2010年10月

123610月1日(金) 年度の中間点を過ぎた。
 平成22年度も早やその半分が過ぎた。今日は4年半ぶりにNPO神田雑学大学の要請により、神保町の千代田ボランティアセンターで講師を務めた。「世界遺産152ヶ所を訪ねて」と題して、いつも通りUSBを持参してパワーポイントにより説明した。普段のようにレジュメを準備し、それに今日は自己紹介図解を添えた。早めに来られた人は、食い入るように図解を見てくれている。やはり嬉しいものである。
 パワーポイントはすでに他所の講義で使用したスライドに幾枚かを入れ替え、念入りに修正して興味を惹くように作り直したものである。いくつかあっと驚かせるような仕掛けをしたので、結構受けたようだ。「学長」の三上卓治さんから、吉祥寺の雑学大学も前回の最終講義以来大分時間が経過したので、来年早々にもやって欲しいと依頼された。年が明けたら考えてみたい。
 帰ってきて驚いたニュースは、今渦中の検察によるFD改ざん事件の大阪地検主任検事の上司だった、前大阪地検特捜部長と副特捜部長が最高検察庁によって逮捕されたことである。検察の権威の失墜が、ついにここまで来たかという感がする。容疑は、部下から証拠改ざんをしたとの報告を受けたのに、隠蔽したということから「犯人隠避」というのだそうだ。
 さて、昨日北朝鮮で「キム・ジョンウン」なる世襲三代目が、金王朝の後継者と公表された。朝刊紙にはこれまで子どもの頃の写真しか公開されていなかったが、漸く最近の集合写真が掲載された。しかし、27〜8歳と言われている割には、老けて見える。それに肥満体質で父親の金正日総書記にそっくりである。動画は代表者会で拍手をしている姿を除いてまったく紹介されず、提供されるのは集合写真ばかりで年齢も推測でしかない。どうして、ここまで国の最高スタッフの経歴を隠そうとするのか意図がよく分らない。
 「キム・ジョンウン」という姓名も漢字にはどういう文字を当てはめるのか、中国でも当て字が考えられず、先日「金正銀」と紹介していたようだ。ところが、今日の朝日夕刊には朝鮮中央通信社の発表を受けて、やっと「金正恩」と出した。加えて朝日は今後「金正恩」と表記することにするという。
 面倒な国である。一方の面倒な国・中国は今日が建国記念日、国慶節である。今日から7日まで祭日らしい。日本流に言えば、大型連休であるが、中国人はそんな悠長な気分でいるのだろうか。
 夜プロ野球セ・リーグで中日ドラゴンズの4年ぶりの優勝が決まった。最後まで混戦模様だったが、3連覇中の巨人が投手力の弱さで最後の最後に至ってこけてしまった。他のプロ野球関連ニュースによると横浜ベイスターズは、オーナー会社のTBSがテレビ局の中で唯一の赤字会社となり、チームを手放すことになった。後を引き受けるのは、住生活グループと言われ、同グループは現在諾否を検討中である。
 また、今日10月1日を期して、タバコが大幅値上げとなり、昨日から買いだめに走る喫煙者の姿や、禁煙に苦労している人々の涙ぐましい姿を紹介している。タバコはまったく吸わないのでその気持は分らないが、世界の大勢は完全に禁煙ムードである。昔は許容され大目に見られていた習慣も、段々窮屈になってきた。それも時代の流れというべきか。
123710月2日(土) 「知の現場」電子書籍化は10月中旬へ延期
  中国に関する問題は相手が国慶節で休みということもあり、暫し休憩で今大きな問題となっているのは、検察の証拠改ざんに関連するスキャンダルである。改ざんした主任検事はすでに逮捕され、元の上司も2人が昨日逮捕されたが、2人は逮捕した最高検に対して徹底抗戦すると強気に公言している。卑しくも逮捕された元上司とは、ひとりは大阪地検の元特捜部長であり、もうひとりは元特捜副部長である。そこには、残念ながら職務に対する厳正さも国民への責任も見られない。
 証拠品であるフロッピーディスクを改ざんしたことは事実であり、それを元上司に伝えたことまでは間違いない。元上司が敢えて最高検の逮捕に対して戦うというのは、2人が改ざんの事実の報告を受けながら過失によるものと説明するよう指示し真実を隠蔽したことを、最高検が犯人隠微と判断したことに対して、事実とは違うと反論しているのだ。重要な問題を検察庁内の内輪の問題にしてもらいたくない。
 事実は深い闇の中で今後どれだけ解明されるのか分らないが、やってはならない証拠品の改ざんなどと不届きなことを検察庁内でやってしまい、国民に失望感を与えたことについては深く反省してもらいたい。そのうえで容疑者に関する証拠品を改ざんしたという本質的な過ちを、検察庁内の別の問題とすり替えないでもらいたい。
 さて、知的生産の技術研究会で仲間とともに出版に協力した「知の現場」が、9月中に電子書籍化されると承知していたが、その後10月に入っても連絡がなく知研・秋田英澪子事務局長に問い合わせたところ東洋経済新報社に問い合わせてくれ、結局予定より遅れて10月中旬ごろに具体化されるとの返事をもらった。今では電子書籍化という言葉が流行して、これからは電子書籍化の時代だとの空気も流れている。実際のところ電子書籍は、概念としては何となく分るが、現実にはどういうことなのか良く分らない。早く手に取ってみてみたいものである。そうすれば、知人に「知の現場」の電子書籍についてPRし説明するのでも説得力があるのではないかと思っている。
 別の意味で待ち遠しい。
123810月3日(日) 戦没者遺骨収集事業は曲がり角に
 昨晩NHKで「‘追跡!A to Z’重大疑惑! 日本兵の骨は偽物か? 遺骨収集の闇」と題するショッキングなドキュメント番組が放映された。20年近くに亘って旧厚生省の戦没者遺骨収集事業に携わり、少なからず英霊の母国への奉還に協力させていただいたとの気持があり、また中部太平洋を始め、マーシャル・ギルバート諸島、東南アジア、シベリア、樺太、旧満州などの戦没地を歩き、ある程度遺骨収集事業の内情を知っているだけに、本事業の真意と主旨が少し別の方向へ歩み出している点に釈然としない気持と疑問を抱いた。
 当番組はフィリッピンにおける遺骨収集事業を取り上げていたが、最大の問題点は、国家事業であるべき「戦没者遺骨収集事業」が、安易に「空援隊」というNPO法人に丸投げされ、その「空援隊」が現地において自らの裁量によりすべてを取り仕切っていること、そしてその遺骨収集の実施方法にあると思う。
 以前は国家事業として、決して民間の介入を認めなかった。例え民間人が遺骨を1片でも収骨したら厚生省遺骨収集団に引き渡すか、或いは地元警察署に預けるか、の選択肢しかなく、戦没者の遺骨に対する考えも崇高で厳しいものだった。
 それが、番組によれば、いとも簡単にフィリッピン山中の部落で盗掘された現地人の骨を、日本兵の遺骨との確認もなく引き取り、持参した現地人に代金を支払っている感覚は、こと戦没者に関わることだけに戦没者を冒涜するものであり、とても尋常のことと思われず、その神経はまったく理解できない。この背景には、戦後長い時間が経過して関係者の多くが亡くなり、情報が得られなくなって異国の山野に散逸した遺骨も見つけにくくなった事情がある。結果的に年々収骨数は減少し、多くの費用を注ぎ込んだ割に成果が得られないとのジレンマもあったことは事実である。
 今から30年ほど前にこのまま巨額の国費を投じて遺骨収集事業をいつまでも続けるべきか否かの議論が沸騰したことがあった。当時はまだ多くの遺族、特に妻や子息が生存していたために、日本遺族会を挙げて猛烈な反対運動により継続されることになり、さりとて半永久的に続けることに、必ずしも全面的な賛成がなされたわけではない。その挙句苦し紛れに妥協して、「終了に近い継続」という意味合いで、「概了」という言葉を造り出して話題になり、遺骨収集事業も毎年継続されてきた。
 結論から言えば、例え成果は乏しくとも以前と同じように厚労省主導のやり方で継続すべき事業だと思う。この事業を行うことは戦後生き残った日本人としての英霊に対する誠意であり、責任と義務であると思う。
 残念ながら、今や役所にもNPO法人にも戦場における悲惨さを知っている人が極めて少なくなった。件の「空援体」のように、どれほど厚労省から補助金をもらっているのか分らないが、東京都内の家賃の高そうなビル内に事務所を構えながら事業を請け負ったり、一方で厚労省係官が質問に対して率直に実情を開陳しようとしない点はいかがなものかと思う。
 折角NHKが取り上げたことでもあり、今一度改めて問題の本質と性格を検討すべき時であると思う。例え「概了」であってもよい。細々とであってもよい。遺族がまだ生きておられるうちは、厚労省が主導的に半永久的に事業を続けるべきである。これについて事業仕分けで[NO]との判断が下されることはよもやあるまい。
 さて、今日は午後になって突然共著「そこが知りたい 観光・都市・環境」の拙稿に添える写真を撮りに行こうと思いついた。4枚の写真と2枚の図解を提供してすでに組版されているが、まだ1枚足りない。
 実は中国人旅行者が日本国内を旅行している写真が欲しかった。出版社でも探してくれるということだったが、まだ見つからないらしい。6日の打ち合わせまでに何とか見つけないといけない。明日は降雨の予想なので、一念発起して外国人が観光している場所として、デジタルカメラを手に銀座、浅草、秋葉原へぶらり出かけてみた。銀座は歩行者天国になっていて中国人を見つけにくく、浅草にはむしろ欧米人の方が多く、結局良い写真が取れず、最後の秋葉原でやっといくつかの中国人団体客に会い、何とかスナップを撮ることができた。これを編集者に気に入ってもらえるかどうかちょっと気になる。
123910月4日(月) 一時日本も核保有を考えた。
 俗に「西山事件」とも言われる、外務省外交機密文書漏えい事件に関しては、日本への核の持ち込みや、沖縄返還、沖縄米軍の駐留費用負担など闇に伏せられた案件がいくつもあるが、最近になってもうひとつ日本が核開発に前向きだった事実が、外務省保管の西ドイツとの外交文書で明らかになった。これを公表したのは、元外務事務次官だった村田良平氏であるが、村田氏は今年2月これをNHKのインタビューで公に話した後、翌3月に80歳で亡くなられた。「永久にごまかしをやって闇の中に放っておくより、真剣な議論をすべきだ」と述べ、在職中関係者の間では秘密裏に核開発について積極的に話されていたことを明かした。ガンで余命幾ばくもないことを悟ったうえで、このまま真実を明かさないで現世を去るのを潔しとしなかったのである。
 今年は私自身学生時代に参加した「60年安保闘争」50周年という節目の年でもあり、これに関連した大きな催しが各地で開催されているが、NHKでは安保以外にも中々硬派で、事実を解明したような意欲的な番組を放送してくれるので、随分勉強になる。
 昨日放映されたのはスクープドキュメント、「‘核’を求めた日本〜被爆国の知られざる真実〜」という番組である。
 実は1964年の中国の原爆実験により、日本は中国の脅威に晒されるとの懸念から、超大国を目指す以上核開発、核保有を目指したいと考えていた。敗戦、経済復興と日本と同じ道を辿った西ドイツは米ソの谷間で押しつぶされないよう願っていたが、秘かに日本側から核開発の話を持ちかけられた時には、西ドイツ外交筋も仰天したようだ。
 即ち1968年佐藤栄作首相当時、村田良平・外務省調査課長は、西ドイツ外交の先端にいたエゴン・バール氏(後の首相府副長官)ら3氏と日本から村田氏ほか外務省部長、課長2名が箱根で秘かに会って、日本が核の製造能力があり、その製造自体は難しいことではなく、西ドイツに米ソ二大国に対抗して核共同開発の提案をした。しかし、西ドイツは東西分離の国家情勢から日本との立場の違いを主張したので、結局この話は立ち消えとなった。
 一方、アメリカは核保有国の立場からその時点における核保有国をこれ以上増やさないと、日本に対して核拡散防止条約(NPT)への加盟を迫り、結局日本はアメリカの傘の下に入ることになった。
 それにしても、国はこれほどの重要な決定をまったく国民に知らせずに処理していたのである。その渦中にあって内閣調査室主幹だった志垣民郎氏が語った「外交には裏がある。国民はそのくらいは知るべきで、知らないのは国民がアホだからだ」との発言には、国家官僚の思い上がりも極まれりだ。国は真実を隠蔽して、国民は自ら勉強して知るべきだとの言い分は、あまりにも国民を愚弄している。
 1974年佐藤元首相のノーベル平和賞授与式におけるスピーチ原稿から、核絶滅への高邁な表現「日本は非核三原則を宣言し、世界中が核廃絶を念願し、世界が日本の非核三原則に従ってくれるよう希望する」との文言が突然削除された。その数日前佐藤首相が来日したキッシンジャー国務長官から、それとなくアメリカはその文言を歓迎しないと聞かされたからである。肝心なその言葉を世界への核廃絶のメッセージとして発信することに賛成していた学者の中に、高坂正尭・京大教授、京極純一・東大教授、そしてわれらが梅棹忠夫先生が含まれていたのである。梅棹先生の思いもノーベル平和賞受賞式では佐藤元首相には、まるで通じなかったようだ。
 国連軍縮会議では、日本はアメリカに遠慮して棄権したり、反対票を投じたり、核廃絶に向けたアピールは年々弱くなった。日本国内ではあまり知られていないが、当時のメキシコ国連軍縮大使の如きは、核絶滅の動きに対して日本の姿勢に一番がっかりさせられたと述べた。結局密約の空気が軍縮の動きを日本国内で今ひとつ拡大させない理由ではないか。一方で、ドイツの核廃絶運動は大きな広がりを見せている。
 その意味でも少数派の西山太吉氏、吉野文六氏、村田良平氏らは国の将来を憂いていた勇気ある人たちだと言うべきであろう。
124010月5日(火) 小沢一郎・民主党前幹事長、強制起訴へ
 昨日の夕方からメディアの伝える情報が周囲で喧しくなった。小沢一郎・民主党前幹事長に対する東京第五検察審査会が小沢氏に対して政治資金規正法違反容疑で起訴すべきとの議決を公表した。これにより小沢氏は強制起訴される。
 小沢氏起訴は、数多くの、そして極めて難しい問題を提起している。すでに検察では2度に亘り証拠不十分として不起訴処分とした。一方検察審査会は2度に亘り起訴相当として、今回起訴議決、強制起訴となったものである。
 起訴か不起訴かの判断を委ねられている法律の専門家である検察が下した不起訴の判断が、素人の検察審査会の判断で覆された。今後裁判となった場合、検察の役割は裁判所が指名する弁護士が果たすことになる。指名された弁護士は、これまで検察が持っていた証拠をすべて引き取り、新たな証拠を見つけ出して小沢氏の違法性を立証し、有罪の根拠へ持っていかなければならない。検察業務を行う弁護士にとっては一からのスタートであり、長い茨の道が予想される。証拠を集めて立証するには相当な壁がある。専門家は決着には、1年から数年の時間がかかるだろうと考えている。取り敢えず公判は来年になるだろうと予測されている。
 この小沢氏の起訴は、政界にも多くの波紋を投げかけた。野党が鬼の首でも取ったように勢いづき小沢氏に議員辞職を迫るのは当然としても、小沢氏が半月前に民主党党首選で闘った大物で時限爆弾を抱えているため、この先の思惑と動向も絡んで民主党内をも揺さぶっている。
 衝撃的なのは、われわれにも可能性のある裁判員が参加した検察審査会で下された「起訴議決」が、専門家の検察官が下した「不起訴」に優先する判定となったことである。これには法律で認められているとは言え、一部の法律家の間でも問題視する声がある。確かに客観的に見て、小沢氏の行為は法に触れているような感触があり、加えて小沢氏の政治資金団体「陸山会」のカネの出入りが不透明であることは誰の目にもはっきりしている。
 しかし、それにしても法の番人である検察が2度までも証拠不十分との判断を下したのである。結局黒白の決着を公開の場、つまり裁判で明らかにしてほしいというのが裁判員の強い希望だったのである。国民の気持としてもそうだったと言えるのかも知れない。今や素人の考えを無視できなくなったのである。世間の見方は大きく変わっている。小沢氏はその辺の空気を見誤ったと言うべきかも知れない。
 難問山積の国会の場で、小沢氏起訴問題ばかりが取り上げられるなら、政治が機能しなくなる恐れがある。小沢氏はあくまで身の潔白を主張して、長い裁判に関わりながら一兵卒としてこのまま一身を国会活動に捧げるのだろうか。潔く民主党を離党するのか、或いは国会議員を辞職するのか、目が離せなくなってきた。本人はいずれもその気はないらしい。
124110月6日(水) 日本人科学者2人にノーベル化学賞
 今日夕刻になって嬉しいニュースが入ってきた。ノーベル化学賞受賞者に日本から鈴木章・北海道大学名誉教授と、根岸英一・パデュー大学特別教授が選ばれた。一昨年4人の日本人が受賞したのに続く快挙である。これで日本人のノーベル賞受賞者は18人となった。
 さて、このところ本ブログに取り上げているテーマが、その後も大きなニュースとなっていくケースが多い。昨日厚労省のフィリッピン戦没者遺骨収集事業に関して記者会見した細田律夫大臣は、今後の遺骨収集事業について不適切な点があるかどうか検証していくと述べた。フィリッピンの遺骨収集作業で現地人の人骨を、不謹慎にも日本人兵の遺骨として「買い取り」、一部の悪質な現地人を潤すことがあり、現地でも遺骨収集作業そのものに反発する空気が生まれていることを取り上げたドキュメントが2日NHKで放映されたことを受けて、調査することになったようだ。当然のことであるが、以前と同じように厚労省が本来の主旨を充分理解して、厚労省主導できちんとやっていれば問題は起こらなかったはずである。問題になった以上しっかり検証して、厚労省が手抜きをせず事業を継続してほしいと願っている。
 もう一点最近の検察について、今日駒沢大学・清田義昭講師の講座で冤罪について重いビデオを見せてもらった。NHKが昨年放映した1時間30分の「裁判員へ 元死刑囚免田栄の旅」と題する力作である。免田さんは自分が冤罪で34年半もの間服役し、出所した時は57歳になっていた。
 現在84歳になった冤罪の被害者が、年金ももらえず生活も不安定な中で、冤罪で死刑を宣告された受刑者を支援するために国内外で活動している地道な行動を追っていた。
 さらに、裁判員制度導入により法律の素人である裁判員が裁判に立会い、判断を下すことについて、アドバイスと警告を行っていた。免田さんは、裁判員に対して自分が冤罪で容疑者とされる可能性があることもよく考えて判断してほしいとアドバイスしている。免田さんに敬服するのは、自分がはめられた個人的な不幸に対する復讐を考えるよりも、こういう冤罪をなくすための活動、現在冤罪に苦しんでいる受刑者を救うことに力を入れていることだ。
 免田さんの日本の裁判史上でも話題となった、甲山事件と袴田事件への支援取り組みに対する姿勢には頭が下がる。甲山事件では無罪になった心身障害児施設の元職員が検察控訴によって有罪の逆転判決を下されても、その都度控訴して「三度の無罪」判決を勝ち取った異例の裁判である。袴田事件は、最高裁で受刑者袴田巌の死刑が確定したが、三人の裁判官のひとりである熊本典道氏が無罪を信じて、裁判官を辞職して応援した。免田さんはこの裁判官からも悩みと苦しい心情を聞きだしている。
 小沢一郎強制起訴でプロの法律家と素人の裁判官の判断の違いが、論議を呼んでいる。ドキュメントを観ていて痛切に感じることだが、人の運命を分ける冤罪は絶対あってはならないことであり、「疑わしきは罰せず」の真意をもう一度しっかり肝に銘じるべきではないかと思った。
124210月7日(木) 根岸英一先輩にノーベル化学賞
 昨日に続いてノーベル賞に関わる嬉しいニュースがあった。ノーベル化学賞を受賞した二人の科学者のうち、アメリカ在住の根岸英一さんが何と母校・湘南高校の卒業生であることを今日の夕刊とテレビ・ニュースで知った。早速卒業生名簿で調べてみると根岸さんは昭和28年卒業だから、私の4年先輩に当たるので在学中は残念ながら接点がなかった。ストレートで東大理一へ進んで、同級生の話では在学中学年ではいつも1〜2番の成績だったそうだから、相当優秀だったことが想像できる。
 母校はかつて夏の甲子園で全国優勝し、サッカーでも全国優勝して文武両道校と喧伝され、しばしばマス・メディアにも登場した。一時は東大へ毎年80名前後も進学して進学名門校としても名を馳せたが、その後学校群制度導入により優秀な生徒が私立校へ進学して、神奈川県内公立校としての地盤沈下が始まった。かつては男子生徒が圧倒的に多く、私の同期生は生徒数401人のうち、女子は僅か26人しかいなかった。それが、今ではむしろ女子の数が男子を上回るようになった。スポーツが弱くなったのはその影響もあると思う。
 石原慎太郎先輩らも一時母校に質実剛健の気風が薄れるのを懸念して、大分前に学校群制度の廃止と学区の拡大を働きかけたように仄聞した。まさかその影響でもあるまいが、少しは以前の校風に近づいてきたようだ。だが、どうしても受験戦争の影響が強く名門私立校へ進学する傾向は止まず、根本的な解決にはなっていない。
 それでも近年は一時のどん底に比べれば、少しは往年の伝統校らしさが戻ってきたようだ。先日韓国テレビ局のKBSが母校を訪れ取材して、日本の文武両道のモデル校として韓国国内で放映されたようだから、海外でもその名を少しは知られるようになったかも知れない。
 幸いラグビー部はわれわれの時代より遥かに力をつけ、かつてのように弱小チームではなくなった。久しぶりに慶応でレギュラー・ポジションを獲得した栗原大介くんのような逸材も現れてきた。
 根岸先輩最近の若者に対して素晴らしいことを言ってくれている。彼らへ贈る言葉として「若いうちに単なる観光ではなく、ひとりで海外へどんどん出て外から日本を見てほしい」と正にわが意を得たりの発信をされている。私自身実際そのように感じているし、若い時にひとりで海外を歩き、それが現在の著述業という仕事にかなり役立っていると考えている。海外をひとりで歩いて随分多くのことを学んだ。根岸先輩は若い時代にアメリカで学び、アメリカで研究生活を送ってこられたようだが、単に象牙の塔に篭っているようなことはなく、異文化社会をみてその息吹を実感しておられるのだと思う。素晴らしいことを、またわれわれにとっても刺激的なことを発信してくれた。
 折りも折り例年開催の東京湘南有志会が、来月26日に先輩の森ビル社長・森稔氏がオーナーの六本木のアークヒルズクラブで開催される。きっと盛り上がることだろう。楽しみにしたい。
 それにしても先輩がノーベル賞を受賞されるとは、何とも誇らしく、嬉しい気分である。
124310月8日(金) ノーベル平和賞は中国の民主化運動家・劉暁波氏に
 このところ連日ノーベル賞の話題で持ちきりである。昨日は文学賞受賞者が発表されたが、ひょっとすると受賞の可能性があると注目されていた村上春樹氏が賞を逃したことで緊張がほぐれた。
 さらに今日は平和賞受賞に際して、中国の民主化運動活動家で作家の劉暁波氏に受賞されるかどうかに世界中の視線が注がれた。予想されていたように、平和賞は劉氏に決まった。事前に中国政府が、劉氏は中国の法律を犯した犯罪人で、そのような人物にノーベル賞を授与することはノーベル賞の主旨に合致しないし、ノーベル賞の権威を失墜させると中国流の過剰な警告を発していた。仮に劉氏に賞を授与するなら、ノルウェイと中国の外交関係に支障を来たすことになるだろうとの尊大な圧力もかけていた。
 劉氏は天安門事件の中心的な活動家として、かねてより中国政府が監視を怠らなかった人物だが、2008年に中国共産党の一党独裁を批判する「08憲章」を起草しウェブサイトに発表して、国家政権転覆扇動の罪で捕えられ懲役11年の刑が確定して現在服役中である。
 中国政府の反応はまだ正確に伝えられてはいないが、このホットニュースを中国国民に知らしめることに神経を尖らせている中国は、日本からの海外ニュースや、中国国内の外国メディアから発信される情報を遮断すべく、テレビ画面に一時暗幕をかけて国民の知る権利を奪ってしまったようだ。政府に批判的な民主化運動と言論の自由を国民が知って、第二の天安門事件やクーデターの発生を恐れているからだ。
 さて、一方で最近の急激な円高に対して日本政府は先日一部為替市場介入を行ったが、あまり効果的でなく、ついに1ドル=82円台まで進んだ。この円高相場に対して次の手を打つべく思案中である。
 これに対してG7財務相・中央銀行総裁会議がまもなくワシントンD.C.で始まる。G7に先立ち温家宝・中国首相は、もし人民元が高くなれば多くの輸出に頼っている中国企業は倒産し、地方から出稼ぎに出ている農民は故郷に帰らなければならなくなり、中国社会は混乱すると、相変わらず自己中心的な理由で諸外国からの人民元切り上げ圧力を跳ね返そうとしている。これも中国の自分たちの論理だけを押し通すいつもながらのやり方である。中国が人民元の固定相場を維持させて、人民元安のまま各国の批判を交わそうという虫のいい論理である。世界も中国のずるい戦略を見抜いて、何とか自分たちの利だけを追求しようという中国を説得しようとするが、したたかな中国には中々通じない。
 平和賞にしろ、人民元安にしろ、中国は自分たちの都合だけを優先させて、これから経済大国としてどう世界に対して責任を果たそうというのか。今後の動向を注目してみてみたい。
124410月9日(土) 劉暁波氏ノーベル賞受賞にてんやわんやの中国
 劉暁波氏のノーベル平和賞受賞が大きな波紋を呼んでいる。やはりと言うべきであろうか中国政府が強く反発している。中国政府は自国の権威と実力の評価を高めてくれると考え、近年ノーベル賞受賞を強く渇望していた。あれだけの人口を抱えながら、過去に中国在住の中国人でノーベル賞を受賞した人はいなかった。国際ペン大会のため来日したノーベル賞作家の高行健氏にしても母国を離れ、今ではフランス国籍を取得しているし、チベット仏教最高指導者・ダライ・ラマ14世にしても中国を追われ、海外生活が長い。それが今回は中国在住者で正真正銘の中国人であるが、劉氏の言動が政府のお気に召さず、劉氏は刑務所に収監されたままである。
 中国政府はノーベル賞をいただきたいが、それは中国にとって都合が良い形でという条件付だったのである。胡錦祷・国家主席に授与されるなら大歓迎だっただろう。況や自国にとって犯罪行為を行ったと断定した人物に、外国が彼らの基準で国際的評価を下すというのは、へそ曲がりの中国にとっては内政干渉であり、許し難いと捉えているようである。
 案の定海外における中国の評判は中国にとって頗る芳しくない。今回の非常識なパフォーマンスは国際社会における中国の信用を著しく低下させるものである。昨年の平和賞受賞者はアメリカのオバマ大統領だったが、そのオバマ氏が即座に中国政府に対して拘束中の劉氏を釈放するよう呼びかけた。ほかにも民主化運動の活動家たちが中国政府に身柄の解放を求めている。
 毅然としているのは、トールビョルン・ヤーグラン・ノーベル平和賞選考委員長である。平和賞を授与した最大の理由は、民主主義と人権が世界平和には不可欠だからと語った。更に中国は大国として批判や監視、議論の対象になる責任を引き受けなければならないとも述べた。当然のことである。中国はいつまで経っても利己的な自己主張ばかりして、他国のことをまったく配慮しない。まるで駄々っ子だ。再三にわたる中国政府の嫌がらせや圧力に対して、委員会は政府から独立した組織であり、まったく考慮していないと一顧だにしていない。
 それにしても今回の劉氏への平和賞授与は、世界的に大きな関心事となったのであろう。ウェブサイトを見ても新しい書き込みが随所に見られる。それだけ日本でも多くの人々の関心を呼んでいるのだろう。反って中国が早く目覚めるきっかけになるかも知れない。
 ところでワシントンD.C.で開催されたG7で世界的な通貨安戦争について議論が交わされたが、結局中国政府の対応が焦点で、人民元の切り上げを促す姿勢で参加各国は意見の一致を見た。今や世界は偏屈国家中国のつむじ風に席捲されている。その中で先日中国において逮捕されたフジタ社員4人のうち、ただ一人拘束されたままだった社員が、やっと今日解放された。
12451010日(日) 北朝鮮が朝鮮労働党創建65周年軍事パレード
 相も変わらず中国関連ニュースがひっきりなしである。拘束されていたフジタ社員が昨日解放され、今日帰国した。中国を刺激しては今後の仕事上不味いと考え会社から釘を刺されているのか、逮捕の理由、ひとりだけ残されたわけ、そして中国当局に対する意見などについては禁じられた地域に足を踏み入れたと過失を認め、あまり刺激的なことは語ってくれない。多分政治的な理由が隠されているので、現状では多くは語れない状況に置かれているのだろう。
 一方、ノーベル平和賞を受賞した収監中の劉暁波氏と妻の面会が実現したようだ。受賞の知らせは妻の口から直接伝えられたのではないか。劉氏はこの受賞を聞いて何を思っただろうか。本心を聞いてみたいものである。収監されている東北部の遼寧省錦州の刑務所周辺には外国メディアが押し寄せ、厳重警戒している公安当局ともめて取材も妨害されている。当局の過度の警戒の様子は尋常ではない。
 ノーベル平和賞と劉暁波氏、それぞれについて中国人はあまり関心も知識もないようだ。無理もない。昨日中国国内からノーベル賞関係の情報が発せられるテレビや、日本を始め海外から伝えられるこのニュースに関しては、突然映像が黒画面に変わり放映不可となり、国民には伝えられていない。完全に国家による情報管理であり、不都合なことは国民に知らせようとしない中国の姿勢が世界中に宣伝されてしまった。ノーベル賞選考委員長がいくら中国は大国としての責任を負わなければならないと言ったところで、情報管理国家・中国には馬耳東風なのである。
 もうひとつの嫌われ者国家・北朝鮮では、今日朝鮮労働党創立65周年を祝う大軍事パレードが首都ピョンヤンで行われた。3年ぶりに革命広場で行進する軍隊だけを見ていると、勇ましく国威発揚にはもってこいである。その陰には、大洪水とデノミの失敗で抜き差しならなくなった財政事情を隠し、大パレードは朝鮮中央テレビを通じて国際社会へ伝えられた。これには、先日要職に就いたばかりの後継者・金正恩幹部を内外へアピールする狙いがあるようだ。
 自然災害によって悲惨な状況に追いやられた地方の農民を抱えながら、巨大な経費を投じて核弾道ミサイルまでお披露目して大式典を行う金一族の腹の内が分らない。これらのミサイルは、すでに日本海を射程距離内に収めているという。物騒な国である。
 偶々取材を認められたアメリカのCNN特派員が、北朝鮮取材班のカメラを茶化しながら、「このカメラは古いもので、未だにフィルムを使用しています」などと口走っていた。
 金正日一族の権威を守ることだけを目標にして、国家を支配している北朝鮮がこの先どういう動きをするのか不気味である。親分格の中国もなりふり構わない強権国家となったので、不愉快であまり気分は穏やかではない。
12461011日(月) 国際協調の時代になったが、現実はどうか?
 飯田ゼミの遠藤靖子さんから翻訳に携わったNHKの取材番組「カナダ大自然とともに生きる父と娘の苦闘」が今朝放映されるので、観てほしいと昨日メールをもらった。
 今日から29日まで名古屋で国連地球生きもの会議(COP10)が開かれている。NHKはそのほかにも今日朝から7時間ほど生物多様性の保護に関する番組を放映していた。前記番組は日系カナダ人、デビッド・スズキ博士一家の環境保護への取り組みを取り扱ったものだ。父親のデビッドは日系三世で33歳にしてブリティッシュ・コロンビア大学教授になった環境問題の専門家で、長い間テレビ・キャスターとして環境保護を訴えていたカナダでは著名な科学者である。娘のセヴァンは12歳でリオの国連国際環境会議でスピーチを行い注目を集めた。今では父子ともに地元で地球環境保護に取り組んでいる。見終わってから短い感想を遠藤さんへ送信したが、こういう大きな問題の取り組みは個人では難しいと思う。国を挙げて、国際社会を挙げて取り組まなくてはとても実現は難しい。どうしてもただで手に入る自然資源は、私的に利用しようとする人が出てくるからである。そこで奪い合う人同士で争いが起きる。同じ国内においてもそうだから、国際間では各国の利害が絡み合って規制することは一層難しい。COP10開催前夜の昨晩も、各国の虚々実々の駆け引きが行われ、大筋の合意はできた。一歩前進であるが、具体案になるとそう簡単にはいかない。閉会までに結論が出るだろうか。
 先日は為替協調のためにG7が開かれた。ここでも方向は決まるが、具体的な中身は決まらない。今日はベトナムのハノイでASEAN国防相会議が開かれている。日中防衛相対談が行われたが、最近の刺々しい両国の関係を象徴するように、重要な課題は話し合われなかった。日米会談が北沢防衛相とゲーツ米国防長官との間で行われた。この中で@おもいやり予算の増額、A普天間基地移設、B武器輸出三原則の見直し、について話し合われた。事前にアメリカ側から尖閣諸島を日米安保の枠組みの中で考えるとの回答を得たことに力を得た日本が応じようとしている。だが、3つともいずれも日本国内ではすんなりとはいくまい。
 今やひとつの国の努力だけではもうどうにもならなくなっている。ともに協力して相手に立ち向かうというのが、国際問題の話し合いのベースになっている。ニュアンスは異なるが、地球環境保全についても、一国だけの努力では最早どうにもならない。
 難しい時代になったものである。そうなると自我を主張して、いつも対立する中国の存在は厄介である。11月には横浜でAPECも開催される。自分のことばかり考えているようでは、いつまで経っても問題は解決しない。その点で日本の政治家をあまり当てにできないのが、何とも情けない。国内問題だけに熱心で、国の外交については哲学がなく、協調性の欠如が見られ、その貧困な外交能力には、国の将来を考えると心配である。
 さて、今日は体育の日である。いつも通り駒沢オリンピック公園へウォーキングしたら、スポーツ博覧会というのをやっていた。
12471012日(火) 日米安保条約の背後にあるもの
 今年は「60年安保闘争」50周年記念の年に当たる。敗れたりとは言え、あの時われわれ学生は権力に対して闘ったのである。今年国内各地でいろいろな催しが開かれているが、その中でNHKが、先月安保特別番組として4回に亘って「安保とその時代」を放送した。その中で1、3回分を録画しておいたので、今日は9月上旬に録画した第1回分「日米安保を生んだ冷戦」を観てみた。
 終戦から昭和26年のサンフランシスコ平和条約締結までの国内外の政治、社会情勢を巧く映し出していた。当時の細かい点は大方忘れてしまっていたが、日本の米軍基地常駐の経緯や、戦後日本国土の占領をアメリカだけが担った事情を事細かに解説して、改めて納得できたように思った。
 日本にとって何が幸いし、何が不幸につながったのかは、何とも言えないが、はっきりしているのは、日本の国家統治について当初アメリカ以外に考えられていたイギリス、ソ連と中国が関与せず、結局アメリカ一国だけが占領政策を行ったことは結果的に良かったのではないか。仮にソ連が占領したら、朝鮮半島やドイツの占領政策と同じように国が分裂され、恐らく北海道はソ連に占領され、現在の北方四島と同じ道を辿ってしまったかも知れない。
 大戦直後は、戦勝国にもそれぞれお家の事情があり、日本領土は喉から手が出るほど興味があったようだが、ソ連にしてみればヨーロッパの中でルーマニア、ブルガリア、更に東欧と呼ばれた社会主義国家を指導し、彼らのリーダーとして体制を束ねていくことにエネルギーを使わなければならなかった。とても極東の小国まで支配する余裕がなかったのである。中国は、中華民国と中国共産党の内戦でそれどころではなかった。イギリスにしても、大戦の代償は大きかった。植民地だった途上国が続々独立し、その後始末にてんてこ舞いをさせられている状態だった。
 結局これらの国々の事情により、アメリカだけが日本を統治支配することになった。朝鮮戦争が始まると米軍基地が日本各地に設置され、それが今日まで継続している。漸く昭和26年になってサンフランシスコ平和条約が締結され、同時に日米安保世条約が発効した。それが表面的には今日まで日米間の絆となり、日本はアメリカの軍事力によって安全を保障されている。
 しかし、これからの日米軍事同盟は維持していくのが中々難しい。日本国内にある米軍基地、とりわけ今問題となっている沖縄・普天間基地があり、そこに中国軍事力の脅威が増大され、日本の安全のためには日米共同をスムーズに進めなければならない。
 今日から衆議院予算委員会が始まった。与野党の論戦が展開されたが、相変わらず鞘当てばかりで建設的な議論が見られない。
 尖閣諸島問題の中国人船長の釈放ばかり言い合っているが、日本がとりあえず中国から緊急避難できるのは、アメリカが声明した日本との共同歩調(尖閣諸島海域は日米安保の範囲内)が効いていることは間違いない。是々非々は別にして、日本はアメリカからの厳しい要求、偶々昨日本ブログに書き込んだ3つの内容について議論をして早く結論を出すべきではないのか。
12481013日(水) チリ落盤事故の作業員救出作業始まる。
 午前中海事センターで近著「そこが知りたい 観光・都市・環境」の最終校正の打ち合わせを行った。出版社からも表紙デザインに関して5種類ほどサンプルを提示され、それぞれ特徴が表れて良いと思ったが、テーマから推してデザインに動的なイメージが表れることが重要と考え、その中の一案を推薦したところ他の執筆者も同意してくれたので、スムーズに一件落着となった。これから拙稿の文字、表現をチェックして一両日中に出版社へ届けようと思っている。出版予定日については1110日と印刷されているが、4日に札幌で開かれるJAPAN NOW観光情報協会主催「観光立国フォーラムin札幌」セミナーで参加者に配布する予定であり、いよいよラストスパートに入った。出来上がりを楽しみに待ちたい。
 さて、大学の後輩で息子たちの家庭教師を務めてくれたSさんから、転勤のハガキをもらった。確か一昨年だったと思うが、中央官庁課長職から、地方の国立大学へ転出して学生との研究活動に関わっていたが、今度は中央行政職に就任したとの連絡である。まったく慌しい異動で、これでは腰を落ち着けて仕事に専念できないのではないかと心配になる。ましてや大学教授と国家の役人では仕事がまったく違うと思う。もう少し準備期間なり、仕事の成果を発揮できるような態勢考えてあげられないものだろうか。
 文面を読むと事前に異動の打診があったと添え書きされていた。「本来来夏まででしたので、学生たちへの指導や研究活動、当地での生活自体についても、大変名残惜しい気持で一杯です」とある。国家行政の要職に就いたのだから、喜ぶべきことなのかも知れないが、失礼ながら外野席から見ていると中途半端な人事に思えて仕様がない。「栄転だとは思いますが」などと余計な文言を付け加えて、二男の結婚報告と併せ激励のメールを送信した。元来優秀な人なので、これからも新しい職場で才能を発揮して実績を上げてくれることを期待したい。
 ところで、昨日からチリの炭鉱落盤事故救出作業が急に早まったと世界中の関心を呼んでいる。当初は12月中に救済できるとかなり先の長い話だったが、ここへ来て計画が急ピッチに早まり、遂に今日最初の作業員が地底700mから救い出された。
 1985年にステンレス・ミッションにお供して、ロッキー山脈山中にあるコロラド州キーストーンのアマックス社ヘンダーソン鉱山で地下600mまでエレベーターとトロッコで潜ったことがある。坑道はそんなに狭くなかったが、それでもその時随分圧迫感を感じたものである。それが事故により最初の内は地上とも連絡がつかずに、こんなに深い息苦しい地底に69日も閉じ込められるのは辛い体験だったと思う。それに耐え抜き、今日次々に救出されているのは素晴らしく、実にめでたい快事である。現時点で全員が救出されたわけではないが、それにしても33人の作業員が揃って救出されようとは、素晴らしい成果である。
 NHK「ニュースウォッチ9」の大越健介キャスターが、閉じ込められた状態で全員が示した結束力と最後に救出されるウルスアさんのリーダーシップを誉め称えていた。現場監督のウルスアさんは閉塞状態の中で冷静に@現状把握、A本質の分析、B優先順位重視、において並外れた危機管理能力を示してくれた。いざとなると世間にはこういう隠れた異才がいるものである。天晴れである。
12491014日(木) チリ落盤事故作業員救出とアメリカの核実験
 今日チリ落盤事故で地底に閉じ込められていた作業員が全員救助された。世界中から報道員が1000人以上も押し寄せ、鉱山の事故現場では、チリ大統領を始め政府関係者、家族、鉱山関係者を含め大勢の人が祝福ムードで生存者を迎えた。最近これほどショッキングにして祝福ムードの出来事も珍しいと思う。
 今日の報道でも、危機管理能力とリーダーシップを遺憾なく発揮したルイス・ウルスアさんの手腕をベタ誉めである。大統領自身直接ウルスアさんを高く評価し、国家の誇りに思うと述べた。ウルスアさんのバックグラウンドには経営学者でもあり、社会学者でもあったピーター・ドラッカーの強い影響があるという。ドラッカー著「マネジメント」にある「リーダーは危機に際しては先頭に立つ」が正確に実践されたのである。ウルスアさんの行動で感心するのは、事故直後に僅か数日分しかない備蓄食糧をどうやって救助までもたせるかと考え、まず最初に救助は20日後には開始されると判断して、33人が20日間耐えられる食料配分を計算して、全員に理解させ協力させたそうだ。この冷静な判断はどこで鍛えられたのだろうか。敬服するばかりである。
 さて、チリの作業員救出に目を奪われている間に、ドラ猫のようにこっそり悪事を白状した国がある。超大国アメリカ合衆国である。オバマ大統領は自身の核廃絶の動きに逆行する核実験を行ったのである。アメリカ政府は未臨界核実験と発表して、エクスキュースしているつもりかも知れないが、核爆発があったかなかったかの違いだけで核実験は確実に行われていたのだ。それをチリの落盤事故作業員救出作業で世界中が固唾を飲んで見守っている最中にこっそりやっていたのだからタチが悪い。不届き千万である。こういう行為を鬼の居ぬ間のなんとかと言い、古来日本ではあまり良い意味では使われない。
 オバマ大統領は、昨年4月チェコのプラハで核廃絶への覚悟を世界へ向けて颯爽とアピールし、世界中の人々の喝采を浴びた。核廃絶への動きは少しずつ動き始め、昨年のノーベル平和賞はオバマ氏へ授与された。このノーベル平和賞はオバマ大統領の平和活動と核廃絶への努力に対する期待賞であることは本人も承知のはずだ。今年の広島原爆平和祈念祭に初めてルース駐日大使が出席し、確実にアメリカの核廃絶への歩みを見せてくれていた。広島市民、長崎市民はもとより全日本国民も大いに期待していた。
 それがこともあろうにオバマ大統領たるもの、核反対者の望みを傲然と裏切ったのである。これからアメリカとオバマ大統領は核廃絶に向かってどう行動しようというのか。真意を説明してもらいたい。オバマはメッキが剥げてもう信用できない。ノーベル平和賞は即刻返上すべきである。まったく失望した。
12501015日(金) 何もやらない自分勝手な政治家
 経済低迷、株安基調につれ、このところ円高が大きく注目されている。政府は円高進行に対しては断固たる措置を取るといいながら、先日のG7以来打つべき手がなく「慎重に推移を見守っていく」とのスタンスのままである。連休の11日にはオーストラリア相場で円高が進み、一時1$=81円台に突入した。すぐに82円台まで戻したが、昨日もロンドンでは一時的に80円台を記録した。15年ぶりの最高値79円台は目の前だ。
 ミスター円、こと榊原英資・青山学院大教授によると、大きな円高の流れの中で市場介入を行っても限定的な効果しかないそうだ。浜矩子・同志社大教授の如きは、このまま推移するなら、場合によっては1$=50円も想像できなくはないとドキッとするような発言をしている。そうなったら、日本政府の市場介入より国民の市場介入により国民が挙ってドルを買いドル高相場へ誘導して、輸出に拍車をかけ、ドルが上がったところで国民は売って一儲けするシナリオはどうだろうか?
 今開かれている国会では、円高に関する議論はほとんどなされていない。決まりきったように菅首相、野田財務相、大畠経産相、仙石官房長官らが個々に必要なら断固たる措置をとると語ったに過ぎない。これがノー天気な政治家の現実の姿である。こんな調子では、当分円高傾向に歯止めはかからないだろう。
 一方で、今日もうひとつ政治家の驚くべき動きがあった。先日東京第5検察審査会の起訴議決を受けた小沢一郎・民主党元幹事長が、「議決は違法で無効」として国を相手どり、起訴議決取り消しと検査官役となる指定弁護士の選任手続きの差し止めを求める行政訴訟を東京地裁に起こした。まさかここまで強引な行動に出るとは思わなかった。
 起訴議決を巡る提訴は初めてである。小沢氏の弁護団は「起訴議決は検察審議会の権限を逸脱しており、全体として違法で、裁判所の判断を仰ぐのは当然の権利だ。小沢氏の政治活動への制約は深刻で、起訴を待たねばならないとしたら、そのこと事態が憲法違反だ」と会見で述べた。どうしてこういう論理になるのだろうか。憲法違反になるルールを国会で通したのは、政治家自身ではないのか。その政治家の中でも最も力を持って行動したのは小沢氏本人ではなかったか。明らかに論理のすり替えである。一度自分が不利な立場に追い込まれるとなりふり構わず、自分たちで作った法律の不備をあげつらう。こういう自分本位の人間が政治家づらしているようでは、日本の政治が良くなるはずがない。
12511016日(土) 母校ラグビー部1回戦で完敗
 近所にお住まいの先輩の和田正温さんをお誘いして、今年初めて母校・湘南高校へ出かけた。母校グランドでラグビー全国大会神奈川県予選1回戦4試合が行われた。第1試合で湘南は県立希望ヶ丘高と戦った。学校側も川井校長、ラグビー部OBの加藤教頭らのほかにも大勢のOB、保護者も来ておられ、何人かの人たちと久しぶりに話をした。
 川井校長は、偶々慶応アルペンクラブの後輩・淀勇夫くんの母校・山形興譲館高校山岳部の後輩である。その川井校長と立ち話をしていて、湘南の卒業生・根岸英一博士のノーベル化学賞受賞の効果は大きく、後輩である全校生徒に良い影響を与えていると伺った。また、先日文武両道のモデル校として韓国KBSテレビが母校を取材したが、早速校長はKBSに対して、まだ放映前なら取材番組で根岸博士のノーベル賞受賞についても若干でも触れてくれるよう連絡を取ったとも伺った。
 肝心の後輩たちの試合は、少しはノーベル賞効果があるかと思いきや、当然のことだがその期待は見事に裏切られた。50-7の完敗だった。今年は1年生が14人も入部して大いに活躍を期待されていたが、チームとしてはまだまだで今日は2、3年生だけのチームのようだったが、3年生にとっては悔しい最後のゲームになってしまった。前半に6つのトライを奪われ38−0、後半に2つのトライを奪取されて漸くノーサイド寸前に1トライを返すのがやっとの有様で後半は12−7だった。後半の最後になって多少良い形を作れるようになったが、時すでに遅しであえなく敗退した。
 主たる敗因は2つある。ひとつは、タックルが悪すぎる。中には一発で仕留めたタックルもあったが、全般的に一歩踏み込まず一瞬待ってからタックルに入るので、どうしても甘いタックルになり、相手を止められない。もうひとつの敗因は攻撃力である。特にフォワードのモール・プレイが弱すぎた。奪われた8つのトライのうち、3つはゴール前10m周辺からずるずる後ずさりしてそのままトライされた力負けのプレイに、もう少し頑張れといらいらしていた。
 ノーサイド直前になって漸くいくつか良い攻めの形を作りながら、トライに結びつけられなかったのは、チームがまだ未熟であることを感じさせた。試合前今日は勝てるのではないかと楽観視していたので、かくも簡単に敗れるとは少々がっかりである。今日敗れたので、この後の予定は12月に始まる新人戦まで待つことになるが、1年生を含めた新チームの活躍に期待したいと思っている。
 今日は最後の最後になって後輩がひとり脳震盪で倒れ、救急車が駆けつけてくれた。何とか大事に至らずほっとした。
12521017日(日) 靖国神社とゼミ雑感
 うっかりして大学ゼミ例会の開始時間を間違えて、2時間も早く会場の九段会館へ着いてしまった。これは時間つぶしに困ったと思いながらも、折角だから近くの靖国神社へ久方ぶりの参拝をしようと考えた。
 九段下から九段上へ向かって歩いていると境内の辺りから威勢のいい声が聞こえたので、正面砂利道を進んでみるといなせなお兄さんたちが、お囃子に合わせて二つの大きなお飾りにまたがりご神木を引いている。「祝御柱祭」と書かれた旗や提灯があった。よく見ると「御柱三友会」とあり、米沢、北山、湖東の御柱祭の催しをやっていた。皮を剥いだ長く太い木材を引っ張っていて、そこには「神社御柱御用材」とある。ラッパを吹いていた若者にこの神木を奉納するのか聞いてみたら、これは儀式用で持ち帰ると笑っていた。境内ではお能を披露したり、古物市を開いていたり、靖国神社もいろいろ趣向を考えているようだ。一方で、参道では「国立共同墓地建設反対署名」と旗を掲げて、A級戦犯の分祀に反対する署名活動をやっていた。
 参道傍で「ルソン山中会」の青柳勝正さんと仰る世田谷区三宿にお住まいの85歳の方から、フィリッピン・ルソン島の悲惨な状況や戦後の戦友会の歩みや活動について偶々お話を伺う機会があった。 左手の指を2本失くしておられた。最近問題になったルソン島の遺骨収集スキャンダルについても嘆いておられた。最近戦友会の方とお話する機会がなかったが、久しぶりに戦地の苦労話をうかがって、かつて遺骨収集事業をお手伝いしていた頃を思い出し気分もすっきりした。その後靖国神社遊就館を見学したが、興味が尽きず後ろ髪を引かれたが、ゼミ例会まで時間がなくなったので途中で退出してきた。いずれまた見学に来ようと思う。
 ゼミ例会では大体例年同じ顔が揃うが、心配していた飯田鼎先生と奥様の健康そうなご様子を拝見してほっとした。先生は大正131924)年のお生まれなので、今年86歳になられる。ほかの仲間も気にしていたようだが、一様にお元気そうな姿にほっとしていた。卒業後47年が経ったが、先生の前に出るとやはり未熟な弟子であることを痛感させられる。元気なころの先生の前向きな姿を思い出すととても足元には及ばない。やはり毎日遅々としていても着々と前進するしかない。ひたむきな先生の姿に改めてまだまだ勉強が足りないと自戒した次第である。
12531018日(月) 中国の小児病的言動にげんなり
 共著「そこが知りたい 観光・都市・環境」の最終校正原稿を出版社へ提出してきた。これでもう修正することはできない。自分にとってもよもやもう書き直すことはないだろう。今日の原稿は前回の校正原稿から何箇所か訂正し、編集者にも納得してもらった。これで来月初旬に新しい書籍が世に出る。今回は先月開催された国際ペン東京大会記念として、ドキュメントを書くつもりで準備を進めていたところ、今年になって偶々この共著プロジェクトが入ったので、ドキュメントを来年に譲ったものだ。これで次の作品として一年遅れてしまったが、旅行関係のドキュメントに拍車をかけて来年何とか上梓したい。
 ここ2,3日中国国内各地で反日デモが頻発して、日本商店や料理店が暴徒に襲われている。成都、西安、鄭州、綿陽に続き今日は湖北省武漢でも反日デモが起きた。成都では一昨年大地震があり、その際日本からも救助隊が駆けつけ被災者のために支援した。そんな人道的な援助もありながら、どうも中国の若い人たちは何でもかんでも日本が悪いと言って日本に不満をぶつけている。マス・メディアの一般的な報道では、反日グループは一部の若者が暴れているのであり、デモ隊の本当の狙いは共産党の一党独裁と民主化抑圧に対する反発、そして貧富の格差に対する不満だと指摘している。
 中国国内にある二極構造は経済発展とともに進み、今や都市部の富裕層と農村部の貧しい農民との経済格差が拡大し、地方では学校は出ても就職も難しくなっている。一方太子(プリンス)党と呼ばれる国家首脳の師弟らの成功や官庁や会社内における出世が、貧しい階層にとって羨望の的となり、その反動が反感となっている。その過程で不満が政府へ向かう前に、江沢民・前国家主席下の愛国教育で反日的な教育を受けた若者が、反日行動へ走ったのではないかとも言われている。
 現在中国では5年に一度開かれる第17期中央委員会第5回全体会議(5中全会)が今日閉幕となった。この時期に各地で反日デモを行っているが、その地下深くには反体制のマグマが沸々としている。中国外務省の見解も的外れで、体制安泰を願っている様子が見え隠れしてまったく誠意が見られない。若者のデモを擁護するかのように、「一部の群集が日本の誤った言動に対して義憤を表明することは理解できる」と述べたのは、こう公表しなければ彼らの暴挙が中国政府に向かうことを懸念したからにほかならない。外国へ迷惑をかけることにかけては、国民が国民なら、国家も国家である。
 今日の5中全会で、党中央軍事委員会副主席に習近平・国家副主席が就任し、ポスト胡錦濤ということがはっきりした。習氏は父親が一時失脚したとは言え元副首相であり、いわゆる太子党である。2年後には胡錦濤路線を継承していくことになるらしい。だが、太子党の習近平と共産主義青年団(共青団)出身の胡錦濤とは出身母体が異なり、今後胡派と習派の権力闘争が激化する恐れがある。2年後の習近平体制が発足した時に一波乱あるのではないか。
 それにしても胡錦濤も、温家宝も金正日も偶然とは言え、同じ1942年生まれである。おかしなことをやる国は国家の人的骨格がおかしい。中国も最近の言動は傲慢で、不誠実だと思っていたら、何と世襲制度を敷いている北朝鮮に似てきた。やれやれである。                                                            

12541019日(火) 民主主義を都合良く解釈する人たち
 15日小沢一郎・民主党元代表が過日下された第5検察審査会の起訴議決に対して、起訴議決の執行停止と強制起訴に向けた指定弁護士選任の仮差し止めを申し立てた問題で、東京地裁は昨日申し立てを却下する決定をした。小沢氏側はこれを不服として即時抗告するものとみられている。
 地裁は検察審査会を準司法的機関と位置づけ、「起訴議決も刑事司法手続きであり、行政処分ではない」と指摘した。更に検察審査会法上で起訴議決の不服申し立ての規定がない点などを挙げて、「起訴議決の適否は、刑事訴訟法に基づく公判手続きで争われるべきであり、行政訴訟での訴えは不適法」と結論づけた。東京地裁の決定は当然だと思う。
 これに対して小沢氏側は今後どういう対応をするのだろうか。長い闘争になるのではないだろうか。いずれにしろ小沢氏の政治的力と求心力は、衰えていくことだろう。
 今年7月前区長の辞職に伴う区長選で当選した東京都杉並区長が、前区長が制定した多選自粛条例を廃止する方針だという。その言い分は「立候補と投票に関する権利は民主主義の根幹にかかわるもので、条例というローカルルールで縛るべきではない」と話している。確かに前段の部分はご尤もである。だが、この区長は自分自身が多選を目指しているから自粛廃止を行動に移そうとしているのではないか。前任者が採用した条例をいとも簡単に捨て去ろうとする行動については、この論理だけでは納得できない。それなら、自分が当選した区長選はほんの4ヶ月前のことであり、これだけ重要な決定について選挙当時すでに考えていた筈である。ならば、なぜ立候補の際多選容認の考えから、条例廃止の考えがあることを堂々と区民に訴えなかったのか。
 更に言えば、前段の話は一応筋としては通っているが、多くの選挙制度の中で多選禁止、或いは自粛が注目を集めているのは、多選で当選した人が周りを側近で固めて独断的に政治を進める傾向が強く、長い間一部の人とだけ業務を進める人間関係が、つい汚職の危険性を招来するとみられるからである。民主主義の母国であるアメリカ合衆国の大統領任期にしても、そういう弊害を勘案して最長で2期8年に、ロシア大統領も2期10年に限定している。これはむしろ真の民主主義を守るためには、その方が弊害が少なく現実的だと考えられたからではないか。実際国内でもまだ少数ではあるが、多選自粛の動きは加速している。
 杉並区長は、この際前区長の理念を放擲する前に、多選の可否を選挙民に問うべきではないか。あまりにも自己都合で勝手に決めている。こういう人には民主主義を論じる資格はないと思う
12551020日(水) 死刑制度は存続か、廃止か。
 駒沢大学の講座で清田義昭講師は前回に続き、死刑制度は是か非かをテーマに講義された。今日は連続殺人犯として昭和47年に4件の連続殺人事件を犯した永山則夫の経歴と獄中で移り変わる胸中を紹介したNHKETV特集ビデオ「死刑囚・永山則夫―獄中28年間の対話」を観せてくれた。数々の賞を獲得した骨太いドキュメントである。
 あまりにも残虐な凶悪犯罪は、当時世間を恐怖のどん底に陥れた。都内のホテルを皮切りに、京都、函館、名古屋と短期間に広い地域で犯した凶悪殺人事件は日本中を驚かせたが、まもなく逮捕された犯人の実像を見て再び衝撃を受けた。何とその時犯人永山則夫は、19歳の未成年だったのである。通勤途上山手線沿線に見える犯人逮捕の現場周辺を通るたびに、事件を思い出させられたものである。
 今日のドキュメントは逮捕された永山の幼児期、成長過程を通して極貧生活の中で親からも見捨てられ、どこにも居場所がなかった。犯罪の原点はこの貧困にあったと思われる。第一審死刑、第二審で無期懲役、そして最高裁で逆転死刑が確定し、1997年8月刑が執行され48年の生涯を閉じた。
 この間一時永山は、オランダの社会学者の書を引用して、罪を犯した真の原因は貧困に苛まれた社会にあると獄中から訴え続けた。獄中で文字を覚え、読書に耽溺した。マルクスやドストイェフスキーの作品も読み漁った。支援者も現れ、中でもアメリカ在住の女性と文通を通して親しくなり、彼女と獄中結婚をして作家活動をスタートさせ獄中出版をして、「無知の涙」「木橋」はベストセラーにまでなった。印税を被害者へ贈呈することを申し出て一部の貧しい被害者はそれを受け取った。
 結局紆余曲折の末、死刑確定の直後ただひとり自分を心から理解してくれた夫人とも離婚した。逆転判決の際「永山基準」と言われた、判決に際して永山事件から得たヒントを判断の参考にするため分析する法律的基準を作成させた。
 深く考えさせられたビデオである。先週清田講師は個人的な考えと断ったうえで、死刑制度には反対と仰った。昨年5月に裁判員制度が導入されて以来、一般市民が裁判に参加するケースが増えてきた。しかし、これまで死刑が予測されるケースはなかった。ところがまもなくある事件が持ち上がってくる。その殺人犯は罪のない女性を2人も殺害している。ひょっとすると死刑判決が出る可能性がある。それらを意識したうえで、清田講師は議論の材料として問題を提起された。
 しかし、あまり討論する時間がなく、踏み込んだ議論にはならなかった。講座終了後、清田講師に判断の基準として、ひとつの考えを直接尋ねてみた。複数以上の殺人を犯した極悪非道な犯人に、死刑でなく終身刑を課した場合、この犯人を一生収監しておくために係る経費は、税金で賄うことになる。住居費、食費、医療費などを終生手当てするのは、国民としての義務を果たし、真面目に働きながらも貧しい生活を余儀なくされている人々に比べて不公平ではないかという点である。清田講師も即答せず、難しい問題だと仰っていた。
 人間が人間を裁くことがいかに難しいか。そう簡単には結論は出ない。
12561021日(木) 羽田空港、国際空港として再スタート
 今日羽田空港・国際線旅客ターミナルビルがオープンした。新しい滑走路も使用開始された。新滑走路は海上に杭打ちして建設されたもので、昨年12月にJN協会の空港見学会で訪れたところだ。これからは本格的に国際空港として再稼動することになる。
 振り返ってみると1978年に成田空港がオープンして以来、国際線は成田、国内線が羽田に棲み分けされてチャーター機以外は一部の近距離定期便を除いて国際便が運行されることはなかった。その国際線に乗って一昨年韓国・ソウルへ行ったが、その時利用したターミナル建物は、掘っ立て小屋と呼んでも良いような、狭くごみごみした感じだった。その建物も昨日12年の歴史に幕を閉じた。
 1978年に激しい空港闘争の中で開港した成田国際空港は、反対デモ隊によって度々空港施設を破壊され、挙句の果てに開港直前に暴徒が管制塔にまで入り込み、航空管制機器をメチャメチャに破壊した。そのため空港開設日は延期に次ぐ延期となり、いつ成田が使用可能になるのか、その当時多くの海外旅行客を抱えて随分悩まされたものである。度々変わる新空港情報に散々翻弄された経験も今や懐かしい。
 近い内にこの新滑走路からいずこかへ飛んでみたいものである。
 さて、15日に小沢一郎・民主党元代表が起訴議決の執行停止を申し立てたことに対して、18日東京地裁はその申し立てを却下した。普通ならこれを受けて腹を据え、小沢氏側は正面から堂々裁判で争うべきである。小沢氏は現在の検察制度、並びに検察官がどうも気に入らないらしい。力づくでも検察と対決し、自らに不正がなかったことを国民に訴えたいらしい。勘ぐるなら、できれば圧力を加えてでも自らの正当性を証明したいらしい。
 しかし、今行っている手法や手続きは、決して世論の支持を得られるものではあるまい。今朝の朝日新聞によれば、検察官の罷免を決める権限を持つ「検察官適格審査会」のメンバーが今月に入り一部交代し、小沢氏に近い国会議員が増えたという。これは一体どういうことだ。あまりにも恣意的ではないのか。審査会のメンバーは衆参両院議員6人を含めて11人であり、その中の9人が検察官として職務を遂行するに適しないと判断すれば、罷免される可能性がある。小沢派議員が1人だけだったのが、ここで4人に増員された。今回メンバー入りしたある民主党議員は、こういう馬鹿なことまで発言している。
 「『小沢系が多い。検察官の罷免もありうる』という話になるだけでも、政治的メッセージとしていい」だと。国会議員の仕事を何だと思っているのだろうか。検察制度をどう考えているのか。彼らは正邪の区別もつかない、単なる小沢のお先棒担ぎではないのか。こういう議員こそ罷免させたい。
12571022日(金) 世界が愛想を尽かす、ならず者国家・中国
 ここ数日メディアでは検察制度に関わる議論や情報が喧しい。今朝の新聞はトップ頁から社会面まで、特捜部主任検事の改ざん事件から、それに伴う主任検事の二人の元上司の起訴、同じく懲戒免職、二人の否認と最高検に対する全面対決、関係者の処分発表、そして大林宏検事総長の謝罪の記者会見と目白押しである。加えて、小沢一郎・民主党元代表の検察との対決姿勢がある。これまで検察制度に対して不審や不満はあったにせよ、これほど多く一度に国民の不信感が表沙汰になったのは珍しい。恐らく空前絶後ではないだろうか。
 今検察制度に対する信頼は大きく揺らいでいる。冤罪問題によって、その解決のための有力な手段のひとつと考えられている可視化がここへ来て大きくクローズアップされている。これまでの取調べが検察のストーリーに乗らされた、容疑者の供述調書に基づいた自白を拠りどころにして容疑者を起訴してきたことから、真実が隠蔽されているとの反省もある。解体も視野に特捜部の存在自体にメスを入れるべきではないかとの論調も見られる。
 菅首相から、柳田法相を通して、失われた国民の信頼を一刻も早く回復することが大切とのメッセージが検事総長に伝えられた。大林検事総長は、前代未聞の事態に至ったことを深くお詫びしたいと述べ、全力で信頼回復に努める決意を示した。
 実際悪を取り締まるべき検察が信頼できないのでは、国民としてはあまりにも心許ない。一日も早く信頼できる道筋を示して欲しいと思う。
 さて、尖閣諸島事件以来日中間の外交関係にきしみが出ているが、それに伴い中国は経済、及び社会関係においても日本に対して極めて厳しく、場合に応じて意地の悪い対応を突きつけている。日本に対してばかりでなく、このところ中国は経済力を背景に世界へ向けてもやりたい放題の所業に及んでいる。日本政府首脳は、事を荒立てることは事態を悪化させる一方と、比較的控え目な発言で大人の対応をしているが、中国政府は世界的に希少価値のあるレアアース(希土類)をほぼ独占的に産出できる有利な立場を逆手にとって、まず日本に対して全面禁輸に近い措置を取った。これに続いて欧米諸国へもレアアースの禁輸措置を取った。他国の弱みにつけこんで、ここまでやるかと思わせられるほど相手を困らせようとする経済制裁的対応である。とても余裕ある紳士の取るべき態度ではない。アメリカ政府は、中国のやり方は世界貿易機関(WTO)違反であると中国に再考を促しているが、中国は禁輸疑惑を否定している。今日になって、日米が共同歩調を取り、WTOへ提訴することを検討し出した。それにしても、‘成金’中国の傲慢不遜な行動には世界中が呆気に取られている。
 今朝の朝日新聞に著名な経済学者が書いた「ニューヨーク・タイムズ」1018日付記事が紹介されていた。一昨年ノーベル経済学賞を受賞した、ポール・クルーグマン・米プリンストン大教授の中国のレアアース禁輸について書いた論稿「ならず者の新興経済大国」である。
 クルーグマン教授の論文の主旨凡そ次のように要約されると思う。第一にレアアースについては、各国が中国以外の供給源を開拓する必要性がある。第二に世界で最も新しい経済超大国・中国がその地位に伴う責任を引き受ける準備ができていないことを証明しており、ルールに従って行動する意思を持たない、ならず者の経済超大国の姿であると断定していることである。
 指摘はまったくその通りであるが、では世界はならず者国家・中国に対してどのように有効な手段をとろうとするのか。相変わらず事態は好転せず先へ進まない。
12581023日(土) ひとつの会議で問題が解決できなくなった?
 定期的に通院している松本整形外科の松本昇先生には、もう6年も診ていただいている。気軽に相談することができるが、昨日いつも通りPC作成の血圧表を前にして話し合った。自宅で毎日3回計測しているが、高くても140以下に落ち着いてきたので、血圧ではあまり心配することがないという話だった。ただ、いつも夜は就寝前の12時より少し前、朝は8時前に計測しているのは、普通より就寝と起床時間が遅く一般のお年寄りのパターンとは違うと笑っておられた。
 結局昨日の検査ではCRP測定のため血液検査を行ったが、この数値が0.3以下に落ちないのが原因で、未だに医院通いを続けているようなものだ。前回8月にはCRP0.64だったが、少しでも基準値0.3を下回ってほしいものである。
 横浜市内に住む長男家族がやってきた。子どもが3人もいるから賑やかこの上ない。妻は買い物につきあわされ、夕食は桜新町玉川通り沿いの価格がリーズナブルなファミレスでもてなす。だが8人も揃うと大枚1枚は軽く飛んでいく。3人の孫が図画や運動会などでがんばり、活発で元気なのが嬉しい。 
 このところあちこちで大きな国際会議をやっているが、今は名古屋のCOP10、韓国・慶州のG20 、そして来月は横浜のAPEC、ソウルのG20首脳会議、ベトナムのASEAN+日中韓首脳会議、等々ひっきりなしである。それだけ世界中に一国だけでは解決できない、大きな問題が生じていることを意味している。
 その中で、慶州では財政担当者G20の最中に急遽G7を開催することになった。何のことはない。先月カナダで開催したG7で討論の時間が足りず、充分話し合えなかった時間的な不足分を補うためのG7補足会議である。あの時の共同宣言は一体何だったのか。世界の大国の財政担当首脳が集まって何も決められなかったことになる。まるで小田原評定ではないか。本来の会議で充分話し合いが為されなかったから、別の会議の場を借りてその会議の補足会議を行うなぞ、本来の会議の目的と設営はどうなっていたのだろうか。これはあまりにも会議が多く、出席者が忙し過ぎて本来の会議に気持が集中できていないからではないか。こんな形の会議では成果は覚束ないと思う。
 昨日G20でアメリカのガイトナー財務長官が、現在の通貨安戦争へ誘導する各国の外為政策に釘を刺すように、各国経常収支の不均衡是正のため、各国に経常収支はGDPの4%以内との数値目標設定を突然提案した。
 しかし、G20の共同声明には、通貨安がターゲットとされたドイツや中国の反発も予想されているため、数値は盛られないことになりそうである。よく考えてみると近年大きな会議ほど成果が少なくなってきたような気がする。これから国際間で益々難しい問題が持ち上がろうとする時代に、それらが話し合いで解決できなくなるようではノーベル賞も、核もへったくれもないではないか。
12591024日(日) アホ教師のオンパレード
 今朝のテレビ番組を観ていて有識者とされる人が案外事象の背後にある事情を知らないことに意外な感じを受けた。TBS「サンデーモーニング」で、準レギュラー・コメンテーターを務める田中優子・法政大教授である。著名な大学教授が成田空港開港の経緯を知らないのには、驚きを通り越して呆れたほどである。
 尤も田中教授が初めて海外へ出たのが成田空港からだったそうだから、初期の国際空港としての羽田空港自体に関心が薄かったのかも知れないが、それにしてもお粗末なトーク内容だった。田中教授が、なぜ立地の良い羽田を棄ててまで成田へ国際空港を移したのかという、素朴と言えば素朴と言えるノー天気な発言には唖然とした。成田以前に三里塚や富里空港の話も出てすったもんだの末に、周辺住民の激しい反対の中で、敢えて成田空港開設の最終計画が固まったのは、その当時羽田拡張計画がどうしても不可能と判断されたからである。国際化時代を控え国際航空事業の需要が増大する中で、已むに已まれず少ない選択肢の中から苦渋の決断により決定したのが、成田空港開設計画だったのである。田中教授はどうもその辺りの事情に疎いようだ。
 当時羽田が拡張できなかったのは、新D滑走路の周辺は多くの漁民の生活権が絡み、加えて都心の騒音問題が顕在化したからである。今では漁民の生活権問題は無くなった。こんな当たり前の裏事情は、当時多少なりとも羽田問題に関心がある人なら誰でも知っている話だ。少し調べれば分ることを調べもせず、江戸時代文化・風俗の専門家かも知れないが、社会評論家のようにコメントを述べるのはいかがかと思う。近ごろの学生はあまり勉強しないと言うが、指導する教師も手を抜いて事前に調査すべきをしないのは、無責任な所業だと思う。
 まったく視点は別だが、世の教師の中にはバカに百万倍もかけたような、「人間失格」教師がいるものだ。過日小学校の算数の応用問題で、1日に3人殺したら全員を殺すのに何日かかるか、と生徒に出題して周囲を仰天させた愚かな教師がいた。
 今日の朝日新聞を見ると、また馬鹿な2人の教師の例が出ている。ひとりは、都内杉並区立小学校の23歳の女性教師で、とても3年生の子どもに出題するような問題ではない。「3姉妹の長女が自殺し、葬式があった。その葬式に来たカッコいい男性に次女がもう一度会うためにはどうすればよいか」という、まったく常識外れの不適切な問題だった。その答は「三女を殺す」というのが正解だったというのだから、呆れて開いた口が塞がらない。
 もうひとりのアホ教師は、愛知県立商業高校の24歳の若い商業科の教師だった。同校3年生に「校長を暗殺した犯人は誰か?」という設問を与え、答の選択肢の中には7人の同校教師の実名が書かれていたという。校長が息を引き取る間際に残した数字、「41124」から犯人を捜すというクイズまがいの答だった。数字は横書きで、上下を逆さにすると「カていカ」と読めることから、「家庭科」の教師が「犯人」だったという。
 勿論すべての教師が悪いと言うのではないが、最近の教師の中には平気で常軌を逸した行動に走る異常教師が少なくない。教え子のスカートの盗撮行為を行ったり、セクハラ的スキャンダルを起こす教師も結構マス・メディアで報道される。こういう教師は性格異常者である可能性が高い。やはり入口のところで教育委員会がきちんと人物鑑定をしないと、いずれまた同じようなスキャンダルを引き起こす「人間失格」教師が出てくるに違いない。いい加減にしてもらいたい。
12601025日(月) 外国人訪日旅行の新たな問題点
 韓国・慶州のG20 の財務相会議が行われ、断片的なコメントを公表しているにも関わらず、ドル安、円高傾向は一向に止む気配がない。今日は15年ぶりに一時1$=80.45円の水準にまで円高が進んだ。ドルの価値がこれだけ下がってもアメリカの為替対策が無為で効果を発揮しないのは、アメリカの経済力が明らかに地盤沈下していることを表している。アメリカ政府の財政当局も、これといって有効な手を打てない。国内で洩れてくるのは、経済界からの悲鳴ばかりである。
 新しくなった羽田国際空港から出国してみたくなり、韓国へ行くことを決めた。空港の利便性を実体験してみたいのと、低価格ツアーの実態をよく見てみたいということ、さらにまだ見学していない韓国内の世界遺産を見学してみたいと欲張った。
 先月新聞に低価格の韓国ツアーの広告が載っていた。内容的に希望に合っていたので、大分時間が経過したが、電話で問い合わせてみたら、設定されたツアーはすべて満員でキャンセル待ちが大分あるとの話だった。この不景気に随分景気の良い話である。そうこうしている内に先日同じ会社で同じようなツアーの広告が掲載された。新しい羽田空港新滑走路から飛び立つツアーで、販売価格も両ツアーともにまったく同じだ。前のツアーには、「統一展望台」と「自由の橋」がセットされていたが、それがない。
 また、陶器の産地である「利川」も含まれていない。利川はソウルに近く、2008年正月に冷凍倉庫が大爆発して40名以上の死者が出たが、日本のメディアが一度報道して直ぐ報道を止めた事故があったところだ。この不審な動きについては「知研フォーラム」にも論稿を寄稿した。その利川が二番手のツアーでは入っていない。ちょっと残念だが、まあそれは次回に譲るとして、低価格ツアーで出かけることに今日決めた。これらのツアーも千客万来のようだが、何とか12月6日に出発するツアーに申し込むことができた。韓国は2年ぶりだが、ゆっくりソウルと慶州の旅を楽しんできたい。
 さて、今政府も外国人旅行客を呼び込むことに力を入れている。2008年には観光庁も発足して組織はできている。だが、やはりというべきか、最近の中国人観光客の来日で大きな課題が持ち上がった。今日の日経「Monday Nikkei」コラムによると、アジア人を手配する国内旅行のクォリティが急速に劣化してきているというのである。日本人観光客が参加する低価格ツアーの品質がよく問題になるが、これと裏腹の関係にある。中国人の訪日旅行の平均は5泊6日で約5万円とされる。登録制度がなく価格次第で安易にハンドリングを引き受ける、手配業者がいることに問題があると指摘されている。
 観光庁は、日本人に関わるツアーなら問題だが、外国で募集した外国人のツアー内容を日本の法律で規制するのは難しいとして、外国人旅行者の保護には消極的である。つまり外国人の団体旅行に関しては、現状では野放し状態である。ツアーの品質は下がり、日本に対するイメージも徐々に低下することははっきりしている。
 でも国は今のところ解決のための手を打つ気がない。私自身も外国人旅行者に関するこういう視点を今初めて知ったようなものだ。そう言えばそうだ。このまま放置すれば、いずれは日本人の国内旅行の品質にも関わってくる問題だ。やはり、ツアー内容を維持できるだけの、ある程度のルール化は必要ではないだろうか。今後議論が交わされることを期待している。 
12611026日(火) 高校同級生の中西準子さんが文化功労者に
 来る文化の日は私にとって72回目の誕生日に当たる。その文化の日に文化勲章受章者は皇居内の文化勲章親授式で天皇・皇后両陛下から直接お言葉と勲章を賜る。翌4日には文化功労者に対する顕彰式がホテル・オークラで行われる。今日発表された文化勲章受賞者は、各界でそれぞれ業績を残された著名な7人であるが、その中に先日ノーベル賞受賞が決まった鈴木章博士と母校湘南高校の先輩・根岸英一博士がおられる。お二人は文化功労者にも選ばれている。
 嬉しいことに、文化功労者には「世界のホームラン王」王貞治氏、女優の吉永小百合さん、漫画家の水木しげるさん、歌舞伎の市川猿之助さん、iPS細胞の山中伸弥・京都大学教授ら錚々たる著名人と並んで、高校の同級生・中西準子さんと21年も後輩の指揮者・大野和士さんが選ばれた。今年は母校も当たり年というのか、ノーベル賞1人、文化勲章1人に文化功労者が3人の輩出である。
 中西さんは1年生の時、同じクラスだった。50人の同級生の中には女生徒はたった3人しかいなかったが、彼女らはみな成績が良かった。特に、中西さんは目だって優秀で、オカッパ頭で印象的な容姿とともに鮮明に覚えている。確かお父さんは上海・東亜同文書院を出た、バリバリの日本共産党中央委員で参議院議員でもあった。ゾルゲ事件にも絡んでいたように思う。入学早々クラスで、ホヤホヤ教師で「生物」担当の与野主計教諭から、クラスの何人かに好きな歌を唄いなさいと言われて、私が愚かにも津村謙のヒット曲「上海帰りのリル」を唄ったのに対して、彼女は恐らく当時同級生の誰もが知らなかったであろう労働歌「第1インターナショナルの歌」を堂々と唄って同級生を唖然とさせた。スケールが違い、とても歯が立たなかった。
 彼女はその後横浜国立大学工学部へ進学して、卒業後横浜国立大学と東京工業大学で教授を務めた。現在は「産業技術総合研究所安全科学研究部門長」という長い肩書きの職務をこなしている。確か昨年何とかいう勲章を授与されていると思う。文化功労者の対象となったのは、「環境リスク管理学」というらしいが、素人には中々難しい。60年安保でも活動していたようだが、デモの現場で出会ったことはなかったし、高校卒業後はまったく接触はない。
 まあそれでも同級生が文化功労者に選ばれるとは嬉しい限りであり、パワーを戴いたような気がする。
 さて、首相辞任直後に「総理たる者、その影響力をその後行使しすぎてはいけない。従って、私は次の総選挙に出馬をいたしません」と次の総選挙で引退すると大見得を切った鳩山由起夫・前首相が、いとも簡単に前言を撤回した。「党の状況が思わしくない」ので、まだ自分に果たしうる役割があるというのが、その理由だそうである。冗談じゃない。鳩山氏に委ねるべき役割はもうない。小沢一郎氏と並んで散々政治とカネの問題で騒ぎを引き起こしたのは、ご自身ではなかったのか。
 その一方で、首相としては普天間基地移設問題で稚拙な対応に終始して政治を混乱させて命脈が尽きたばかりではないか。この間変心に至るまでに、たったの4ヶ月しか経っていない。あまりにも口も腰も軽く、軽佻浮薄すぎるのではないか。国民は鳩山氏の無責任と不正なカネの問題、実行力のなさ、不誠実さ、等々をしっかり見抜いてしまって、もう従う気持ちなんてどこにもない。何を思い上がっているのだろうか。最早鳩山氏が政治力を行使することは国民が望んでいないことは明白である。そんなことぐらいちょっと考えてみれば分りそうなものである。第一自己批判もできない人に国政で力なぞ発揮できるはずがないではないか。今もって政治家として自らの無能ぶりに気がつかない。そのうえで再び背後で、後輩を操ろうとするその鉄面皮ぶりには、呆れて物が言えない。相変わらずノー天気なぼんぼんである。あまりにも情けない。
 案の定、地元の支援者や住民ですら呆れ果てている。かつては、日本のトップに立った人が生き恥を晒し、一度は諦めた国会議員の座になおしがみつこうというのは、あまりにも厚顔無恥で不謹慎である。
12621027日(水) 袴田事件裁判の真実と難しさ
 寒い!と思ったら東京では早くも木枯らし一番の襲来である。札幌では雪上車も見られた。今年は夏が異常に暑く、過去の猛暑記録も破ったほどの炎暑なのに、冬は冬なりに例年異常の厳しい寒さが訪れそうである。
 毎週水曜日の駒沢大学の講座では、このところ裁判制度を巡る講義が多く、今日も清田義昭講師から重い内容のテレビ・ドキュメントを見せてもらい、これまで格別関心を抱かなかった、最近とりわけ脚光を浴びている裁判制度のあり方について考えさせられた。
 今日は静岡朝日放送が制作した30分番組「悔恨―袴田事件を裁いた人」を観賞した。死刑囚・袴田巌の静岡地裁の第一審公判で裁判官を務めた、熊本典道氏の反省と謝罪、悩みを熊本氏の口を通して事件の全体像を語らせ、冤罪の可能性と危険性に迫ったドキュメントである。
 偶々今朝テレビを観ていて「判検交流」という言葉を知った。検察庁から裁判所へ一定期間派遣され、本来なら検察官役を務めるべきところを出向中は裁判官として中立の立場に立って判決を下す。しばらくしてこの裁判官が本籍の検察庁へ戻るケースに触れていたが、件の裁判官はどうしても検察寄りの判断を下すことは考えられるとの話だった。事実とすれば、この「判検交流」には裁判の本質とは相容れない視点が入る危険性があり、現行の裁判制度の中で大きな弊害となり、当然是正されなければならない。なぜこんな恣意的な人事異動がこっそり行われ、世間から糾弾されないのだろうか。
 ところが、今日のビデオでは、裁判所法に基づいた「評議の秘密」なる言葉があるということも知った。裁判に関する内容を外部に漏らしてはならないという法である。これが壁となって、熊本元裁判官は自らの考えや裁判記録を長らく外部に発表することはなかった。だが、事件から40年が経過し、ともに判決を下した先輩の二人の裁判官も亡くなられた。第一審当時若かった熊本氏は袴田無罪を主張したが、最終的に他の二人の裁判官が主張する有罪説を、自らが信ずる無罪説へと説得できず、押し切られたことを今も悔やみ慙愧に堪えないと言っている。ビデオは、これまで熊本氏の負い目となっていた真相の秘匿を白日の下に曝け出し、袴田巌は犯人ではなく、彼を冤罪から救う運動を支援している姿を追ったものである。
 しかし、今問題なのは、自ら関わり事実関係を最もよく知る元裁判官・熊本氏が袴田は犯人ではないと、証拠品についてもいくつかの疑問を述べても結論は変わらないことである。熊本氏が間違った判決を下したことを後悔し、人間として袴田の前で手をついて詫びたいと述べていたことに、袴田無罪説を信じる人も結構多いのではないか。だが、袴田はこのままだと冤罪で刑場に送られることになる。死刑制度、誤審、冤罪、裁判員制度等々、まだまだ難しい問題が多い。
12631028日(木) ダメ政治、ダメ政党、ダメ政治家
 民主党の公約も大分怪しくなってきた。今度は企業献金を復活させるという。手元にある昨年の総選挙前に作成されたマニフェストを見ると、「イ」の一番に7つの「ムダづかいをなくすための政策」を掲げている。その中の大項目に「企業団体による献金、パーティ券購入を禁止します」と堂々と書いている。それにも拘わらず国民を騙して裏切り、但し書き付きながら企業献金を再開しようというのである。いかにも朝令暮改のチャンピォンである民主党らしいパフォーマンスではないか。まったくよくやってくれる。
 この民主党という未熟な政党は、ない智恵を絞って言い訳を考え、修正文言をこじつけることを何とも思わない人たちの集まりである。今回癒着の恐れがあるとされる国や自治体との多額の契約が、仮に1件1億円未満なら、その企業などに限って献金を受け入れ、パーティ券を買ってもらうという虫のいい究極の悪知恵を考え出した。民主党はマニフェスト違反ではないというが、いかにも苦しい弁解である。
 こういう政治とは関係のないところで姑息な手段で資金を得ることだけに、頭を働かせて本業では国民が期待するマニフェストを実行することに腰が引けている。
 朝日新聞の今日の社説でも、今回の献金再開は後ろ向きであり、流れに逆行していると指摘している。さらに「小沢、鳩山の政治とカネの問題で、民主党は歴史的な政権交代に大きな傷をつけた。公約破りではないと言い張っても納得しない」と手厳しい。
 結局マニフェストなんて恣意的にどうにでも解釈できるとの思い上がった本心が透けて見える。それゆえに、マニフェストに盛られた世襲政治廃止とか、国会議員数削減、その他諸々の公約を訴えながら、一向に実際に実行しようとしない彼らの活動ぶりを見ていると、裏切られたような気持になり段々嫌になってくる。
 まったく期待を裏切ってくれる民主党政権のごまかし政治の跋扈である。
 現在国会開会中であるが、昨日から事業仕分け第三弾が始まった。スタートした当座は目新しさもあって、注目を集めたが今回はどうか。いままでの一般会計上の事業の仕分けではなく、伏魔殿である特別会計の仕分けである。今日の仕分けの中で、スーパー堤防整備事業が中止と決まった。他の事業と併せて総額13兆円だという。事業そのものは、今のまま事業を続けても今後300年とも400年とも時間がかかるといわれている。しかも、まだ全体の5%程度しか整備工事は進められていないという。
 財政が逼迫している中で、どうしてこうも悠長で、ほとんどムダとも思える工事が進められているのだろうか。仕分け人が鋭い質問を繰り返して、あっさり廃止と決まった。こういう非現実的な予算の使い方があること自体異常である。これも「政治主導」を唱えている政治家が、「木を見て森を見ない」視野しか持っていないことと、真摯に政治を行っていないからである。
12641029日(金) 日本シリーズの優勝チームは、真の日本一か?
 次弟が最近前立腺の手術を受けたということもあり、私も年齢相応に「前立腺」が若干気になったので、先々週かかりつけの森内科で「高感度PSA」数値を検査してもらった。今日通院の際教えてもらった数値は「4.89」だった。安全圏は4以下で、4.89という数値はそれを僅かながら上回っていて灰色だそうだ。半年後にもう一度検査してみた方が良いとの森先生のアドバイスだった。まあ執行猶予付というところだろう。多少神経質にならざるを得ないが、当面危険数値というのではないので、12月の韓国旅行を含め今後の行動に大きな支障はない。言うならば、「不安半分・安心半分」というところだろうか。
 序に糖尿病についても次回通院の際検査してもらうことにした。
 さて、昨日はプロ野球ドラフト会議が行われ、目玉選手である早大・斉藤佑樹投手を始めとして大学生選手に好選手が多く、一部では抽選風景がテレビ中継され、大分盛り上がったようだ。
 その一方で、先日TBSが保有している球団「横浜ベイスターズ」を売却すると発表した。交渉中だった購入希望の住生活グループとは売却契約成立一歩手前だったが、一昨日になって突如その話が破談となった。何でも住生活Gがベイスターズの本拠地を横浜スタジアムから、他都市へ移転させる計画に横浜ファンやTBSが納得せず同意しなかったことが原因と見られている。現時点では新たに他の交渉相手を探し、売却交渉を進める時間的な余裕がないことから、TBSはもう一年チームを保有することになった。
 しかし、損失が嵩まないように一刻も早くチームを手放したいと考えているオーナー会社が、良い買い手さえ見つかれば早目に売却したいと考えているようでは、チームの勝利を目指してプレイしているチームの選手はたまったものではない。
 プロ野球も一時の熱狂的なブームが去り、プラチナ・カードと呼ばれた対巨人戦ですらテレビ視聴率が落ちて、スポンサーがあまりつかなくなったらしい。今年の夏は、完全にワールドカップ人気のサッカーに押されて、テレビ中継の数もめっきり減った。その証拠に明日から始まる日本シリーズ第1、2、5戦はスポンサーが見つからないために地上デジタルテレビでは放映されないらしい。こんなことはかつて考えられなかった。
 プロ野球界にとって、最大のイベントである日本一を決める関が原の決戦が全国放送としてテレビで観戦できなくなり、一方で前座の前座でもあるドラフト会議なんかが一部とはいえ、テレビ中継されているのは奇異に思えてしようがない。
 日本シリーズの価値が低下したのは、両リーグの優勝が決まったのにクライマックス・シリーズと称する短期決戦の、日本シリーズ出場チーム決定戦の導入によって、両リーグそれぞれに第二優勝チームを無理に作り出し、その第二優勝チーム同士で日本一を決めようとする不可解なシステムを誕生させたからである。金儲けに走った末に優勝チームの権威が落ち、真の日本一チームが分らなくなってしまった。日本シリーズで仮にパ・リーグのペナントレース3位だった千葉ロッテ・マリーンズが勝った場合、本当のチャンピォンはどのチームになるのだろうか。コミッショナーやオーナーらが、先頭に立ってプロ野球界の秩序を壊し、優勝チームの権威を低下させているのだ。
 考えようによっては、時代の流れについていけないプロ野球界は、ひとつの曲がり角にさしかかっているのかも知れない。
12651030日(土) わがもの顔の中国にどう対処したら良いか。
 昨夜遅くなってからベトナムのハノイからニュース速報が入った。予定されていた菅首相と温家宝首相の日中首脳会談が突然キャンセルされた。中国側の都合により、トップ会談が一方的に中止されたのである。経緯はともかく直前まで何とかお膳立てされていた首脳会談が一方の言い分だけで、いとも簡単に取り消されるという外交上の信義を欠く対応はまったく理解できない。中国政府の傲慢で外交儀礼に悖る行為は、別に今始まったことではないが、それにしても無礼千万である。
 尖閣諸島事件が尾を引いているとはいえ、中国は日本の言動にいちいち過敏に反応し、自らことを荒立てていながら、責任はすべて日本側にあるという。中国、或いは中国人というのは、もう少し大人だと思っていたが、まるで駄々っ子と同じである。
 今回の首脳会談拒否の理由には、ひとつは一昨日ハワイで前原外相とアメリカのクリントン国務長官が会談して、改めてクリントン長官から尖閣諸島が安保条約の対象になることを確認させたことがある。二つ目に、ASEAN首脳会議前に前原外相が他国首脳との間で尖閣諸島問題を蒸し返したと中国が受け止めたことである。さらにAFP通信の「東シナ海ガス田開発の条件交渉再開で日中両政府が合意」と伝えたが、これは事実と異なると中国側が憤然としたことも大きな理由である。
 だが、ニュースソースに照会・確認すれば簡単に分ることで、こんなガセネタに近い情報を確認もせず、恣意的に外交相手国に腹いせをされては迷惑千万である。日本政府は直ちにAFPに事実関係について抗議した。
 今の中国に対しては何を言っても誤解されるだけで、相互の歩み寄りはあまり期待できないのではないか。しばらく放っておくより仕方あるまい。中国のピリピリした情勢から、ひょっとすると横浜で来月開催されるAPEC首脳会議に出席を予定されている、胡錦祷・国家主席の訪日もキャンセルされる可能性もないわけではない。仮にそうなったら世界中から信頼を失うのは中国自身であることを中国は自覚すべきである。
 1981年に初めて中国へ行った当時の懐かしい写真を見てみた。北京、洛陽、上海、広州のどこの市街を見ても、市民はほとんどが人民帽を被り人民服を着て壁新聞を見ていた。街には車がまだほとんど見られず自転車が多かった。人々も人懐っこくいつも照れくさそうに笑っていた。とてもフレンドリーで感じが良かったとのイメージが強い。今も付き合っている中国の友人がいる。あれからほぼ30年が経って、この大きなギャップにはどうもついていけそうもない。残念である。
12661031日(日) 事業仕分け、実効少なく尻すぼみ
 民主党政権になってから、とかく話題になっていた第三次事業仕分けが昨日4日間の作業を終えた。今回は無駄の温床とされている「特別会計」の18特別会計・48事業にメスを入れるということから、いよいよ奥の院へ切り込み、無駄を削ってくれると思っていた。だが、その願いは虚しかった。
 仕分け第三弾は些か期待外れに終り、廃止と判定されたのは、僅か4特会・8事業に留まった。削減額も約250億円でしかない。見直しと判定された40事業で予算の圧縮ができたとしても、削減総額が精々6千億円前後の見通しだそうである。
 改めて事業仕分けの意味について考えてみると、大体永年継続して実行されてきた政策が、無駄が多いからと言って、僅か4日間のうちに事業の可否を判断すること自体に無理があるし、拙速に過ぎると思う。短時間の議論だけで止めさせることには問題が多いのではないか。少なくともなぜこの事業が始められたのか。できればその当時の担当者に考えを聞くことぐらいやるべきではないだろうか。特別会計の政策実行について地道に時間をかけて真剣な議論をしようとしないのは、「事業仕分けありき」に意味があり、大向こうに訴えるパフォーマンスでしかなかったのではないかとつい勘ぐってしまう。
 普通の国民は、年度の一般会計予算が約90兆円であることぐらいは知っているかも知れない。
 しかし、特別会計が176兆円で一般会計の約2倍の予算規模であることなんかほとんど知らないのではないか。しかも驚いたことに、この特別会計の中に隠れ埋蔵金があるとされていたが、逆に隠れ借金が33.6兆円もあると知らされては、目の玉が飛び出さんばかりの驚愕である。国にはこれまで900兆円前後の借金があると知らされてきたが、これに加えて特別会計の借金が33兆円もあるとなるとこれをどうやって返済し、次の世代へ借金を積み残さない秘策はどうしたら良いのか。
 仕分けの場の議論を聞いていても、この隠れ借金に関して居合わせた政治家や、各省庁の担当者はまったく責任を感じている様子も、この借金をどう返そうとするのか考えている素振りすら見えない。
 学生時代に大内兵衛・法政大学元総長の公開講義を聴講に同大学へ行ったことがある。その時大内元総長は、政府の財政政策を手厳しく批判していた。特に、財政投融資のあり方について、こんな中身を知らされない巨額の予算をこっそり使っているのは、言葉は酷かったが、本妻に手渡す生活費ではなく、妾に支払う小遣いのようなものだと仰ったのが、強く印象に残っている。
 その後財政投融資には大きなメスが入れられ、今では資金運用部からの借り入れが無くなり、全体の額が14兆円足らずと聞いている。その財投の縮減に反比例して特会がゾンビのようにのさばってきた。
 民主党は、マニフェストでは一般会計と特別会計を合わせた国の総予算207兆円を全面的に組み替えすることにより、新たな財源16.8兆円を生み出すとしていた。しかし、とてもそれは無理だということが分った。これだけ真剣に事業仕分けをやってもこれ以上の予算削減は難しい、と世間にアピールする手段としての事業仕分けだとするなら、それは本末転倒で、不誠実極まるものだ。
 さあ、民主党よ! マニフェストで約束したことをどう実行して期待に応えてくれるのか?