5888.2023年6月27日(火) 市川猿之助逮捕とプリゴジン行方不明

 歌舞伎役者の4代目市川猿之助が、逮捕された。容疑は母親の自殺ほう助である。まだ父親市川段四郎に対する自殺ほう助の疑いで再逮捕される可能性もある。1か月前に自宅で両親と彼自身が自殺を図り、両親は亡くなり猿之助は死を免れたが、ぐったりした状態で見つかった。命に別状はなかったが、その後しばらく入院していた。猿之助は立役と女役をこなす人気、実力ともに当代随一と言ってもいい歌舞伎界を背負う大物役者だった。これまでに歌舞伎界には見られない斬新な企画や舞台で、存在をアピールし、集客も歌舞伎界№1で47歳にして脂の乗り切った現在、これから歌舞伎を発展させていくうえで、無くてはならない看板役者だっただけに、親と相談してこの世からおさらばして来世で出直すとの意気込みはどうにも素直には受け取れない。何が原因で持てる才能を捨ててしまうのか。これから気持ちを入れ替えて再び舞台に立つこともあろうが、その意図がまったく理解出来ない、惜しい大役者の自殺未遂劇だった。

 さて、この数日、ロシア国内の民間軍事会社のワグネル反乱が国際社会で大きな話題となっている。音沙汰がないと言われた創設者プリゴジン氏が、昨日SNSで11分間の音声メッセージを送ってきた。「政権転覆のために進軍したのではない」として、プーチン政権の崩壊を狙ったものではないと釈明した。一方、プーチン大統領は昨夜国営テレビで演説し、当初から流血回避を指示し、ワグネルの処罰はしない形で収拾させた自らの対応の正当性をアピールした。そのうえで反乱の首謀者たちは国と国民を裏切ったとプリゴジン氏を改めて非難した。

 この一連の行動について、アメリカ政府高官はワグネルによる武装蜂起は中国指導部を不安にさせたとの見解を示した。だが、私は個人的にはそうは思わない。むしろ中国はにんまりしているのではないだろうか。中国は近年アメリカに匹敵する大国との自負が強いが、内心は第2次大戦後東欧諸国の超大国だった、ソ連、その後のロシアに対して社会主義国家の2番手で、ロシアの後塵を拝しているとの歯がゆさがあった。この機にワグネル反乱が勃発したことで、ロシア国内のプーチン体制に割れ目が生じ、内乱の可能性さえあったことはロシアを蹴落とす望外のチャンスだと感じたことと思う。習近平国家主席らは内心ほくそ笑んでいたのではないかと思う。

 中国がロシアの評価を下げつつあったのは、ロシアで去る5月9日「戦勝記念日」のパレードの際にも感じられた。プーチン大統領が、ウクライナ侵攻の成果を誇示出来なかったことから国際社会からの孤立と存在感の低下がみられたが、中国の元・前2人のウクライナ大使が、ロシアの敗北は時間の問題と述べたことでも中国のロシア観が透けて見える。大使らは、今後もプーチン大統領指導下での復興は不可能とまで決めつけている。

 同じように中国・ロシアとの関係について、アメリカのナショナル・インタレスト誌が秦剛・中国駐米大使が5月18日号に「中ロは同盟ではない」とか、「中ロ枢軸と騒ぐのは危険な誤解である」との認識を示すなど2国間に距離を置き始めたことも象徴的である。

 それにしても今やロシアの社会主義国家や共産主義国家のイメージは、ロシアの現体制からはまったく感じられなくなった。中国も、自称社会主義国家を唱えているが、まるで正反対の独裁主義による覇権国家へと豹変している。ただ、中国も調子に乗らずに自重自戒をしないと、プーチン体制と同じ道を歩むことになる。ワグネル反乱と同じような事件が起きることは覚悟していた方が良い。

2023年6月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5887.2023年6月26日(月) ワグネル反乱騒ぎの決着は?

 世界中が昨日のワグネルの反乱から急遽部隊撤収に至った経緯と原因について関心を寄せている。昨朝の朝日一面の記事に引き続き、今朝の一、二面にも専門家の解説が載っていた。見出しだけ見ても一面に「ワグネル、部隊撤収」、「プリゴジン氏、罪問われず」、「プーチン政権打撃」、二面には全面に解説が紹介されている。「プーチン氏 窮余の追放」、「衝突回避 プリゴジン氏へ配慮」、「国内不安定 侵攻継続に難題」、「ベラルーシに『借り』」、「軍の士気低下に拍車か」、「最大の造反 揺らぐ政権の足元」という具合である。昨日は反乱だ、とか許せないと憤慨していたプーチン大統領のトーンダウンが目立つ。

 今朝も各テレビ局の報道番組では、識者がそれぞれコメントを述べていたが、全体として、ウクライナ戦争をいつまで続けられるかということと同時に、プーチン大統領の存在感の低下が話題になっていた。

 アメリカのブリンケン国務長官は、ロシア国内に深刻な亀裂が生じていると述べ、ロシアはウクライナ侵攻が失敗したうえに内憂も抱え込んだとウクライナにとって有利になるとの見解を示した。プリゴジン氏がベラルーシに向かったとの情報が伝えられて以降、氏は広報担当とも連絡が取れない状態にあり、ベラルーシに到着したことは確認出来ていない。CNNの元モスクワ支局長は、プーチンは裏切り者を決して許さないだろうから、ベラルーシで殺される可能性について言及している。ロシアの独立系メディアは、ロシア軍の将校クラスの話によるとプーチン大統領は、ワグネルの兵士に対しては反乱を不問に付すが、プリゴジン氏に対しては暗殺指令を出したと伝えた。プーチン氏の性格から推してこのままプリゴジン氏を見逃すとは考え難い。いつ決着がつくのやら、当分世界中の関心を集め続けるだろう。

 それにしてもこの問題はロシア国内の軍事作戦の方法論の違いと、権力争いでもある。内輪の問題をこじれさせたところでウクライナの国民には何の益ももたらさない。それよりこれからウクライナ戦争はどうなるのだろうか。ロシア国内の対立よりこちらの方がよほど重要である。今日の朝日夕刊「素粒子」欄には、「民間会社が侵略戦争をする異様さのなれの果てを見る。プーチン政権崩壊の序章か」とある。

 さて、新型コロナウィルス感染症新規患者数が一時の上り坂から落ち着き、減少を始めたということから、政府が5類移行と警戒度数を下げ、5月8日からマスク着用を強制しないなどと対策を緩和している。実際街でマスクを着けてる人はめっきり減った。毎日公表されていた新規感染者数も公表されなくなった。その後大きく報道されることもなく、沈静化しつつあると思っていた。ところが、今朝コロナ対策分科会会長を務めた尾身茂氏が、岸田首相と意見を交わし、「第9波が始まった可能性がある」と述べ、直近のコロナ感染者数の平均は、前週に比べて2.1倍に増えていると語った。尾身氏は、高齢者は特に要注意として、6回目のワクチン接種を勧めている。幸い先月20日に6回目の接種をすでに済ませた。

2023年6月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5886.2023年6月25日(日) 「ワグネル」に翻弄されたプーチン大統領

 今朝の朝日トップ見出しが「ワグネル、ロシア軍に反乱」だった。昨夕突然ウクライナ戦線にいるロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者、エフゲニー・プリゴジン代表が、ロシアのショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長を厳しい口調で批判し、もう我慢できないとばかりに武装蜂起を宣言し、これからワグネル部隊とともにモスクワを目指すとSNSで厳しくロシア軍指導部を非難した。これに対してプーチン大統領は、国営テレビで緊急演説し、プリゴジン氏が反乱を画策したと断定して、必ず氏を罰すると強調し、ワグネル戦闘員に対して投降を呼びかけた。

 プリゴジン氏がプーチン大統領とは20年来の知友として、国際社会に名乗りを上げた時から、少々怪しげな人間だと見ていた。ロシアのように管理体制が整備され、軍或いは国家組織に対してこのように批判的言動をする例は極めて珍しい。それもプーチン大統領の後ろ盾があったからこそである。他にも強硬派勢力の中には、政治団体「怒れる愛国者クラブ」を設立した参戦経験のあるイーゴリ・ギルキン氏のような戦闘的な人物もいるが、プリゴジン氏はプーチン氏が構築した体制護持を強調しながらもロシア指導層は取るべき行動が分かっていないと批判的である。

 プリゴジン氏は、戦時態勢への即時移行を主張し出した。「ロシアがウクライナで損失を積み重ねれば革命が起きかねない」と述べて、大統領に戒厳令の全国発令を求めた。これには、プーチン大統領も手を焼いていたのが実態である。

 プーチン大統領は、表向き強硬派勢力の言動を静観視している。しかし、プーチン政権の内部の動向に詳しいカーネギー財団ロシア人研究員は、強硬派勢力は穏やかに政治的資本を蓄えており、プーチン氏に対する我慢が限界に達すれば、政権に挑む可能性があるとも指摘していた。

 上記について今朝のテレビ報道で知るまでは、前記のように反プーチン的行動に火が点いたと信じていた。ところが、急転直下今暁に至って以下のように事態は収束に向かったようだ。プリゴジン氏が、ワグネルの戦闘員に対してモスクワへの進軍を停止するよう命じたとSNSで公表した。これにより首都モスクワ市内におけるワグネル部隊と治安部隊が衝突する事態は、ひとまず回避されたようだ。この舞台裏には、ベラルーシのルカシェンコ大統領が、プーチン大統領の意を受けてプリゴジン氏と長時間に亘る電話会談の末、ロシア国内で流血の事態を避けることで一致したようだ。ここにも腹に一物あるルカシェンコ大統領の仲介で、事態解決に合意した可能性がある。詳細はまだ明らかにされていないが、プーチン、ルカシェンコ、プリゴジン3氏にとって、内戦ともなりかねない事態は決してプラスにはならないことを了解したのであろう。

 しかし、反乱は絶対許さないと言っていたプーチン大統領が、その裏では直ちに事態収拾のために悪名高いルカシェンコ大統領に仲介役を依頼するとは、これまで強気一点張りだったプーチン氏に弱気の虫が巣食いだしたのだろう。盤石に思われていたプーチン体制にもひび割れが見えてきたと言えよう。

 浅はかではあるが、元々ロシアのウクライナへの理不尽な侵攻によって始まったウクライナ戦争であるだけに、このまま収まらず共倒れになって欲しかった。

2023年6月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5885.2023年6月24日(土) 刻一刻と進む地球温暖化現象

 地球温暖化による地球上の平均気温が年々上がって、地域によっては生存上の問題も発生している。特に南太平洋上の島嶼では、海面が上昇して島が水没しそうなところもある。

 月刊誌「選択」6月号によれば、地球温暖化の進行について警鐘を鳴らしている「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の数値が間違っているのではないかとの声が、いま北欧の研究者の間で出ているらしい。研究者の生活圏に近い北極圏では温暖化のスピードは、IPCCの予測より速く、深刻な影響を与えているというから一大事である。北極周辺の深海の水温は、40年前との比較で地球全体の平均よりも4倍も高いそうである。今後北極の気温上昇で、地球全体の温暖化は更にスピードを増しそうだという。現実的にはIPCCのモデルより大分厳しいと警戒している。

 極北の寒冷地の島などが急速に暖かくなると、次のように夢想だにしないようなことも起こるという。それは、永久凍土が夏に溶け出し、地滑りや土砂崩れが頻発すると墓地が遺体とともに流される事故となり、島での埋葬は難しくなる。普段は地中に氷結している遺体が、土砂崩れで地表に姿を現すからだ。そんなこともあり、現在ノルウェー政府ではこれら島での埋葬を禁止している。臨終が近いと診断されると本土に緊急搬送し、最後のひとときを本土で迎えてもらうようにしているというからジョークではないかと思うくらいである。

 また、長期間氷が消えることによって北極海では太陽の光を反射しなくなり、北極海の氷の消滅は一段と進む。実は、この現象は北極ばかりでなく、地球の反対側の南極でも起きている。南極の巨大な氷河が大陸から分離する現象が進行している。暖かい海水が氷の一番底の部分を溶かしながら内部に入って来る。氷河の底の空洞部分が大きくなると氷河は崩壊し、南極大陸から分離して以下のように恐ろしいことになる。アムンゼン海にスウェイツ氷河という日本の本州に匹敵する面積を持つ氷河があるが、やがて南極大陸から切り離され究極的には解けて消滅すると見られている。その氷の厚さが3㎞以上あるとされ、これが溶ければ世界の海面は約60cmも上昇する。そうなれば、前記の南太平洋の島々は危機的な事態に追い込まれる。同時に、過ごしやすい都市として知られる南半球のシドニーでは、夏でも平均25℃台であるが、近年それが40℃を超えることがしばしばある。いずれシドニーで人々が暮らすことは不可能になるとの悲観的な予測まで聞かれる。

 今や地球温暖化現象は見て見ぬふりは出来ない。トランプ前大統領当時、環境問題解消のためのCOP25から脱退したアメリカや、ロシア軍のウクライナ侵攻で地球温暖化問題を一時棚上げしている国際社会が温暖化の対応をそのままにするなら、いずれ太平洋の小さな島々は海中に没してしまう。

 この雑誌記事を南極の専門家で、懇意の神沼克伊・国立極地研究所名誉教授にコピーをお送りしたところ、単純には結論は出せないのが温暖化だが、気候変動は長周期と考えていたので、貴重な意見をいただいたとご返信いただいた。

 さ~て、明日から再び暑い日が続くようだ。地球温暖化対策に手を抜くようなことはしないでもらいたい。

2023年6月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5884.2023年6月23日(金) 戦後78年、沖縄「慰霊の日」を迎える。

 78年前の今日、沖縄戦は牛島満・第32軍司令官の自決により組織的な戦闘は終わり、8月15日に終戦となった。沖縄では今日戦没者に鎮魂の祈りを捧げる「慰霊の日」を迎えた。正午糸満市摩文仁の丘で、行われた沖縄全戦没者追悼式には、玉城デニー県知事の平和宣言に続き、岸田首相も挨拶された。玉城知事は、平和宣言の中で、戦争で痛めつけられ、戦後は米軍基地に悩まされ、今も日米地位協定は見直されず沖縄県民は苦しんでおり、そのうえ昨年12月に閣議決定された国家安全保障戦略、防衛戦略、及び防衛力整備計画が県民に大きな不安を与えていると近くの席にいた首相の耳に痛い言葉を述べた。この摩文仁の丘・平和祈念公園内の「平和の礎」には、24万人余りの名前が刻銘されている。

 日本国内で戦闘が行われたのは、唯一沖縄だけだった。それも日本の敗戦間近い昭和20年3月に米軍が慶良間諸島に上陸してから、日本は軍民を問わず、米軍に対して戦いながら逃げ惑い、最終的に多くの犠牲者を生む残酷な結果になった。この沖縄戦では、日米合わせて約20万人の人々が亡くなった。県民も戦闘や看護に動員され、4人にひとり、約12万人が犠牲になった。沖縄には、この他に大きな悲しみのストーリーがある。終戦前年の昭和19年8月集団疎開のため学童を乗せていた「対馬丸」がトカラ列島沖合で米潜水艦の魚雷攻撃を受け、沈没し1,484人が海の藻屑となって消えた。このほかにも女子師範学校と第一高女のひめゆり部隊の犠牲者も忘れられない。

 しかし、いつも問題になるのは戦後から引き続き沖縄には、戦争と結びつく危険が存在し続けることである。今も中国の脅威による緊張に対して安易に沖縄に自衛隊配備を計画し、敵基地攻撃能力を持つミサイルの配備が取りざたされている。

 タイミング的に昨日昨年度の一般会計の税収が好調で、初の70兆円が見えたと発表された。正式には7月にならないと確定しないが、それでもこの情報に小躍りしている愚かな防衛族議員がいる。国債発行額が膨張を続けて財政の健全化が叫ばれる中で、税収増加分を防衛費に投入できるチャンスと狙っているのだ。防衛費増額のかなりの%が、沖縄のミサイル設置に投資されることになる。ここでもまだ沖縄と戦争の接点は続くことになるのだ。沖縄県民にとっては最も触れてもらいたくない事象である。

 さて、19日付ブログに取り上げたことだが、大西洋海底に1世紀以上もの間沈没したままになっていた豪華客船タイタニック号の見学に向かった潜水艇「タイタン」の行方が分からず、乗員を含む5人の乗客の安否が心配されていた。そこへ艇内の緊急用酸素の残量が枯渇する昨日になってタイタンの残骸が発見され、同時にアメリカの沿岸警備隊か海中から音を感知したと明らかにした。どうやらタイタンは海中へ潜ってまもなく爆発したようだ。5人の帰還は絶望的のようである。

2023年6月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5883.2023年6月22日(木) 世界的に男女格差が大きい日本

 男女平等の度合いを指数化した今年度版「ジェンダーギャップ報告書」の数値が、昨日世界経済フォーラムから発表された。調査対象となったのは146か国であるが、その中で日本は何と前年を下回る125位となり、過去最低であると同時に、主要先進国の中でも最下位である。男女同権が強く叫ばれる今日、国際社会から日本の男女間にこれほど差があると見られているのは、聊か恥ずかしいことである。日本の125位というのは、4つのカテゴリーの総合順位であり、教育と健康の分野はいずれも中位内に入っており、格別見劣りするものではない。懸念されるのは、予想通り政治と経済の分野である。政治分野では何と138位というから、下から数えても9番目で世界でとても大きな顔は出来ない。特に政治の世界では、ヨーロッパ諸国で女性首相が度々選出される今日、日本には過去にはひとりもおらず、今後も現状から推察すればその可能性は極めて薄いと言わざるを得ない。

 現在女性の衆議院議員も全体の10%の48人に留まり、女性閣僚に至っては僅か2人である。政界において女性があまり評価されないのは、徳川時代から伝統的に引き継がれた「女は家庭内に留まる」の意識が、長く続いたことから、外で働く女性を無視する風習があった。もうひとつ女性が政界で活躍出来ないのは、長年続いている特有の派閥組織に妨害されているからでもある。派閥の長が自分のやりやすいように人選する現状制度では、まず女性を高く評価するようなことはない。

 それは政界ばかりでなく経済界にも引き継がれている。経済分野でも、政治と同じようなムードがあり、女性が企業などで男性に伍して地位を上げていくのは至難である。私自身が勤務した会社を考えても、女性の採用は庶務係、体裁の好いお茶くみ係をその対象としていたと言っても言い過ぎではない。従って当時は全女性が高校卒で、短大、大学卒はいなかった。

 近年IT産業などでは優秀な人材の枯渇もあり、採用の門戸を広げ、大学卒、高卒を問わず優秀な人材を採用しているようだ。その点では経済分野ではいずれ男女の格差は狭まってくるだろう。問題は政界における男女格差が修正されない限り総合的に日本のジェンダーギャップが好転することはないだろう。

 ただ、この報告書を見て少々首を傾げたのは、中国が日本より上位の107位にいることだ。中国の全国人民代表大会の広大な会場における数千人の全国代表者の内、テレビで女性の姿をほとんど見ることが出来ず、とてもジェンダーギャップが大きい国と見ていた中国が、日本より上位にいるのが解せない。それにしてもこのような調査の都度、北欧諸国が上位を独占していることに敬服している。5位以内に1位アイスランド、2位ノルウェー、3位フィンランド、5位スウェーデンが入り、4位のニュージーランドを含めて、近年いずれも女性首相を輩出している。日本の政治家はこれらの例を真摯に参考にするべきではないだろうか。

2023年6月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5882.2023年6月21日(水) 政治改革と身勝手な公費の抑制を

 今日は夏至である。昨日は自民党内で揺れ動いていた今国会での衆議院解散が、岸田首相の意向で行われないことに決まり通常国会は閉会となった。衆議院選に小選挙区を導入してから早いもので30年の月日が経った。一昨日現行制度について与野党の協議会が開かれたが、30年前に政治改革に合意した河野洋平元自民党総裁にとっては、当時と今の制度を比較して率直にギャップを感じているようだ。小選挙区制の最大の問題点は、一旦当選すればずっと当選し続ける可能性が高く政権交代は起きにくいとの意見が多い。現実に、「政権交代が可能な2大政党制」を理想としたが、現実は「自民1強=野党分裂」、また「お金のかからない政治」を理想としたが、「政治とカネは絶えない」となっている。

 当初目指した政治改革だったが、小選挙区制の導入は新旧交代が進まなくなってしまった。それは自民党が、現職議員を優先しており、当選すればいつまでも同じ状態が続くということになり、それが議員の年齢をそのまま高める結果になった。また、世襲政治が蔓延る一因でもある。

 結果的に中選挙区制最後の1993年の総選挙に比べて、一昨年の小選挙区制総選挙では、新顔議員の割合が、26%から14%へ大分低下している。当選者の平均年齢も53.9歳から56.4歳に上昇し、中でも70歳以上の当選者は、14%から16%へ若干ではあるが増えている。また、投票率、特に若者のそれがかなり低い。それらを総合的に判断して、30年前に導入された現在の選挙制度を改めて見直し、現実に政治改革が出来る制度を検討する時期ではないだろうか。

 さて、昨日、今日とテレビで大きく報道されている話題がある。何と今から111年前に大西洋のカナダ南東部沖合で処女航海中に沈没し多数の犠牲者を出した、イギリスの豪華客船タイタニック号を水底で見学するツアーの観光用潜水艇の消息が不明となったのだ。何せ海底3,800mに沈没したまま残骸となっているタイタニック号を間近で見てみようというのだから、関係者の言い分はともかくとても単なる好奇心だけではない。これだけ深い海中では、電波が届かないそうで、水中音波で通信するしかない。その通信が切れてしまって、5人が搭乗する潜水艇にはまだ酸素はあるようだが、いずれそれもなくなってしまう。一刻も早く救助をとアメリカと、フランスやカナダの海軍が支援に向かっているようだが、音波が戻らない点を考えると悲観的にならざるを得ない。7日間のツアーで参加費用がひとり約3,500万円というから、相当の資産家でないととても参加は出来ないだろう。著名なフランス人探検家や、パキスタン人の資産家父子、イギリス人富豪など4人に搭乗員を含めて5人が艇内にいた。

 冒険好きが嵩じて危険なパフォーマンスに挑戦する人たちが昨今目立っているが、ある面では危険な目に遭遇してもそれは自業自得だからやむを得ないとも言える。だが、物好きが嵩じて特殊な冒険にチャレンジした結果、周囲に大きな迷惑と心配をかけた挙句に自分では支払えないほど多額の費用の負担を公的に負わせることがある。

 一昨日沖縄県糸満市沖合にあるルカン礁付近で、潮の流れに乗り海中を移動する「ドリフトダイビング」という海中スポーツ中に、一時ダイバー7人が行方不明になったとSOSが発せられ、海上保安庁のヘリが無事全員を海中から掬い上げ救助した。その時の主催者の言葉が「事故は起こってしまうんで」と述べ、一部で顰蹙を買っている。危ない橋を渡り、公的に救助してもらって相当の公費も支出されたことになるが、主催者にはお詫びの気持ちはまったくないようだ。好き勝手なことをやった挙句に世間に迷惑と無駄な費用を負担させたことについて、もっと良識的な行動を取るよう反省と自粛をすべきではないだろうか。

2023年6月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5881.2023年6月20日(火) 天皇・皇后両陛下、旧日本兵の子孫と面会 

 インドネシアご訪問中の天皇・皇后両陛下が昨日ジャカルタ郊外60㎞のボゴール宮殿と、隣接するボゴール植物園を訪れたと知り大変懐かしく想った。ボゴール宮殿は、オランダ統治時代は東インド総督官邸だった。私が訪れたのは1967年のお正月で、その当時ここにはスカルノ大統領とデヴィ夫人が官邸として、また私邸として住んでいた。警戒が厳重だったが、私の目的は東洋一の蓮の花が見られる隣の植物園だった。タクシーを雇っていたので、植物園の外で待ってもらい、ひとりで園内を見学したが、ガイドもいなかったので立派な蓮を見るだけで見学を終えてしまった。天皇・皇后は植物園をジョコ大統領が運転するゴルフカートに乗って見学されていたが、蓮の花についてのメディアの報道は一切なかった。あの蓮は今どうなっているだろうか。治安面でも荒れた様子がなかったボゴールは今も強く印象に残っている。

 ジャカルタ市内のホテルに戻られた両陛下は、昨夜オランダとの独立戦争に加わった残留日本兵の子孫らと面会され、彼らの厳しかった戦後の生活を思い労わられた。彼らの父親は、日本からは脱走兵と見放されて、インドネシアが国籍を認めるまでは無国籍者だった。現地では長い間占領者の子どもと後ろ指をさされ、肩身の狭い思いをしてきた。それだけに、天皇・皇后両陛下が父親たちのことを覚えていてくれたことに感謝の気持ちを表していた。今日両陛下はその独立戦争に加わって命を落とされた彼らの父親ら、旧日本兵が埋葬されているカリバタ英雄墓地で供花された。

 一昨日は父の日だった。偶々2日後の今日は亡父の誕生日である。父は明治41年生まれだったから、今存命なら115歳になる。父も戦時中赤紙招集により、一度は現在の北朝鮮・平壌に駐屯していたこともあったが、幸か不幸か、病に罹り終戦前に除隊となり帰宅することが出来た。21年前に93歳で亡くなるまで母が亡くなった湘南鵠沼の地でひとり静かに生活していた。

 さて、先日も本ブログで取り上げた話だが、大阪府が小中高生に加えて私立高校生にも完全無償化の方針を打ち出したことに対して、大阪府内の私立高校ばかりでなく、近畿2府4県の私学団体で作る近畿私立中学高等学校連合会が、大阪府の素案に対して賛成出来ないとの意見を表明した。この素案に対してほとんどの高校が反対しているようだ。元々これには学校側の負担が大きすぎるとの声があったが、私立校独自の教育がし難くなるという点で難色を示している。大阪府内の私立高校の標準的授業料は、年間60万円だそうだが、現状はそれをオーバーする場合は超えた分を府が負担している。それを今後全額負担しようと計画しているところである。どうして他府県の高校が賛同出来ないのかは、大阪の高校生が他府県の高校に通う例が多いことから、それら他府県の高校に負担がかかって来るということのようだ。実際名門神戸の灘中高校にも大阪府内から多くの生徒が通学しており、同校校長は在学する生徒のうち、大阪の生徒だけに授業料を補助するというのは不公平だと批判している。吉村洋文・大阪府知事は、1校1校の意見を聞き、理解を得られるようにしたいとのん気なことを言っているが、難題を解決することが出来るだろうか。

2023年6月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5880. 2023年6月19日(月) 失態続きの大手建設会社

 先日世田谷区役所本庁舎建て替え工事が、当初今年7月に第1期工事が終了の予定だったが、何と最長で8か月先延ばしになると公表され、問題視されている。工期完成予定は充分検討されたうえで、施工会社から知らされ、区役所は受け入れて完成後の予定を組んでいたと思う。この不本意な工期遅れの情報を聞いて区役所では唖然としている。ゼネコンと言われる大手建設会社の大成建設が、他社との見積もりを抑えて受注を勝ち取ったものである。工事の遅れによって役所としては業務が遅れるうえに、仮庁舎の賃貸料など想定外の支出が予想される。4月の統一地方選で再選されたばかりの保坂展人区長は、「施工者の説明は信じがたい。損害倍賞についても協議する」とお怒りの様子である。

 そんな困惑の真っ只中に、またもや大成建設の欠陥工事が明らかになった。それは、札幌市内に建設中のプロジェクト・ビルの工事が23%ほど進んで、鉄骨の構造が人目につくようになった。NTT都市開発が手掛ける地下1階、地上26階建て、高さ約116mの超高層ビルで、北海道放送(HBC)が入居し、17階から26階まではハイアット系ホテルが入る予定という。欠陥箇所を見つけたのも自社社員ではなく、NTT都市開発の社員だというから好い加減なチェック体制だったのだろう。このまま工事が進めば、次第にビルは傾斜することになり、皮肉にも札幌市内にピサの斜塔にあやかったビルが建つとの噂があったそうだ。

 どうしてゼネコンとして技術力を高く評価された大手企業の大成建設が、こういう初歩的で悪質なミスを犯すのだろうか。社内では若い課長代理が測定数値を改ざんして虚偽の報告を行っていたことが原因と判明したようだが、会社は他に問題はないと言って1若手社員にすべての責任と罪をかぶせて逃げ切ろうとしている。担当役員は辞任し、社長は減給処分を自らに課して、今期の決算は減益計上しているが、来年度の決算では好決算を想定している。しかし、対外的に会社として責任を取った形にはなっていない。とにかくこれでは建設関係業者としての信用を失うばかりである。外部からは、組織ぐるみの匂いがするだの、怖くて大成建設には発注出来ないとの声が聞こえる。さあ、大成!どうする?

 さて、ミヤンマーで昨年2月の軍部によるクーデターで、身柄を拘束されたまま民主化指導者アウンサンスーチー氏が78歳の誕生日を迎えるが、イギリスに住む息子キム・エアリス氏が、母親をはじめ、すべての政治犯を釈放し、民主的に選ばれた政府に権力を返すよう国軍に求めた。更に、日本で生活した経験のある息子は、民主主義国の日本が国軍を支援しているのは残念だと名指しで日本を非難した。日本はいま国軍政府とは手を切って支援を中止しており、子息の理解には若干誤解があるが、国軍兵士を自衛隊が受け入れ教育を行っていたことや、麻生太郎元首相がミンアウンフライン国軍総司令官から名誉称号と勲章を贈られたことがあり、それらの行為が誤解を生んだ要因かも知れない。

 いまでは世界の目がウクライナに向けられ、暴力的、かつ非民主的に民主派政権を追放したミヤンマーに対する世界の世論は冷めている。現状のままだと国際社会の不信感と不満は募るばかりで、ミヤンマーにはもう安心して生活出来る基盤がなくなってしまう。もう少し世界のメディアもミヤンマー情勢を伝えて欲しいものだ。

2023年6月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5879.2023年6月18日(日) 天皇・皇后両陛下、インドネシアを親善訪問

 去る9日にご成婚30周年を迎えられた天皇・皇后両陛下が、昨日親善訪問先としてインドネシアを7日間の予定で訪問された。皇太子時代には、ご夫妻で13回も外国親善訪問をされておられるが、コロナ渦の影響もあり令和に入って即位されてからお揃いで外国親善訪問をされるのは初めてである。

 天皇として最初に親善訪問されるのがインドネシアとは何か象徴的である。戦時中日本軍が3年間も占領、統治し、この間過酷な労働作業によって多くのインドネシア人が亡くなったと言われている。しかし、300年に亘ってインドネシアを植民地化していたオランダに対して、終戦直前から独立運動を支援したのも旧日本兵である。戦後も現地人を支援して旧日本兵は現地に残り、独立戦争で現地人とともに戦い、その過程でその半数が戦死したと伝えられ、インドネシアの独立に貢献した。現地ではそのことは忘れられておらず、首都ジャカルタ郊外のカリバタ英雄墓地には、独立戦争の過程で亡くなったインドネシア人政治家や軍人と並んで、彼ら日本人も埋葬されている。

 上皇ご夫妻は、過去に皇太子時代と天皇即位後の2度インドネシアを訪問され、15年前には秋篠宮ご夫妻も訪問されておられるが、天皇・皇后には初めてのインドネシアご訪問である。

 現在ドキュメント作品を執筆中であるが、その中にもいかにインドネシアの人々が親日的であり、現地では日本の旧軍歌が愛され、唄われているかということを書いている。実際インドネシア独立の父として往時には国民から敬愛されていたスカルノ元大統領が、来日されてテレビに出演され、偶々その番組を観ていた時、元大統領が唐突に♪愛国の花♪を唄った時には、驚いたものである。1967年インドネシアへ初めて出かけ、地元の警察署長さんからボゴール近郊の自宅へ案内された時には、近くの集落の人たちが集まり日本の♪愛国行進曲♪などの戦時歌謡を唄ってくれたのには、びっくりした。駐屯していた旧日本兵と現地の人々の「支配者と被支配者」とは異なる親しい交流関係があったことを想い、一言では片づけられない両国の絆のようなものを感じたものである。

 天皇、皇后両陛下の親善訪問は、日本とインドネシア両国の親善にとって必ずや効果を上げることだろう。

2023年6月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com