5165.2021年7月4日(日) アメリカは独立記念日、日本は自然災害の日

 1776年の今日アメリカ合衆国は独立した。日本では北方海岸にロシア船が漂着したのをきっかけに、ロシアが通商交渉を求めてきて何かと慌ただしくなったころである。徳川幕府では老中田沼意次が羽振りを効かせていた時代だった。80余年ほど遅れるが、1858年に慶應義塾が創立され国内最初の大学となった時、すでに高等教育機関としてはアメリカ独立の年に、米沢興譲館が創立されていた。

 自身の旅記憶を想い出してみると、1990年の今日はアメリカ西海岸のシアトルにいた。アメリカの国立公園、イエローストーンとグランド・ティートンを訪れた帰路だった。シアトル市内のホテルで夕食をいただいていたところ、独立記念日を祝って夜空に派手な花火が打ち上げられたのが窓越しに見られた。

 日本の7月上旬というのは、自然災害が発生するケースが多いという。昨年の今日は熊本県を襲った豪雨により67名の犠牲者を生んだ。実は、昨日午後九州から東日本にかけて停滞していた梅雨前線が、東海地方に大雨をもたらし、熱海市内の伊豆山で降雨により上流から崖が崩壊し大量の土石流が坂を下って民家を倒壊し多数の死傷者を出した。土石流はそのまま海まで流れ出て今日も捜索隊が海中へ潜って行方不明者を探した。現時点では2名が亡くなり、20数名が行方不明のままである。家屋も130棟が倒壊した。不明者の捜索と土石の排除は今日1日続けられ、引き続き明日以降も行われる予定である。

 最近の傾向としてツィッターの画像をSNS投稿する人が多くなり、この臨場感いっぱいの土石流の状況がいろいろな角度から観ることが出来た。流れて下る土石流を正面から捉えた映像なんて危険でもあり、今までお目にかかったことがなかった。しかし、昨日は道路上の土石流を正面から観ることが出来た。日本は自然災害受難国である。これらを今後の災害防止の観点から役立てて欲しいものである。

 さて、今日は東京都議会議員選挙の投票日である。小雨が降る中を近くの区立東深沢小へ投票に出かけた。新型コロナウィルスの感染拡大と悪天候のため、投票率があまり良くないのではないかと心配していたところ、案の定投票率は4年前に比較して大分低い。今年の都議選は秋の衆議院議員選の前哨戦として、各政党もそれぞれ力を入れ、党首が応援に駆けつけている。今回の選挙は、4年前に小池都知事が党首として「都民ファーストの会」(以下「都民の会」)を立ち上げ、それが熱狂的なブームを興し、「都民の会」が、過半数こそ獲得出来なかったが、自民、公明党を蹴落として第1党となった。

 しかし、今年は東京オリンピックやコロナもあり、小池都知事にとっては選挙よりコロナ収束が大きな課題となり、「都民の会」と特別顧問を務める小池都知事との間にすきま風が見られる。その上「都民の会」が都知事に断りもなく東京オリンピック中止を都議選でアピールしたことから両者の関係にさざ波が立っている。さりとて小池都知事にとっては、与党として「都民の会」は大きな拠り所であり、その関係を壊したくはない。

 連日のコロナ対策で疲労も頂点に達した小池都知事は、22日から入院していた。幸い昨日から復帰した。身体を壊しては元も子もないが、退院後の会見で「倒れるかも知れないが、それも本望」と語ったことに対して、都知事在職中散々悪さを冒した舛添元知事が小池都知事は政治家失格と批判していたが、これに対してネットでは、お前が言うことかと舛添氏に対して非難轟々である。これほど舛添氏が小池都知事をやっつけるのはやっかんでいるせいであろう。都議選の結果は、今夜中には分かりそうもない。

2021年7月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5164.2021年7月3日(土) 反戦歌と平和を願う歌

 昨晩BSテレビ東京で「武田鉄也の昭和は輝いていた」を視聴した。反戦歌と平和を願う歌の特集番組だった。この中でタレント・故藤田まことが唄った寺島尚彦作詞、作曲「さとうきび畑」と、新谷のり子が唄った♪フランシーヌの場合♪に強く感銘を受けた。藤田は兄を沖縄戦で喪ったが、その17歳で戦死した兄から亡くなる直前に弟まことに送ったハガキを大切に手にしていた。背筋をぴんと伸ばして声高らかに歌う姿は、亡兄を想ってであろうか涙ぐましいものだった。作詞作曲の寺島自身、不幸にも2度も戦禍に遭い両親、兄妹を失いながら戦後沖縄で米軍車両に衝突死された。その後この反戦歌は、森山良子をはじめ、多くの歌手に歌い継がれている。

 ♪フランシーヌの場合♪は、寡聞にして知らなかったが、ある悲しいドキュメントを下敷きにして作られた。1969年3月30日(日)朝、フランシーヌ・ルコンドさんという30歳の女性が、ベトナム戦争反対や、ナイジェリア内戦でビアフラの飢饉に抗議してパリの路上で焼身自殺した。この事件に心を動かされた日本人、いまいずみあきら作詞、郷伍郎作曲により反戦フォークソングとしてヒット曲となった。

 

 ♪フランシーヌの場合は あまりにもおばかさん

       フランシーヌの場合は あまりにもさびしい

        3月30日の日曜日

          パリの朝に燃えた いのちひとつ

           フランシーヌ ♪

 

 この番組で少々おふざけの反戦歌?も紹介された。別役実が作詞、小室等が作曲して、小室等が六文銭と共演した「ゲンシバクダンの歌」である。

 

 ♪原子爆弾をひとつ

   ポケットに入れて

    新宿を歩いたら

    紀伊国屋の辺りで爆発して

    紀伊国屋がぶっ飛んだ

     ワイワイ原子爆弾は怖いな

 

  原子爆弾をひとつ

   ポケットに入れて

    池袋を歩いたら

    西武デパートの辺りで爆発して

    西武デパートがぶっ飛んだ

     ワイワイ原子爆弾は怖いな ♪

 

 いささかパロディめいた歌詞だが、流石に実在する企業に悪意を抱いて標的にしたと物議を醸して放送禁止になったようだ。

 無邪気に踊りながら唄う今の若手歌手とは異なり、社会的問題を抱え悩みながら心の葛藤をして生きた戦争を知る世代の歌手に気持ちを重ねたい。

2021年7月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5163.2021年7月2日(金) オリンピック開催直前、今なお問題山積

 一向に新型コロナウィルスの勢いが収まらない。東京都内では前週に比べて感染者の数が連続12日間も前の週の同じ曜日をオーバーしている。オリンピック開催まであと3週間に迫っているが、リバウンドの傾向が見られ、このまま行けば4週間後には1日に千人を超えると、医学専門家は急激な感染拡大に強い危機感を示した。

 イギリスでは一時収まりかけていた感染者が再び増え始め、国民にマスクを着用するよう求めているが、テニス・ウィンブルドン大会やサッカー・ヨーロッパ選手権の様子を見る限りほとんど要望が守られていない。サッカー大会では、ロシアのサンクトペテルスブルグとロンドンの試合で多数の感染者が出た。洋の東西を問わず、野外イベントがあると人は集まり、顔を合わせて声を出して騒ぎまくる。これでは一時的に世界中でロックダウンでもしない限りコロナは終息しそうもない。無観客にした方が良いのではないだろうか。

 現在開会式を含めて競技によっては無観客、或いは観客上限1万人としながらも大型スタジアムや夜間の競技では一部競技を上限5千人にする案を政府内で検討するとしている。とにかく現状は、不安だらけである。果たしてオリンピックは観客をどのように迎えて開催されるのだろうか。

 とにかくコロナ対策では、政府の対応が一貫性に欠ける点に不信感を抱き、首を傾げている。例えば、職場のワクチン接種については、掛け声は大きかったが、いざ各業界で接種を始めたらワクチンの供給が間に合わないから道半ばで中止すると言って準備を進めていた職場は困惑している。また、オリンピック期間中は都内JRの終電を繰り下げる計画のようだが、これでは反って夜の街を彷徨う人が増えるのではないか。会場との往復を直行直帰するよう組織委員会は奨励したことと矛盾するのではないかと思う。

 更に今日オリンピック・パラリンピックの取材に海外から訪れる記者に対する行動制限について、ニューヨーク・タイムズやAP通信などアメリカの主要メディアのスポーツ部門責任者が組織委員会に抗議の書簡を送った。規制がコロナの感染拡大防止に必要な範囲を超えて、部分的に五輪憲章に反するとして見直しを求めている。どうも海外からの記者だけを対象としていることに対して不信感を抱いているようだ。プライバシーにあまり干渉されたくない外国人にとっては、スマホのアプリで行動を監視されるような疑念があるのではないか。丁寧な説明と細かい配慮が欠けていたのではないかと思う。

 さて、ここ連日雨模様で、特に夜間に降雨が激しい。先日初めて沖縄に線状降水帯警報が発令され、梅雨前線が徐々に北上して関東地方にも雨を降らせている。今週いっぱいは雨が降り続くようでしきりに河川の増水や、がけ崩れに警戒が出されている。ところが、今日気象庁は沖縄の梅雨明けを発表した。5月5日に梅雨入りが発表され、昨年より20日も遅い梅雨明けで、梅雨の期間としては約2か月の58日間となり、ここ30年間では最長だという。まもなく関東地方でも梅雨明けが宣言されるだろう。その後の酷暑を考えるとゾっとするが・・・。

2021年7月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5162.2021年7月1日(木) 中国共産党創立100周年を迎える。

 今日中国共産党は創立100周年の記念すべき日を迎えた。共産党誕生は、辛亥革命(1911年)からちょうど10年後のことである。偶然とは言え、今年創立100周年を迎えた母校湘南高校と同じ歳月とは不思議な縁である。誰ひとりマスクを着用せず7万人以上が集まった北京の天安門広場では、派手なショーや行進も行われ、習近平・共産党総書記が1時間以上に亘って国内外に向けて思いのままに都合の良い演説をし、今日の中国の発展は共産党によってもたらされたとぶち上げ、共産党1党独裁を正当化した。今年の目標としていた「小康社会(ややゆとりのある社会)」は全面的に達成し、国内の貧困問題は解決したと語った。台湾問題については、祖国の完全統一は決して志を変えることのない党の歴史的使命だと台湾独立のいかなる企みも断固粉砕すると述べ、民主派を締め付けている香港については、国家安全維持法による統制強化の必要性を強調した。相も変わらない共産党と習総書記の不遜な言い分である。

 しかし、経済の減速や、人口減少に伴う少子高齢化で、強気一辺倒だった中国も今先行きに大きな不安を抱えている。加えて公海洋上への覇権的進出などにより周辺諸国の反発が強まり、これまでの政策実行だけでは立ち行かなくなることも予想される。

 世界最多の14.4億人という人口を抱えながら、全国的に国民に貧困を舐めさせなくなったことは、共産党ならずとも国家として評価すべきであり、かつての貧しい中国を思えば、共産党が行った国造りは第1の目的を達したと言えるだろう。共産党は、脱貧困は達成され、食べることや着ることに困らない社会は基本的に実現したので、これからはともに豊かになる「共同富裕」へ向かうという。

 東京財団政策研究所・柯隆氏によれば、中国は貧富の差を表すジニ係数が社会的騒乱の警戒ラインとされる0.4を超えて0.465もあり、0.6を上回るとの説もあるという。これは、所得再分配の機能が弱いからだと見られている。党幹部など富裕層の持つ特権にメスを入れにくく、貧困層向けの政策が打ち出されにくいからである。言論の自由もなく、自由選挙権もなく法の支配や議会制民主主義の基盤がなく、監視社会下では国民が自由を享受し、平和な生活を営んでいるとはとても言えない。中国政府は、民主主義の基本原則を忘れ、成すべきことの順番を間違えていると思う。

 今では欧米ばかりではなく、多くの国々から後ろ指を指されかねない言動が多く。現状のまま押し進めると今後大きな衝突が懸念される。表面的には表れない農村部の貧困も敢えて政府として外部に知られないよう試みていることは、薄々知られている。秘密主義もほどほどにすべきであろう。いつまでも共産党が統治するような1党独裁国家では、今後複雑になる国際社会の中で臨機応変に対応し、このまま発展を続けていくことは難しいのではないだろうか。習近平総書記が恐らく泉下に眠っているであろう29年後の中国建国100周年に、果たして現在の習総書記が作り上げた「赤い帝国」が機能しているだろうか。

2021年7月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5161.2021年6月30日(水) 呆れた三菱電機の悪質な検査偽装

 朝日朝刊一面を見てびっくりした。トップ記事として大きく「三菱電機 性能検査で偽装」と書かれていたのだ。「JRや私鉄 全国に納入」と添え書きされていたように、小田急電鉄在職中にも社内に三菱電機の製品はかなり見られた。あの三菱電機が納入していた空調設備の検査で架空のデータを用いて適正に実施したかのように装っていたというのだから、極めて悪質である。これを35年間も偽証していたとは商業道徳上も許せない。こんな長い間取引先を騙していたとは、会社は一体何をしていたのかと首を傾げてしまう。更に会社の言い訳が聞いて呆れる。不適切な検査が行われていたことを認めた上で「安全性に問題はない」という不遜なものだ。

 三菱電機と言えば、そんじょそこらの成り上がり企業とは異なり、財閥三菱グループの中核企業でもある。その三菱電機がなぜこのような三菱グループにとっても恥辱的な事件を引き起こしたのだろうか。鉄道会社の空調分野で国内シェアではトップクラスで、新幹線などJR各社をはじめ、私鉄、地下鉄など幅広く採用されている。だが、近年悪質な事件は大手企業の間でも見られるようになった。2017年には神戸製鋼所でアルミや銅製品の品質データや検査の数値の改ざんが発覚し、19年に罰金1億円の有罪判決を受けた。NHKや民間テレビ局でもこのニュースを派手に伝えていた。監督官庁の国土交通省や、経済産業省も遺憾に感じており、加藤官房長官も再発防止策の策定を講じていくとコメントしている。

 三菱電機について私にはこんな個人的な経験がある。今から半世紀ぐらい前に小田急電鉄旅行部に勤務していたころ、国際航空運送協会(IATA)から国際航空券発券のライセンスを取得するために必死になって国際線航空チケット販売実績を上げるべく会社を挙げて走り回っていた。その一環として、私は三菱電機本社へしばらく出向するような勤務体制で、海外出張関係を扱っている部署へ机を置いてもらい、自宅から直接丸の内の三菱電機本社へ通って三菱社員及び家族の海外渡航業務のお世話をしていたことがある。社員の海外出張手続きや、赴任先国の大使館に駐在院家族の滞在ビザ申請などを行っていた。しかし、半年間で10件ほどしか取扱いがなく、島流しのような勤務は半年程度で終わった。それでも航空券販売実績は発券業者の資格を得るためにそれなりに貢献することが出来たが、今以て誰も知らない事務室の中で、いついただけるか分からない注文をひたすら待っていた姿が幻のように頭に浮かんでくる。

 その三菱グループ会社としての矜持を抱えている三菱電機が、会社ぐるみで何故かくも軽薄な不祥事を意図的に冒し、延々と黙ってきたのだろうか。

 会社としては反省、ただひたすら反省し、同じような過ちを犯さないよう心すべきである。つい最近経産省のキャリア官僚が、新型コロナウィルスの交付金を悪用申請していたことが判明し、世間に衝撃を与えたが、かつての財閥企業でもバレないだろうと悪事を行うことが目立つようになった。実に情けないモラルに欠ける乱世の風潮である。

2021年6月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5160.2021年6月29日(火) 初等教育の場に作文の時間を

 昨日の朝日朝刊「天声人語」に島崎藤村の「夜明け前」を同コラム執筆者が未だ通読していないやるせない心情を打ち明けている。「夜明け前」は、言わずと知れた明治維新前後の中仙道宿場の馬籠、妻籠村の庄屋に生まれた主人公・青山半蔵の生き方を波瀾の時代背景とともに描いた名作である。同じ藤村の「破戒」とともに、浪人時代から大学生のころ没入したものだ。筆者は「夜明け前」の読了に何度も挫折してダイジェスト版に手を出したそうだが、それでは筆者自身も言っているように読んだことにはなるまい。その点で私自身まだ読書欲が強かった時代に一気に通読したおかげで、その後も国内外の名作をいくつも読破することが出来たことは今日振り返って幸運だったと思っている。

 「破戒」は「夜明け前」の前に読んだが、主人公の瀬川丑松が部落民の出自であることに後ろめたさを感じて他人に打ち明けるべきかどうかで苦悩する内容で、まだその部落民「穢多」=「エタ」という言葉も意味も知らなかった当初は、ストーリーの途中まで話が何だかよく分からなかったことを想い出す。最近ではこれほど心にずしんと来る訴求力のある小説は滅多にお目にかかれなくなった。

 さて、文部科学省では小中校の授業時間を学校の裁量で変えられる新制度を来年度から導入する。国が各教科で定める最低限の授業時間の内最大1割分減らし、別の教科に上乗せすることが出来るという。そこで私見を言わせてもらえば、現在小学生の国語の授業で文章を書くことにもう少し時間を割き、教えた方が良いとかねがね思っていた。最近の若者が読書をしない、文章を書かない(書けない)のは、義務教育の間にしっかり文章を綴る訓練を受けておらず、文章力が身に着かなかったからであると思う。従って大人になっても手紙を書くことからも逃げ、手紙をもらっても返事すら書かない若者が大勢いる。戦後間もなかった小学校では、国語には2教科、「読み方」と「綴り方」があった。後者は字の如く作文の授業だった。それがその後いつの間にかなくなってしまったのである。

 今では手書きで文章を書くより、パソコンで綴ることが多くなったが、じっくり考えながらペンを走らせているとそれにまつわるイメージが湧いてきて落ち着いた気持ちになれる。そしてペンの力というのは、福沢諭吉の「ペンは剣よりも強し」の言葉通り説得力のある文を作り上げることが出来る。私自身現役時代セールスの折に、顧客に手紙を書いて丁寧に内容を説明しその後終生良き顧客となってもらった例がいくつもある。文章、手紙を書くことで商売上もメリットがあった。そんな体験から在職中は、機会がある度ごとに若手社員に旅行先から顧客に絵葉書を書いて送るようアドバイスをしていた。

 果たして文科省の新制度が、どの程度実施され効果を上げるかは不透明だが、作文の授業を採り入れることは、必ずや子どもたちの文章力を向上させ、また情操教育上も効果的であると考えている。

 先日創立150周年を迎えた母校・千葉市立幕張小学校の榊原英記校長より来年発行予定の創立記念文集に一文を寄稿するよう依頼されたが、今日近著「八十冒険爺の言いたい放題」に推薦文を書いてもらった、6年後輩の椎名誠氏へも寄稿を依頼したとの連絡をいただいた。

2021年6月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5159.2021年6月28日(月) 中国から理性と民主主義は消滅した。

 去る24日、香港で26年間発行されていた「リンゴ日報」紙が廃刊となった。創刊以来中国政府に対して批判的な論調を展開していた同紙に対する中国政府の強硬な締め付けの結果である。ここにまた香港の自由と民主主義が死んだ。イギリスとの香港返還時の約束である「1国2制度」を一方的に破棄し、香港人の自由と言論をはじめ、手当たり次第に民主主義を奪い取っている中国の暴力である。国家間の約束を破るのが中国流なら、市井のあらゆる事象を全て中国流に変えさせるというのも習近平・国家主席の目指すところだろう。「1国2制度」が施行されて折り返し点に到達する前に中国的「1国1制度」に変えてしまうのは、その時が来るまで待てないという68歳になったばかりの習近平の焦りからだろう。

 昨年6月香港国家安全維持法の施行に伴って、中国に反対する言動はすべて反中国的と見做され罰せられることになった。それを具体的に香港で監視するために、いつの間にか中国は香港政府の上部機関として高層ビル1棟内に丸ごと国家安全維持公署を設置し、直接香港警察を管理下に置いた。現在の香港行政府ではこの香港を中国の思うように管理出来ないと見切りをつけたものだ。国家安全維持公署トップの実質的な影響力は、林鄭月娥・香港行政長官を上回る。300余名の職員は、本土の公安省とスパイを摘発する国家安全省から派遣され、香港のホテルを借り上げて宿泊している。彼らは身分証明書を所持しているが、国家安全維持法の下で業務に携わっている間は香港当局から調べられるようなことはなく、事実上の治外法権を与えられている。

 今年度の香港政府の予算案に国歌安全維持の名目で約1,130億円の予算が計上されたが、これは国家安全維持公署職員の給与に充てられるのではないかと見られている。今や香港は完全に中国の思うままに押さえつけられ、グーの音も出ない状態である。

 中国の民主化抑圧と人権侵害は、新疆ウィグル族やチベット族など少数民族に対する仕打ちでも、かねてより欧米をはじめ国際社会から厳しく非難されている。加えて南シナ海への海上進出など力ずくの覇権国家ぶり周辺諸国の不安と懐疑を生ませる一方で、中国は増長するばかりである。それを中国は利己主義的に自らを正当化し、他者を排除する。そのベースとなったのは、中国共産党1党独裁支配による唯我独尊的なパフォーマンスのせいである。最も非民主的な点は、世界最多の人口を抱えながら、国民に自由選挙権を与えず、彼らに自由と言論の権利である選挙による個人の意思表示を認めないことである。すべての善悪を共産党が決定する。こんな非民主主義的にして、非現代的なことをいつまでやっているのだろうか。良識ある中国人がその不条理に異を唱えないのが不思議でならない。

 しかし、これほど世界中の民主派や良識ある人々を敵に回してまで、中国が香港で暴力的行動を唐突に起こしたのには2つの理由がある。ひとつは、7月1日に中国共産党が結党百年を迎える祝典の前に香港を完全に中国化・「1国1制度」化しておきたかったからである。2つ目は、習近平主席が中国全土を政治的に、歴史的、文化的に統一したことを世界に宣伝したかったからである。だが、外部の意見を一切聞き入れず、独善的な政治がそういつまでも続くことはとても考えられない。かつてのドイツ・ヒットラーや、ソ連のスターリン絶対君主制はあっという間に崩壊した。習近平の隙がなく一見綻びが見えない絶対体制でも、いずれ内外からの力によって突然瓦解することははっきりしている。これを習近平一派はどう考えているのか知りたいものである。

2021年6月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5158.2021年6月27日(日) 立花隆氏はシベリア抑留をどう受け止めたか。

 昨夜遅くスコットランドのエジンバラで行われたラグビー日本代表チームと、北半球最強チームと言われる「ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ」の試合は、日本が前半善戦しながらも3つのトライとゴールを決められ、0-21になったところで床に臥すことにした。今朝気になりながらニュースで結果を見るとスコアは10-28だった。後半は意外にも10-7で日本が圧倒したのだ。改めて録画で後半を観戦してみた。スコア通り日本が押していた。一昨年のワールド・カップ(WC)で8位になり、その強さを世界へ強くアピールしていた日本は、そのWCでもアイルランドに勝った。確かに日本チームは近年力をつけ、このところ試合内容でも中々良くなっていた。昨晩の試合でもうまくすれば勝てていたかも知れない内容だった。来週アイルランドとまた一戦交えるようなので、試合の関心と興味は募るばかりである。今後の日本代表チームの飛躍と活躍を期待したいと思う。

 ついては、午後NHKで過日亡くなられた評論家・立花隆氏を追悼するドキュメント・NHKスペシャル「シベリア鎮魂歌」が放映された。戦後シベリアに抑留されていた画家・香月泰男がシベリアを描いた絵画を想い浮かべながら、亡き画家を偲んで雪の中をシベリア抑留の名残りを辿るドキュメントである。戦後60万人の日本人がソ連に抑留され、多くの人びとが命を落とした。その彼らの生と死の意味を現地で考えるレポートである。立花氏は、香月の画は厳しいシベリアの自然の中で、収容者らが寒さと重労働、そして空腹に苦しみながらいかに生き延びたのか、また命を落としたのかを訴えており、戦後の日本人は戦争による戦没者の犠牲の下に日本が復興したことを意識せず、戦争の意味を考えない人が多いことを憂いていた。

 1991年晩秋にシベリアとサハリンを旅した。大分寒さも厳しくなった時節で、雪が降ることもあった。その10年後に今度は雪の中をシベリア鉄道で大陸を横断した。2度のシベリア旅行でシベリアの厳しい寒さと市民生活を身体で実感した。最初に訪れた時は、旧厚生省の要望もあり戦没者遺骨の調査を兼ねていたので、日本人戦没者に関連する施設や墓地、埋葬地などを各地で見て回った。立花氏が訪問した土地も訪ねた。テレビでは森林地帯で立花氏が戦没者と香月氏に思いを馳せ、彼らの気持ちを考えながら涙ながらにトツトツと語った姿が印象的だった。シベリアの豪雪がどれほど厳しいものであるかは、現地を訪れてみないと分らないものだ。この豪雪の中で重労働にこき使われ、ろくに休憩もなく粗食で朝から晩まで働かされ続けたシベリア抑留者の胸の内を思うと、立花氏の涙も頷ける。この映像は最近立花氏が亡くなったのを機会に氏を回顧して再放送されたドキュメントだったが、私自身長年戦没者の遺骨収集に関わって来ただけに、同じように胸が痛む。時がいくら経過しようとも、我々が現在生かされ、平和に生活していられるのは、戦争で尊い一命を落された戦没者とご遺族のお蔭であることを決して忘れてはならないと思う。

2021年6月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5157.2021年6月26日(土) また出た!麻生副総理の意地悪な失言

 新型コロナウィルスの感染が一向に収束する気配がない。東京都内ではこのところ先週を上回る新規感染者が発症してリバウンド現象ではないかと医療従事者ばかりでなく、遍く国民が懸念している。連日記者会見の場でコロナ問題に応対していた小池都知事も過労で止む無く静養することになった。

 昨日都議会議員選挙が告示されたが、都議会最大会派の「都民ファーストの会」特別顧問である小池知事に対して、「失言王」の異名をとる麻生太郎副総理が知事を皮肉り、「自分でまいた種でしょう」と語り、流石に厳しい非難の声が浴びせられている。とりわけ蓮舫・立憲民主党代表代行が、「政治家以前に人としてどうなんでしょう。あり得ない」と批判した。麻生氏はこれまでにもしばしば軽口や失言で非難を浴びていたが、常識を知らないことでも批判されていた。それでも一向に懲りる様子もなく言いたい放題である。困ったことは周囲に麻生氏の軽口を制止したり、常識的アドバイスをする人物がいないことである。本来の財務相という立場に立って真面な発言をすることはまったくなく、業務とは無関係な話題をねじって発言するだけの人である。

 一昨日逝去を報じられた同じ歳の「知の巨人」立花隆氏とは何から何まで違うものだ。現在80歳という年齢から考えると国会議員の激職には耐えられそうもない。こういう節操のない人物を重要なポストに置いていること自体むしろ問題だと思う。菅首相の任命権者としての責任も問われるべきである。本人にしてもあまりにもドジを踏む性格と年齢を考えて身を退いたらどうかと思う。

 4年前の都議会選に「都民ファーストの会」が小池知事の下で大躍進したが、今回は同会と知事の間に隙間風が吹いているようで、いずれからも相手を頼るような声が上がって来ない。そのうえ前回は支援してもらった公明党が今回は党独自の選挙対策で臨んできた。これにより「都民ファーストの会」は一層苦しくなっていた。そこへ助け舟を出したのが、麻生失言である。

 さて、趣はまったく異なるが、同じように発言で今話題となっているのが、24日西村泰彦・宮内庁長官がオリンピック開催に関して感染状況を語ったコメントである。長官は、「陛下は現下の新型コロナウィルス感染症の感染状況を大変心配されている。国民に不安がある中で、開催が感染拡大につながらないか、懸念していると拝察している」と述べた。これに対して、長官が天皇の気持ちを代弁したとか、長官が拝察しただけだとか、立場によってそれぞれ身勝手に発言しているが、失言王の麻生副首相は、「長官は気持ちを言われたのかも知れない。長官が陛下の言葉を代わりに伝えることは普通はない」と常識的なコメントは発したが、幸い失言はしなかった。政界では反対や一部同意はあるが、いずれも足の引っ張り合いばかりである。

2021年6月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5156.2021年6月25日(金) 母校・幕張小学校創立150周年と恩師の想い出

 ふとしたことから、千葉市立幕張小学校の榊原英記校長とメールのやり取りをすることになった。かつて幕張小は千葉市内にはなく、幕張町立小学校だった。その懐かしい母校・幕張小は、今年創立150周年を迎えた。1951年に卒業してから今年でちょうど70周年に当たる。偶然にも記念すべき周年行事がダブったように、母校湘南高校も今年創立百周年を迎えた。祝福すべき2つの母校の祝典が、タイミング悪く新型コロナウィルス禍の影響で中止、或いは延期を余儀なくさせられているのが何ともやるせない。

 1949年9月、5年生の時幕張小へ転入して間もなく、湯川秀樹博士が日本人として初めてノーベル賞を受賞し、大きな話題となった。その年は8月に古橋広之進選手が全米水泳選手権で次々と世界記録を打ちたてたり、10月にアメリカから3Aサンフランシスコ・シールズが来日して日本チームを圧倒したり、あまり目立つ事象がない時代だったが、遊び盛りの子どもたちにとっては楽しい時代だった。毎日学校から帰るとラジオに首っ引きだった。そして翌年6年生の時に朝鮮動乱が始まり、担任教師の湯浅和先生からしばしば戦争に至った経緯や戦況について話をしてもらった。5年生時の旅行は鎌倉、江の島で、修学旅行は箱根という案配でわが人生で何かと関係の深い土地を訪れることになった。幕張小では、5,6年生時に担任だった湯浅和先生には教室だけではなく、学校外でも多くのことを教えていただいた。あの時代は一般的にあまり遠出はしなかったが、それでも学校を出て近くの野原へ行っては俳句をたくさん作ったし、図画もいっぱい描いた。あの頃詠んだ俳句に、

        ‘コスモスが ゆれて見つかる かくれんぼ’

 というのがあるが、先生から随分褒めていただいたことが昨日のことのように思い出される。湯浅先生は校長室内に掲げてあった「温故知新」の言葉の意味を嚙んで含めるように教えてくれたが、今もこの言葉を大事にして時々使っている。相撲も一緒に取り組んでは組手や決め手を教えてくれた。「押し出し」と「寄り切り」の違いを知ったのも、その時湯浅先生がジェスチャーで手に取るように教えてもらったからである。先生は口だけで教えるのではなく、身の回りにある題材を使いながら全身で気持ちを込めて物事を丁寧に教えてくれた。情操教育をどの先生よりも心掛けておられたように思う。

 学生時代に歌舞伎を何度か一緒に鑑賞に行ったことがある。千葉市内のご自宅で営まれた葬儀に出席したが、還暦前の早過ぎる旅立ちからすでに三十数年が過ぎた。今も同級生が時折集まっては「和会」を開き先生を偲んでいるのは、皆が先生を慕い想い出しては懐かしく感じているからである。湯浅先生のように身体全部で教育してくれた懐かしい湯浅和先生は、小学校教育の模範であり鏡だと思っている。幕張小で湯浅先生に接したことは、今でも楽しく有意義な時間だったと思っている。

 その幕張小では、現在創立150周年の記念企画を検討しているとの話を伺ったが、そのひとつに記念誌の発行を考えているとのお話である。今日校長からその記念誌に卒業生のひとりとして幕張小の思い出について寄稿して欲しいと依頼されたので、喜んでお引き受けしたところである。幕張小の6年後輩で同級生の実弟であり、今年上梓した「八十冒険爺の言いたい放題」に推薦文を書いてもらった椎名誠氏も多分寄稿されるだろう。

2021年6月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com