アメリカの中間選挙も終わり、アメリカ国内にも落ち着いた空気が流れることだろう。国が広く、時差があるためにすべての開票、集計結果は未だ得られていないが、上下両院ともに民主党が過半数を得たので、民主党の勝利、そしてトランプ共和党の敗北が決定した。今朝の朝日新聞第一面の見出しを見ると「トランプ共和国歴史的敗北―民主、上下両院を奪還(米中間選挙・物価高政権へ不満)」と書かれている。トランプ大統領も一応負けたことを認めて、「民主党へ拍手」などといつも選挙で負けると不正があったと騒ぎ立てるが、今回は負けたことを本心から認めたのだろう。
ただ、早くも「VETO(拒否権)」と書かれた赤帽子を見せて、連邦議会で議案が成立しても自らにとって認めがたい時には、大統領権限で拒否する気概など露骨に拒絶を示す意欲を示すところを見ると、これからの議会運営の先行きが思いやられる。そして、大統領にのみ許された権限を独善的に行使することが心配である。しかし、「1対1」の個人的な意向に頼る個人外交は、レームダック化の危険があり、対処し切れない恐れもある。その辺りを「超賢明」な大統領はどう考えるだろうか。
日本政府は、昨日早速トランプ政権の敗北を知ったうえで、木原官房長官が「選挙の結果いかんにかかわらず、日米同盟は外交・安全保障政策の基軸だ」と強調した。この言葉を都合よく利用してトランプ大統領は、これまでと同様に日本に過分な要求を突き付けてくるのではないかと憂慮する。年末に行われる在日米軍駐留経費交渉において、アメリカは日本に対して更なる負担増を求めて来る可能性が高い。もう一点は、トランプ関税と称される日本製品の対米輸出に対して過大な要求を押し付けられる可能性が高い。
外交にあまり積極的とも思えない高市首相は、おべんちゃらばかり言ったところでトランプ大統領から敬遠されているような印象を受ける。これからトランプ大統領の残り2年間の任期中にトランプ外交の言いなりではなく、日本として当然の言い分も主張して対等の外交をやらなくてはいけない。そうでなければ、官房長官が言っている「日米同盟の基軸」なんて信じることが出来なくなる。
ところで、中間選挙の特別企画?として、こんなこともやるのかと新聞社の図入り報道に驚いた。ニューヨーク・ポスト紙が4日付の一面に公表した共和党が敗れた選挙のデザインである。原画は葛飾北斎の有名な「富嶽三十六景」で、青い大波の遥か後方に見える筈の富士山を隠してトランプ大統領が姿を見せ「BLUE TSUNAMI」に襲われる「浮世絵引用模倣図」である。大分好反応だったそうだが、この「富嶽三十六景」は日本では複雑な事情もあり、国宝でも重要文化財でもないが、これは所有者の許可を得たのだろうか。他人の作品を(無断)借用した盗作ではないかと思う。まあ、それほどこの北斎の浮世絵は、アメリカでも高い評価を受けている証拠であるのかも知れない。