かなり前の話だが、小学校の教材としてデジタル教科書が導入されると伝わり、小学生にデジタルが効果的なのだろうかとかねがね気になっていた。このほど2030年度以降に小中高で導入されるデジタル教科書について、大臣指針の素案が分かったようだ。それによると、新たな教科書は紙を中心として、デジタルは補助的・補完的な扱いとすることに位置付けられることになった。紙を使わない完全デジタルの教科書は、小学校4年生以下には認めず、小5以上でも英語や実技系教科などに限定する。また、導入後に学習や健康への影響を検証することにして、必要に応じて見直すことも盛り込んだようである。少しは安堵している。
関係者の中には、デジタル導入自体に賛成できないという人も多いと思う。今やスマホに憑りつかれている低年齢児への悪影響を考えると、デジタルを教材にするのは如何かと疑問に思う。実際(小学生をすべて含むことになる)13歳未満の児童には、現在世界的にスマホやSNSを禁じている国が増えている。
文部科学省がデジタル化傾向の流れの中で、「紙中心」を打ち出したのは、有識者会議で、「年齢が低い子どもは認知機能が発達途上にあり、デジタルの影響が大きい」「紙の活用が学習に効果的」と発達心理学の専門家から指摘されたことが背景にある。専門家がそこまで主張するようなら、この際デジタル化自体を取り止めることは考えなかったのだろうか。日本では、スマホ使用禁止年齢は決められていないが、SNSなどは13歳未満には利用不可の自主規制がある。それなら効果より実害が大きいとされるこれらのIT関連を、思い切って止めることが出来るのではないだろうか。
いずれにせよ文科省は、手書きの重要性も合わせて採り入れ、「書く活動の授業中での確保」を明記して、生徒に手で書くことを指導し、実証研究などを検討するとしている。そして、年内に大臣指針を策定し、文科省はその指針を教科書検定ルールに反映させ、教科書会社は新しいルールを踏まえた教科書を作らせる予定である。
ともかく難しい問題ではあると思うが、私は個人的には、低学年期は昔「読み、書き、そろばん」と習ったように、これが基本であるべきだと信じている。この規範から遊離するようなことがないよう願っている。
さて、9月にパリ市内で高校生が、教育施設の不備に対して学校を封鎖する抗議のデモを始めてから、デモはフランス中に広がり、多くの国民が参加してその数は17日に55万人にもなった。今では商店を襲撃したりして、中部リモージュでは暴徒が市庁舎に火を点けてほぼ全焼したという。ネットで「KYODO」の7分半の映像を観たが、すごい迫力で警察とデモ隊が応酬しているのにゾッとした。この放火や略奪は、共和国を攻撃しようとする暴力的左翼集団が関与しているとしてルコルニュ首相は厳しく非難している。
この事態を半年後のフランス大統領選のひとつのチャンスとでも考えたのか、フランスの極右政党・国民連合のマリーヌ・ルペン氏の存在がクローズアップされている。右翼勢力は、各派が候補者を乱立させるため票が割れることが悩みであるが、EUの結束などを訴えてきたマクロン大統領にとっては、右翼の伸張は大きな悩みである。相変わらず高校生らの教育環境の改善を求める抗議は続いており、物価高対策を求める国民の声も切実で、フランス国内の左右の対立は一層深まりそうである。