765.2009年6月17日(水) イランの民主化?

 イランが荒れている。先日行われた大統領選挙が、予想を超える現職の圧勝という結果に終ったことが原因である。現職のアフマディネジャド大統領が圧勝したが、対立候補のムサビ元首相支持者が現大統領圧勝の陰で選挙結果における不正があったと異議を唱え出したからである。1979年イスラム革命以後イラン国内でこのような大規模なデモが行われたことはなかった。反米一辺倒の保守派・アフマディネジャド大統領の磐石な体制も案外揺さぶられている。当初現職が圧倒的な勝利を収めるかに見えたが、選挙戦中盤から革新派のムサビが追い込んで投票日直前には僅差の勝負になるとみられていた。しかし、結果は現職の圧勝だった。これが騒ぎの原因だったから分らないものである。最近のイランの動きを見ていても、是非は別にしてもやはりアフマディネジャド氏が強いのではないかとは思っていた。

 一般にイスラム国家というのは、政治的には非民主的である。イランはイスラム体制だが、中東では珍しく民主主義制度の残る国である。その少ないイスラム民主主義国家の中で、イランは堂々総選挙で国民に信を問うている。しかし、それはまだ見せかけだけで民主化は体制組織の中ではごく一部で、国家の権力構造は宗教指導者の権限が相変わらず強い。その証拠に最高指導者は大統領ではなく、聖職者・ハメネイ師と言われている。この国が大統領の一方的な独裁色を打ち出すのは、革命防衛隊という組織が力を握ったからで、政府幹部もほとんどこの革命防衛隊の出身者である。ハメネイ師自身体制維持のために防衛革命隊に頼るという、奇妙な相関関係があるからだろう。だが、民主化へ進む一歩として、この何やら秘密めいた革命防衛隊なるものの存在を明らかにする必要があるのではないか。

 今回のデモが多少民主化への目を開かせてくれたかと思いきや、イラン政府は許可のない海外マス・メディアの取材を一方的に禁止するありさまである。枠を広げて大勢の外国人ジャーナリストに臨時ビザを発行して、自国の民主化をPRするつもりだったが、暗に反してそうは行かなくなってしまった。

 私自身2度に亘ってイラン国内を歩き回り、このイスラム国への思い込みが強いだけに、今の強硬姿勢にはどうしても違和感と反発を覚える。もっと素直に国民の声を反映させることは出来ないものか。このままでは国際社会から益々嫌われてしまうのではないか。

2009年6月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

764.2009年6月16日(火) 生命保険の契約変更

 高校ラグビー部の後輩、鈴木敦雄くんに生命保険をお世話になっている。7年前まとまった金額を一括払いして、死亡の場合にいただける保険金はその倍額になる契約を結んだ。しかし、最近になってその保険料がそのまま塩漬けになって、このまま使えなくなっては自分の金でありながら自分の金ではないような気がしてどうするのがベストかしみじみ考えるようになった。一旦現在の契約を解約して、毎月定額保険料を支払う契約を交わした方がよいのではないかとも考え、今日後輩に会って相談したところ良いアイディアを提示してくれた。年齢的に解約は不利で、生保会社から保険料総額の9割以内で借金して利息を定額保険料として支払うのがベターではないかとアドバイスしてくれた。しかも金利は年利3%ということなので、あまり負担にならない。金利は最終的に遺族が保険金を受領する際に相殺されるということだった。流石はプロの的確なサジェスチョンである。これなら極めて好都合であり、早速信頼出来るアドバイスに従うことにした。まあ生命保険なんかであまり頭を使いたくない。これからずっとこのまま行きたい。

 朝刊紙で「週刊女性」誌の広告を見てびっくりした。タイトルは「王貞治『老老介護苦汁の現実』」となっていた。失礼ながら王さんの母上はすでに亡くなられたのではないかと思っていた。1901年9月のご誕生だから、現在107歳のはずである。長い間王家の皆さまと交流があったので、母上のことはある程度承知していた。ご家族がおそろいのころは、毎年正月に箱根旅行をお世話していた。王一族打ち揃ってハワイ旅行をされた時などは、母上は帰国日が運勢上良くないと仰ってそのまま自宅には帰らず、成田にお1人で1泊されたこともあった。8年前の百賀のお祝いのパーティも王貞治前監督の兄上で医師の王鐵城先生から依頼されて新宿センチュリー・ハイアットで設営したこともある。

 3年前に王先生にお会いした時、母上は大分弱っているので信頼出来る施設にお世話になっていると仰っていた。昨年暮れにその王先生が亡くなられた時、葬儀の場に母上の姿はなく、お名前も掲示されていなかったので、やはりもう鬼籍に入られたと早合点していた。それが何と今朝の週刊誌の広告である。

 早速週刊誌を買って読むと、特別な内容ではなく、先年恭子夫人を亡くされた王貞治氏が、ひとりで、或いは娘さんと時折母上をお見舞いしているという週刊誌のトップ記事として大騒ぎするほどのものではない。

 今や実兄の王鐵城先生も亡くなられ、夫人にも先立たれ、大きなお世話かも知れないが、野球人としては最高位を極めた王貞治氏にとって、家庭的にはあまり恵まれているようには見えない。王先生夫妻と私たち夫婦で一緒にヨーロッパ旅行をして、王家の方々とは随分親しくご厚誼をいただいただけに、とてもお気の毒で少々寂しい気もする。人柄の素晴らしい王貞治氏は私より2歳若いが、いつまでも元気でいて欲しいと願うばかりである。

2009年6月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

763.2009年6月15日(月) 現職高級官僚逮捕と31歳の新市長

 昨日世間をあっと言わせる出来事が2つあった。ひとつは、障害者郵便物特別割引料金を悪用したとして現職高級官僚が逮捕されたことであり、もうひとつは公共工事にからむ収賄事件で逮捕された千葉市長の後任選出選挙で、全国最年少市長として、民主党推薦の31歳の前市議が大差をつけて自民党推薦候補者を破り当選したことである。

 前者は、「凛の会」という実態のない障害者団体に、女性の厚生労働省局長が自分の権限で証明書を不正発行したり、郵便局へ電話して特別扱いを要求した悪質な行為である。そもそも障害者だけにしか認められていない制度を悪用して、大型電器店のDMに利用させて億単位の金を支払わずに済ませたという。この事件は2つの点で問題を曝け出した。

 第1点はまだ解明されていないが、政治家が官僚に頼んだルートに沿って、電器店から相当なキックバックが障害者団体を通して政治家へ流れ、仲介した官僚には政治家から何がしかの色よい報酬があったのではないか。

 第2点は、郵便料金の決定に根本的な誤りと不適切さがあるということを露呈したことである。普通は製品が安値で販売され原価割れになれば、赤字になって生産を停止するのが常識である。ところがこれだけ多額の料金を騙されても、赤字が表面化したわけではなく、はっきり言って誰も実損を蒙ってはいないと思う。末端で怪しいと疑念を持たれて調べた結果今回の不祥事が明るみに出た。このことは、料金設定がもともと根拠のない相場と雑な料金計算によって決められていたのではないかと思う。結論から言えば、郵便料金が高いものだということを証明したのではないか。

 後者の千葉市長選挙について言えば、びっくりしたというのが本音である。31歳の熊谷俊人・新市長の誕生にはそれなりの理由があったのだろう。それにしても新市長は若い。議員経験としても2年前に市議に当選したばかりで、それまではIT企業に勤めていたサラリーマンだった。地方の小さな都市ならともかく、千葉市と言えば人口50万人以上の政令指定都市である。全国800近い市のうち、僅か18都市しかない。実力は未知数であり、期待もある反面、不安もある。自転車で走り回りながら政策を有権者に訴えたという。自民党の人気が降り気味である幸運もあった。しかし、新市長の真剣な熱意が有権者に届いたのだろう。現職副市長で自民党の支援を受けた対抗馬に圧勝した。若くて未知数ではあるが、可能性と清潔さに賭けた千葉市民の期待を裏切らないで欲しいものだ。時代が刻一刻と変わっているということだろう。

2009年6月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

762.2009年6月14日(日) お粗末なバス会社と役所

 ガバナンス欠如というべきか、非常識というべきか、京都市内で営業する路線バス会社が、同業他社が登録した商標「通称」を使用していたというお粗末の一席が判った。この非常識なバス会社は、会社登記上は大阪府寝屋川市にあるが、京都市内で3路線のバスを運行している。従来観光貸切バス中心であったが、イメージ一新を狙って、今年4月から社名を「セレモニー観光」から「京急バス」に変えた。ところが、一新どころかイメージダウンになってしまった。この「京急」という名前が「京浜急行電鉄」の略称であることぐらい関東の人間なら誰でも知っている。しかも京浜急行では、この「京急」を商標登録までしている。京浜急行から抗議を受けた「京急バス」では、改めて新社名「京都急行バス」への変更を考えているという。すでに「京急バス」の名前を告知して車体に新社名まで書き市内を走って、相当の経費をかけている。だが、抗議を受けるやあっさり社名を再変更するとは、このバス会社経営陣の常識と金銭感覚を疑いたくなる。

 この「京急バス」のトンマな社長は、「営業地域が違うので大丈夫と思っていた」と認識していたようだが、こんな大事なことをこの程度の軽い判断しか出来ないとは企業のトップとしては何とも情けなく、経営者として失格である。

 しかし、よく考えてみると日本の組織では、1人ひとりが方針や決断が正しいのか正しくないのかをよくチェックしないで走り出すケースが多い。この社名変更のケースでも、仮にトップが危うい決断をしたにせよ、周囲の役員、担当者が問題のありそうな会社名だということに何の疑問も抱かなかったのだろうか。

 加えて、情けないのは申請を受け付けた役所である。社名変更の申請があった際に、専門部署の担当者としてこれに似た名前がありそうなことくらいぴんと来そうなものだ。申請通りに認めたというのは、受け付けた役所の係員も頭が空っぽで何も考えていないということである。こんな具合で頭を使わない役所に国の事業を任せてよいものかどうか。近々消費税も大きく値上げされようとする時期だけに、間抜けなバス会社と頭が空っぽな役人の劣化した行為をストップさせる手段はないものか。

 これひとつ取って考えても、みんな頭がどうかしている。日本人は年々内部崩壊してきているのではないかと考えるとぞっとする。

2009年6月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

761.2009年6月13日(土) 北朝鮮に対して国連制裁決議採択

 5月25日に地下核実験を行った北朝鮮に対する国連制裁決議がやっと全会一致で採択された。予想以上に時間がかかったのは、例によって常任理事国の中国が態度をはっきりさせなかったからである。いつも中国と歩調を合わせて反対するロシアが今度ばかりは、実験直後に制裁に同調した。それでも中国は検討に次ぐ検討を重ねて時間稼ぎの末に、漸く若干後退した共同提案を受け入れた。中国の思惑は明らかである。いつまでも北朝鮮へ影響力を残しておきたいからである。これも最近の中国の定番パフォーマンスのひとつである。これから国際社会が、中国に振り回される予兆である。

 制裁の内容は、屋上屋を重ねてきて今更即効性はあまり期待出来ない。骨子は06年の制裁決議に違反していると非難したうえで、今後核実験や弾道ミサイル発射を行わないよう要求し、6者協議への即時無条件復帰を呼びかけている。追加的な制裁措置として、公海上の船舶の貨物検査や金融制裁もある。今日午後5時北朝鮮テレビがいつも通りベテランらしい女子アナが憤慨した口調で、今後ウランの開発を行うと公表した。

 それにしても問題が起きる度に、こういう国家運営の仕方があるのかと北朝鮮の対応が不思議でならない。相手の好意や道理、常識を逆手に取って居直って恫喝する。まるで悪辣なヤクザ的手法である。いつかこの国が崩壊した時に、全国民が世界中に対して恥ずかしさを感じるのだろう。もちろんその時は金正日・総書記はこの世にいないだろうが・・・。

 先月25日に行った武者陵司氏との取材記の提出期限に当り、大体書き上げていた原稿を推敲して、秋田事務局長宛送信した。武者氏へのインタビューで感じたのは、氏の歴史認識が極めて深いということだった。横浜国大経済学部を出て大和証券に入社した経歴からすると、近代経済学を学んだと思っていたが、大塚経済学を専攻したというので、社会主義的な書も読んだと言っておられた。そのせいでかなり歴史観をはっきり表現された。面白いと思ったのは、現代の余剰資金をエジプトのピラミッド建設を参考に、現代のピラミッド建設に投資して昔の雇用の創出のような投資を行うべきで、それは地球環境の再生のための投資だと言っておられたことである。今日活躍しておられる証券アナリストの中でも多少楽観的な見方をされる方であるが、信念がはっきりしていて説得力があり、随分目から鱗が落ちる話を聞かせてもらった。印象に残る取材だった。

2009年6月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

760.2009年6月12日(金) 鳩山総務大臣ついに辞任

 鳩山邦夫・総務大臣が辞任した、というより更迭された。日本郵政の社長人事がもめたことで、世間に混乱したという印象を与えたことが麻生首相の最終決断「更迭」となった。それぞれの言い分は分かるが、私見としてはこれで良いのではないかと思う。

 しかし、一寸先は闇の政治の世界であるので、このままでことは済まないのではないかとも考えている。佐藤勉・国家公安委員長が後任を務めるようだが、多分新総務大臣が西川社長の首を切るのではないか。というのは、西川社長にまったく失態がなかったわけではない。鳩山氏が再三追求しているように、カンポ宿の一括売却問題、東京中央郵便局立替問題、第三種特別郵便料金詐称問題など会社の最高責任者がまったく責任をとらずに、監督者の大臣だけが辞めるというように一方の当事者だけを手討ちにする裁きは、必ずしも公平というわけでないからである。

 それにしてもここへきて自民党内に鳩山氏への非難が集中したのは、だらだらした泥仕合の印象が余りにも手際が悪いとの印象を与えてしまったからだろう。印象を悪くした中でその最たるものは、鳩山氏の傲慢な話しぶりだと思う。今日のインタビューでも相変わらず取材記者を怒鳴るような恫喝ぶりだった。これでは何をやっても人は遠ざかると思う。その意味で鳩山氏は虚心に反省すべきである。さあ、次は西川氏の社長続投問題がどう動くかだ。

 昨日WHOが新型インフルエンザの警戒レベルを世界的な大流行を意味する「フェーズ6」の最高度に引き上げたが、一旦国内では沈静化していた空気を再び拡大させることは間違いない。特に、南半球ではオーストラリア、チリを始めとして感染が爆発的に広がっているらしい。10日現在で世界の感染者は75カ国で、27,000人を超えている。日本でも565人を数えている。当分この騒ぎが沈静化するメドは立たない。

 駒沢大学公開講座で「押し紙」という言葉を知った。新聞社が販売できない新聞を販売店に押し付け、それを回収処分する余った新聞である。「週刊新潮」のルポで公になった。驚くのは、余りにも多い発行部数と余分な「押し紙」数である。新聞社が加盟する社団法人日本ABC協会が公表する読売、朝日、毎日、産経4社の合計発行部数の約4割、810万部が「押し紙」だそうである。あまりのムダに唖然とする。新聞社、広告会社らいずれも厳しい経営を求められている最中に、この杜撰な公表数字は、企業からの広告辞退も増加するのではないかと懸念される。しかし、これが事実であるとするなら、やり方があまりにも無茶で無分別である。新聞社側は事実無根と猛烈な抗議をしているが、果たしてそう言って大丈夫だろうか。現在発売中の「週刊新潮」には、「押し紙」を運び出すグラビア写真まで露骨に掲載されている。今後新聞社側はどう反撃に出るか?

2009年6月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

759.2009 年6月11日(木) 温室効果ガス排出量目標数値決まる。

 昨日政府は日本の温室効果ガス排出量の中期目標を発表した。2020年までに、対2005年比で15%減の削減目標である。出来るかなぁというのが率直な感想だ。普通この数値目標を聞けば、大変厳しいと思う。その数値の算出方も中々手が込んでいて、京都議定書が調印された1990年を目標にしたり、国によってはオーストラリアのように2000年を基準にしたり、カナダのように2006年を目標にした国もある。

 どうしてこんな足並みの揃わない比較をするのか。目標値が自国にとって負担が少なく、かつ他国に対してアッピール出来るパフォーマンスだからだ。日本は経団連を説得して政治的な数字を出したつもりだったが、それでも発展途上国からの評価はイマイチである。だが、この数値が国際的にすぐ認められるというわけではない。12月に開催される「国連気候変動枠組み条約締約国会議」という長たらしい名前の会議に向けた日本政府の基本的目標数値となる。この後については、国際交渉で決まる。

 経済発展にブレーキをかける目標値であり、今後一層削減が求められるテーマであるだけに普く国民的視野から精査され検討されることが必要だと思う。

 今日一時的にせよ、東京株式市場の日経平均株価が8ヶ月ぶりに1万円台を回復した。その一方で、1~3月期のGDPが前期比で3.8%減である。年率に改定した数値だと14.2%減で戦後最悪だそうである。未だに経済は上向いて来ない。

 昨日パキスタンのペシャワールのホテルへトラックが突入した自爆テロにより、国連職員2名を含む死者18名が発生したが、狙われたホテル、パール・コンチネンタル・ホテルは9年前に宿泊したホテルだ。この辺りも9.11テロ以来ぐっと治安が悪くなった。もう一度行こうと思っても多分もう訪れることは出来ないだろう。

 多少下火になっているかと思った新型インフルエンザは、その後も感染者が増えてWHOでは今夜従来の「フェーズ5」から最高度の「フェーズ6」へ引き上げて警戒を呼びかけることになった。オーストラリアの感染者が増えたことで、これから冬の流行シーズンに入る同国への警戒を目論んだ節もある。いつまで待てば、心配が消えるのだろうか。

2009年6月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

758.2009年6月10日(水) 消費税12%?骨太の方針は大丈夫か?

 金融危機と経済不況により政府が補正予算を組んで財政出動した経済対策には、考え方としては基本的に納得出来るところはあるが、これに族議員が暗躍して群がり、あれもこれもと支出項目が増えバラマキ予算になった傾向は否めず、元々苦しい国家財政のわが国をいよいよ大借金国にしてしまっている。しかも、今後財政黒字国へ回帰する見通しも見えず、このままでは国は破綻することは自明の理である。これを政治家と官僚がそのまま放置して、益々国家財政の足を引っ張り、国民にやる気を失わせるていたらくである。

 それでも流石にこれでは不味いと思ったのか、漸く経済財政改革の「骨太の方針」素案が示された。

 それによれば、とりあえず基礎的財政収支を黒字化へ持っていこうとの考えである。すでに、小泉内閣時代に決めていた11年度内基礎的財政収支黒字化目標達成の可能性が消え、同時に決めていた社会保障費の削減も無理だと考えられ、根本的な計画練り直しと発想の転換を求められる事態となった。

 ではどうするのか? つまるところ財政再建のためにはなりふり構ってはおられず、消費税の値上げしかないということである。現在国と地方の債務残高はトータルで816兆円である。当面この抑制が柱である。試算によると11年度から消費税率を段階的に引き上げて17年度に12%にした場合、基礎的財政収支は18年度に黒字化するという。結局最悪で消費税は12%にまで引き上げられるということだ。しかし、どうやっても国民の負担である日常経費にかかる消費税の12%はきつい。現在の5%の2.4倍である。じわっと利いてくるような気がする。心配なのは、あの小泉政権下の骨太でさえ実行出来なかったものが、誰が次期首相になろうとはたして実行出来るのかどうかということである。あくまで、利益誘導の悪辣な政治家が関わらないということと、官僚が真面目に国民のことを考えて仕事をするという前提条件がMUSTである。

 それにしても朝令暮改ばかりで嘘つきの政治家と、上司の顔ばかり見て怠けながら仕事をする役人がいるようだと、また元の木阿弥である。

 ゼミ仲間の池田博充くんと久しぶりに銀座の小料理屋で食事をした。彼も昨年会社の要職を離れ割合自由時間があるという。相変わらず現実社会に問題意識を持っている。青土社から出版された弁護士・中村稔著「私の昭和史」のコピーをもらった。中村氏の父は予審判事だったが、ゾルゲ事件で逮捕され処刑された尾崎秀実について「自分が出会った日本人の中で最も偉いと思ったのは尾崎秀実、外国人ではリヒアルト・ゾルゲだ」と述べていたそうだ。コピーはその件を書いた部分である。興味深い内容のようだ。

2009年6月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

757.2009年6月9日(火) 幼友だち・椎名研二くんの訃報

 冒険作家・椎名誠さんから封書を受け取った。先日贈った拙著「停年オヤジの海外武者修行」に対する礼状に感想を書き添えてくれたものである。先日彼の兄・研二くんの動静について尋ねたが、それについても応えてくれた。悲しいかな研二くんは昨年亡くなったと書かれてあった。10年以上会っていなかった。

 誠さんからの封書は、冒険家らしく大きめの原稿用紙に筆ペンでダイナミックに書かれていた。全文は次の通りである。

 「先日はたいへんばくはつ的に面白い本をありがとうございました。旅が好きなので一気に読ませていただきました。パワーありますね。

 研二はおお酒のみがタタッて昨年亡くなりました。まあシアワセな一生だったとファミリーは思っています。

 またどこかでお目にかかれますことを。」

 椎名誠さんは、千葉市立幕張小学校(当時は幕張町立)時代の友人研二くんの実弟で7歳年少である。ガキのころ近所の椎名宅へ押しかけては家の中を荒らしまわって母上にご迷惑をおかけした。その時チビがいるなと思ったのが実は誠さんだった。彼の初期の作品「犬の系譜」や、その他の著作に研二くんはしばしば登場する。卒業後はそれぞれ別の中学へ進学したので疎遠になって、大人になってからクラス会で会う程度だった。研二くんは5年生の時東京から転入してきた。その数ヶ月後に私も同じクラスに転入したが、家が近く、お互いに野球好きで親しくなり、総武線で後楽園に巨人戦を一緒に観戦に行ったこともあった。研二くんの知られざる一面は、飛行機嫌いだったことと、大酒飲みだったことだ。

 同級生何人かで一度香港とマカオへ旅行した時に、彼を誘ったら飛行機が苦手だから行かないと言ったので、弟(誠)は大旅行家だから同じDNAを考えれば食わず嫌いでもったいない。行こうと何度も誘ったがダメだった。酒については、誠さんが書名は忘れたが著書に面白おかしく書いている。中央線電車内で酔っ払いが大声で暴れていたので、うるせぇ野郎だと思って顔を見たら兄貴だったので当惑したとあった。元々憎めない男だったが、都内にマンション住まいして他にも賃貸マンションを持ち、家賃で暮らしていると暢気なことを話していたことも忘れ難い。4月に開かれた最後の同窓会では、椎名研二くんの噂は誰からも出なかった。性格が明るく友だちも多かっただけに、同級生に彼の訃報を伝えたらがっかりするだろう。同じ年齢の仲間がこの世からひとり去り、ふたり去っていくのは何とも辛い。今度誠さんに会ったら思い出話をしてみようと思う。

2009年6月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

756.2009年6月8日(月) 「大逆事件残照」について

 5月19日から6月5日まで14回に亘って朝日新聞夕刊に「ニッポン人脈記『大逆事件残照』」という取材記が連載された。1面の3段記事に写真入りという紙面取りで中々読ませるものだった。竹久夢二、与謝野晶子、小林多喜二、荒畑寒村ら有名人も次々登場するし、意外な人間模様を紹介してくれて面白くすっかり引き込まれてしまった。今まで学生時代に専攻した社会主義思想の視点からだけしか大逆事件を捉えていなかったので、枝葉のエピソードや処世の話が面白かった。大逆事件も来年発生百年を迎えるが、当時日露戦争直後の軍国主義の風潮の中で、危険思想として社会主義を取り締まる警察権力の前に社会主義者は騙され捕捉され刑場へ、或いは獄舎につながれた。薄幸の生涯を送ったこういう人々に光を当てた考えさせられるドキュメントである。

 主犯とされた幸徳秋水、管野スガ、大石誠之助、宮下太吉ほかの業績や物語は随分読んだし、荒畑寒村のテレビ・インタビューも見たので、かなりはっきり全体像は掴んでいるつもりだったが、裏面史もかなり奥深い。処刑されたひとり、内山愚堂が箱根大平台の林泉寺の住職であったことなども初めて知った。新宮市の住職・高木顕明のように無期囚だったが、獄中で自死したものもいる。高木は結局真宗・大谷派から逆徒として破門され、永久追放されたが、今ではその処分も取り消され名誉を回復した。しかし、この間すでに85年の月日が経過した。

 宮下の無分別な言動から事件が発覚した長野県安曇野市、秋水の生誕地・高知県四万十市、和歌山県新宮市など直接事件とかかわる都市にまつわる話は知っていたが、地道な実話やエピソードは世に知られることなく忘れられていったのだ。このドキュメントも朝日記者の早野透氏が個人的な関心と執念から来年百年を迎える大逆事件を風化させないために筆を執ったものと思う。日露戦争に勝利して軍国主義が華やかだった時代に、反戦論や天皇制に物申すことはご法度だった。残念ながら秋水らの考えが、どんなものであろうと宮下という印刷工の行動により、罪のないものまで連座して捕捉されたのは、いかにも軽率であったという気がしてならない。

 しかし、いま検証するまでもなく、大逆事件について考えたり行動するのは何の障害もない。その自由なムードの下に当時検挙された人々の名誉回復が全国で図られている。この事件は同時代の反逆、騒乱事件の中でも格別特異な事件で、それだけに調査していても面白かった。学生時代に読んだ「寒村自伝」や、テレビで観た荒畑寒村のインタビューも内容的にとても興味のあるものだった。いずれ、もう一度「寒村自伝」を読み返してみたいと思っているほどである。

 とにかく久しぶりに好奇心を刺激された連載ものだった。

2009年6月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com