5343.2021年12月29日(水) 「GO TO トラベル」で旅行会社が不正受給

 昨日斎藤鉄夫・国土交通大臣が、政府の新型コロナウィルスで打撃を受けた観光業者への支援策「GO TO トラベル」事業の不正受給は断固許されないと述べ、観光庁はこれを悪用し給付金の不正受給問題を起こした、HISの子会社などを来年再開する「GO TO トラベル」事業への参加資格を停止すると発表した。

 今月初めには、菊間潤吾・日本旅行業協会会長が会長として務めるワールド航空サービス㈱が、同じく観光庁がコロナ支援策として実施していた雇用調整助成金を不正に受給した疑いで、協会会長職を辞任したばかりである。観光庁によると「GO TO トラベル」事業の不正受給で刑事事件になったのはすでに8件もある。いかに経営が苦しいからとて政府の支援策である助成金を騙し取るとは悪辣で言語道断である。

 実は、HISの子会社2社の内、ミキツーリストがこれに加担していたことに驚いた。ミキがHISの傘下にあることも全く知らなかった。私が旅行会社を退職する17年前までは、同社は国内のどの旅行業者の色も付かない完全独立のヨーロッパにおける宿泊、観光の1.2を争う手配業者だった。在職中に随分お世話になった。実は個人的に親しかった20名前後の顧客でグループを作っては退職直前まで毎夏ヨーロッパか、北米を旅行していたが、その際ヨーロッパの観光手配はすべてミキにお願いしていた。そのミキがいつの間にかHISの軍門に降り子会社化され、ここに至って観光庁による刑事告訴も免れない存亡の事態に追い込まれていたとは余りにも惨めである。新聞紙上に全面広告を打ち、ヨーロッパ方面に多くのツアーを募集し、販売していたHISの子会社になれば、営業活動をせずとも楽に仕事を得ることが出来て、経営的にも楽だと考えたのだろう。今海外観光は暗闇の中にあり、いつまでこの不景気な状態が続くのかは、コロナの終息次第であるが、例え解決しても一度失った信用を取り戻すのは容易なことではないと思う。

 今回の事件でHISの子会社2社と客室提供の契約を結んでいたホテル運営会社JHATも刑事告訴の対象になる模様だ。

 昨日発表されたHISの今年度10月期決算によると純損益が過去最悪の赤字500億円で、売上高は前年期比▲72.4%だという。子会社の不正で受け取った給付金や、不正に関連した取引などの売上高は20億円、純損益が3億95百万円の赤字だったというからいかに全社を挙げて大掛かりにやっていたかということが想像出来る。HISの沢田秀雄・会長兼社長は、自らを含む役員の処分を行うようだが、こういう悪質な経営者は旅行業界全体の秩序を乱す点からも、前記菊間会長ともども業界から永久追放してもおかしくないと思う。

 HIS及び子会社は、地道にこつこつと一から出直すことしか、顧客の信頼を勝ち取る方法はないと思う。

 ミキツーリストの手配でイタリア、スイスの山岳地帯を案内した2003年の最後のツアーの、手元にある手製のガイドブックに目を通しているとそぞろ懐かしさが蘇ってくる。実に惜しいことである。

2021年12月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5342.2021年12月28日(火) 世界遺産都市イスファハンの旱魃

 今朝の朝日1面を見てびっくりした。「イラン干上がる古都」の書き出しである。古都とは、イラン中部の世界遺産都市・イスファハンである。そのイスファハンの世界遺産の象徴は、スィ・オ・セ橋、イマーム広場、そして広場に面して建つジャーメ・モスクである。1999年にこの地を訪れたことがある。干上がったとされたのは、ザーヤンデ川に架かる建物のようなスィ・オ・セ橋で、私もここを渡った。水量が豊富とは言えないが、純然たる河川だった。このザーヤンデ川が干上がって川底がむき出しになり、乾燥してひび割れてしまった。川岸にはもう使用出来なくなった足漕ぎボートがいくつも並んでいるのが哀れみを誘う。ザーヤンデ川がこのような乾燥状態になったのは、2000年代の初めころからだということだから、私が訪れたころからぼつぼつ川の水が減り始めていたのだ。当時は水が少ないなんて考えもしなかったが、今写真でその様子を見るとかつてそこに川があったとは信じられず、寂しい気持ちになる。

 元々イランは降雨量が少なく樹木が市街や郊外にもあまり見られず、砂漠地帯が多くて水不足は深刻な国家的問題だった。代替え策として利用された地下水の汲み上げが進み過ぎたことが水不足の最大の原因らしい。このため地盤沈下も大きな問題となっている。イスファハンの年間降雨量は、僅か150㎜程度でとても当てに出来ず、ザーヤンデ川上流のダムもその貯水率は11%程度というから頼りにならない。最近の気候変動による水不足で、国民が違法な井戸をたくさん掘り、それが地盤沈下にもつながっているともいう。

 イラン政府も水不足に対する対応を求める農民の声に充分応えられず、その解消のため人口降雨を研究したが、効果を表さなかった。今漸く取り組み始めたのは、南部のペルシャ湾の海水を淡水化する計画でこれが実現出来ないとイラン国民にとっては死活問題となる。

 1967年に初めてイランを訪れた時に、首都テヘランからカスピ海沿岸都市・チャールースへ長距離バスで向かったが、その途中で西アジア最高峰・ダマヴァンド(標高5610m)の麓であるアモル道路上で暴風雪に出会った。その数日後雪崩が発生したほどの豪雪地帯である。見上げるダマヴァンドも雪にすっぽり覆われていた。天の恵みであるこの積雪を何とかしてイランの水不足に利用出来ないものだろうか。 

 いずれにせよイランの水不足はイスファハンの素晴らしい世界遺産の存在にも影響を与えかねない。

 国内だけの問題の内はまだしも、水管理は今や国際問題化しつつある。ひとつの川がいくつもの国々を通過する間に、国同士で利水問題が発生する。イランでは他に近隣国との間で水源を共存する河川が多く流れ、利水やダム建設をめぐってトルコ、イラク、アフガニスタンとの間で緊張関係が続いている。

 世界的な水不足の傾向を解決する方法は、やはり今世界的な課題となった地球温暖化を防止する対策を、確実に、かつ迅速に行うことだろう。

2021年12月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5341.2021年12月27日(月) 冬季スポーツとNHK紅白歌合戦

 この数日寒い日が続いている。全国的な寒波襲来で、各地で豪雪により交通障害が起きている。東海道新幹線も徐行により、大分遅れているようだ。高速道路では交通停止めになったところがあちこちにある。近畿、北陸地方は特に大量の降雪があり、滋賀県彦根市で68㎝の積雪で、京都府舞鶴市でも12月としては過去最大の降雪があったが、南国四国の宇和島市でも積雪があったくらいである。東京都内でも練馬区では最低気温が▲3.4℃となり、12月の観測史上最も寒くなった。

 そんな極寒の中で、昨日は多くのスポーツで日本一が決まった。最も目立って報道されたのは、フィギュア・スケートの全日本選手権だった。優勝者以下上位3名は、そのまま来年2月に開催される北京オリンピックの日本代表に内定した。男子はオリンピック3連覇を目指す羽生弓弦が、女子は坂本花織が優勝した。

 また、コロナ禍のため大きく日程が変更された全日本柔道選手権では、柔道日本一を決める男子無差別級で同じ会社・旭化成に勤める同僚同士が決勝戦で戦い、昨年準優勝の太田彪雅が、昨年優勝の羽賀龍之介を破って初優勝を飾った。京都で行われた全国高校駅伝男女大会では、男子が広島県世羅高校、女子は仙台育英高校が優勝した。この他にも興味はないが、競馬の有馬記念G1レースが行われて1番人気のエフフォーリアが優勝した。

 これから北京オリンピックへ向けて冬のスポーツが注目されることだろう。花園名物の全国高校ラグビー大会も今日から始まった。全国大学ラグビー選手権も佳境に入り昨日準々決勝が行われ、正月に日本一が決まる。

 そして、クリスマスが去り、年末へ向けて多くの歌謡曲ファンが注目している「NHK紅白対抗歌合戦」にも、いつもと変わった動きがあるようだ。近年社会的に男女の差別化に対する反対や疑問が強まっている。ジェンダー(gender)という言葉をよく耳にするが、これは生物学的な性別(sex)に対して、社会的・文化的につくられる性別のことを指している。その平等なジェンダー時代に紅白歌合戦のように男女を競わせて勝敗を決めるのは如何なものか、との意見があるようである。今年の「紅白」では司会者は紅組(女性)と白組(男性)という区別をなくして、NHKアナを加えた3人が番組進行をするというジェンダーレスになるようだ。一般の視聴者からも「男女が競い合う設定に疑問」とか、「男女対抗は止めるべき」との声が多いようで、出演歌手の間でも男女を分ける必要はないのではないかとの声があるという。

 NHKとしては戦後間もなくラジオ時代に始まり、長年続いてきた年末恒例の人気番組である「紅白」だけに、今年から中止と軽々に言うわけには行かないようだ。だが、かつては放送開始前からテレビの前に家族が集まって開始を楽しみに待っていたころとは空気や期待感が大分違うようだ。実際、近年は高齢者が知らない歌を唄い、知らない歌手の登場は、高齢者のナツメロ族にとってはあまり興味が湧かなくなったし、歌詞も抒情的ではなく意味不明で、ダンス・踊りを見せるショー的要素が加わってステージも随分若者向けに変わった。これまで「NHK紅白対抗歌合戦」出場回数は、歌手としての実力を証明する履歴書とも言えたが、そういうナツメロはもう時代遅れということだろう。いずれ近い将来には見納めになる可能性があるので、大晦日は最後まで観てみようと思う。
 一世を風靡した歌手東海林太郎、岡晴夫、藤山一郎、村田英雄、三波春夫や、名物アナ宮田輝、鈴木健二の時代は、遥か遠くへ行ってしまったのだ。

2021年12月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5340.2021年12月26日(日) ロシア人の旧ソ連へのノスタルジア

 「光陰流水の如し」と言われるように、あっという間に時は流れていく。私自身戦前の生まれではあるが、まだまだ壮年期と思っている間に来年は早くも7度目の年男となる。父の没年を考えると余命はあと10年しかないということになる。

 こんなことを想うのは、1991年の昨25日旧ソビエト社会主義共和国連邦のゴルバチョフ大統領が辞意を表明し、今日26日にソ連は消滅した。15の連邦はそれぞれ独立国となった。それから早や30年が経過したからである。当時ソ連の崩壊は衝撃的だった。ロシア革命により地上に初めて生まれた社会主義国家であり、万民平等と福祉社会を目指した新しい国家の出現で時の労働者に光明を与えたからである。ロシア革命を主導し、成功させたウラジーミル・レーニンの願いは理想的なものだった筈であったが、革命7年後に53歳でこの世を去った。マルクス・レーニン主義を継承したと思われたスターリンは、その後社会主義者ならぬ独裁者として権力を一手に収め、2500万人もの市民を殺害したとされる恐怖政治を行ったのである。社会主義はこの時点で雲散霧消してしまった。見かけだけを社会主義国家のように装ったところで実態は、むしろ社会主義の対極にある覇権主義、帝国主義に他ならなかった。

 その後マルクスが提唱する社会主義とはかけ離れた旧ソ連流「疑似社会主義」と、西欧の資本主義国家による東西の対立が激化し、国際的な緊張は膨らみ続けて東西対立を煽り一時、それは朝鮮戦争、ベトナム戦争、キューバ危機などに引火して第3次世界大戦の勃発も懸念されるような事態になった。ところが、社会主義経済の発展がままならず、国民誰ひとり失業者はいないことを目指していたのに、街に失業者は溢れ国家と国民は疲弊していった。とても対外戦争を行える力もなくゴルバチョフ大統領は、ついに資本主義との折り合いをつける決断をした。

 実際東西対立時代にソ連の傘下にあった東ヨーロッパ諸国に何度か訪れる機会があった。全般的に市街に明かりがなく薄暗く、街から元気な声も聞こえず、音楽が流れて来るような空気はなかった。ブルガリアでは、デパートの買い物でも品物をその場で買えず、決められた場所でしか品物を受け取れない不自由さや、東ドイツでは行くところ寄るところで、常に秘密警察に付きまとわれ行動を監視されているようで気持ちは落ち着かなかった。今顧みると少々懐かしい気もするが、人々は夢も希望もなく自らの未来に明かりが見えなかったのではないかと、それらの国を出国する時に彼らの夢は何だろうと同情したものである。

 しかし、ソ連から衣を変えた現在のロシアにも、国民は夢を抱いているのか。20年ばかり前にシベリア鉄道でシベリアを横断した時の途中駅でデッキに群がる物売りのおばさんたちの様子や、モスクワ市内の寒い野外で野宿をしている不良者の姿を思い出すと、プーチン大統領こそ権力を握って国民を叱咤しているが、権力欲と私利私欲で国民の気持ちを蔑ろにして、新生ロシアも旧ソ連から一歩も進歩していないように見える。

 つい最近ロシアの調査機関「世論基金」が公表した世論調査によると、国民の62%が「ソ連崩壊を残念に思う」と旧ソ連への郷愁を感じていると発表した。しかも10年前に比べて11%も増えている。あの自由も思想もがんじがらめだった旧ソ連時代がどうして懐かしいのだろう。多分当時の実情を知らないからだろう。懲りないロシア人である。ここにプーチンが独裁者になる下地が窺える。お~怖い!怖い!

2021年12月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5339.2021年12月25日(土) 来年度予算案、閣議決定

 過去最大の2022年度国家予算案が閣議決定された。来年1月の通常国会で正式に決定されるが、近年拡大気味の国家予算は止めどもない勢いで膨張している。一般会計の歳出は、何と107兆5964億円と10年連続で過去最大の総額となった。このままの財政政策が続けば、いずれ破綻することは間違いない。政治家は呑気で無責任過ぎる。どうして黒字財政を目指す財政健全化のための検討、施策が行われないのだろうか。大学生だった1959年度の国家予算は、ほんの1兆4千億円だった。隔世の感がする。

 予算案の内訳でとりわけ目だったのは、以下3点でいずれも過去最大だった。1)社会保障費(36兆2735億円)、2)防衛費(5兆3687億円)、3)国債費(24兆3393億円)で、この3つの歳出だけで全体の2/3弱を占める。

 このバラマキとも言える傾向に、「文藝春秋」本年11月号に財務省のトップ矢野康治財務次官が「財務次官、モノ申す」と題して、近年の日本の財政政策のバラマキについて「このままでは国家財政は破綻する」と強く警告を鳴らし、特に政界であっと言わせた。これまで官僚が所属の官庁の政策について苦言を呈するのは、極めて稀である。痛い所を突かれた政治家は、腹立たしいとは思っただろうが、次官の言う通りでもあり、反論のしようもない。矢野次官は、「私たち国家公務員は、国民の税金から給料をいただいて仕事をしています。決定権は、国民から選ばれた国民の代表者たる国会議員が持っています。決定権のない公務員は、何をすべきかと言えば、公平無私に客観的に事実関係を政治家に説明し、判断を仰ぎ、適正に執行すること」と述べている。

 問題は大局的に見て次官の言う通り、いずれ国家財政が破綻する恐れがあるということが大問題なのである。コロナ対策を前面に出して予算案に加えて、予備費でもコロナ資金を支出させ、バラマキを煽っている空気を感じる。過去最大支出額がコロナ禍の蔭に埋もれているように思えて仕方がない。政治家には、財政赤字が実感として分かっていないようだ。歳出を賄う歳入が伴わなければ、国家財政が破綻するのは当たり前である。新年度は取らぬ狸の皮算用に終わらなければ良いが、一応税収の見通しを過去最大と見込んでいる。これと連動して国債発行額が減るのは結構であるが、基本的には税収を増やし、歳出額を減らすのが健全な財政政策である。

 過去最大の歳出とされ、歳出総額の約1/3に当たる社会保障費の増大は、社会福祉国家建設を目指し、高齢者や小さな子どもたちなどの弱い人たちへの支援を考えるとある程度止むを得ないが、全国民目線から納得出来ないのは、年々増額される防衛費であろう。

 自然災害発生の際に派遣される自衛隊員の協力には、素直に感謝の気持ちが湧いてくる。しかし、これはあくまで本業ではない。国の防衛のための「軍隊」として今では、陸海空を合わせて22万7千人を数える大世帯となった。しかも、自衛隊の存在は、憲法第9条に明らかに違反している。武器を持たないと約束した現行憲法下で、軍事力増強のために防衛費を年々増額することが許されるのだろうか。

2021年12月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5338.2021年12月24日(金) 国際情報を正しく理解するための中立性

 今日はクリスマス・イヴであるが、華やかな雰囲気とは裏腹に新型コロナウィルスの新変種株オミクロンが、日本国内にも少しずつ感染者が見つかっている。1か月前にはコロナ感染者数も徐々に減少し、いずれ終息するだろうと見られていたが、オミクロンが急速に世界各国に広がっている。イギリスは1日10万人単位で発症しているし、フランス、イタリアもそれに近い。アメリカでも相変わらず世界一の感染者数と死者を出している。

 オミクロン株が世界106カ国で確認されるようになったが、日本でも一昨日160人になった。東京都内でも今日4人の感染者が確認された。テレビ・ニュースやエンタメ番組でもコロナ、特にオミクロンに関してかなりの時間を費やしている。

 さて、ウクライナ情勢が北大西洋条約機構(NATO)とロシアの緊張した対立の狭間にあって今世界で注目を集めている。ロシア軍がウクライナ国境周辺に進出したことに対して、アメリカとNATOが撤退を求めて緊張が高まった。しかし、ロシアに言わせれば、ウクライナがNATOに加盟することは、ロシアにとって安全保障上見逃がせないとして緊張緩和のためNATOの拡大停止を求めている。ここで我々は、どうしてもロシアに対して日頃あまり好感を抱いていないせいもあり、先ずロシア軍のウクライナ国境周辺の進出が問題と考えがちだが、そこには一般には分かり難いウクライナならではの特殊な事情が潜んでいる。

 この辺りの事情については、先日セルビアの山崎洋さんが送ってくれたメールに記されていた。西側の報道はプーチン悪玉説で色塗られているという。つまり彼の見方は、ウクライナが旧ソ連から独立して以来、ウクライナ国内でロシア系住民の人権が著しく損なわれたり、ロシア正教に代わってウクライナ正教会を独立した教会にして、ロシアにとっては反ロシア政策に思える面が目立つという。また、クリミヤについては、元々ロシア領だったが、住民の意思に拘らず、ウクライナ出身のフルシチョフ首相の一存でウクライナに帰属させた経緯がある。ソ連崩壊時の大統領だったエリツィンは、ソ連解体を急ぐため現状維持を認めたが、その代償としてウクライナとロシア海軍基地の利用を認める条約を締結した。だが、条約期限が切れる前にウクライナは海軍基地をNATOに引き渡すことを検討しているとされ、これにより黒海を失い南からの攻撃に対する防衛に不安を覚えたロシアが住民投票を行い、ロシア帰属派が圧倒的に勝った。こういう現実問題と背景が、西側ではあまり伝えられていないと彼は言う。確かに日本でもこのような背景はほとんど伝えられず、ロシアの強引さばかりが強調されている節がある。

 これはウクライナ情勢に関するほんの一部の情報であるが、確かに我々の先入観とは大きく異なる。良し悪しはあるが、やはり情報はバランス感覚が必要で、中立の立場に立つことが望ましいと思う。その意味でも、山崎さんが送ってくれた情報は、待てよ!なるほどと踏み止まらせてくれる貴重な情報である。有難いことだと思っている。

2021年12月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5337.2021年12月23日(木) テレビの大津事件の対応に納得

 今年も押し詰まって来た。昨日は冬至に当たり、今日は上皇の誕生日で上皇は米寿になられた。天皇ご一家と皇族方、並びに三権の長が上皇の仮住まいの仙洞仮御所をお祝いに訪れたが、このコロナ禍では世間にもあまり大きく伝えられない。そして、明日はクリスマス・イヴである。コロナ前なら街にジングルベルの曲が流れ、イルミネーションも派手に飾られたことだろう。何か寂しい年末の光景である。

 今日小学生の2人の孫に手作りの折り紙作品を送った。5年生の男の子は今ラグビーに夢中になっているが、2年生の孫娘はピアノを止めてしまったので、ちょっと気になっている。素直にのびのびと成長してくれれば、言うことはない。

 さて、昨晩7時30分から毎週リラックスしながら観ているNHK・BS「旅ラン」が鎌倉市内のランというので、紅葉の鎌倉市内を走るだろうと期待していた。思っていた通り住宅地や観光地を走って久しぶりに鎌倉の紅葉を目で味わえた。実は、その後8時から同じNHK・BSで「英雄たちの選択」を観た。この番組は、いつもその道の専門家が歴史的な出来事や人物を分かり易く説明してくれるので、時々楽しんでいる。

 昨晩は、大津事件発生後の明治政府の悩みと帝政ロシア政府に対する謝罪について明治政府の苦悩と列強国への対応を巡る駆け引きを、歴史の専門家や弁護士らが分析し分かり易く解説してくれ、初めて知る事実も多く随分勉強になった。

 大津事件とは、京都から巡行してきた帝政ロシアのニコライ皇太子を警備中の警察官がいきなり日本刀で切りつけ、皇太子を負傷させた事件である。これまで日本史の授業では、事件発生の年月と関係人物、事件のあらましを習うだけで、国家の上層部が外交上謝罪、並びに解決のためにどれほど苦悩に耐えてロシアをはじめ、列強諸国、国内を納得させるべく奔走し、解決へ導いたかという点については、学ぶことはほとんどなかった。

 事件が発生したのは、今から130年前の明治24(1891)年5月だった。その当時の帝政ロシアは世界に並み居る列強国であり、日本は及びもつかない3等国と言っても過言ではなかった。稚拙な対応をすれば、それを口実にロシアに攻め込まれ、領土割譲という事態にもなりかねず、日本では直ちに明治天皇が東京駅から列車で大津まで皇太子に直接謝罪のため赴いた。

 面倒な問題は犯人津田三蔵を死刑にしなければロシアが納得しないだろうと考えられ、人の人間を傷つけただけでは死刑を課すことは難しく、明治政府内で松方正義首相以下閣僚は、法を曲げても死刑にすべしとの意見が主流だった。ロシアによる報復の恐れから、政府が司法に介入することも考えられないことはなかった。ところが、最高裁長官に当たる大審院院長の児玉惟謙が旧刑法では、死に至らなかった外国の皇族に対する犯罪で最高刑は無期懲役で、死刑にすることには無理があると政府の考え方に反対した。幸い犯人の死刑を求めていたと見られた帝政ロシア政府も天皇が即座に謝罪に駆け付けた真摯な対応を評価したのか、日本が犯人を無期刑に称する決断を理解し、納得したのである。

 民主主義の基本原則である三権分立を損ないかけない事件だったが、瀬戸際で食い止めた。明治憲法が発布されてまだ2年しか経っていない民主主義黎明期に、憲法の精神である司法への政治的介入が行われなかったことは、日本の立法と司法の、境界線と立場をぎりぎりで守ったと見られている。

 昨晩のトークでは、2人のコメンテーターと歴史家、著述家、弁護士がかなり深く突っ込んで話し合っていたが、その会話が理性的で頭にすんなりと入る論理だった。

 久しぶりにテレビで日本の歴史的事件を整理された運び方と解説により、すんなりと理解させてもらった。気障な言い方だが、すっきりした気分である。

2021年12月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5336.2021年12月22日(水) 過去最大の補正予算成立

 国会は、一昨日過去最大の補正予算、36兆円弱を成立させて昨日閉会となった。コロナ禍で多事多難の国会を第2次岸田内閣は何とか乗り切ったと言えるのではないか。辛口の朝日新聞の世論調査でも岸田内閣支持率は上昇している。これは、菅内閣が政権末期にあまりにも不人気であった反動もあるのかも知れないが、新内閣のスタートとしてはまずまずではないかと思う。

 ところでその過去最大の補正予算については、コロナ対策を隠れ蓑にしたバラマキの趣がある。実際2019~20年度に総額65兆円余のコロナ対策予算を編成したが、この内1/3を今年度へ繰り越して、会計検査院が問題を指摘したほどである。きちんとその年度内に必要な支出だという必然性より、取り敢えず取れるものなら取っておき、余れば無目的でも来期に支出出来ると好い加減な皮算用の予算申請なのだ。

 その他にも防衛費にも補正予算としては過去最大の7738億円を計上した。22年度予算概算要求額5兆4797億円で盛り込んだ主要整備品を前倒しで購入するためのようだから、来年度概算要求額にかなり自由に使える予算が残るということになる。これでは予算管理がきちんと出来ているのか首を傾げたくなる。コロナ同様に防衛費も底なしの状態である。

 1987年に国民総生産(GDP)の1%を防衛費として要求することを自民党政権が身勝手に決めて、そのルールだけは守ってきたようだが、近年はその1%枠を一気に2%にまで引き上げようとの意見が、高石早苗政調会長をはじめ自民党内には蔓延っている。すべてアメリカに顔が向いているからだ。そこへ2022年度以降の5年間の在日米軍駐留費負担(思いやり予算)について年度平均2110億円でアメリカ側と合意したと発表した。今年度予算を約百億円上回っている。この他アメリカから購入する多額な軍事物資は毎年増える一方である。

 しかも昨夜の岸田首相の記者会見で、これまで1978年当時の金丸信・防衛庁長官が、在日米軍基地で働く日本人従業員の給与の一部を日本側が負担することを決めたことに対して、その当時日本共産党が皮肉っぽく「思いやり予算」と呼んで以来この呼称が定着した。それを首相は、今後日米同盟の抑止力・対処力を一層強化することを目的にした「同盟強靭化予算」と呼ぶと説明した。あくまでその先には「アメリカ」があるのだ。日本の国家予算の中には、アメリカに忖度した経費が堂々と、かつ明確に計上されることになっている。

 新型コロナウィルスでも今流行している新変種㈱オミクロンが、沖縄の米軍基地内の従業員に感染していることが分った。米軍基地内にはコロナ感染者が200人もいるという。玉城デニー・沖縄県知事が当分の間アメリカから米軍関係者を直接基地に入国させないことや、キャンプの米軍兵士を基地から外出させないことを及び腰ながらアメリカ、及び日本政府に要請した。アメリカ軍は沖縄県民の気持ちを分かってくれるだろうか。それにしてもまだ戦後は終わっておらず、日本はアメリカの占領下にあるのではないかと時折思い知らされることがある。

 これは別件であるが、昨日公表された小田急系の「HOKUO」の閉店と足並みを揃えるかのように、今日東急グループもホームセンター・雑貨店をチェーン展開する「東急ハンズ」89店舗をホームセンター大手の「カインズ」に売却すると公表した。ここにもコロナ禍の影響が表れている。

2021年12月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5335.2021年12月21日(火) 妻の心臓に問題なく安堵

 妻が15日に東京医療センターで心臓の検査をしてもらい今日その結果が判明した。心臓は内臓の中でも最も大事な器官であり、随分心配していた。幸い「案ずるより生むが易し」だった。妻が帰宅し、「どうだった?」と尋ねたら「大丈夫そう」というので、ホッとした。医師から結果を知らされた後で、正月明けに虫垂炎の手術をするので、その諸手続きも済ませたと言っていた。手術は正月3日に入院し、4日に手術をするという予定である。順調なら手術後3日程度で退院出来るだろうとの話である。新年早々あまり目出たい話ではないが、時の経過を待つより仕方がない。早くすっきりしたいものだ。

 さて、名門三菱電機㈱が長年続いていた空調設備などの検査で不正を続けていたことや、他の品質偽装などが、6月に発覚してその後10月には会長及び社長が引責辞任するに至った。しかし、火の気が収まらぬ間に新たな不祥事が明るみになった。同社製の非常用発電機が発電出来なくなり、火災時にスプリンクラーなどの消防設備が動かない恐れがあることが分り、昨日になってそれらを改修すると公表したのである。三菱電機ともあろうものが、何と倫理観が欠けているのかと呆れるばかりである。

 実は、今から半世紀近く前のことであるが、私は丸の内にあるその三菱電機本社内に机を置いて同社社員の海外渡航業務を取り扱っていたことがある。海外旅行に乗り出して間もなかった小田急トラベルが、国際航空運送協会(IATA)に対して国際線航空券の発券業務のライセンスを申請中で、三菱社員の航空券を何としても小田急で発券するために、三菱電機と小田急との話し合いの中で、偶々私が出向のような形で三菱へ行くことになった。三菱電機では同社社員及び家族の航空券発券、及び滞在国のビザの申請などを扱っていた。当時は、彼らの業務渡航がスムーズに進むことをひたすら考え、同社内で三菱電機社員並みに働いていた。しかし、幸いIATAの認可が得られて、それも1年足らずで終了した。中々経験出来ないことをやらせてもらったと思っている。

 その三菱電機がメディアで散々叩かれているのを知るにつけ、哀れみを感じる。あれだけの大企業がどうしてビジネスマンとして当たり前のモラルを失ってしまったのだろうか。1日も早く後遺症から立ち直ることを願っている。

 ところで、一昨日の本ブログに書いた「ブリジストン」の事業切り売りと同じ事象が、小田急でも行われるようだ。今日小田急電鉄が、小田急グループ内のベーカリーチェーン「HOKUO」の首都圏39店舗を来年2月末ですべて閉店すると発表した。私もよく知っている洒落たパン屋さんである。

 「HOKUO」の各店舗は駅構内などにあって抜群のロケーションにあるにも拘わらず、この時期に閉店とは惜しいことである。やはりコロナ禍の影響を受け、外出自粛やコンビニとの競争激化で経営環境が悪化したことが、事業切り売りの大きな原因である。小田急沿線の一部店舗は神戸のベーカリーチェーン「ドンク」が引き継ぎ、3月以降は「ドンク」として営業する。「HOKUO」を運営していた小田急電鉄の完全子会社「北欧トーキョー」の正社員は全員ドンクに移籍する。勤務地が首都圏内の好立地だっただけに移籍する社員が、果たしてすんなりと納得し、受け入れるだろうか。今の世は戦国時代と変わらなくなった。何が起こるか先の見通しが立たないのが何ともじれったいが、それだけ経済活動がコロナの厳しい影響を受けるようになったということでもある。

2021年12月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5334.2021年12月20日(月) 非常階段設置を義務化出来ないのか。

 一昨日起きた大阪市内の雑居ビル火災で24名が亡くなり、犯人と思しき容疑者は重態らしい。火災原因はこの容疑者が、4階の医院の入口でガソリンを入れた容器を倒してライターで点火したことにあるらしい。30分程度で火は消えたが、その僅かな時間内に医師と多くの患者らが一酸化炭素中毒の犠牲になった。テレビでビル内部を図解で解説してくれるので分かり易いが、どうして犠牲者は非常階段から逃げられなかったのか、疑問だった。非常階段と言えばビルの外部に鉄骨製の簡易な階段があるとばかり思っていたが、この6階建てのビルにはそれがなかったのだ。建築基準法施行令第122条では、5階以上のビルには避難階段が義務づけられている。それにも拘わらずこのビルには避難階段がなかった。

 はっきり言おう。このようなビルで火災が発生すれば、避難出来ないではないか。それでも広義の法律上問題がなかったというのだろうか。

 30年ほど前にアメリカのシアトル市内のホテルに宿泊していた時火災が発生し、ホテル内の拡声器ですぐに貴重品を持ってホテルの外へ退避するよう館内アナウンスがあった。慌てて身支度を整え、一緒に宿泊していたお客様を叩き起こして非常階段を伝わって外へ逃れたことがあった。その時の印象は、狭い階段に人が詰まって思うように前へ進めないことだった。途中の階から入り込む宿泊者もいて中々下へ降りられない。それでもこの非常階段があったおかげでホテルから脱出することが出来た。いかに非常階段が緊急の際には役に立つものかは、実感として身に染みた。

 建築基準法ももう少し安全や、避難を考えて内容を検討し整備するべきではないかと思う。さもないと同じような事故が、近い将来にまた発生すると思う。

 さて、セルビアに住む学生時代の友人山崎洋さんから年末・年始の挨拶を兼ねて、日本のメディアの報道姿勢について疑問を書いてメールで送ってくれた。

 彼がとりわけ気にしているのは、NHKをはじめ多くのメディアがアメリカ・サイドに立ち、ロシア、中国の姿勢をすべて頭から否定しているということである。確かに私自身もその内のひとりであるかも知れない。例えば最近話題になっているウクライナ情勢について、すべてアメリカ政府の言い分を丸のみしているという。

 「ウクライナ独立後、ロシア系住民の人権が著しく侵害されたこと、例えばロシア語は公用語の一つでなくなり、ロシア正教会に代わってウクライナ正教会を独立教会にし、ロシア人の多いドンバス地方のインフラ投資を削って経済的後進地域にして人口減少を図るなど。この最後の点は、知り合いのドンバス出身のウクライナ人も不満で、中央政府に反対し、自治政府の強化を支持すると言っていました。ウクライナ和平ミンスク協定も、中央政府はいっさい実施していない。クロアチアの例にならい、実力行使による解決を目指しているので、そのためにNATOの介入を求めているのです。ロシアは何十万人の難民を受け入れることになるでしょう。すべてはバルカンでセルビア悪玉論を作り出し、それを利用して民族浄化を実行した先例があり、十分な力を回復したロシアが黙視するはずがない。クリミヤ問題も然り。もともとロシア領だったのを、ウクライナ人フルシチョフが勅令でウクライナ領とした。住民の意志など問題外です。イェリツィンはソ連解体を急ぐため、現状維持を認めたが、その代償としてロシア海軍基地の利用を認める条約をウクライナと結びました。期限切れを前に、ウクライナはこの基地をNATOに引き渡すことを検討。ロシアは黒海を失い、南部からの攻撃に対する防衛が困難になる。そこで住民投票を実施しました。結果は、圧倒的多数で、ロシア帰属派が勝つ。住民の多数がロシア系だが、海軍基地に経済的に依存していることが大きいのです。沖縄で基地反対派が圧倒的多数にならないのと同じ論理ですね」と言っている。

 問題は複雑で、どちらが正しい言い分と即決出来ることではないが、日本のメディアの論調は、すべてアメリカナイズされていることは彼の言う通りかも知れない。そうなったのもメディアが焦点の現場であるウクライナの土地を踏んでいないからである。臨場感が欠けては説得力を失う。私には、ひとつの哲学でもある。

2021年12月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com