
2010年6月
1114.6月1日(火) ザンジバルのからゆきさん
今日の多摩美大の講座「都市を美術とともに歩く」は西江雅之講師の「ザンジバル島のStone Townを歩く」という異色のテーマだった。1960年代から世界各地、80カ国以上を歩いて研究された。その中で、ありきたりの国ではなく敢えてunusualな国をターゲットにしてみたと言われた。西江講師は長年早稲田や東京芸大で教えてこられたが、タイトルとしては文化人類学者、言語学者と仰っている。
小さな島・ザンジバルの特異性をいろいろな角度から説明され、多くのスライドを見せてもらったが、その視点と多様性が面白いと感じた。知らなかったことが3点あった。
ひとつは、アフリカ大陸東海岸の南北帯、スワヒリ民族帯がイスラム文化であるということだった。しかもあまりイスラムの象徴であるミナレスが市街地に見られない。それでも、イスラム文化だと説明された。1968年に訪れたケニアのモンバサ海岸もこのゾーンに入るが、その当時モンバサではほとんどイスラム情緒は感じられなかった。この点を質問したらモンバサにもイスラム教会がたくさんあるということだった。
他のふたつの話は、ヴァスコ・ダ・ガマが航海に出る80年前に、中国から2万人単位でいかだのような船で中国人がアフリカ東海岸に辿り着いたという新説と、150年前にこの地に大勢の「からゆきさん」がいて、1920年ごろにも10人ほどの「からゆきさん」がいたらしい。彼女たちは、東南アジアに売られて行き、その後どういう事情か、地の果てまで売られていったようである。
かつてボルネオのサンダカンで、山崎朋子著「サンガカン八番娼館」の主人公だった「からゆきさん」が母国日本に背を向けて建てられたお墓をお参りしたことがあるが、ふっとそんな哀愁を感じさせる話だった。
それにしてもザンジバルのような小さな島に850の言語があり、700以上の異言語による聖書があるとは驚いた。興味深い講座で西江講師の話も予定の1時間半を大幅に超えてしまった。
さて、この数日鳩山首相の総理大臣としての力量について外野の声が喧しい。今日は辞職するか、続投かと話題は一気にヒートアップした。来月に控えた参議院選挙を睨んで、今の首相の不支持率では戦えないという参議院議員の切ない声が辞任論を後押ししている。ドン小沢幹事長と輿石参議院議員会長、鳩山首相による三者会談で話し合ったが、今ひとつ踏ん切りが悪く結論は出ない。このままでは反って目前の選挙に悪影響が出るのではないだろうか。
1115.6月2日(水) 鳩山首相、ついに退陣
ついにと言うべきか、やはりと言うべきか、鳩山首相が退陣することになった。今朝からテレビは大々的に報道し、各地で号外も出たようだ。
わが家で購読している朝日の夕刊はベタ白「鳩山首相退陣」であり、日経も「鳩山首相退陣表明」でほぼ同じで、トップの見出しも両紙とも「小沢幹事長も辞任」でまったく同じである。各紙とも論調はほとんど同じで、その原因は普天間基地移設問題の無様な結論と政治とカネの問題である。
昨日から様子が急に変わったので、何か動きがあるとは感じていたが、余りにも唐突だった。だが、本ブログでも度々書いたが、鳩山首相は一国を率いていくリーダーの資質を欠いていたことは間違いない。今日辞任を表明した挨拶の中で、「政権与党の仕事に国民が徐々に聞く耳を持たなくなってきた」ということを述べていたが、何をバカなことを言っているのかと思う。この人は自分がやってきたことに反省の気持ちがまったくないようだ。国民が聞く耳を持たなくなったのは、なぜか。首相自身が軽率な発言で実行力が伴わず、挙句の果てに裏切り行為をやったからではないか。その点を国民が糾弾しているのではないか。思い違いも甚だしい。引かれ者の小唄のようなことばかり言うのは、自分の業績に自信がないからではないか。首相の座ばかりか、この人は政治家としてもやっていける資質がないのではないかと思う。
こういう無能な人を最高位まで上り詰めさせたのは、政治制度と選挙制度にも問題がある。一時は、世襲制についてかなり疑義が出て、世襲政治家の芽を摘むような制度が出てくるかと思いきや、いつのまにか萎んでしまった。
結局首相にしろ、幹事長にしろ、政党内の有力者の間に多くの世襲政治家がいる以上、締め付けを覚悟のうえで大胆不敵な世襲決別案を考え、国民が納得のいく世襲議員を誕生させない法案を編み出さなければ、馬鹿な世襲政治家は失くせないのではないか。
明後日民主党新代表が決まり、鳩山内閣が総辞職して、衆参本会議で首相指名選挙を行い、来週初めには新首相が所信表明演説を行う。問題はその後の参議院選挙である。今回鳩山、小沢が辞任したのは、この二人が看板になっていては選挙に勝てないとの計算が働いたからである。昨日から、新制度・子ども手当ての支給が始まった。今月下旬にはカナダでサミットG8が開かれる。この難局をへなへな民主党で乗り切っていけるのか。
次の代表、つまり新首相候補として菅副総理が名乗りをあげた。
1116.6月3日(木) 始まった次期民主党代表選挙の暗躍
日本中を震撼させた鳩山首相と小沢幹事長辞任のニュースが、朝刊一面を独占し、テレビニュースやワイドショー番組でも大きく取り扱っている。今日の駒沢大学講座でも2時限とも、その原因とか、新代表予想が話された。
明日民主党代表選挙が行われるが、昨日早々と菅副首相が立候補を表明したが、今日新たに樽床伸二・衆議院環境委員長が名乗りを挙げた。51歳で当選5回の実績があるのだが、寡聞にしてその名を知らなかった。
明日の新代表選出は、新しい党として生まれ変わってもらうために、カネの問題を抱えている小沢幹事長と抱き合い心中を図った形となった鳩山首相の意向がどれだけ反映され、今後民主党が清新な政党として生きていけるかの試金石となる。岡田外相、前原国交相、枝野行政刷新相、仙石国家戦略担当大臣ら大物閣僚は相次いで菅支持を宣言した。こうなると流れが一気に菅支持へ傾いていたが、これがまた新しい政党のイメージを誕生させることにならないのではないかと小沢シンパは、樽床氏を応援することになった。ところが、夜になって小沢派は、自主投票することになった。これで菅氏に決まりである。
自主投票になったことは、小沢氏が積極的に動かないということだ。しかし、どうもやり方が陰険になってきたようだ。菅氏支持グループは、小沢色がつかないことを画策している。また、いつもながらの永田町の暗躍が始まった。これで果たして新生民主党として再出発できるのか、些か疑問符がつく。
明日の結果を待って考えるより仕方があるまい。
1117.6月4日(金) 菅直人氏が第94代総理大臣に
菅直人副総理が今日の民主党代表選挙で代表に選出され、その後衆参本会議の首相指名選挙で、第94代、61人目の総理大臣に指名された。一昨日鳩山前首相辞任以来の動きから落ち着くべき人に落ち着いたというのが世間の見方だろう。
今日の代表選で菅氏は昨日唐突に出馬宣言した樽床伸二氏に圧勝した。問題はこれからである。アメリカ政府は時差の関係もあり、正式なコメントを発表していないが、ABCは過去21年間で15人目の首相であるが、薬害エイズ問題を解決して国民の人気を得たとか、久しぶりに世襲政治家でない首相が選出されたとアナウンスした。明日アメリカ政府がどんなコメントを述べるか注目してみたい。
今朝からテレビでは民主党代表選やら、その後の専門家の分析などがあったが、首を傾げるマス・メディアの取材コーナーがあった。かねてから目立ちたがり屋の噂のあった菅直人夫人伸子さんへのインタビューである。代表選で選出された直後に自分をファースト・レディと呼ばないで欲しいだの、「首相夫人」と呼んでもらいたいだの、まだ国会で総理大臣に指名されていない内から、すでに呼んでもらいたい「首相夫人」の気持ちになってしまっている。「首相夫人」としてやる気満々である。自分が総理大臣になったわけではなく、「首相夫人」になったのだということを自覚して亭主を補佐する行動をするべきではないだろうか。言っても分らない人だろうが、鳩山幸夫人にしろ、菅伸子夫人にしろ、良きパートナーとして亭主を支える役割をきちんと果たすならともかく、亭主を差し置いてあんまり派手なパフォーマンスで注目を集めるようなことは見苦しいのでやめてもらいたいものである。
当面内閣閣僚の任命と組閣を8日以後に延ばすという。従って認証式もそれまで行わない。それなら、代表選ももう少し時間を置けば良かったのではないかと思う。戦略か作戦があるのか、中々電光石火とはいかないものだ。菅首相が小沢一郎氏にはしばらく静かにして欲しいと公言したことが、政界に波紋を呼んでいる。幹事長として絶大な権力を誇っていた小沢氏をやりにくいからと言って、隠居同然に処することが果たしてできるだろうか。やり遂げれば菅氏の評価はさらに上がるだろう。
菅発言は小沢陣営にどんな衝撃を与えただろうか。現在のところ菅氏の周辺には、小沢氏と距離を置く人が動いているが、彼らが組閣と民主党役員人事の中心になるようだと、自民党の年中行事だった民主党内の抗争に発展する可能性がある。
まだ、沈黙を続けている小沢氏が、今後自分たちの処遇を巡ってどういう行動に出てくるか。波乱含みの新政権の船出ではある。
ところで、今日は21年前天安門事件が発生した日である。あの時北京大学反体制派学生で事件の中心人物として中国政府から追われ、アメリカに亡命して現在台湾に在住しているウアルガイシ氏が、麻布の中国大使館に正門から飛び込もうとして警戒中の警官隊に取り押さえられ、逮捕された。ウアルガイシ氏が秘かに訪日中であるとは知らなかった。しかし、中国がマークしている人物のこんな行動で外交問題に発展しなければ良いがと思う。
1118.6月5日(土) 寺前秀一・加賀市長出版記念会
菅直人・新首相就任についてアメリカのオバマ大統領が公式に歓迎の意を表した。メドベージェフ・ロシア大統領と温家宝・中国首相からも祝電が寄せられた。
しかし、いずれにしろ外交上の儀礼的なお祝いであり、格別菅首相の理念や行動力を評価するとか、国際社会をリードしていくために相互の連携を深めようというほど強い期待感が表れたものではあるまい。オバマ大統領のコメントは、普天間基地移設問題に関する日米政府間の合意を確認しようと本音が透けて見えるメッセージである。最近の日米関係がギクシャクしている中で、取り立てて新味のある祝福のメッセージのようには受け取れないのではないか。詰まるところアメリカの指図に従って、粛々と合意事項を遵守することを求められているに過ぎないと思う。
水面下で行っている役員人事と組閣工作については、菅首相は小沢グループを締め出そうと考えているようだ。脱小沢による清新なイメージを打ち出して、政権浮揚を狙っているようだ。鳩山前首相が小沢氏と二人三脚を組んでいたように見せかけてはいたが、鳩山氏にとって小沢氏の存在は目の上のたんこぶとなっていた。これをより気持ちの通ずる菅氏に、小沢氏と刺し違いすることによって菅新政権の環境整備をして、菅氏に借りを作らせたのではあるまいか。
一方、小沢氏から間接的に、9月に党代表の任期が終る次回代表選挙では、菅氏以外の候補者擁立を考えているとの声が流れ、対菅戦争が燻り始めている。早くも菅派と小沢派のつばぜり合いが始まった。この国民無視の陰険な争いによって、再び国民に愛想をつかされるようなことにならなければ良いがと思う。
さて、午後東洋経済新報社ビルでJN協会理事である寺前秀一さんの出版記念会が開かれた。寺前さんは昨年10月高崎経済大学教授を辞めて、加賀市長選挙に打って出て当選された。このほど現職市長として著書「観光・人流政策風土記」を出版されたが、国交省に勤めておられたころから観光分野に関わり、大学地域政策学部観光学科でゼミを持たれていた研究成果をまとめられたものである。今取り掛かっている「そこが知りたい 観光・都市・環境」執筆上参考になりそうである。
私自身過去2回主催した出版記念会とは大分趣が異なり、やや異色にしてアカデミックな試みで、司会者抜きのまま寺前氏は寺前観光論について1時間近くに亘って熱弁をふるわれた。参加者は立ったまま寺前教授?の話を神妙に拝聴するという段取りだった。加賀は寺前氏誕生の地ではあるが、加賀を離れてからかなり時間が経っているので、土地の雰囲気を理解するのは大変だったようだ。特に、合併市町村の場合は、複数の旧自治体に対して平等な行政を行う難しさについて述べられた。
断片的に話された内容の中で、九谷焼について、本家が伊万里焼であるとの説があるというのは初耳だった。しかし、この本家・分家論については疑問が呈されていて、真偽のほどは現時点でははっきり分らないらしい。
1119.6月6日(日) パレスチナ・ガザ地区周辺がまた騒がしい。
上海万博が開催されて1ヶ月余りが経過した。開会直前の熱気を帯びた盛り上がりに比べ、その後報道はトーン・ダウンして詳しい情報はあまり伝えられず、何かトラブルでもあったのかと多少気にしていたところ、再び大きなニュースになった。日本館で予定していた「SMAP」の公演を、警備上の理由から中止することになり、万博事務局から正式に連絡があった。
入場者数も当初の期待に反して予想を大分下回っていた。大阪万博の総入場者数を上回る7千万人を目指していたが、危うくなってきたので、連日国を挙げて中国人団体を動員しているらしく、一時は1日20万人を割っていたのが、最近では50万人を超えているというから、その動員力には舌を巻く。
しかし、中国人がすぐ持ち出すメンツとかプライドのために、無理してまで国がかりで人集めをやるのはどうかと思う。実際その気になれば、人口過剰の中国だから大阪万博の入場者数を追い越すのは、そんなに難しいことではないと思う。
さて、今国際的に外交・政治問題化しているのは、北朝鮮による韓国哨戒艦沈没事件だが、欧米を中心により以上に世界の注目を集めているのは、先月末パレスチナ・ガザ地区への支援船をイスラエル軍が強引に拿捕し、9人の死者を出した事件である。ところが、昨日イスラエルは再びガザ支援船の行く手を阻み、今度は抵抗しなかった支援船をイスラエルの港へ曳航した。
イスラエルとパレスチナ自治政府の言い分は真っ向から対立している。イスラエルは、ガザ地区を支配するイスラム過激組織・ハマスへの武器密輸を防止する目的があると言い、一方の支援団体は、公海上で海賊行為により拘束されたとイスラエルを非難する。
そもそも事件の背景には双方の根深い不信感がある。2008年末のイスラエル空軍のガザ地区への大規模攻撃により、市街区は壊滅的な打撃を受け、復興はまだ進んでいない。イスラエル政府はハマスの軍事拠点に使用されるとして、建築資材の搬入を認めていないからであり、ガザ地区住民は電気も充分供給されず、不自由な生活を強いられている。イスラエルのネタニヤフ首相は、ガザに人道上の危機は存在しないと言い、ガザ地区住民の苦境に同情する気はさらさらないようだ。
流石にこのイスラエルの乱暴な行為に対して、世界中から非難が浴びせられているが、イスラエル寄りのアメリカは、今回もイスラエルを非難することはせず、支援船に対してガザへ接岸せずにイスラエルの港に入るよう要請した。
だが、5月の支援船拿捕の際多くの犠牲者を出したトルコでは、エルドアン首相がイスラエルの蛮行に対して直ちに国家テロと断定し、両国間の外交関係を見直すことを示唆している。これまで中東諸国の中では唯一イスラエルと友好的だったトルコが関係見直しを言い出したことは、イスラエルの中東地域における孤立化が一層深まる懸念がある。
とにかくパレスチナ問題は複雑で難しい。こういう面倒な問題が仮に日本近海で発生したら、タフな外交交渉力とディベート力に欠けるわが国は、恐らくやられっ放しだろう。
1120.6月7日(月) 外務官僚の狭量にがっかり
国際経済が先行き不透明になり、特にヨーロッパ市場ではギリシャの経済破綻、アイルランド、スペイン、ポルトガル、イタリアなどの景気低迷でお先真っ暗という状況である。そこへ新たにハンガリーの財政不安が囁かれ出した。ハンガリーはEU非加盟国であるが、アメリカの先行き不透明感もあって世界的な株価下落となってしまった。今年3月以降日経平均は下りっぱなしで、11,000円台だったのが、今日は9,500円台にまで下がってしまった。日経平均株価も今年に入って最大の下げ幅で対前日380円安である。景気は回復傾向に向かっているとの報道が多いが、この調子だと一体いつ景気のよい話が聞かれるのだろうか。
菅新首相の下で新閣僚と民主党人事が決められつつある。明日認証式を行うようだが、まだ農林水産大臣が決まらない。ほとんど再任だが、赤松農水相だけが、更迭される破目になった。口蹄疫が大騒ぎになった時、こともあろうにキューバでカストロ将軍との対面を望んで時間を空けていた。その時間中にゴルフをやっていたとの週刊誌の誤報に、生憎口蹄疫問題が頂点に達して、噂が増幅され監督官庁としての責任を問われることになってしまった。
一方、今日の人事で中国特命全権大使に決まったのが、丹羽宇一郎・伊藤忠商事椛樺k役である。激職だった社長・会長職を退いても多くの職を務められ、アメリカ駐在も長く、海外での人脈が広い。
しかし、新聞報道を見ると、政府内部にも、外務省内部にも、外交交渉に慣れていない丹羽氏の大国の大使職には疑問を呈する向きがあるようだ。何を馬鹿なことを言っているのだと言いたい。この外交交渉というのが、曲者なのだ。最近だって外交密約文書で外務省が国民を騙した一件が明らかになったばかりではないか。日本の外交官には、率直に言って本当の意味で国益のために粉骨砕身精一杯努める気配が感じられない。長年に亘り海外とのビジネスに携わり、虚虚実実の駆け引きの修羅場を踏んだ丹羽氏なら、遊びまわっている全権大使よりよほど国家・国民のことを考え、働いてくれると思う。民間人に重要職を奪われそうな外務官僚の妬みではないか。丹羽氏は、外務省が決めたルールの下で出来レースのような交渉ごとをやる以上のことをやってくれると思う。
丹羽氏にはこれまでのプロの外交官がやれなかった以上のことをやってもらって、外務省と外務官僚の鼻を開かして欲しいものである。
1121.6月8日(火) 菅直人新内閣スタート
菅内閣が発足した。今度は社民党が離れ民主党と国民新党、2党による連立政権である。新政権は「脱小沢」を主唱しているが、本当にできるだろうか。昨日の民主党両院議員総会で党役員人事を決定し、了承された。しかし、その場に小沢氏はいなかった。小沢グループの役員は「しばらく静かにして欲しいと菅代表が言っていたので・・・」と問わず語らず漏らしていたが、もうお互いの鞘当てが始まっている。
内閣官房長官に小沢氏と距離を置く仙石由人・前国家戦略相を、党幹事長に一部の反対を押し切って菅首相に近い枝野幸男・前行政刷新担当相を任命して脱小沢色を強く打ち出した。
ところが、昨晩の「ニュースZERO」で村尾信尚キャスターがゲスト出演した枝野氏に政治の透明性について質した。そのひとつは、枝野氏は政治の透明性を主張しながらも、小沢氏の金銭問題に関する証人喚問をはぐらかして、村尾氏から言っていることが矛盾していると指摘された。枝野氏は憮然としながらも、自分は弁護士なので法律は分かる。法的責任の問題には防御権もあり、そのことには一定の配慮をしなければならないと証人喚問に慎重な姿勢を示したことを村尾氏が突いたことを指している。枝野氏は小沢氏の反撃を恐れてか、深く小沢氏を追い詰めるような発言をしていない。更に枝野氏はこれから自分は団体や企業から献金は受けないと、きれいごとを言って透明性について力説していたが、村尾キャスターの言う通り、言うことがまったく矛盾している。
沖縄の首長らは揃って、普天間基地移設について菅首相が日米合意をベースに進めるという談話に強く反発している。辺野古移設は認めないといい、徳之島の町長は日米合意から「徳之島」という言葉を削ってもらいたいとまで言っている。沖縄にしてみれば、日米合意にはまったく自分たちの意見が採り入れられていない。これが過去から現在に至るまで蚊帳の外に置かれていた沖縄の気持ちである。鳩山前首相は普天間問題をこじらせて職を辞したので、沖縄ではこの問題は仕切り直しだと考えている節がある。一応日米合意は形成されているが、そう簡単には問屋は卸さないのではないか。
そのほか、最大の問題は財政再建だろう。今の借金財政では、早晩行き詰まることははっきりしている。この経済不況下に税収は落ち込み、当然増税が話題になる。妙に気の合う亀井静香・金融・郵政担当相と原口一博・総務相は、経済立て直しのために今すぐにでも必要な財政出動を行う必要があると、国債発行をなお推し進めようとしている。
しかし、与野党とも全般に消費税増税はある程度やむを得ないと考えている。それならもう少し消費税議論や、財政再建について真剣に議論を闘わせて欲しい。
とにかく新政権が船出した。鳩山前首相のようにぶれることなく、国民に約束したことはきちんと守って、実行してもらいたいとつくづく思う。
1122.6月9日(水) 民主党は真剣にマニフェストを作れ!
4月以来、また妻と新潟にやって来た。新潟市へ転勤中の37歳の二男がやっと結婚の意思を固めた。先日突然のように本社へ出張序に彼女を連れてやって来た。明日新潟市内の彼女の自宅へ挨拶に行き、相手の両親ともどもホテルで食事をする予定である。今の若者はわれわれ世代の考え方とはかなり違い、どちらかと言えば自分中心である。親戚や会社関係、友人関係を考えると結婚式は東京で行うことを勧めたが、東京と新潟の中間地点で家族だけに祝ってもらって結婚式を挙げたいという。本人たちの意思が固いので、まあ認めることにした。今秋軽井沢辺りの教会で挙式ということになりそうだ。彼女の両親はどう考えているのか分らないが、娘の良いようにと言っているようなので、それならそれで良いと妻も納得している。
昨日発足した菅政権は、「強い経済、強い財政、強い社会保障を実現する」ことを追及し、「最小不幸社会」を目指すという。財政を強固にするということは、現段階では社会保障の充実と相容れない点もある。特にその基本である増税議論については、比較的理解のある閣僚が、党の垣根を越えて他党と話し合いたいと言っているので結構だと思う。今頃になって増税を検討しようというのが、そもそも遅いのだが、それでも現在の厳しい財政状況を考えれば、どんどん進めて欲しいと思う。実際今日長沼昭・厚労相が来年度予定の子ども手当ての満額支給は難しいと発言した。やはりそうなるのかと残念な気はするが、最初からマニフェスト通り実施するのは曲芸だと思っていた。満額支給にした場合、年間5.4兆円の支出である。
今朝の朝日社説に公約の見直しを率直にと書かれていた。約束通りできないことを有権者に率直に謝罪し、これからどうするか説明し、参院選で信を問うことを提言していた。特に、子ども手当ては当面満額見送るとはっきり書くべきだろうとも提言している。
昨年の衆議院選では、マニフェストに大盤振る舞いをやって、民主党は政権を取ったのはいいが、反って自分たちの首を絞めてしまった。
しばらく民主党内の人事抗争は収まっているかも知れないが、この間に前回と違って参院選マニフェストをばら撒きではなく、実現可能性を充分精査して検討し発表すべきであろう。
1123.6月10日(木) 新生民主党にひ弱さ
今朝二男が宿泊ホテルへ迎えに来てくれたので、車で一緒に二男のフィアンセの自宅へ向かい、その後新潟市内のホテル・オークラで彼女の両親と一緒に食事をした。食事中もいろいろ話をして、彼女も、両親もとても良さそうな人に思えたので安心した。これを機会に息子も本当の意味で独り立ちして欲しいと思っている。
新しい政府がスタートして人事も何とか収まった。朝日新聞世論調査によると、鳩山内閣の最後の支持率が僅か17%だったが、菅政権の支持率は60%に上がった。民主党もイメージが変わったように受け取られたようで、印象が良くなったようだ。これは菅首相に期待というより、小沢前幹事長を追い出したことが大衆受けしたのだと思う。実績と真価はこれからだと思う。小沢氏と菅首相との駆け引きは、これからが本番である。
当面の課題は、参議院選挙で民主党がどれだけ議席を獲得できるかだと思う。60議席取れれば民主党独自で参議院は過半数を制することができる。小沢氏は当然その60議席を目指していた。ところが、菅首相は勝利の境界は50議席だと言い、ハードルをぐっと下げた。最初から自分自身にキズがつくことを恐れたのではないか。その参院選は投票日が来月11日に決まる線が強くなってきた。
国会会期延長の件では、連立相手の国民新党とうまく調整できない。民主党には強いリーダーシップ、強さ、強引さ、力があまり感じられないような気がする。その点がどうも気になる。
新潟へ行っていてメールをチェックしていなかったが、小中陽太郎さんから娘さんの夫が昏睡状態にあるとびっくりするメッセージをいただいた。すぐお見舞いの言葉を送信したが、回復されることを心より祈るばかりである。
1124.6月11日(金) ももこさんのご主人急逝
今朝メールを見たら、小中陽太郎さんから払暁4時娘さんの夫が亡くなられたとショッキングな伝言が入っていた。手遅れだったと書かれていたが、急逝の原因について詳しいことは分らない。娘さん、ももこさんの夫は韓国人で鄭さんと仰る。まだ若いのにお気の毒だ。葬儀関係については韓国の人がよく面倒をみてくれていると感謝の気持ちを書いておられる。お仕事の関係もあるのだろう、今日大邱市から帰国すると知らせてくれた。小中さんご夫妻とももこさんのお気持ちを考えると何と言葉をかけていいのか分らない。心より鄭さんのご冥福をお祈りし、ご遺族の皆さまにお悔やみ申し上げたい。
今日は二つの予定があった。ひとつは、JN協会の観光セミナーである。講師は横山善太・JALUX特別顧問で、日航OBらしく昨今話題になっているJALについて外から容易には分り難い内情や、JALとJASの合併話の裏話などを話された。合併話では私が知り合いのJAL社員から聞いた風聞のような話とは随分違った。やはり実際にそういう深刻な問題に関わった人から内部の話、特に両社の合併比率決定の経緯を聞くと大分印象が異なる。目から鱗が落ちるような話だった。
二つ目の予定は、夕方プレスセンターで開かれた片山正彦氏の「ここに記者あり!」(岩波書店発行)出版記念会である。片山氏には2年ぶりにお会いした。モデルの村岡博人氏も出席された。サッカー元日本代表選手だった割には、小柄な方だ。入れ替わり立ち代り親しい人たちが、村岡氏と片山氏を誉めておられた。参加者は150名あまりだったが、ほとんどメディアの人びとだった。今ジャーナリズムの危機が叫ばれているが、それを裏付けるように冒頭挨拶された元共同通信役員の原寿雄氏が、自民党政府から機密費をもらっていたジャーナリストがいる。それが近日明かされるのではないかと言われ、ジャーナリストは襟を正すべきだと強調された。
片山氏にも、北岡和義氏、菱山郁朗氏にもお会いした。
先週土曜日の寺前さんの出版記念会とは趣も異なり、片山氏のお人柄や個性的な面が表れていたように感じた。
1125.6月12日(土) 大人気ないサッカー日本代表チームの行動
サッカー・ワールドカップが南アフリカで開幕した。連日開幕前の様子をテレビで放送しているが、今回はどういうわけか、日本国内では今ひとつ盛り上がりに欠ける。その原因として考えられるのは、岡田代表監督のベスト4入りを目指すという当初の決意とは裏腹に、大会前のテストマッチで3戦3敗のうえ、たった1点しかゴールできなかった決定力不足が期待を昂揚させない原因であろう。
もうひとつの原因として考えられるのは、大会自体より南アフリカの治安問題にあると思う。前回のドイツ大会に比べて地理的にも遠く、治安の悪さが度々報道され、観戦に行くには危険が多すぎるような伝えられ方では、つい二の足を踏んでしまう。1日平均50件の殺人事件があると聞いては、腰が引けてしまうのも無理からぬところである。日本とはすべての面でかけ離れた世界で行われるイベントというのが、馴染みにくいもうひとつの原因だろう。
20年近く前に訪れた時の南アフリカの治安も考えてみると異常だった。ヨハネスブルグ市内の大手商社支店長のお宅に招かれた時、門前でしばらく待たされた。その理由は防犯用に庭内に放し飼いされている猛犬を繋ぎ止めるためであった。これにはぶったまげた。
今日から約2週間の間、毎日13,500kmも離れた地から熱い実況放送が届けられるのだろう。その中で今朝の朝日新聞にちょっとがっかりさせるような記事が掲載されていた。最後のキャンプ地・ジョージにやってきた日本代表チームが、空港で出迎えてくれた現地のファンを一顧だにせず、足早にバスへ乗り込んでファンをがっかりさせたようだ。監督しかり、中心選手の闘莉王しかりで、大勢のファンの期待を裏切った。選手たちはせっかく出迎えてくれた地元の人たちをひどく失望させたようだ。記事については友人のひとりがメールで知らせてくれた。今回の日本チームを応援する気になれないし、期待もできないという。確かに記事を読んで感じたのは、チームの仕上がりがうまく行っていないせいか、チームに明るさとか、のびのびしたリラックスムードがないような気がする。
しかし、試合の内容と結果はもちろん重要であるが、考えようによっては、ファンサービス精神とか、選手が備えているべき人間性は、それ以上に大事である。今日のサッカーブームの到来や、日本がワールドカップに出場できるようになった陰には、ファンから支えられてきた歴史があることは誰でも分っている。そんなことは選手たちは当然承知していると思うが、日本サッカー協会は日本代表チームの監督を始め、全選手に事前にその点を確認し、ファンを大事にすることをチームに伝えるべきだった。この様子では今回は日本代表チームに大きな期待はかけられそうもないが、精々無様な試合展開だけは避けて欲しいものである。
1126.6月13日(日) 世界平和度で日本は第3位
つい最近イギリスの経済誌「エコノミスト」が公表した「世界平和度指数」で、日本は149カ国の中で堂々第3位にランクされた。治安状況やテロの危険性、政情、軍事費支出など20項目以上を集計して算出した数値を基に割り出した順位だそうである。日本より上位の1位はニュージーランド、2位はアイスランドで最下位はイラクである。経済が破綻に近いアイスランドの2位というのが、些か首を傾げるところであるが、何となく納得できる。日本より上位の2つの国は、近くに危険な国がないことが高く評価されたそうだ。日本の近くには北朝鮮が存在することがマイナスになっている。こうなると例え貧乏でも近くに危険な人物がいない方が幸せだということになる。
この数値がすぐプラスに活かされるということはないが、安心して旅行できると外国人から見られることは「観光立国」を売り込んでいる日本としても追い風となるのではないか。日本に長く滞在している外国人にインタビューすると、「夜遅く一人で歩いても安心」「女の一人歩きができる」「物を置いても盗られない」と、普通の安心感覚を持っている。
庶民感覚でも周囲に危険を感じないということは有難いことであるし、貴重なことである。だが、ピリピリするような危険感覚が少ないのも世界的に問題な「平和ボケ」とか、他人のことに気を配らない嫌な雰囲気が当たり前になる恐れがあるから、別の面でちょっと心配でもある。電車内でお年寄りが乗っても若者の中には携帯や漫画本に夢中になったり、居眠りしたフリをして席を譲ろうとしない不届き者が増えている。
因みにこの平和度で北朝鮮は139位、中国は80位、韓国は43位だった。平時における治安の悪さで悪評高い、南アフリカは121位だった。今ここでワールドカップが開催されている。
さて、昨日菅首相はマニフェストに掲げた月額26,000円の子ども手当ての満額支給を断念し、現行の13,000円の上乗せ分は保育サービスなどの現物支給を検討することを表明した。結局衆議院選挙のマニフェストは、頓挫することになった。
しかし、元々財源に乏しく満額支給は当初から疑問符が付いていた。普天間移設問題と同じように結論を先延ばしにした末に、諦めることになった。有識者の意見を聞いていると、どうしても無理なら国民に充分説明して方針転換することも検討した方がよいとアドバイスしている。鳩山政権は頑固に無理押しをして自らを追い詰めてしまうところがあった。消費税問題にしても、向う4年間は税率を上げないといっているが、法人税収入が激減している中で、あまり実行できもしないマニフェストを振り回すと益々窮地に追い込まれる。
そんな中で今朝の日経紙にイギリス・カーディフ大学日本研究センター所長クリス・フッド氏がマニフェストについて提言している。まず、日本とイギリスとではマニフェストに関する考えが異なる。イギリスではマニフェストはあくまで構想で、野党時代に掲げたマニフェストを与党になって修正するのは何ら問題がない。日本ではそれが憲法のように扱われていると指摘している。
子ども手当てにしろ、消費税の増額にしろ、苦しい財政状況を懇切に説明して変更するのは、むしろ国民には親切だと思う。菅政権はこの苦しい懐具合の中で参院選をどんなマニフェストを示して闘っていくのだろうか。
1127.6月14日(月) 小惑星探査機「はやぶさ」7年ぶりに帰還
昨晩小惑星探査機「はやぶさ」が、7年ぶりに地球へ帰還した。今朝の新聞やテレビでも、そのニュースが大きく取り上げられ、感情移入したのか涙ぐんで解説するテレビ・キャスターもいたくらいである。少々専門的過ぎて打ち上げた意図や、その飛行功績については詳しくは分らないが、7年の飛行と60億kmの飛行距離には驚かされる。想像もできない遥かなる宇宙の果てである。地球から3億qも離れた、東京ドーム3個分くらいのサイズの小惑星「イトカワ」へ着陸して、カプセルがそこの砂を採取したらしい。しかも大気圏へ突入する直前に地球の写真まで撮って地上へ送ってくれた。何より凄いと思うのは、何度も故障して一時行方不明になり帰還が3年も遅れたうえに、一度途切れた通信機能を再び回復して電波を地球へ送ってくれたことである。宇宙航空研究開発機構(JAXA)のスタッフの辛抱強い努力が実った。
これから回収されたカプセルからどんな新事実が解明されるのか期待が膨らむ。昨日オーストラリアの砂漠に落下する前に大気圏へ突入した後、「はやぶさ」が流星を引っ張るように飛行して分解したが、カプセルはそのままパラシュートを開いて無事着地した。素晴らしい光景を映し出してくれた。久しぶりに宇宙の素晴らしさを画面から教えてくれたように思う。カプセルは直径30p、高さ15p、重さ6sの小さなものだそうである。
それにしても月以外の惑星へ到達して戻ってきたのは、世界で初めての成果で、落ち目と見られていた日本の宇宙航空技術の高い水準を世界に知らしめた点でも特筆ものである。
ワールドカップの大騒ぎの陰で地味ながら、こういうロマンのある科学技術が日本の存在感を示してくれたことを誇らしく思い、深い感動を覚えた。
ふっと別の「隼」を思い出した。言わずと知れた大東亜戦争で活躍した陸軍航空隊の戦闘機「隼」である。飛行第64戦隊(加藤隼戦闘隊)の皆さんと何度もビルマへ慰霊巡拝に行ったものだが、その中心だった皆さんはすでにほとんど亡くなられた。初めてビルマを訪れてから早くも40年が経つ。この慰霊団が縁で国家事業である戦没者の遺骨収集事業を長年に亘ってお手伝いさせていただいた。これも私にとってはロマンを感じさせてくれる旅行だった。
1128.6月15日(火) 安保条約改定50周年
60年安保闘争が、結局岸信介首相による国民への最大級の裏切り行為によって終結させられたのは、ちょうど半世紀前の今日6月15日である。あの時は実に悔しかった。国会周辺だけでも10万人を下らないデモ隊による異様な雰囲気に取り囲まれていた。結局安保条約は6月20日未明に自然成立となった。この日東大生・樺美智子さんが警察の暴力により亡くなった。それまで何回となくデモには参加していたが、どういう事情だったか、この日は国会デモへ駆けつけなかった。母が節夫もデモへ出かけていたら、惨事に巻き込まれたかも知れないとほっと胸をなでおろしていた。
あれから日米安保は、10年後の改定時になっても大きな変化は起こらず、今日まで延々と継続され、ついには先般の沖縄・普天間基地移設問題でも日米政府は、普天間を辺野古への移設で合意した。先日外務省外交文書密約裁判で勝訴した西山太吉氏が、安保条約は内容的に大分変質していると言われたが、一旦改定された60年安保が、いつまでもクビキとなって、日本国内の基地問題の重しとなっている。
日米合意を遵守して普天間移設問題に取り組んでいくと話した菅首相も、一昨日の「はやぶさ」帰還と昨晩のワールドカップ緒戦勝利がよほど嬉しかったのか、2連勝だなどと浮かれていないで、国民を納得させるような説明をして欲しいものである。
さて、先日倉敷出身の出井猛氏から麹町・弘済会館で開催のセミナーにお誘いを受けた。講師は、大原美術館理事長・大原謙一郎氏である。「倉敷から日本を考える」と題して1時間30分余に亘り持論を交えて、倉敷という土地柄、倉敷人について明快に話され、80人の聴衆に感銘を与えた。
印象に残った話は、倉敷は町村合併でも陣取りのように地域を広げていくのではなく、クラスターと呼ばれるような葡萄の葉のように、吸収都市を取り込むのではなく、個性をその地で生かすと話されたことと、民間や町衆の行う行事は、祭りでも学校創設でも持続可能であり、これを官が行ったら持続不可能だったと言われたことである。大原氏は倉敷の文化や住民気質について、かなりの自負を持っていると感じた。元々企業経営者であるが、文化に造詣が深く、話に深みがあり全体的に分りやすい内容だった。
1129.6月16日(水) 岸井成格氏講演会と60年安保写真展
久しぶりに「ふるさとテレビ」の月例セミナーに出席した。国会議事堂裏の憲政記念館で開催されたセミナーで、毎日新聞特別編集委員・岸井成格講師が「波乱の政局を読む」と題して1時間余に亘って持論を分り易く解説された。永年政治部記者として取材に当たられていただけに、政治の内部事情と政治勘に勝れていてあまり知られていない興味ある話をされた。
そのひとつはサッチャー・イギリス首相が来日された時、並み居る日本の首相経験者を前に、首相の資格に関する質問に応えて、サッチャー首相は日本の首相資格についてイギリス人に聞くほど、日本には国家のリーダーたるべき人材はいないのかと逆質問をして、オーバーな表情で嘆かれたという話である。
もうひとつは、最近中国政府がアメリカ政府に対して、全アジア・太平洋海域の安全保障のために、東太平洋をアメリカが、西太平洋は中国がコントロールしたいと秘かに申し出たそうである。そのためには、南鳥島が日本領土であるのが邪魔であるとか、なぜ日本領なのかとか、沖縄近海の公海が狭くて沖縄諸島が気になるような話をしたらしいが、今更ながら法衣の下に鎧を着た中国の覇権主義がミエミエで、中国が経済成長に乗って何でも事が通ると思っているその傲慢さには嫌悪感すら憶える。
中々歯切れの良いスピーチだったが、岸井氏は今月24日には、毎日新聞社編集主筆になられるそうで、これから毎日新聞紙面編集の全責任を負っていくことになる。一時大腸がんを手術されたようだが、お見かけしたところお元気そうなので、益々の健筆を期待したいと思う。
セミナーを終えてから慶応出身の岸井氏が客員教授をしておられる早稲田大へ行った。明日まで「60年安保50周年記念行事」の一環として大隈記念タワーで報道写真展が開かれていることを知ったからである。早大キャンパスを訪れたのは、早大受験の時以来ほぼ半世紀ぶりである。街と大学キャンパスが融合しているような印象を受けた。展示写真はそれほど多くはなかったが、それでも懐かしいものが大分あった。当時の新聞と記念雑誌が興味を惹いた。スペース中央部では、安保闘争の流れについてビデオが放映されていたが、樺美智子さんの死とアイゼンハウアー大統領のハガチー新聞秘書来日騒動、そして強引な手法で安保を成立させた国会の様子などが懐かしいものだった。
それにしても、当時の学生は現在に比べると服装はほとんど学生服で地味そのものであるが、信念とか行動は迫力があった。それに植物系で無機質な学生はほとんどいなかったように思う。
エレベーターで一緒になった同じような年頃のおばさんは、今の学生はだらしないとしきりに嘆いていた。
夜テレビ朝日で池上彰の「学べるニュースSP!」を観ていたら、ラグビー誕生についてデタラメを言っていた。結構役立つ番組で真面目な取材をしているし、いつも池上氏が分り易い解説をされるので、楽しみに観る番組のひとつであるが、最早ラグビー通の間では定説となっているラグビー誕生のユニークな話があまりにもお粗末なエピソードに創り上げられているのには驚いた。大した取材もせず、よくもこんな嘘っぱちをでっちあげるものだと呆れ返ってしまった。返事はないと思うが、とりあえずTV局にメール送信で注意してやった。
1130.6月17日(木) 江戸城復元図完成報告会
江戸東京博物館でNPO法人「江戸城再建を目指す会」主催による「江戸城寛永度天守『復元図』完成報告会」が開かれた。しばらくぶりで会の催しに参加したが、小竹直隆理事長の情熱的な指導力と、スタッフの周到な事前準備で報告会は大成功だったと思う。
城郭建築の研究家である三浦正幸・広島大学大学院教授が「寛永度天守はこんなに壮大で、美しい姿だった!」と題して、幕府大棟梁が遺した江戸城寛永度天守絵図について、他の安土城、大坂城、姫路城、名古屋城、宇和島城の立面図と比較しながら、その大きさや特徴等を分り易く説明された。
引き続いて照明デザイナー・石井幹子氏が「夜空に照らされた江戸城―東京の新ランドマークをつくろう」のテーマの中で、夜の照明効果について、更に諸外国に比べて日本の都市には観光の目玉がないので、仮に江戸城を東京湾岸にでも作れば夜景が美しく、観光地化が期待できると話された。だが、これは後段のシンポジウムで、小竹理事長が江戸城再建場所はオリジナルの天守跡地でなければならないとはっきり断言された。
その後両氏に加えて大田道灌公第18代子孫・太田資暁氏と、日本総合文化研究所代表・西川壽麿氏が参加され、小竹理事長がコーディネーターとなって「江戸城が再建されたら日本は甦る」というテーマでシンポジウムが行われた。この中で三浦教授の日本文化におけるオリジナル性と木の文化の観点から、元の天守台へ再建するのが望ましいとの主張が説得力を持っていた。結論は木造建築により往時の姿で復元したいとの声に集約された。
小竹理事長の巧みな司会進行で、ユーモラスに時間の配分もよく、楽しい雰囲気の内に、江戸城再建の声を盛り上げていった。
印象的だったのは、多くの参加者が三浦教授の専門的、かつ学術的な話に引き込まれていったことである。特に、再建に当たっては1割方の人はオリジナルの木造建築よりコンクリート製を望んでいるようだが、その前提として恐らく耐久性の理由で木造建築よりコンクリート製を選択しているのではないかと推測される節がある。しかし、城はしばしば改築、再建されることもあるので、材料の再利用や、本当の意味での耐久性、材質の過重負担、室内の雰囲気、林野庁の国有林内に城郭に適した建築材が植林されている点などを考慮すると、むしろ木造建築の方に利点が多いと説明されたのは意外で、これまで考えていたこととはむしろ反対だった。それにしても三浦教授の明快な説明には頷けるだけの説得力があった。
最後にCGによる再建江戸城の雄々しい外観の姿と、日本文化の伝統的な奥床しさを見ていて感動を憶えた。とりわけ内部の廊下周りと畳の和室を見ていると木造建築以外では意味がないと感じた。
江戸東京博物館第1ホールは定員450席だそうだが、参加者が溢れ出て530名の方が来られたそうである。前途は遙遠であるが、皆さんの気持ちが盛り上がっているので、江戸城再建目指して小竹リーダーの下に前進するのみである。
今日はメディアの取材も多かったようで、早速18:15からNHK「首都圏ニュース」で放映され、(後で録画を観ると)小竹理事長がインタビューに応えられていた。懇親会には着任間もない溝畑宏・観光庁長官も出席された。民間にもおられた経験があるので、本プロジェクトの主旨を充分理解され、観光振興の大きな仕掛けとして捉えていただき、早速パフォーマンスを示され気合を入れておられた。
これから組織内部の声を一層盛り上げて、念願成就のために国民運動にまで広げていく強い意思と心構えが必要であるが、とりあえず経過報告会としては素晴らしく盛り上がったイベントとなり感動した。
何とか生きている内に、ライトアップされた江戸城の格調高い姿を拝んでみたいものである。
1131.6月18日(金) 不祥事続きの大相撲は立ち直れるか?
先月の大相撲夏場所中に大関・琴光喜の野球賭博について一部週刊誌が取り上げたが、当の琴光喜が関与を否定して、うやむやのまま時間が経過した。それがこの数日間野球賭博に関連して相撲界関係者が大きく取り上げられ、ついに琴光喜も前言を翻して賭博に絡んでいたことを告白した。琴光喜の親方が来場所の出場辞退を申し出て受理され、事態の沈静化を図ろうとした。
ところが、その後次々と賭博をやったという親方と力士が名乗り出て、このところ協会役員が連日文部科学省へ事情説明と釈明に参上する始末である。
昨日は元貴闘力の大獄親方が告白したかと思うと、今日になって時津風親方、豊の島、豪栄道、豊響ら有力力士が続々と自白した。すでに相当数の現役力士と親方が野球賭博に関わっていたことが明らかになっているが、この後更に有力な力士が告白するようなことがあったら、来場所の開催が危ぶまれる事態になるのではないか。人気の面だけではなく、経営的にも厳しい事態が予想される。文部省からは日本相撲協会理事会があまりにも統治能力がなさ過ぎると呆れられているし、番組に懸賞金を提供している企業は手を引くことも検討中である。
文科省の言う通り、相撲協会幹部の経営者としての能力とモラルはあまりにもお粗末であり、また社会人としても幼さ過ぎる。
財団法人日本相撲協会としては、これまでのスキャンダルや不始末、更に法律に悖る違反行為に対して世間が納得する凛とした処罰や、相撲界再建への道筋を示して来なかった。卑しくも相撲協会は公益法人で税の優遇を受けている。現状は社会通念に疎い未熟な集団が、だぶついた資金を自由に使い、幻の権力と威厳を行使して、政府の緩い庇護を良いことに相撲という国技を弄んでいたような気がしてならない。
この世間知らずの集団・日本相撲協会は組織体としてまったく機能していない。トラブルは闇に葬って頬被りである。流石に文科省も今度ばかりは、放ってもいられず、外部の意見を取り入れて何らかの処置を行うだろう。
私は個人的には次のように考える。ある一定の時期をメドに、日本相撲協会と同理事会を解散して、広く人材を求めてできる限り経営感覚と教育指導のできる人たちで理事会を再結成して、極力相撲界出身者が理事となる機会を減らして出直したらどうだろう?
今のままの相撲協会では、いずれ伝統の大相撲をつぶしてしまうのではないか。相撲の大好きなフランスのシラク前大統領もがっかりするのではないだろうか。
1132.6月19日(土) 消費税10%へ値上げか?
一昨日菅首相が来月の参院選のマニフェスト発表に当たり、消費税を(自民党が打ち出した)10%に上げることを参考に議論の対象にしたいと語った。増税分は社会保障費に充てる考えを示唆した。早くも党内外に波紋を呼んでいる。
ここで一番問題なのは、昨夏の衆院選では向こう4年間は消費税を上げないとマニフェストで約束したことである。世論調査によると消費税値上げに対しては国民からはかなり理解が得られているようだ。それもこれも過大な赤字国債発行により、財政危機が叫ばれ、一方ではバラマキと揶揄される支出増大で将来に対する不安から、消費税値上げも已むなしとみられたからである。にも拘らず、いとも簡単に公約を破り一気に10%という消費税率へ話を持っていったことには、問題が残る。
この時期に消費税10%をぶち上げた根拠には、来週カナダで開催が予定されるG8サミットで、増税で財政再建を訴えれば各国首脳の理解が得られるとの狙いがあるようだ。
いずれにしても消費税値上げはある程度理解できる。ただ、それには決定のプロセスに問題があった。決定と公表に至る前に充分議論を戦わせ、その過程が国民に伝えられ、了解を得られることが必要だった。時間の関係もあるかも知れないが、その辺りの過程を手抜きした印象がどうも強い。
それが証拠には、一応閣僚了解事項と言いながら閣内から小沢氏に近い原口一博・総務相の如きは首相とは一線を画す構えのようだし、山口正彦・農水相も納得していない様子である。民主党内では小沢一郎・前幹事長に近い党員は同意していない。首相には参院選までに党内を統一見解でまとめる必要がありそうだ。
自民党は自分たちが打ち出した10%という線を、菅首相が唐突に言い出したことに対して、盗人猛々しいみたいな発言をする下品な役員もいる。同じ10%の中身について堂々議論すれば良いではないかと思うのだが、どうもお互いにライバル意識むき出しである。
連立を組んでいる国民新党は反対、社民党も反対、共産党はもちろん反対で、結局民主党の消費税率値上げに対して素直に賛成を表明したのは、元々増税論者だった「たちあがれ日本」代表の与謝野馨氏だけである。
しかし、赤字が溜る一方の国家財政を考えると、漸く増税に対する議論が持ち上がったことは佳しとすべきである。与野党それぞれの税制論を主張して参院選を戦って欲しい。
1133.6月20日(日) 中国人民銀行、人民元切り上げを発表
今日は父の日だが、嬉しいことに先週長男夫婦が1週間早く夕食をご馳走してくれた。偶然にも今日6月20日は亡父の誕生日でもある。8年前に93歳で亡くなったが、晩年まで割合健康で母の方が父より20年近く前に他界してから広い鵠沼の家でひとり生活していた。その点では精神的にもタフだったと思う。
さて、菅首相が消費税を上げると発表したことに対して、各党各人喧々諤々である。今朝のTBS「サンデーモーニング」で、民主党の消費税値上げに対して、準レギュラーの田中秀征・元経済企画庁長官が吼えていた。まるでボロクソである。どうしてそれほど興奮して攻撃するのか。確かに菅首相の発表のタイミングと手順は上手くないし、国民に約束を破ったことに対して釈明も説明もない。しかし、財政事情が窮地に追い込まれているので、事情は分る程度のことは言ってもよいと思うのだが、とにかく舌鋒鋭く批判し続けていた。4日前にこの番組のレギュラーでもある岸井成格氏の講演を聞いた時、岸井氏は、田中氏の政治的意見は、定点観測的に非常に参考になると仰っていたが、今朝の発言のようにけんもほろろでは、定点観測もあったものではない。
いよいよ中国も人民元の切り上げを決断したようだ。以前からアメリカ政府等に散々人民元の切り上げを要請され、のらりくらりと先延ばしにしていたが、やっと踏ん切りをつけた。
しかし、中国人民銀行の言い方は限定的で「人民元為替レートの弾力性を強める」との発表であり、「人民元相場のドルへの固定を解除し、再び人民元を上昇させていく意思を示すものだ」と受け取られている。世界の為替相場から考えれば、人民元は安く、その中国の安い労働力で各国とも中国から輸出攻勢をかけられ、貿易の不均衡をもたらしていた。一方で中国人労働者の賃金の安さが、中国各地の工場労働者の間でストライキを引き起こし、工場閉鎖に追い込まれているところもかなり多くなった。共産主義国家・中国で労働者が賃上げを求めてストライキを決行するとは、レーニンも毛沢東もあの世でびっくりしているのではないか。
トヨタの中国工場でもストが頻発して工場が稼動しない有様で、これまで安い労働力に目をつけ、中国へ進出していた企業にとっては難問を抱えることになった。
ところで、昨日サッカー・ワールドカップで日本はオランダに惜しくも0−1で敗れてしまった。実に惜しい試合だったが、もとより実力的には元々勝負にならない。オランダの世界ランク4位に対して、日本は45位である。この惜敗というのが、ワールドカップ人気をまたヒートアップさせている。次はデンマーク戦であるが、得失点差でリードしているので、引き分け以上で日本が決勝トーナメントへ出場できる。
戦前は人気も盛り上がらず、予想も悪かったが、先日の1回戦でカメルーンに勝ってから、一気にフィーバーした。オランダ戦の惜敗により、更に熱狂ムードは加速して、25日のデンマーク戦まで、またじわじわとテレビも新聞も国内を熱狂の渦に巻き込んでいくのだろう。ちょっと煩過ぎる。
明日は福岡へ講義に出かけるが、空模様が気にかかる。
1134.6月21日(月) あやふや、二枚舌の菅流弁舌
明日の講演のため福岡へやって来た。日本航空に乗るのは久しぶりだが、離陸前機内で「多くの航空会社がある中で日本航空を選んでご搭乗下さいましてありがとうございます」とのアナウンスがあって驚いた。お高くとまっていた日本航空が、乗客に対してこのようなお礼の言い方をすることはこれまでなかった。やはり厳しい経営環境の中で、できるだけ腰を低くして乗客の同情を買いたいというところだろうか。敢えて言えば、もう少し早く利用客に対して感謝の気持ちを表すことに気がついていれば、会社がこれほど崖っぷちに追い込まれることはなかったのではないだろうか。
さて、菅首相が消費税の値上げを発表したことに対して異論百出であるが、首相は先日の発表について手直し修正した。消費税値上げの発表と同時に、世論調査による菅政権への支持が大きく落ちたせいであろう。党内外の批判や世論を配慮したのか、或いは4年間は値上げをしないと約束した鳩山前首相の言葉を慮ったのか、ニュアンスを少々変えて参院選が終ったら税制の抜本改革、なかんずく消費税の値上げに取り組むと今夕の記者会見で強調した。まず、すぐにも値上げとの間違ったメッセージが伝わったようだが、それは間違いであるとの首相の釈明はおかしい。自分のしゃべったことがどう受け取られようと、それは話した方に責任があるのであって、自分の言葉に責任も持てない総理大臣では国民が迷惑する。更に消費税の値上げについては、2〜3年の時間をかけて、或いはそれ以上になるかも知れないが、しっかり与野党間で議論を詰めていきたいと消費税議論は長期戦であると示唆した。この発言も国民を惑わせる。国民は参院選が終ったらすぐにも、或いはその直後に衆議院を解散してその後に値上げとのスケジュールを予想したと思う。
今日の会見内容を聞いていると、自分で一方的に話しておいて、その捉えられ方が不味いと思うや、一歩下がって真意はこうだと修正するのが菅流なのか。いずれにしろ政治家の発言というのは、いつもその裏を考えないといけないとは何とも疲れることである。
そんな中ですっきりしたのは、女子ゴルフのショップライトLPGAクラシックで、宮里藍選手が優勝したことである。ゴルフはよく分らないが、今シーズン4勝目だそうである。それより日本人初の賞金ランキングで一位となったことが高く評価されている。
1135.6月22日(火) 国宝「倭奴国王の金印」を拝見
福岡市内のNPO会館で「世界遺産150ヶ所を訪ねて」と題してお話した。参加者は25名ほどで年配者が多かったが、皆さん熱心に聴いてくれた。反応はまずまずだったと思う。
終ってから、福岡市立博物館で福岡を舞台にした日本と中国大陸及び朝鮮半島との交流に関する歴史展を開催していて、担当者は私がきっと興味を抱くのではないかと思って推薦してくれたので、終ってから博物館へひとりで出かけてみた。
一番興味があったのは「奴国の時代」と証する展示で、初めて「倭奴国王の金印」と称する本物の歴史的お宝を拝見することができた。高校時代に日本史教科書で、金印の写真を見てから今日まで、大げさに言えば忘れたことがない歴史の証印である。本物と聞いて驚いた。今執筆中の共著の中でもこの金印について触れている。会場は学術的で地味な催しのため、惜しいことに見学者が少ない。しかし、反って係員が丁寧に説明してくれた。福岡県の志賀島という小さな島で発見されたもので、その金印のあまりにも小さいのには意外な感がした。一辺の長さが2.3p、高さ2.2p、重さが108.7gでほぼ純金で作られている。早速実物大のレプリカを購入した。
その他にいくつかの展示があったが、ある別室でささやかに「戦争とわたしたちのくらし」と称する展示会を開いていたので覗いたら、戦時中の数々の記念品を展示してあった。そこに説明があった「大詔奉戴日」という記念日があったことを寡聞にして知らなかった。何でも「戦地の兵士の労苦を偲び銃後の守りを固める決意の日」というのだそうである。昭和14年から16年まで毎月1日に制定されていた「興亜奉公日」というのが、大東亜戦争開戦直後の17年1月以降、その記念日が毎月8日に日にちと名前が変わったようだ。
福岡の伝統的な行事や、貝原益軒ら昔の福岡出身の偉人に関する展示も案外面白かった。
さて、大揉めの大相撲がぐじゃぐじゃである。日本相撲協会生活指導部長で協会の窓口として度々会見に顔を見せていた陸奥親方が賭けゴルフをやっていたとの上申書を提出した。このざまは一体何だ?と言いたい。理事、親方、現役力士らが、どっぷり相撲ではなく賭けに浸かっていたと知らされては、開いた口が塞がらない。過去のスキャンダルの対応例から考えても、相撲協会の自浄能力を疑わざるを得ない。今や次の名古屋場所が果たして開催可能できるのか危うくなってきた。
来月4日に臨時役員会が開かれ、名古屋場所開催について結論を出すらしい。しかし、今月28日には番付も発表するようだから、その後の開催不可となったら番付はどうするのだろうか。まったく人騒がせな相撲協会と恥辱に塗れた力士たちである。
1136.6月23日(水) ケルト文化はユニークで個性的だ。
今日の多摩美大の講座は、ケルト人文化に関する幅広い内容だった。講師は鶴岡真弓・同大教授で、ダブリン大学トリニティ・カレッジに留学されたこともあり、ケルトの歴史、美術、音楽、文学に造詣が深い。中々おしゃれな先生で、講義中もベレー帽を被ったままで洒落たシャツをお召しだった。やはり美大の先生ともなるとセンスの良い身だしなみが必要なのかな? アイルランドの歌姫と云われるエンヤと映画に出演したこともある、ハーフの顔立ちをした美人講師である。NHKのラジオ番組にもしばしば出られているようだし、お話では10月には作家・山崎豊子氏とクロアチアを歩いた番組がフジTVから放映される。話すことがいっぱいあって、予定の講義時間を20分も超過した。
専門家らしく深味のある内容をサービス精神たっぷりに話してくれた。アイルランドはヨーロッパの中でも少々異質なケルト人国家で、イギリスに虐げられてきた歴史に、あらゆる文化面と生活面にその特徴が表れているという。ケルト文明はアイルランドから始まってオリエント方面へ移り、黒海、ウクライナまで辿ることができるという。
1992年にダブリン郊外のダン・レエラ市内で学校訪問をした時には、ケルト語の発音に悩まされたことがある。ケルト語の名前がアイルランド人に尋ねても明確な答えがなく、その当人に聞かないと発音が分らないことが何度かあった。
鶴岡講師によると、国土が地勢的に大英帝国ににじり寄られていて、アイルランドにとってイギリスは不在地主のような存在だとか。特徴的な例として、アイリッシュ・ダンスをビデオで見せてくれたが、男女とも上半身は硬直してまったく動かさず、飛び跳ねるようにして下半身をジャンプさせながらタップする。上半身はイギリスに対する姿勢で、下半身がアイルランド本来のものだとは、言われてみてなるほどと思った。このタップがスペインのフラメンコとなり、世界中に広がっていったというからダップ・ダンスのルーツはケルトなのだ。
もうひとつ、個性的なケルト文様について話された。渦巻状に巻かれたデザインで、聖書の表紙にも使用されている。アイルランドには、聖書として「ケルズの書」と「ダロウの書」があるが、いずれもその表紙はケルト文様である。
アイルランドはノーベル文学賞作家を数多く輩出しているが、ジェームス・ジョイス、オスカー・ワイルド、ジョナサン・スウィフトら文豪のほかに、小泉八雲がアイリッシュだったとは知らなかった。講師によると八雲の描く海辺と幽霊の世界は、アイルランドの海のイメージに共通しているらしい。
いずれにしても、珍しい内容で中々興味を起こさせるテーマだった。
今日は沖縄戦から65年目の沖縄慰霊の日である。激しい地上戦で約20万人の住民が亡くなられた。菅首相も横路衆議院議長、江田参議院議長とともに、沖縄全戦没者追悼式に参列した。普天間基地移設を辺野古へ決めたことで沖縄県民を裏切ったこともあり、慰霊祭でのメッセージも記者会見でも慎重に言葉を選んで話しているところに申し訳ない気持ちが表われているようだった。
しかし、基地移設問題はこれからが正念場である。どうやって民主党政権は沖縄県民を納得させようとするのだろうか。
1137.6月24日(木) 日本、決勝トーナメント進出なるか?
参院選が今日公示され、いよいよ来月11日の投票へ向けスタートした。選挙区と比例区の立候補者を合わせて、438名が121の議席を争う。3年前に比べて61名も多いという。新党乱立の影響もあると思うが、やはり昨年の衆院選で政権交代が成って、有権者の気持ちが変わりやすくチャンスと見て立候補した人が増えたのではないだろうか。焦点は与党・民主党が過半数を獲得できるかどうかである。
さて、ワールドカップがたけなわであるが、昨日強豪国フランスが南アフリカに敗れてリーグ最下位となり、決勝トーナメントへ進出できなくなった。フランスは何と前回大会の準優勝チームで、今回も優勝候補の一角にある。このフランスが早々に表舞台から姿を消した原因は、チームとしての力を発揮する以前の問題として、チームの和ができていなかったからのようだ。ドメネク監督と選手との間に溝ができていて、公然と選手が監督批判をするような下克上の雰囲気だったらしい。挙句の果てに中心選手をチームから追放し、それに対してチームメートが練習をすっぽかすほど監督・選手の対立は深刻だった。もともと選手はスター選手を揃えていて技術は超一級品だが、その分エゴが強くて監督も往生していたらしい。結局いくら実力があってもチームプレイのサッカーで、チームワークが乱れては持てる力を発揮できないということである。
決勝トーナメントへ進出できるかどうか、この数日内にほぼ決まる。マス・メディアもヒートアップして、いよいよ日本の決勝トーナメント進出を賭けた対デンマーク戦が明日払暁に行われる。勝てばもちろん進出できるが、引き分けでも決勝Tへ進める。全国的に盛り上がってサッカーファンは寝られないと思う。いつもなら白河夜船の時間である午前3時半のキックオフでは、とても観戦する気持ちになぞなれない。日本チームの決勝トーナメント進出を祈りつつ「おやすみなさい」。
1138.6月25日(金) 祝!日本代表チーム。決勝トーナメントへ進出
今朝起きて最初の関心事は、日本がワールドカップで決勝トーナメントへ進むことができたかどうかである。結果は‘YES’だった。早朝実力的には上位のデンマークを3−1で撃破して、同じE組でオランダに次いで2位となり、2大会ぶりに決勝トーナメントに進むことができた。メルビン・駐日デンマーク大使が予想していたデンマーク勝利のスコア3−1を見事に覆してくれた。
今朝3時半にキックオフをして、終ったのが5時を過ぎていたので、よほどの熱狂的ファンでなければ観戦していないだろうと思ったが、視聴率は関東地区で何と30.5%だったというから人気のほどが窺える。負ければフィーバーが収まるかと思っていたが、これでは当分の間熱気は去らないだろう。朝6時ごろの渋谷駅周辺は夜通し眠らず観戦していたサポーターが、嬉しさと興奮のあまり街頭に繰り出して交通を妨害していた。新聞も号外が出る騒ぎとなった。当然朝刊には間に合わなかったが、夕刊はどこもトップ記事扱いである。スポーツでこれほど国中を興奮の坩堝と化すのはサッカー以外には考えられないのではないだろうか。日本はこの後トーナメントで、まず南米の雄、パラグアイと戦う。
面白いのは、大会前に国内で岡田監督と代表チームに囁かれていた非難、悪評、罵詈雑言は聞くに堪えないものだったが、勝った途端に一転して風向きが変わってきた。代表チームと岡田監督の悪口を言う者は誰一人いない。まさに勝てば官軍である。
今朝の勝利は、上杉鷹山の「為せば成る。為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」を実証してくれた。
その興奮の中で、前回大会の優勝国イタリアが、昨日前回準優勝国フランスに次いで予選落ちしてしまった。2分け1敗で1度も勝てなかった。フランスと違い内紛ではないようだが、前回のメンバーとほぼ同じ選手でチームが構成されたので、年齢的に高くエネルギッシュなプレイに欠けるという点があったようだ。監督も前回大会と同じだった。
それにしても番狂わせと言うべきだろうか、前回の優勝国と準優勝国が決勝トーナメントに進めないというほど、世界の力の差は小さくなったといえるのではないか。
思い出すと日本サッカーがまだ弱かったころ、バンコック空港で乗り継ぎのために待っていて、マレーシアとの試合に向かう途次当時の日本チームの監督?だった故長沼健氏と立ち話をしたが、マレーシアは手強いと言っておられた。それが今ではアジアでマレーシアは置いていかれ、日本は1,2を争うまでにレベルを上げてきた。
相撲界の野球賭博でスポーツが穢れつつある中で、すっきりした勝ち方のサッカーチームは、国民に勇気を与えてくれる。このまま持てる力を発揮して、もう一歩でも二歩でも前進して欲しい。
珍しくわが庭でウグイスが啼いている。2週間ほど前にもやってきて啼いていたが、今日の鳴き声は、サッカーの勝利を祝福してくれているのだろうか。
1139.6月26日(土) 経済危機のギリシャが島を売り出した。
一昨日公示された参院選だが、今朝の朝日と日経両紙一面の記事の当選予想数では、両紙の予想がまるで違う。これから選挙戦が進むに従い予想もずっと現実に近づいたものになるだろうが、序盤戦とは言え、同じような取材をしていてこの当選予想数の隔たりは、どうしてこれほど異なるのだろうか。
朝日の「民主 過半数微妙」に対して、日経は「民主『改選54』上回る勢い」とある。朝日が民主党の党首交代による明るい材料と、普天間移設及び消費税増税のマイナス材料による影響を図りかねているという印象である。一方の日経は、経済紙らしく菅首相がはっきり消費税問題を持ち出したことを評価する国民の声を察知した分析ではないかと理解するが、どんなものだろうか。
ところで菅首相は昨日G8サミットへ出席するために、目立ちたがり屋の伸子夫人を同伴してトロントへ出かけた。今年のサミットの議題はもっぱら経済・財政問題である。ギリシャの財政危機のもたらす各国の思惑がどんな形で発揮され、まとまるのだろうか。菅首相は、この後に控えているG20で会う韓国の李明博大統領との会談を控えて、お土産として北朝鮮の韓国哨戒艦沈没事件に対する制裁をG8文書に盛り込むことを要求している。
韓国も北朝鮮への圧力のひとつとして、拉致事件に絡んで、元死刑囚キム・ヒョンヒを日本へ行かせ、拉致事件遺族会と会わせて北の嫌がる、拉致被害者解放運動を加速させようと考えている。北への圧力に関しては、中ロが反対しているのでどういう結果になるか分らないが注視したい。
今日のニュースで驚いたのは、財政危機による信用不安に直面しているギリシャが財政健全化のため、国内にある6,000の島のうち、一部の島の売却を始めたというイギリス・ガーディアン紙の記事である。一度訪れたことのあるミコノス島やロードス島の一部も対象だそうで、ここまでくると住民の国籍はどうなるのか。失政を犯すと結局国民にそのツケが回ってくるということだろう。
1140.6月27日(日) 上野・浅草オーケストラ定期演奏会
飯田ゼミの赤松さんが関わるアマチュアオーケストラ「上野浅草フィルハ−モニー」定期演奏会が浅草公会堂で開かれた。妻は神奈川県合唱際に参加のため、一緒に行くことはできなかった。いつも通りゼミ仲間が集まったが、公演前に会場をぐるりと取り巻いていて今までにないほどの長い行列だった。
曲目はグリンカ作曲の歌劇「レスランとリュドラ」序曲、シベリウス作曲「ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47」、ブラームス作曲「交響曲第2番ニ長調作品73」だったが、今まで聞いたことのない曲だったので、正直に言ってやや分りにくかった。シベリウスの曲では、ヴァイオリニスト林原澄音さんが中々力強い演奏をされた。しかし、あまりクラシックに造詣が深くない私には、知らない曲ばかりでいささか退屈気味だった。アンコールで演奏してくれた「ハンガリー狂詩曲」でやっと旧知にめぐり合えたという心境になった
いつも通り演奏会後奥さんを含め「神谷バー」で3時間に亘る会食を楽しんだ。いつもながらゼミでともに学んだ仲間と卒業後半世紀近くなっても、思う存分言いたいことを言いあえるのは楽しいし、恵まれていると思っている。それにしても赤松さんのチェロを学ぶ前向きな姿勢には頭が下がる。オーケストラ団員の中で最年長だという。来年6月は50回目を記念して、上野の東京文化会館大ホールで開催されるという。益々の発展を祈念するばかりである。
さて、昨日からカナダ・トロントで開かれているG8サミットでは、日本が主張していた韓国哨戒艦の沈没につながった攻撃を非難する首脳宣言を採択して閉幕した。菅首相も韓国の李明博大統領に顔が立ったのではないかと思う。この他に政治的にはイランの核濃縮活動の継続に対して懸念を表明した。
この後開かれるG20でどういう議論が交わされるのか注目したい。
1141.6月28日(月) 大相撲の大きな危機
日本相撲協会は来月予定されていた名古屋場所を開催することを決定した。昨日特別調査委員会から突きつけられていた勧告文を受諾することにより、開催することを容認された。まあ相撲協会にとってはグーの根も出ない情けない対応である。
先月大関琴光喜が野球賭博をやっていた疑いが週刊誌上に暴露されてから、この一ヶ月以上の間相撲協会内部は武蔵川理事長以下関係者が上を下への大騒ぎである。
今日の臨時理事会で勧告文を受け入れたその内容とは、協会にとっても力士らにとっても極めて厳しいものである。大嶽親方(元貴闘力)と琴光喜が懲戒解雇以上、時津風親方が降格以上の処分で、他に現役力士13名に来場所休場、親方11名にも休場勧告をすることになった。
今日メディアでは各局ともかなりの時間を使ってこのニュースを取り上げ、国内中に深刻な話題を投げかけている。いくつか相撲界の問題点が改めて話題になっている。相撲協会の組織が問題なのは今に始まったことではないが、1,000人の力士に対して50の部屋数は多すぎること、部屋が親方の個人資産で協会が関与できないこと、力士には時間がありあまっているが部屋内でしか過ごせないこと、賭博をやる雰囲気、好きな力士が多すぎること等々が炙り出された。
理事長も自分の部屋の力士に疑いが出たので謹慎ということになった。謹慎沙汰が出たすべての理事、親方、力士は名古屋へは行かず、ひたすら東京で反省するようだ。もう初日まで時間もない。ドタバタで開催して、どれだけファンが観戦されるか心配であるが、今度こそ相撲協会も骨身に沁みただろうから、本気になって出直して欲しいものである。
1142.6月29日(火) 共著「知の現場」電子書籍化なるか。
知研から連絡があった。昨年暮れに共著として上梓した「知の現場」が電子書籍化されるという。東洋経済新報社からも積極的なアドバイスがあったようで、取材した21人の方々から電子書籍化OKの返事をもらう必要があるとのことである。電子化については、今大きな話題となっているが、出版業界、ライターともども日本ペンクラブでも疑問を呈している最中である。
本書は幸いヒットして仙台地区や福岡地区でもビジネス文書部門でベストテン入りした。これを契機に電子書籍化されて更に販売部数が伸びれば嬉しいことである。
秋田事務局長が21名の方々から了解を取り付けるべく連絡をとることになるが、あまり反対される方はおられないのではないかと思う。私が取材記を書いた4名の方の中でも、文句を言いそうな人はこう言っては失礼だが、北康利氏ではないかと思っている。取材中の印象と取材を終えてすべて話がついて、印刷直前になって突然理不尽なイチャモンをつけてきた経緯からすると忌印である。まあ結果的にどうなるか分らないが、電子書籍化は「知の現場」が評価されているひとつの証ではないかと共著者のひとりとして大変嬉しく思っている。
さて、今日政府は2014年度以降の導入を目標に基本原則として年金制度を一元化することを決めた。「全国民が1つの制度に加入」「最低限の年金額の保障がある」ということを基本としている。これまで何度も議論が出ていた。果たして与野党の間で真剣にこの難問に取り組んでいくことができるだろうか。現状は厚生年金や国民年金、更には公務員の共済年金等職種ごとに制度が異なる。特に公務員の年金が恵まれていることは、周知の事実である。少しでも職種間の公平感を新制度に取り入れて欲しいと願っている。
1143.6月30日(水) 日本サッカー、惜しくも南アに散る。
ワールドカップ予選リーグを勝ちあがり、決勝トーナメント1回戦に出場した日本代表チームは昨晩南米のパラグアイと対戦し、0−0のまま延長線でもケリがつかず、PK戦の末一人がゴールを外し惜しくも敗れた。全般的には押されていたようだったが、南米の強豪に対して堂々と勝負して惜敗したのは惜しんでもあまりある。勝負は時の運であるが、戦前は予選リーグ3連敗だと酷評され罵声の嵐の中で、よくぞここまで立ち直り勝ち残ってくれたと思う。岡田監督の采配とリーダーシップ、そしてリザーブの選手たちもくさることなく、レギュラー選手を支えた絆の強いチームワークが、結局チームとしてのまとまりを堅持することになり、一丸となって戦えた成果ではなかったのではないか。
一度は「辞めろ!」とまで非難され悪評サクサクだった岡田監督が、今ではヒーローまがいの持て囃されかたである。口の悪い高校の先輩・石原慎太郎都知事もはっきり言っているように、まさに「勝てば官軍」である。それにしても日本のサッカーもレベルが高くなったものだとつくづく思う。今回の善戦をきっかけにして、月刊誌「選択」6月号で指摘されたように、日本サッカー協会の内紛もどきの主導権争いを即刻止めるべきである。そうでないと次はないと協会トップたちは肝に銘じるべきである。
世界中がサッカーに夢中になっている間も景気の先行きに明るさが見えないせいか、先週から株価の下落が止まらない。先週1万円台を割った日経平均株価が、今日今年の最安値を示した。対前日188安の日経平均が9,382円にまで落ちた。ヨーロッパ全体の景気が不安定なこととアメリカの景気回復もまだ先のこととして投資家に見放されたようだ。 さて、夜のNHKニュースで「楽天」「ユニクロ」「日産」の社内事情について紹介していたが、いずれも社内の公用語に英語を取り入れる点に焦点を当てていた。特に、楽天の場合は2012年末までに全社員が英語をマスターして、会議はもちろん社内のメール、会話もすべて英語で行うという。すでに社内食堂のメニューは英語で表示されている。いくら海外との取引が多く、外国人社員が増えたとは言え、ここまでやるかと些か首を傾げたくなる。英語を習い、社内で英語を使うことは大いに結構である。しかし、英語をまったく使わない部署もあるはずである。それを英語オールマイティのような、社内規範は如何かと思う。日本語なら意思の疎通がスムーズな部署で、敢えて不慣れな英語を使うことによって、それが会社全体の営業活動にとって全面的にプラスになるだろうかという点に疑問がある。むしろ、日本語の力が衰え、日本語による表現力が落ちることも考えなければならない。
もう走り出したようだが、他の企業などでも今後同じような問題を抱える可能性があるが、一歩引いて考えて、果たしてアイディアが会社にとって、プラスとなるか、マイナスの恐れはないか、充分精査して欲しいと思う。