5818.2023年4月18日(火) 公職選挙法に基づく選挙権と被選挙権

 統一地方選の世田谷区長選と区議選が16日に告示され、昨日から街宣車が地域を回り始めた。気が付かなかったが、現職と新人の一騎打ちである世田谷区長選は、67歳の現職に対して29歳の新人が挑む構図である。参議院議員と知事、更に市区長選では30歳以上の候補者に被選挙権が付与されるものだとばかり思っていた。実際には市区長は25歳以上になれば被選挙権が得られると改めて知ることになった。

 こんな釈然としないことがあった。去る15日和歌山市内の漁港で街頭演説直前に岸田首相に対して爆発物が投げられ、辛うじて首相は被害を免れた。その爆発物を投げた容疑者は以前兵庫県川西市議選に立候補しようとしたが、被選挙権がないことから立候補出来ず、それを不満に思ったのか、立候補を制約するのは違憲ではないかと神戸地裁に提訴したものの敗訴となった過去があったようだ。この容疑者は、現在24歳で25歳にならなければ被選挙権がない。爆発物にせよ、裁判沙汰にせよ、本当の狙いは何なのか、理解し難いが、公職選挙法に規定されているルールは、国民としては守らないといけないと思う。

 一方で、日本では2016年選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられた。これは国内から出た声というより、海外191か国の国、及び地域の内9割近い国々が18歳以上を大人と見做して選挙権を与えている。その点では日本の決断は遅かった。ただ、気になるのは、選挙権年齢を2歳引き下げて若者の声を受け入れようという考えは分かるが、現代の若者の選挙における投票率は、他の年齢層に比べて低いことである。つまり、選挙にあまり関心がないことが懸念される。折角親心により若者にも大人と同じ1票を行使する権利を与えてもそれを実行しない権利放棄が気になる。

 さて、一昨日ドイツが原発の廃止を正式に決定した。メルケル前首相ら歴代政権が掲げてきた「脱原発」を漸く実現することになった。福島原発の事故を深刻に捉え、苦難の末放射能廃棄物処分などを理由に廃止の結論を出した。これまで段階的に原発廃止を進めてきて、一昨日最後の原子炉3基が送電線から切り離され、電力供給を止めた。今後は再生可能エネルギーの拡大を進めて原発に替わる電力の供給を行う。ドイツと同じくすでに脱原発を進めたのは、イタリアとリトアニアである。

 その一方、ヨーロッパ各国でも原発に対する取り組みは、各国の国内事情により対応はマチマチである。昨日フィンランドでは、世界最大級の新型原発が運転を開始した。ウクライナ侵攻によりロシアからのエネルギー供給が途絶えたこともあり、電力不足への危機感から原発再開発の動きが広がりつつあった。この他フランスには新たに6基の原発を建設する計画がある。イギリスやポーランドなども新たな原発の建設を目指している。

 日本の原子力政策はどうかと言えば、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の典型で2011年の福島原発事故以後、原発開発・推進を公言することは控えてきた。しかし、内心はエネルギー資源不足の日本が、これまで当てにしていた原発を全面的に廃止することは難しく、現状は政府のグリーントランスフォーメーション(GX)実行会議で基本方針を決めたままである。はっきり言えば、原発再開、推進である。それはGX会議の基本方針の内原子力・再生エネルギー項目の4つのポイントを見てみれば分かる。

    1.再生エネルギーや原子力など脱炭素効果の高い電源の活用

    2.廃止が決まった原発の次世代革新炉への建て替え具体化

    3.運転期間40年、最長60年の原則維持、停止期間の運転延長

    4.核のゴミの最終処分の具体化を進める。

 以上である。はっきり言って原発廃止は考えられないようだ。

2023年4月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5817.2023年4月17日(月) 「チャットGPT」の効用と使い方

 いま急速にAIを活用した技術で利用が伸びているサービスがある。「チャットGPT」と呼ばれているが、IT関係者の間でも話題になっている。ちょうど大学の入学式シーズンに当たり、学長の歓迎挨拶の中でも「チャットGPT」に触れるケースが多いようだ。18世紀にイギリスで起きた産業革命にも例えられることもある。

 ただ、最初にこれを新聞で読んだ時には、こんな都合の好いものがあるだろうかと思うと同時に、これは大学生を「考えない大学生」に仕向けるのではないかと心配になったほどである。現状では、まだ開発途上のようで質問に対して正確な答を教えてくれるとは限らない。間違った回答もかなり多いようだ。アメリカのある調査会社によると8割も間違っているとの報告がある。まだ、データや情報の引き出しが少ないからではないか。

 例えば、今日の昼テレビで池上彰氏の個人情報に関して質問した「チャットGPT」の結果を紹介していたが、以下のような程度だった。カッコ内が正しい言葉である。池上彰氏は1955年(50年)に神奈川県横浜市(長野県松本市)に生まれ、慶應義塾大学商学部(経済学部)を卒業後、日本経済新聞社(NHK)へ入社して経済界を取材した(現場の取材をしたわけではなかった)。これでは、とても信頼して利用することが出来ないだろう。しかし、アメリカでは大学生が大分利用していると伝えられている。特に、レポート作成に当たり、必要な言葉や情報をインプットすれば、立派な論文が完成するというが、とても眉唾にしか思えない。問題は、今後これが多くの情報を取り入れ正確度を増して利用価値が高まれば、信頼も高まり利用者は増えることだろう。

 気になるのは、こういうサービスが、無料で使用出来て何事にも便利になる一方で、手抜きが出来るようになることである。仮に学生が論文を書くに際して多くの単語と情報をインプットして出来上がったレポートは、体裁上は問題なく合格点をもらえるだろう。だが、学生にとって一番大切な「本を読みこむ」「調べる」「ディベートする」「考える」等の作業を自分でやらずに他人任せにして、棚からボタ餅を頂戴しようというのでは力がつかないのではないだろうか。これでは「学問のすすめ」ではなく、「怠惰のすすめ」である。大学で学ぶ、特にゼミナールで学び必要な単位をいただくということは、指導教授や同じゼミナリストらと討論を重ね、その中で自分なりの考えを固め、レポートをまとめることが大事である。そういう経験を重ねて少しずつレポート作成能力も培うことが出来るようになると思う。その意味では安易にこうした手抜き用具に頼らず、ひとつの参考意見として取り入れるぐらいの考えの方が良いのではないかと思う。

 振り返って大学ゼミでは、私自身良き恩師や先輩、ゼミナリストに恵まれ、拙い卒業論文ではあったが、随分時間を注ぎ込んでそれなりに仕上げることが出来たと考えている。

 日本ばかりでなく、海外でも問題が表面化しているようで、実際イタリアでは間違いが多いことを理由に当面「チャットGPT」の使用が禁止されたし、イタリアに追随しそうな国もある。言論統制の厳しい中国については、例えば習近平国家主席について聞くと履歴などの個人情報は教えてくれるようだが、国家政策などの質問に対しては、別の質問をするようにと応答があるという。自由が許されない中国においては、有効なサービスとはならないだろう。良きにつけ悪しきにつけ、まだ半製品で発展途上にあるように思う。

2023年4月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5816.2023年4月16日(日) 「させていただく」という不遜な言い方

 「させていただく」という用法に関する記事が、昨日の朝日朝刊別紙「be」に取り上げられていて、ふと学生時代の場面を想い出した。記者(高橋美佐子氏)が、漫画「サザエさん」のカツオの言葉から話題にしたものだ。今ではこの「~させていただく」という表現は、ごく当たり前のように丁寧語?として受け取られており、椎名美智・法政大教授によればこの言葉が漫画に使われた1969年には「このセリフ、当時は非常に珍しい上、とんでもなく丁寧な言い方」と解説し、加えて「今なら全く違和感がないし、敬意のインフレーション」とコメントしているくらいである。だが、私には椎名教授の説明には違和感を抱かざるを得ない。

 椎名教授が取り上げた年代より前の1961~2年ごろ、当時マルクス経済学者で社会党の思想的バックボーンだった売れっ子の論客向坂逸郎氏が、法政大学で公開講義を行った折に偶々聴講する機会があった。その時向坂氏は、丁寧語のつもりで「させていただく」と言う人がいるが、これは丁寧語ではなく、むしろ話し手が相手の気持ちを斟酌せずに、一方的に「させていただく」と押し付けた不遜な表現であり、これは「したい」とか、「したいと思う」と言うべきであると言われたことを思い出した。その時私も素直になるほど向坂氏の言う通りだと納得し、爾来こういう表現を使用しないよう気を付けていた。それが半世紀以上も経つといつの間にやら「~させていただく」は、丁寧語として普通に使用されている。むしろ今では話し言葉として定着しているというから分からないものだ。

 まだ若い椎名教授は丁寧語だと割り切ってあまり疑念を抱いておられないようだが、私は今以て向坂氏の考え方の方が論理的であり、教授のように丁寧語であるとは考えていない。やや不遜な用法が、丁寧語と受け取られ、普遍化するなら社会も次第に傲慢な世の中になっていくのではないかと憂うる。

 私には次のような経験がある。間違った言葉の使い方の例として、一番多用されている「有難うございました」について、NHKともやり合ったことがある。「有難うございました」は間違いで、正しくは「有難うございます」である。これは「有難う」という感謝を表す言葉に丁寧語の「ございます」を付けただけの表現で、その丁寧語がどうして「ございました」と変化してしまったのか。過去のことを話したので、過去形に変えたとしか考えられないが、元々「ございます」は動詞ではなく、時制の変化なんてあり得よう筈がない。この点について、間違った「有難うございました」を乱発するNHKに対して2003年と05年にNHKに照会し、当時アナウンス部担当部長に質問したところ、文法的には間違いかも知れないが一般的に使われているので、間違いだと断定することは出来ないというような釈然としない考えを話された。そこで再三話し合ってNHKが言葉を乱していると詰問した結果、私の意見を受け入れ今後アナウンサーには「ございます」と言うように指導すると言ってくれた。やれやれと思ってその経緯をNPO誌に2度寄稿した。

 しかし、アナウンサーも最初の内は約束通り「有難うございます」と正しい表現をされていたが、月日が経つにつれて、間違いの「有難うございました」に戻ってしまった。まったく元の木阿弥である。

 事程左様にやはり長年の習慣というか、クセというものは間違いと思っていてもつい「覆水盆に戻らず」ではなく、「覆水盆に戻る」である。NHKのようなある面で話すことをリードしている公共放送ですら、丁寧とか、謙虚という言葉がよく分かっていないような印象を受けた。

2023年4月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5815.2023年4月15日(土) 選挙応援に来られた岸田首相に爆弾

 40年前の今日東京ディズニーランド(TDL)が開園した。光陰矢の如しというか、実に時が経つのは早いものである。グランド・オープンの前に、義父の友人だったTDL社長だった方から招待券をいただいて2人の子どもと妻と出かけ、日本にも立派な遊園地が出来たものだと感慨に耽ったが、当時としてはびっくりするほど洗練されたテーマパークだった。TDLはその後2001年にディズニーシーを開園し、入園者は増え続け、先月も孫たちが奈良からやって来て楽しんでいた。一時的にコロナ禍で減少しながらも開園以来今までに8億人もの入園者があった。東京近郊では経営的にも安定したテーマパークとなった。生憎TDLはどういうわけか、その後の開園記念日は降雨に遭うことが多く、今日も朝から雨が降って折角企画されていたパレードは中止になった。雨男のミッキーマウスも閉口しているのではないだろうか。

 それにしてもテーマパークがこれほど多くの日本人に愛されようとは、考えてもいなかった。それまでとかく生真面目過ぎると揶揄されがちだった日本人にも少しは気持ちに余裕が生まれたのか、結構なことだと思う。

 そんな穏やかに日に、和歌山市内漁港で岸田首相が衆議院補選の候補者応援に駆け付け街頭演説の直前に、突然爆発物が投げられ爆発した。テレビの画像にも白い煙が上がり、容疑者が取り押さえられる場面が生々しく映された。昨年7月、参議院選の応援で街頭演説をしていた安倍元首相が銃弾を撃たれて死亡するという悲劇的事件が起きてまだ1年も経っていない。比較的海外に比べて治安がしっかりして安全と見られていた日本の要人警護の問題でも、来月広島市内で開催されるG7サミットを考えると今後は余程警戒しなければ危険が身に迫ることがあり得るということを覚悟しなければならない。取り押さえられた24歳の容疑者は何も述べていないが、いずれ行動に至った理由などについて明らかにされるだろう。

 さて、神宮外苑再開発という名の下に神宮周辺の樹木を伐採する東京都の計画に対して都民のみならず、神宮愛好家からも反対の声が根強いが、小池都知事は既定方針通り樹木を減らす計画を進めることを明言していた。ところが相変わらず反対運動が止まないことについて、東京都は開発を行う事業者の三井不動産に対して都民の理解を得ながら事業を進めるよう改めて要請した。事業者と都民との間に入って問題解決に当たるべき東京都が、その肝心な場から逃げているのである。すべては事業者と都民が話をしながらも計画は予定通り実行するようにと理不尽で不条理なやり方を押し付けたのだ。最近の小池都政は種を撒いておきながら、その後の目立たない草刈りなどの管理を他人任せにする不誠実な言動が多い。これでは、都民が求める解決策は実行されないだろう。

 無責任な小池都知事はこんなことまで語っている。

 「事業者の考え方が正しく伝わることが重要であり、これまで以上に主体的に取り組んで欲しい。都民をはじめとする人たちに共感を抱いてもらえるように、今回のさまざまなプランを着実に実行してもらうことが、まず一番ではないか」とまるで他人事である。かつては積極的に前向きな考えや行政が都民の信頼を勝ち得ていたが、今ではかつてスキャンダルで都民を裏切り退任した猪瀬元知事や、舛添前知事と何ら変わらないではないか。

2023年4月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5814.2023年4月14日(金) 来年度新紙幣発行に際し気になること

 来年上半期に日銀が発行する紙幣3種類のデザインがすべて変更される。デザインが変わるのは20年ぶりであるが、デザインに採用される人物はそれぞれ独自の分野で功績を上げた国民誰もが敬愛する人物である。今回採用されるデザインは、1万円札に渋沢栄一、5千円札のデザインには津田梅子、千円札には北里柴三郎が採用されることになった。

 この中でちょっと首を傾げるのは、1万円札に使用される渋沢栄一である。確かに明治期の日本経済の牽引車として、多くの事業の創設に関わり、創設に関わった企業の数が実に500社とも言われる。第一国立銀行や、東京商工会議所などの創立にも力を尽くし、日本の資本主義の父とも呼ばれている。業績としては申し分ない人物である。しかし、やや気になるのは、私生活面が少し甘く、女性関係も華やかで愛人の数も大分いたらしく、妻及びお妾さんとの間に生まれた子どもの数が20数人といわれる。80歳を過ぎてから愛人との間に子どもを儲けたと眉を顰める人もいた。経済人としては確かに類まれなほどの功績を残した。ただ、1万円札のデザインに採用され、多くの国民が使用する紙幣の顔とするには、人間的にもっと真面目で広く国民から尊敬されるような人物であって欲しいと思う。その点では津田梅子は、女子英学塾(現津田塾大学)を創設した日本の女子教育の先駆者であり、いま男女の平等化が大きな問題となっているだけに、新5千円札のデザインに採用されたのは時宜を得たと言えよう。同時に、新千円札のデザインに北里柴三郎が採用されたのも、近代日本医学の父と言われるほど初期の日本の医学界に貢献し、明治期にペスト菌を発見した。慶応医学部の創設者でもある。これら2人には、人格的な問題はまず見当たらないが、渋沢にはその点だけが気がかりである。選任者は、私生活なんて世の中の偉大な功績に比べれば大したことはないぐらいに思っているのだろうか。その代表者は、決定した時の財務大臣の麻生太郎氏だった。

 ところで、日本では紙幣のデザインがしばしば変わるが、外国ではあまりデザインが変わることはない。例えば、アメリカの1㌦紙幣は1863年以来初代大統領のワシントンである。至極当然のことではあるが、生存者がデザインに使用されると、加齢とともにデザインと本人の実物象に乖離が生まれてくる。昨年亡くなられたイギリスのエリザベス女王のデザインが英国紙幣に初めて使用されたのは、37歳の時で若くきれいだったが、そのままというわけにはいかず、64歳の時に修正された。しかし、植民地では各国とも、若い女王や実年齢に近い女王を使用したりそれぞれまちまちである。

 最も悩んだと思えるのは、タイのお札である。19歳の若さで即位された故プミポン国王が年齢を重ねるごとに新札が発行され、89歳で亡くなるまでに7度も年齢なりの国王のデザインを印刷した新札が発行されたという。

 今更渋沢栄一のデザインを別人に替えるということは無理だろうが、今後はそれら人物の業績もさることながら、人間性も充分考えて欲しいとの思いを言いたかった。

2023年4月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5813.2023年4月13日(木) カジノに対する大阪府民、市民の本音は?

 政府が大阪府及び市から提出されている統合型リゾート(IR)整備計画を認定する手続きに入ったようだ。すったもんだして中々作業が進まなかった計画を、政府がこの時点で急遽認めようと判断したのは、9日の統一地方選前半戦で日本維新の会が、大阪府知事選、大阪市長選、奈良知事選で勝利を収めた他にも、県議選、市議選で圧倒的勝利を収めて今や大阪周辺ばかりでなく、その影響力は全国へ及んでいることが効いているようだ。実際全国の政令市議選で「日本維新の会」当選者は、4年前の16人から72人に増え、道府県議選では16人が69人にまで伸びた。立憲民主党はかなり議席を増やしたが、自民党は減らし、他の政党もすべて減らしている。そんなエネルギッシュな維新の勢いに恐れをなしたのか、政府自民党は大阪府・市が力を注いでいるIR計画をあっさり認めようとしている。政府も随分簡単に兜を脱いだものである。

 「日本維新の会」が大阪府と大阪市の首長選で勝利を収めたのは、もちろん大阪府民及び市民の支持を得たからであるが、この経緯がよく理解出来ない。というのは、大阪では住民がIRに賛同しているわけではない。むしろ反対の声が強いのは、IRによってカジノが開設され、近隣住民の間でギャンブル依存症が懸念されているからである。加えてかなり公的出資が予想される。IRに反対する住民団体は、その差し止めを求めて裁判所に提訴している状態である。そのIRを開設しようとしているのが、大阪府と市である。府と市は、当初IRについてあくまで民営の施設であり、公費を支出することはないと応えていた。だが、舌の根も乾かないうちに、会場である夢洲に液状化などの懸念が浮上するやIR事業者から土壌対策費を求められ、対策費として788億円の支出を決めた。更に今後地盤沈下対策も考えないわけにいかず公費負担が増えそうな様子である。

 問題にしたいのは、これだけ不本意な問題であるIRに反対している大阪の住民が、何故IRを推進する知事と市長を選出したのかという疑問である。大阪の例を見ていれば、いま同じようにIRを開設しようとしている長崎にも勢いがつくのではないかと思う。一連の流れを見てみると、自治体の首長には、住民の福祉や環境などに配慮するというよりあぶく銭を手に入れ、一時的に賑わいを得たいとの願望が強いことが明らかでその点がどうにも気がかりである。

 さて、今朝8時前に緊急事態として、北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、その内のひとつが北海道周辺に落下するという電撃的ニュースが伝えられ、テレビではその時点で定例の番組が臨時ニュースに差し替えられた。その後政府が北海道周辺への落下の可能性がなくなったと確認し、報道は訂正された。ホワイトハウスも国連安保理決議に対する明白な違反だとして、アメリカ政府も北朝鮮の長距離弾道ミサイルの発射実験を強く非難すると声明を出した。今年に入ってからすでに12回目のミサイル発射であるが、今朝のケースは北海道周辺が標的だと伝えられたことで、けたたましいばかりのニュースになってしまった。欧米諸国は強く非難するだろうが、中ロは知らぬ顔を決め込んで裏で北朝鮮をけしかけているのだろう。いつも食事しながら観ているNHK朝ドラ「らんまん」は、ついに観られなかった。

2023年4月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5812.2023年4月12日(水) 日本でも「黄砂」が春の恒例となるか。

 近年かつてはまったく報道されなかった自然現象が大きな話題となっている。特にこの数年は今頃になるとテレビでも大きく報道され、関心を呼んでいる。「黄砂」である。中国大陸のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠や黄土高原などで風によって巻き上げられた土壌、鉱物粒子などが偏西風に乗って中国東海岸から朝鮮半島を経て、遂に日本にまで飛来する砂の嵐のようなものである。昨日辺りから日本でも警戒する必要があると警告され、実際今日のテレビ画像などでも黄砂が流れてきた空模様を見せている。九州北部方面から北海道まで今年初めて観測された。肉眼ではっきり見える距離を示す言葉に、「視程」という言葉があるが、それが黄砂襲来の状態を表している。今日は日本海側に黄砂があったが、明日は東京にもやってくるようで、もしそうなれば2年ぶりだという。

 今日黄砂が観測された北陸地方の住民は、最近こそ話題になるが、黄砂なんてかつては知らなかったと言っていた。地球温暖化だけが原因とも思えない。健康に直接障害を与えるばかりでなく、農業や海洋の生態系や交通機関にも影響を与える。これから真剣にその原因と結果を精査して対症法が研究されることを期待している。自然現象としてやむを得ない一面もあるが、発生元である中国政府は甚大な影響を国外に与えていることをどう思っているのだろうか。核やミサイルを開発するより、発生地の土壌に水分を供給するシステムを開発して、風で土が舞い上がらないように手を打つことは可能だと思うが、何か対策を考えてくれているだろうか。

 さて、新型コロナウィルスの新規感染者が、減少したとのことで先月以来政府が各種の規制を解除したのを始めとして、国民にも自粛の解除を要請し、マスク着用も人が混み合わない場所では外すことを奨励している状態である。夏の風物詩である隅田川の花火大会も4年ぶりに開催されることが決まったようだが、各地でも催し物の復活を考えているところが多い。

 ところが、今月に入ってから東京都内では1日たりとて前週の同じ曜日の新規発症数を下回ることがない。今日で12日間連続して増え続けている。政府や医療関係者はこの事態をどう考えているのだろうか。今日テレビで知ったことだが、全体の数字を集約するのではなく、政府は今後日数の間隔を取り全国的にも限られた地域の数値を集めて予測することを検討している。これは明らかに手抜きである。これでは全国の数値を網羅することは難しく、また日にちの間隔を置いたのでは継続的に日ごとの数値を集められないのではないだろうか。

 これについて表立った発言を耳にしないが、政府としては経済を停滞させたコロナ禍現象のマイナス面を考慮して、恐らく余程コロナが大きく復活しない限りはこのままの状態にしておこうとの腹ではないか。もちろん経済活動は大事であるが、手を拱いて取返しの付かないことにならなければ好い。それにしてもいつも通りメディアはこの点についてもっと事実を報道してもらいたい。

2023年4月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5811.2023年4月11日(火) 政治家の世襲禁止法案を検討しては?

 一昨日行われた統一地方選前半戦の総合的評価として、「日本維新の会」の伸展ぶりが目立っている。特に、奈良県知事選で初めて当選者を出したことが注目を集めている。これは現職知事が立候補を宣言する一方で、総務省官僚を今国会で自らの発言によって物議を醸した高市早苗大臣が推薦して、自民党内に仲間割れの隙を与えた盲点があったが、それでも維新の会の成長は著しい。自民党内でも維新の会の急伸を見て、大阪では解党的出直しが必要だと深刻に受け止めている。23日は5つの衆参院補欠選挙戦が投開票されるが、野党の立憲民主党では自民党批判の受け皿になっていないとの自戒がある。23日に選出される当選者数は決して多くはないが、今後の中央政党の進むべき方向性を暗示してくれるのではないだろうか。

 それにしても今の政治に対する信頼は大分低い。それは、政治家自身の能力、資質が低下しているからであるが、それはあくまで国民が選挙によって公明正大に選んでいるので、その観点から考えれば、国民の政治、及び政治家を見る目が落ちているということにもなる。ただ、私の個人的な考え方を言うなら、個人の意思や考えを選挙で伝えようにも現状の選挙制度がこれを阻んでいると考えている。その大きな壁は、世襲政治家の跋扈である。政治家としての能力や、資質がなくても「世襲」というシステムに乗っかれば、まず当選するには有利であるということだ。かれら世襲派の側に言わせれば、選挙で誰をも妨害したり、不利な立場に追い込んでいるわけではなく、同じ権利を平等に行使しているだけだと言うだろう。だが、外から見れば、決して平等ではない。それは法律に違反しない「世襲」という無形の財産を「世襲政治家」は持って生まれて与えられているからである。この無形財産を他の政治家は持っていない。従って、選挙における優劣は明白である。政治家としての能力以前に理不尽な無形財産によって、世襲政治家の後塵を拝することになる。

 それ故平等な立場で選挙戦を戦う場合、世襲政治家には黙っても財産を手に入れることが出来るような理不尽なことをさせないことがひとつの方法である。それには最初の選挙では、「世襲財産」が手に入らない選挙区で戦わせることである。つまり偉大だった世襲政治家の父や祖父らと同じ選挙区からの立候補に制限を加えるべきであると考える。この期間をどれほどにするのかは、専門家が考えることにして取り敢えず一定期間は親族の世襲を継承出来ない形に制限し、時間が経ったらそれを認めることにしては如何だろうか。

 この点について、政治家の世襲が政治を変えることを拒絶し、政治が旧態依然としている原因であるとして警鐘を鳴らしている有識者も多い。その中で政治学者の間からも声が上がっている例として、「世襲禁止法案」というのがある。具体的内容については公的に詳らかにされていないが、世襲議員が力を持っている国会議員が反対し、素案として提案されるかどうかも分からない。根の深い難問である。しかし、このまま放っておくわくにはいかない。

2023年4月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5810.2023年4月10日(月) 地元OBではない天下り知事が増えた。

 昨日9道府県知事選など統一地方選の前半戦が投開票された。これというほどの大きな話題はなかったが、日本維新の会が推薦する候補者が、奈良県知事選で自民党内の分裂から2人の候補者が対立した間隙を縫って初めて大阪府以外で知事選を制した。しかし、維新の会は、カジノ・リゾート(IR)誘致に絡む会場誘致出資問題や、大阪都構想挫折などで失態を晒して不評、不満を買っていただけに大阪府知事、及び大阪市長選を制したというのは、一体どういうことなのか、府民の気持ちがよく分からない。

 もうひとつ話題となったのは、投票率がまた下がったことである。今回9道府県知事選の平均投票率は、戦後最低の46.78 %だった。41道府県議選の平均投票率も41.85%で前回の戦後最低だった44.02%を大きく下回った。こうなると知事、議員の質の低下も避けられないだろう。また、これは中央政治への関心の低下以上に地元である地方都市の政治への無関心が拡大しているということだろう。そして、年々顕著になり問題を提起しているのは、天下りの気風が官から民間へばかりでなく、中央官庁の高級官僚が地方自治体首長後継者へ転出するのが目立ち出したことである。

 例えば、昨日選出された9人の新知事の内、2人は総務省から県副知事に、1人は同じく総務省から県局長へ天下りをして時期を待ち、頃合いを見計らって知事選に出馬したものである。そして3人はいずれも自民党の推薦を受けている。エレベーター式に知事まで昇りつめたという印象が拭えない。従って地元出身者ではない知事が増えている。地元出身者でないエリートが天下って地元住民の感情が充分理解出来ないのに、知事になっちゃったという感じである。これは小池都知事にしてしかりである。東京都民が反対する神宮の森の木を伐採しようという発想が、至極安易に生まれてくる所以である。これでは地元住民のための政治が充分行える筈がない。

 来る23日には、統一地方選後半戦が行われるが、世田谷区でも区長選及び区議選が行われる。メディアではそれほど取り上げられることはないが、私自身は投票する候補者はもう決めている。せめて投票率は下がることがないよう願っている。

 さて、新型コロナウィルスの新規感染者数が減少傾向に向かい、政府もいくつかの規制を解いたが、ここへきて再び増加傾向へ向かい出した。まだマスクを着用している人は多いが、それでも大分マスクを着けない人が増えたのも事実である。東京都内では1週間前の感染者を上回る新規感染者が今日まで連続10日間も続いている。その割にはあまり騒がれない。メディアではまだ大げさには報じられていないが、我々の周囲には、コロナのバイ菌がうようよしているということである。当分の間生活上自粛を迫られることになろう。

2023年4月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5809.2023年4月9日(日) 徐々に難しくなる鉄道会社の経営

 コロナ禍で経済界は大きな打撃を受けたが、中でも観光業界は行動の自粛要請などもあり旅行客が激減し大打撃を受けた。更に2020年4月政府が緊急事態宣言を発したことにより、宿泊施設や飲食業界は言うまでもなく観光地のお土産店なども多大な影響を受けた。それでも今年に入ってから少しずつ新規感染者も減少し、政府もいくつかの規制を撤廃した。この間観光業への直接的影響とは若干異なるが、首都圏の鉄道会社も大分影響を受けていた。全般的に利用客が大きく減少したが、コロナの影響が少なくなっても一度減った乗客が中々元へ戻らないことに鉄道会社は頭を抱えている。最近あまり鉄道を利用することはないが、時折乗車した時に車内が随分空いていると思ったことが何度かある。そのひとつの原因は、企業、特にIT企業などでリモートによる在宅勤務を奨励したことである。まだコロナ以前のような勤務体制には戻っていない企業が多いことである。

 乗客が減少すれば、当然ながら鉄道会社の収入は減少する。それでも経営に打撃を及ぼさない範囲内ならいくらでも対応出来るが、それが鉄道会社の収益を圧迫して赤字になるようだと鉄道の安全管理面にも影響が現れる。社有地の売却や、終電時間の見直しなど何とか経費の削減を進めているようだが、背に腹は代えられず、鉄道各社は一様に運賃の値上げの検討を始めた。そしてこの20年来運賃値上げをしなかった鉄道各社が揃って国土交通省へ運賃値上げを申請する事態となった。今年3月からJR東日本、小田急、東武、西武、東京メトロ、相鉄、西鉄、4月からはJR西日本、京阪、阪神、阪急が値上げを実施した。更に来年4月からJR東海が値上げを実施する。

 鉄道会社の経営は、本業より付帯事業の方が大変である。鉄道本業では運賃収入が収益となり、かかるコストが経費として出費され、その差が会社の利益となる。しかも現金収入で前受金であり、確実な収入が確保出来る。電車が混雑すればするだけ利益が増え、コストを抑えればその分利益が残る。鉄道会社へ入社間もないころは、駅でラッシュアワーに見習い駅員として混雑した乗客を電車内へ押し込んでいた。それが経営上プラスになったわけである。その後経理部に務めて経営の実態を多少なりとも知るようになると、本業にだけ集中すれば鉄道会社の経営は問題が起きないと知り、亡父から鉄道会社の経営は小学校を出ていれば出来ると皮肉っぽいことを言われたことを思い出す。それが、今ではラッシュアワー利用客には定期券代を割り引くとか、国交省が値上げ分と値引き分で収支を均衡させるよう求め、計画以上の利益が出た場合、利用者に還元する仕組みを作るよう要求し、かつての単純経営がそう簡単ではなくなったようだ。

 しかし、都内の鉄道駅では安全上プラットホームから転落を防止するためのホームドアを設置するなど経費の増加が著しい。その反面ホーム上に駅係員の姿があまり見られず、安全対策上チグハグな印象を受ける。かつて夢中になってホームで汗を流していたことと、下っ端ではあったが、経営の一面を見たことから鉄道経営の今昔を想い懐かしさと現代の経営の苦労を思っている。

2023年4月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com