたらした」、ジョンソン英首相「常に尊敬していた」、マクロン仏大統領「自由の道を開いた平和の人」、グテーレス国連事務総長「歴史の流れを変えた比類なき政治家」のように世界中の要人からゴルバチョフの死を悼む声が寄せられた。それに引き換え、プーチン大統領からは報道官の話として、深い哀悼の意を表し、直ぐにも遺族に弔電を送ると伝えられただけだった。そればかりか、学校教育の現場にまで愛国教育の徹底を教育庁に指示したというから、末恐ろしい事態が起きなければ好い。

 明日9月1日から新学年が始まるが、教育庁は課外授業で侵攻を正当化し、愛国者は祖国のために武器を取る覚悟があると教えるよう教師に求めているという。当然教育現場からは反発の声が出ているようだが、プーチンのこと故聞き入れる気はないだろう。

 おでこに大きな傷跡が残っていた愛くるしいゴルバチョフに比べ、一切笑顔を見せないプーチンの冷酷非情そのものの顔をイメージすると、プーチンのロシアが今後どれだけのことを仕出かすのか、考えるとゾッとする。

2022年8月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5587.2022年8月30日(火) 強い反対の中で安倍元首相国葬と県民葬

 来月行われる安倍元首相の国葬に当たり、自民党は弔問外交で各国の首脳とのトップ会談を考えているようだが、今のところG7首脳をはじめ、欧米各国の首脳にも訪日はあまり期待出来ない。G7で首脳の派遣を検討しているのは、現状ではカナダのみのようだ。当初フランスのマクロン大統領が出席を表明したようだが、ウクライナ戦線が緊迫している中でロシアのプーチン大統領と話し合いの窓口があるマクロン氏が、来日するとは予想外であったが、案の定外交上の理由で別人が参加するようになった。

 そもそも日本政府は、各国との弔問外交を期待しているようだが、噂によると過去において日本はきちんと弔問外交をやって来なかった。外国のリーダー・クラスの葬儀に首相が出席したことはなく、外国からはその辺りを見抜かれているようだ。例えば、2005年ローマ法王葬儀の際には、欧米の大統領らが列席したにも拘わらず、日本は遥かに格下の首相補佐官を派遣したほどである。19年フランスのシラク元大統領の国葬には、駐仏大使が代理として列席した。去る5月のアラブ首長国連邦のハリファ元大統領が亡くなった際には、弔問式に首相特使として甘利明・自民党前幹事長を派遣した。どうも日本政府は弔問外交の何たるかを知らず、適当に判断して対応がちぐはぐになった印象を受ける。

 国内では国葬について日に日に反対の声が高まっている時に、小池晃・共産党書記局長が出席しないと公言した。他に国葬反対の政党議員は、どういう対応をするのだろうか。

 そのように国葬反対の声が大きくなる中で、安倍元首相の出身地・山口県では10月15日に別途に県民葬を行うことを決めた。これには一部の市民の間から反発の声が上がっている。過去に自治体では、首相経験者や功績があった知事らに対して県民葬を行うケースはしばしばあった。だが、これに投入される自治体の支出はバカにならない。山口県で県民葬を行ったのは過去に5例しかない。安倍氏のケースは6度目になる。その過去5つの県民葬の内、安倍元首相の親族に、父の安倍晋太郎元外相、祖父の岸信介元首相、叔父の佐藤栄作元首相の大物政治家3人がいる。首相経験者で県民葬を行わなかったのは、島根県出身の竹下登氏だけだが、その理由は遺族が辞退したからだと言われている。安倍家からは、一切そのような声が聞かれないようだ。

 さて、昨日日経平均株価が大幅に下落した。一時は850円を超える値下がりだったが、終値で前週最終株価に比べて762円の値下がりとなり、2万8千円を割り込むことになった。これはアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)パウエル議長が、金融引き締めを続ける姿勢を示したことに各国金融筋が過敏に反応し、前週にアメリカ市場が急落し、各国の市場に波及したからである。そのせいで、円安ドル高が一層進み、円相場は一時1㌦=139円近くまで下落した。これが止まらないと日本の経済も大きな打撃を受ける。

 幸い今日の日経平均株価は、大きく反発して昨日の終値を316円上回る28,195円で2万8千円台回復した。円の相場は、ほんの若干戻して1㌦=138円49~50銭で前日に比べて20銭の円高となった。だが、こんな程度では、とても安心していられない。

2022年8月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5586.2022年8月29日(月) 「NATIONAL GEOGRAPHIC」誌に目を開かされる。

 定期購読している「NATIONAL GEOGRAPHIC」(略称:ナショグラ)日本語版9月号が今日送られてきた。1995年4月日本語版創刊と同時に購読を始めて、今でも毎月発行される新刊号を楽しみに待っている。全般的に内容が充実しているので、読み応えがあり、隅から隅まですべてに目を通すことは出来ないが、興味深そうな特集を拾い読みしている。この雑誌の素晴らしいのは、取り上げた記事の内容もさることながら写真が美麗で、珍しい写真が多いことである。20年間に亘って海外教育視察団お供した折に、アメリカではどこの小中学校の図書館にも必ずナショグラが1冊は置かれているのに気づき、日米の初等教育の視点の違いを知らされたものである。特に自然、歴史、外国文化、冒険に関する特集記事などは、日本の学校教育ではまず習うことがない。日本の学校では目に触れることがないような記事がふんだんに載っていることに驚く。偶々9月号に「戦禍のイエメンで歴史を守る」のタイトル一目見て、紀元前1000年に始まったイエメンの歴史から、今年4月ハディ大統領辞任までの歴史の変転を分かり易く解説しているのに興味を惹かれた。

 イエメン史の節目に「1967年11月独立」と書る。ちょどその直後にアデンを訪れたので、何とも忘れられない史実である。当初は68年1月に独立の予定で、私がその直前に駐日イギリス大使館で入国ビザを取得した。だが、独立が繰り上げされ、私がアデンへ着いた時は、すでに独立国となっており、イギリス大使館で取得した入国ビザが無効となり、直ぐには入国許可をもらえなかった。急遽新独立国で改めて入国ビザを申請、取得して、日本人として初めて入国を許された複雑な経緯がある。

「ナショグラ」には、イエメンの歴史は、砂漠の国として3千年前の発祥当時は隊商王国だったと紹介されている。激しい宗教的対立は今に始まったものではなく、多神教からユダヤ教とキリスト教が広まり、7世紀からイスラム教国家となった。9世紀から1960年代まで北部ではイスラム教でもシーア派の勢力が強まった。そして、拙著「八十冒険爺の言いたい放題」でも触れたが、1939年以降イギリスによるアデン港の28年間に亙る植民地化などが国家歴史上の史実として紹介されている。こういう記事をアメリカの子どもたちは、授業で教えられなくとも知らず知らずのうちに目にして、知識として身に着けていくのではないだろうか。とても日本では外国の歴史については表面的な史実しか教えない。このことが日本人とアメリカ人が史実を歴史的に、また同時に現実的に捉えるか、はたまたイメージ的に捉えるかの差になるのではないだろうかと考えている。

 書物、それとなく読んでいる内に頭の中に想像力が働き、それに歴史的史実が添えられれば歴史はしっかり頭の中に植え付けられ、歴史的史実を思考の中心に据えた思考力、想像力が身に着くのではないかと考えている。

 最近やや読書量が低下している。もう少し気楽に考えながら読みたいと思った書物を読まなければ、知識や思考力は衰えるばかりである。ナショグラに目を通しつつ、知の源泉である読書力を高めていかなければいけないと思っている。

2022年8月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5585.2022年8月28日(日) NPT会議、ロシア1国の反対で決裂

 どうも悪い予感がしていた。それがズバリ当たってしまった。5年に1度国連本部で開かれる核軍縮、核不拡散、原子力の3本柱で平和利用を目指す核不拡散条約(NPT)の再検討会議が、最終文書の合意を得られないまま閉会となってしまったのだ。ウクライナ侵攻でロシアが核の使用を仄めかし、不穏な空気の中で開かれた全体会合は、4週間も費やした。その挙句にロシアの反対で最終文書を採択出来ず、何収穫もないまま会議は閉会となった。前回2015年の会合でも中東の非核地帯構想を巡って交渉が決裂し、最終文書を採択出来なかった。今回は当初の予定より2年遅れて開かれたが、またも何の成果も得られなかった。これで半世紀以上に亘って核戦争のない世界に寄与してきたNPTへの信頼まで揺らぐ事態となってしまった。1970年に発足したNPTには191か国もの国々が加盟している。そんな多数国の合意文書をロシア1国の身勝手な都合で合意出来なくなってしまったのだ。最後にはロシアがやや受け入れやすい文書に修正して、同じ核保有国の中国がロシアに説得を試みたが、ロシアはそれに応じなかった。

 そもそも本会議は大雑把に言えば、核軍縮を保有国が漸進的に進め、将来的には核のない世界を作ることが目標である。それが今回核保有国、特にロシアの身勝手な主張でむしろ後退する結果となった。当然非核保有国からは不満が噴き出ている。また、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のフィン事務総長は、失望と同時にこれはロシアだけの問題ではないとも語った。積極的に動かない他の核保有国への不満であろう。ウクライナ戦線に光が見えない中で、核について前向きな意見が出にくい状況にあると言える。

 ところで日本は世界で唯一の被爆国という立場上国内外から、NPTに向けてより積極的な行動を取るべきだとの声が強いが、日本政府はアメリカの核の傘の下にあるとの立場から、これまで核保有国と非核保有国の架け橋になるとの抽象的な発言をしただけである。今回の会議に岸田首相は日本の首相として初めてオンラインで参加したが、「核なき世界」を掲げる被爆地・広島の出身である首相、反って出鼻をくじかれた形となった。

 いずれにせよ、核軍縮への期待は当分の間消えてしまった。当面ウクライナのザボリーシャ原発に対するロシア軍の攻撃中止を祈ることしかない。このままではいずれ核戦争の危険が増すばかりである。この切羽詰まった事態を核保有国、特にロシアは本心ではどう思っているのだろうか。世界中の人びと核の危機で怯えさせ、核を持たない国の人びとがこれを何とか止めさせようと躍起になっている。だが、核保有国のロシアは、そんなことは歯牙にもかけない素振りである。一説によるとロシアの狙いは、ロシア国内に政府の強硬姿勢を示すことによって国民の政府への信頼感を高めることが出来るとの思惑があるようである。ロシアにとっては世界の危険除去より、自国民からの信頼、忠誠の方が重要なのだろう。

 当然ながら被爆地、広島と長崎でも落胆が広がった。11月に広島で開かれる「国際賢人会議」、更に来年5月に同じ広島で主要7か国首脳会議(G7サミット)を主催する岸田首相としては難しい立場に立たされることになった。

2022年8月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5584.2022年8月27日(土) 安倍元首相国葬の是非

 ちょうど1か月先の今日9月27日に安倍元首相の国葬が行われる予定である。一般には国民の誰もがその業績を評価し、人格的にも優れた人を国家、国民が弔意を示しつつ彼岸へ送るというのが、国葬のあるべき姿であると思う。その点では、この度の安倍氏の国葬は、岸田内閣があまりにも拙速に実施を決めたことが、問題をこじらせたように思っている。国民の半数以上が反対する国葬をどうして決行しなければならないのか。国葬には、慣例として皇族方が出席されるようだし、各国からも首脳ら要人の出席が予想されている。アメリカからオバマ元大統領、ハリス副大統領、フランスのマクロン大統領、ドイツのメルケル前首相らの出席が伝えられている。

 安倍元首相の功績としてしばしば言われることだが、首相として通算8年7か月の歴代最長在任期間を推薦の切り札に上げるが、必ずしも安倍氏が優れた業績を挙げたということではない。自民党内にも政界にも対抗出来る有力な政治家がいなかったこともあり、在任期間だけを長所にしても説得力がない。確かに外交上は、あのうるさ型のトランプ大統領や、プーチン大統領ともさほどの引け目を取らずに付き合っていた。国内における実績としては、アベノミクスと言われる経済政策が一部には評価されている。

 しかし、マイナス面の言動も多かった。その最たるものは、森友・加計学園問題の国有地払い下げと、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との底知れぬ闇の関係であろう。前者については、公示価格を大きく下回る価格で学校建設用地を森友学園に払い下げ、それが問題視されると財務局職員に罪をなすりつけ、自死者まで生んだ。その森友学園の名誉校長となったのが、安倍昭恵夫人だった。それでも安倍氏は国会答弁で何ら疚しいことはなく、もしそれが事実なら首相はもとより、国会議員も辞めるとまで見えを切ったが、首相を辞めたのは他の理由であり、亡くなるまで国会議員を辞めることなく、むしろ自民党内で最大派閥のボスとなって政界内に隠然たる力を揮っていた。他にも私的な「桜を見る会」実施に当たり寄付を受け、公的資金を使い、公職選挙法違反及び所得税法違反の疑いがかけられていた。それらは、すべて元首相の死とともに追及されることなく忘れられ、表面的な功績だけが強調されいる。それでも保守的な自民党員は、ほぼ全員が国葬賛成である。二階元幹事長の如きは、昨日の記者会見で「国葬をやらなかったらバカだ」とまでうそぶいた。こんな世論を読めない発言をする政治家こそ「バカ」ではないか。

 今回の国葬に際して、閣議決定だけでことを進め、反対論が強いにも拘わらず国会で一切論戦がないまま、国費を使って実施する計画だけが先行している。しかも、前記の旧統一教会との怪しげな関係も問題である。今広く話題となっている旧統一教会との関わり合いが多くの問題を派生させているが、そもそも旧統一教会との最初の接点安倍元首相の祖父・岸信介元首相にあり、統一教会の暗い秘密が安倍元首相と旧統一教会を密接に結びつけたのである。こんな不条理な闇をそのままにして国葬によって安倍元首相を来世へ送り出すことが、倫理的にも常識的にも許されることだろうか。

 実際岸田内閣の大臣、及び副大臣、政務官の間に旧統一教会と関係を持った人物が実に多くいる。内閣も血だらけではないか。そのように血なまぐさくしたのは、誰あろう岸、安倍一族であることをよく考える必要があるだろう。

 今日新宿西口では国葬反対の大規模なデモが行われ、福島瑞穂・社民党党首や、作家の落合恵子氏らが声を大にして通行人に反対を訴えていたようだ。

2022年8月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5583.2022年8月26日(金) 旧文部省教員海外視察団の懐かしい思い出

 大分前のことになるが、学生時代の友人に旧文部省主宰の教員海外教育事情視察団に、どのくらい関わっていたのかと唐突に聞かれたことがある。つい先日ちょっとした暇つぶしに添乗員として随行した全視察団のレポート集を含めてすべての資料を調べてみた。

 この旧文部省教員海外派遣プロジェクトは、かつて田中角栄首相が在任中に始めた文部科学行政の一環であり、毎年全国の公立小中高教員に海外視察の機会を与えることによって、教員に国際的視野を身に着けて欲しいとの願いから実行に移されたものである

 幸いこのプロジェクトに長年携わることが出来、21回も全国の先生方とともに海外の教育施設を訪れ見学する機会を与えてもらった。1976年に初めて長期団でスウェーデンとアメリカへ出かけてから1995年短期団山梨県の先生方とご一緒するまで20年間に実に533名の先生方と海外の教育施設で行動を共にする貴重な機会を得ることが出来た。最初のアメリカ、マサチューセッツ州のニューベッドフォードは、ジョン万次郎が漂流中助けられ、生活したホイットフィールド船長の自宅があるところである。ここにはジョン万次郎記念館もあり、私の妻がジョン万次郎の遠戚であることを館長に話したところ、次回は是非夫妻で訪れて欲しいと仰っていただいた。残念ながら、最早半世紀近くも経つのに、その夢はまだ実現していない。

 ところで、長期団とは1か月の旅程で全国の先生から構成される視察団であり、短期団は都道府県単位で16日間の研修旅行である。普通の海外旅行に比較すれば、やや長い旅程でもある。私自身長期視察団9団と、また短期団では茨城5団、山梨2団、以下東京、埼玉、群馬、福井、兵庫7都県12団とともに旅をして、20年間に延べ462日間海外研修していたことになる。

 現在コロナ禍もあり、当初の計画通りこのプロジェクトが実施されているかどうかは定かではないが、家庭が貧しく高等教育を受けられなかった田中首相ならではの思いが籠められたプロジェクトで、現場の先生とともにこのプロジェクトに参画出来たことは幸せな体験だった。最初のころは国際的にまだ東西対立の時代であったが幸い社会主義国家と呼ばれていた国々を訪れることが出来て、資本主義国と対極にある国々、特に社会主義教育のありのままの姿を自分の目で見学することが出来たことは幸運だったと思う。

 特に、第3世界と呼ばれたチトー大統領のユーゴスラビア、ソ連の厳しい監視と制約に抑圧されそうなチェコスロバキア、東西分裂下の東西両ドイツ、独裁者チャウシェスク大統領支配下のルーマニア、同じ社会主義国ブルガリアなどを覗き見ることが出来たことは、後学のためにも貴重な体験となった。西ドイツとは大きな経済格差が見られた東ドイツの学校訪問では、常に秘密警察シュタージ係官に監視され、思いつめたような環境の下で、日本側の質問に答える東ドイツの教師の怯えるような態度が強く印象に残っている。最も多く訪れた国はアメリカで、9回訪れ、学校訪問に訪れた都市18都市に及んだ。

 この教育視察団のひとつで思いがけないことがあった。それはベオグラードで友人山崎洋さんに巡り合えたことである。1984年ユーゴスラビアのリエカを視察の際、現地通訳を務めてくれたのが、ゾルゲ事件でゾルゲの仲間ブランコ・ド・ブケリッチ氏の遺児・山崎さんだった。彼は大学内キャンパスで私の顔を見たことがあるような気がすると言って話し合っている内に、奇しくも大学、専攻学部、卒業年度まで同じだということが分った。まったく予想もしなかった出会いだった。こんな奇跡的なこともあるものかとお互いに驚いた次第である。

 大学卒業後、彼はすぐユーゴへ渡航し爾来現在ユーゴ解体後のセルビア・ベオグラードに居住し、現地の情報を広く発信している。今でも付き合いは続き、毎年のように会っていた。コロナ禍なければ今年も彼が日本へ一時帰国して会っている筈だった。今では最も信頼出来る親しい友人のひとりである彼との付き合いによって、世界が大きく広がったし、国際社会を見る立ち位置も少し変わった。彼から教えられることも多く、今やかけがえのない友人となった。初めての出会いから早や38年、この付き合いは終生続けて行けると思っている。これもこのプロジェクトがもたらしてくれた思わぬサプライズ・プレゼントである。

 旅行中原則として食事も自分で手配することもひとつの教育と考えられ、旅行当初は先生もかなり当惑していたが、慣れるに従いスムーズにご自分で食事を取れるようになった。

 学校訪問を通して思いがけず知ったことは、初等教育では一般的に先生は子どもたちに教えることが好きであるというより、むしろ先生は子どもたちが可愛くて大好きだということを登校時、下校時の様子を見て知らされた。これこそが初等教育に携わる教師の原点であると思う。また、アメリカでは教師はほとんど喫煙しないことで、日本側の先生がタバコを喫えなくて落ち着かなかったことも印象に残っている。

 帰国後は、各団ともに毎年のように同窓会を開いていたが、年々それも少なくなり、今ではすべて解散してしまった。参加された先生も年々彼岸へ逝かれて今では数少なくなり、先生文通だけの交流になってしまった。

 添乗員には、文部省からヨーロッパでは現地通訳をアテンドしても良いが、英語圏では渉外係の英語教員と添乗員が通訳を分担して務めることが義務づけられ、普段は英語を教えている先生も相当悩まれていた。添乗員としても通訳は必須だったので、業務を果たしていたが、初めの内はかなり悪戦苦闘した。学校訪問時の通訳は、次第に慣れてきてさほど苦労することもなくなったが、ある都市で急遽ビール工場の見学が決まり、ビールの製造工程には専門用語が多く、その時の通訳業務には随分苦労したことがあった

 いずれにしろ、この教育視察団に同行出来たことは、自分自身の視野を大きく広げてくれ、世界情勢にも広く目を開かせてくれた。現地の新聞にも度々取り上げられ、テレビにも何度か顔を出したことがある。とにかく、旅行業者としてはこのような格調高いツアーに関わることが出来て、普通では訪れることがないような国々をタイムリーに訪れ、話題の都市に滞在するハッピーな経験をさせてもらった。正に旅行業者冥利に尽きると言えると思う。こういう上等な業務に携わることが出来たサラリーマン人生を心から幸運だと思い、有難く思っている。

2022年8月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5582.2022年8月25日(木) 本場のミュージカルはやはりすごい。

 久しぶりに本場のミュージカルを渋谷のオーチャードホールで鑑賞した。市川学園中学時代のクラスメートに、今春ブロードウェイのミュージカル‘A CHORUS LINE(コーラスライン)」の公演が日本であるので一緒に見ないかと誘いを受けていたものである。劇場は満員だった。まだ会社勤めだった当時、ニューヨークへ出張した際に、「CATS」「オペラ座の怪人」などの人気作品をしばしば見て、面白かったとの印象があるが、今日見た30~40名からなるショーは、やはり本場ものらしく迫力が違った。ミュージカルについて詳しく知っているわけではないが、今日見た「コーラスライン」は、ダンスにしても切れ味があり、手足のジェスチャーまで全員揃っていて、コーラスも素晴らしい歌唱力には感動した。見ていても音声に覇気と情熱が感じられ、心から満足して鑑賞することが出来た。機会があれば、またいつか本場のミュージカルを楽しみたいものである。

 さて、コロナ禍とウクライナ戦争の影響で、日本ばかりでなく世界中で電力不足が懸念されているが、政府は原発稼働についてこれまで言葉を濁していたが、この電力不足を盾に岸田首相は、昨日唐突に原発再稼働について前向きな考えを示した。原発の新増設や建て替えについて検討を進めるとの考えである。現在までに再稼働した原発10基に加えて、東電柏崎刈羽6,7号機、関西電力高浜1,2号機など7基について来夏以降再稼働を進める方針を示した。これまで、原発汚染の問題で地元住民をはじめ、広く警戒感が強かったにも拘らず、一気に再稼働へ話を進めたのには、そのむちゃぶりと問題軽視に少々首を傾げている。これがスムーズに行くかどうかは、何とも言えない。この政府の方針転換は、福島第一原発の事故後の原子力政策を転換させることである。これまで電力業界や自民党の一部は新増設を求めて来たが、政府は世論の反発を考え慎重だった。今回政府が原発再開へ踏み込んだのは、その背景に電力不足が決定的になったことがある。電力会社は火力発電への投資に消極的で、発電能力が不足がちだった。特にウクライナ戦争の結果、原油や天然ガスが高騰したことが大きい。また、2011年の東日本大震災時における福島原発の問題点がクリアされたわけではない。最大の問題点は、難しい課題の多い原発再開について地元住民をはじめ国民全般の理解が得られるか、極めて不透明であることだ。
 それにしても疑問を禁じ得ないのは、これまで原発稼働について国民の間にあれほど強かった反対論を、昨今の電力不足を理由に、政府が安易に原発稼働を検討し始めたことである。昨今の岸田政権の言動は、政治家の旧統一教会との関係、安倍元首相国葬、そしてこの原発回帰などについて国民の考えに配慮することなく、また国会で充分な議論を行うことなくことを進めることである。これら国民が抱える不安とか、反対について政府は少々勇み足ではないかと気になる。

2022年8月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5581.2022年8月24日(水) いつもと異なるウクライナ独立記念日

 ロシア軍によるウクライナ侵攻が始まってから今日でちょうど半年になる。奇しくもウクライナがソビエト連邦から独立宣言して31年目を迎えた。例年なら独立記念式典を賑やかに行うところだが、戦時下にあることから式典行わず、首都キーウの目抜き通りにロシア軍の破壊された戦車などを陳列した。

 戦争の悲惨な様子が連日メディアから伝えられるが、戦争が終息する見通しは立っていない。プーチン大統領が核戦争を仄めかし、ザポリージャ原発を占拠しているロシア軍が、そこを根城に攻撃しているので、ウクライナもうっかり手が出せない。ウクライナから近隣諸国へ避難した人は、国連の公表によると1,110万人以上、国内で避難生活を送っている人が660万人以上いると言われ、避難民の数はウクライナの人口4,300万人の約1/3を占めている。ウクライナ軍兵士の死者が9千人近く、民間人の死者も国連集計では、5,500人であるが、実数はそれより遥かに多いと見られている。一方でロシア軍の戦死者数は、ウクライナによると4万5千人を超えたとみている。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍が奪い取ったクリミア半島をはじめ、東部地区の占領地を奪還しない限り停戦はあり得ないと強気な中に当然の発言をしている。大統領の発言から推して、ウクライナは例え兵器が不足しようとも従来通りアメリカをはじめ各国の支援を受けて戦い続けるだろう。このままいつまでも戦争が続くなら、更に一層難民、被災者が生れる可能性があり、いつまでも悲劇が繰り返される恐れがある。
 さて、来年度の各省庁の概算予算請求がほぼ固まりつつある中で、内閣府は沖縄復興予算の概算要求額を10年ぶりに3千億円を割り込み、今年度より、更に200億円減額する2,798億円を請求する方針だという。これは明らかに沖縄県民、並びに普天間飛行場の辺野古移設に反対する現職の玉城デニー知事に対する嫌がらせである。25日に公示される沖縄知事選で玉城知事に対抗して立候補すると見られている移設容認派の佐喜眞淳・前宜野湾市長、及び移設の一部見直しを主張する下地幹郎・元郵政民営化担当相らへの強力な支援でもある。

 沖縄復興予算は、2013年仲井真弘多知事当時、辺野古沖の埋め立て承認を前に、年3千億円を政府は21年度まで確約した。14年度には3千5百億円にまで増えた。だが、同年辺野古移設反対の翁長有志氏が知事に当選するや減額する措置を取った。以後一方的に予算を減額した。23年度は14年度に比べて約20%余りの減額となった。いろいろ思惑や理屈はあるだろうが、仮にも復興予算と名付けて戦災地沖縄の復興に役立つことを願った予算が、辺野古移設に反対だからとして、県民の気持ちを逆撫でするように大幅に削減するのは、あまりにも沖縄を愚弄した見え透いたやり方ではないだろうか。さりとて知事選で自民党が推す候補者が絶対勝てるという保証は必ずしもないと思う。しかも辺野古移設は、県民の反対を無視して着々と工事は進められている。移設工事はどんどん進め、復興予算は減額して、これでは戦争で苦しんだ沖縄の人びとに、再び煮え湯を飲ますような所業ではないか。岸田内閣の支持率が下がる原因のひとつに、沖縄県民軽視もあるのではないか。

2022年8月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com