ご意見番の意見

2009年7月

779.7月1日(水)ブルガリア・トラキア王の黄金マスク
 昨日も福岡は断続的に激しい雨だった。予定していた面会はできたが、相手の方が体調を崩されていて落ち着いて話ができず、結局これでは気の利いた取材もできないと諦めることにした。折角九州まで来ていながら、目的が達せられず悔しい。しかし、お相手の健康状態が想像以上に悪いのでは出直すより仕様がない。
 そこで午後は福岡市立博物館で開催中の「よみがえる黄金文明展」を見学した。2004年8月にブルガリアで発見されたBC5世紀のトラキア王の黄金マスクが売り物である。トラキア国といっても一般にあまり馴染みがないが、現在のブルガリアの南部にあたり黒海に面している。こういう珍しい秘宝を地方都市で見られるのも嬉しい。館内はよく配置された展示になっていて、中々面白く久しぶりにブルガリアの匂いを嗅いだ。かつて訪れたことのあるプロブディフ市近郊のトラキア王族の墳墓から発掘されたものが多い。
 今回鳴り物入りでPRしているトラキア王の黄金マスクは、これまでに発見されたギリシャのアガメムノン王(1876年)、エジプトのツタンカーメン王(1922年)に次ぐ世界3大黄金マスクの発見であるといわれている。暗闇にライトを当てられたトラキア王のマスクは、神々しい感じである。今まで知らなかったが、トロイア戦争でギリシャ軍を率いたのがアガメムノンで、トロイア軍に味方したのがトラキア軍だったそうで、近著「停年オヤジの海外武者修行」に図々しくトロイア戦争について書いたが、この辺りまでは触れていなかった。まだ学ぶべきものが山とあり、ゴールはない。
 それにしてもこの展示は、降雨の中にも関わらず中学生の団体を始め多くの入館者が来られた。こういう催しに沢山の人が押しかけるというのは、少しは日本人の文化欲求度が上がっているせいだろうか。
 大雨が去ったかと思ったら、今日もまた北九州地方は激しい雨が降っているようだ。間の悪い時に福岡を訪れたことになる。
 さて、民主党・鳩山由紀夫代表の個人献金者の中に、死者が何人も含まれていたというから奇奇怪怪で政治家というのは亡者とも付き合いがあることを実証したことになる。実際献金していなかった人も献金者に名を連ねていたり、法の目を掻い潜って可笑しな操作をやっていたのではないかとつい勘ぐりたくなる。前代表の小沢一郎にしろ、現代表の鳩山にしろ、いつもトップが金にまつわる事件を起している。こんなことで政権を与党・自民党から奪うことができるのか。
780.7月2日(木)嘘つき政府がひた隠す密約
 60年安保条約改定の際、日米両国政府の間に核持ち込みについて密約があったと秘かな噂があったが、その後安保改定に関わった両国関係者が密約はあったとはっきり口外した。これは外務省密約漏洩事件として、かつて西山太吉・元毎日新聞記者が暴露したが、西山氏のニュースソースが外務省勤務の女性をたぶらかして得たという側面ばかりが強調され、スキャンダラスな事件として取り扱われた。しかも西山氏は機密文書の窃盗罪として、件の女性とともに起訴され、有罪が確定した。このため密約の解明という本質的な問題が蚊帳の外に置かれるという、不思議な事件となった。すでに2000年にアメリカ政府の公式外交文書や、その関係者から密約があったとの証言が得られ、日本政府の主要な交渉役だった当時の外務省アメリカ局長・吉野文六氏が密約はあったとはっきり証言している。一方日本政府は徹底して「密約なし」の立場を取り続け、いかに証人がいようとも密約はないと政府見解?を押し通している。
 西山氏は今も訴え続けている。密約文書について証拠を揃えて明らかにした。にも関わらず、日本政府の手にかかると「ないものはない」となる。こういう政府の立場を普通は、不真面目、不誠実、嘘つき、極悪非道、などと呼ぶ。
 一昨日の各紙が報道したのは、「米軍の核兵器持ち込み―元次官『密約文書あった』」の朝日記事に代表されるものだが、元外務事務次官・村田良平氏が核の存在を肯定する公式文書を引き継いだと述べたのは、日本外交のトップの話だけに日本政府のこれまでの嘘つきを内部から証明する形となった。
 今や秘密文書自体はあったと考えられ、その密約自体も今やそれほどの重要性は認められない。それでありながら、日本政府が依然として秘密文書の存在を否定し続けるのは、なぜだろうか。
 日本政府と自民党有力者のコメントを伝えておこう。まず、河村建夫・官房長官は「歴代の首相、外相が密約の存在を否定している。密約は存在しない」。こういう回答は無責任である。町村信孝・元外相にいたっては「コメントに値しない。存在がないということを証明するのは難しい。ないものはないとしか言いようがない。村田氏の発言している内容の真偽はともかく、一般論として公務員の守秘義務は死ぬまであるのではないか。そこをどう考えているのか」と、公務員として嘘をつき、国民を騙しても役人としてのルールを守れと不満たらたらなのである。こういう連中は、自分が法律を守れないくせに、正義を貫いたことが我慢ならないのである。いつのまにか日本はこういう国に成り下がってしまったのである。情けない。

781.7月3日(金)都議選告示と鳩山民主党代表の献金疑惑
 総選挙の前哨戦である東京都議会議員選挙が告示された。風前の灯の麻生政権にとっては衆議院議員選挙の前哨戦であり、過去の選挙戦にはないほどの注目を集めている。自民党と公明党の与党がもし敗れるようだと麻生内閣は総辞職し、衆議院は解散と見られている。それだけに、各党とも党首以下幹部が都議選応援に繰り出している。
 はたして各党の思惑通りに行くだろうか。届出が221人に対して定数は127議席で、与野党の内どちらが勝つのか、何とも言えないが、都議選が国政選挙と決定的に異なる点がある。
 それは、国政選挙が小選挙区制なのに対して、地方選挙は中選挙区制であるということである。拮抗した勢力の党から候補者が争った場合、複数の定員に対して与野党から一人ずつ当選する可能性があるからである。よほどのことがない限り、全体として上げ潮の民主党といえども、自公勢力に対して決定的な差をつけることは難しいのではないか。
 さて、鳩山由紀夫・民主党代表の個人献金虚偽記載問題が収まらない。鳩山氏は謝罪し、説明責任は果たしたと説明していた。しかし、どうもこの説明だけでは誰しも納得できない。鳩山氏は自分の秘書の誤った処理によって、この不祥事態になったというだけの説明しかしていない。なぜこうなったのかという原因と途中経過については説明がない。複数の故人から個人献金があったことと、名前を記載しなくてもよい5万円以下の献金者の割合が全体の半数以上というのは、いかにも不自然である。ある組織からの大口の献金を、意図的に5万円以下に分けて巧妙に報告書に記入したとしか思えない。比較的清潔と信じられていた鳩山氏のこの無責任と不手際は、何も鳩山氏だけに限ったことではなく、政治家全般に言えることである。小沢一郎・民主党前代表の西松建設献金疑惑問題もすっきりしない。二階国土交通相の西松献金問題もある。まだまだ与謝野馨・財務大臣の怪しげな資金問題もある。
 国民はみんな不満を抱いている。時あたかも本日鳩山氏は、「鳩山由紀夫を告発する会」と称する都内の団体から、政治資金規正法違反容疑で告発された。
782.7月4日(土)ミュージカルを鑑賞
 知人の国友よしひろさんが出演するミュージカル公演が北千住駅前の「THEATRE 1010」で行われたので、妻とともに出かけた。演目は「赤ひげ」である。学生のころ三船敏郎主演、加山雄三初助演の映画を観たので、強く印象に残っているが、山本周五郎原作の江戸時代物が果たしてミュージックとして成り立つのか、若干気になっていた。それでいて興味も津々である。宝田明俳優生活55周年記念と銘打っている。
 宝田明ももう80歳近いのではないだろうか。健康問題と声量が気になったが、体格が立派で存在感は大したものである。声もよく通り不安は何もなかった。映画では三船は大スターだったので、圧倒的な迫力があったが、初出演の初々しい加山雄三も修行中の医師「保本登」を無難に演じて、その後青春俳優街道をひた走り、清潔で明るいイメージでヒット作品「若大将シリーズ」を産み出したのは有名な話である。
 ところでどんな役回りを務め、どんな歌を歌ってくれるのかと期待していた国友さんは、第一部で「十兵衛」として寝たままでほとんど台詞はなく、どうなるかと思っていたら第二部では生活苦から気が狂ったまま大団円となった。狂人の芸は難しいと妻は言うが、できれば歌を聞きたかったというのが本音である。しかし、中々盛況でミュージカルとしても面白く中々見ごたえのあるものだった。
 さて、北朝鮮が国際社会に核実験とミサイル発射による衝撃を与えてから、貨物船「カンナム」号がビルマへ向かっていると噂され、そろそろビルマへ入港する時期と予想されていたが、米海軍作戦部長ゲリー・ラフェッド大将が、今日「カンナム」号はビルマ行きを断念して引き返し始めたと語った。それは緊張緩和となり周辺諸国にとってはほっとするニュースだが、無法者国家北朝鮮は今朝日本海へ向かって3発の弾道ミサイルを発射した。先日のミサイルが安保理決議違反として国連が非難決議を行ったばかりである。
 一方ビルマはビルマでわが道を往っている。幽閉中の民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんに面会を求めるべくビルマを訪問し、タン・シュエ国家平和発展評議会議長と会談したパン・ギムン国連事務総長は、あっさりその要求を拒否されてしまった。国連事務総長のメンツも丸つぶれである。一向に国際社会に対して扉を開けようとしない頑ななビルマ軍政の態度からは、解決の難しさが益々強まってきた。
 悲しいことだが、北朝鮮とビルマは一層孤立化して、国際社会から遊離していくことは間違いない。一体この二つの国はどこへ向かうのだろう。
783.7月5日(日)講演会で世界遺産について話す。
 昨春に続いてNPO・小金井雑学大学から「世界遺産を訪ねて」と題して講演を依頼された。6070名の方が来られた。会場は都立小金井工業高校で、この工業高校は一時普通高校だった時期がある。奇しくも校歌の作曲者はわが母校湘南高校と同じ、山田耕筰である。JR武蔵小金井駅から徒歩10分程度のところにある。教育環境としては中々良いところにある。八王子の近藤さんと、近藤さんと親しいJR出身の國枝さんに連絡をとったら来てくれた。できるだけ分かり易さと興味深さを心がけ46枚のスライドを時間たっぷりかけてパワーポイントで照射した。出席者にはかなりの程度理解していただけたと思う。雰囲気もよく、和やかに予定の1時間半をマイペースで話し続けることができた。終って久しぶりに駅周辺で近藤さんと國枝さんと夕食を楽しむ。
 私なりの疑問とか、問題提起を行った中で世界遺産のピラミッドの魅力について話したところ、偶々夜のNHKTVの「エジプト発掘」シリーズで、ピラミッドがどうやってできたかということを分かり易く説明していた。偶然とはいえ不思議な感じがした。
 駒沢大学の講座でアマゾンの書籍販売について学んだが、そのアマゾンが今朝の朝日によれば国税当局から追徴課税を受けている。その額が実に140億円だそうだ。海外企業は日本にある施設を利用して利益をあげても、施設は営業活動をやらず、単なる倉庫、物資貯蔵庫という立場から本国における営業活動だけが営業であると主張している。日本における活動は営業活動ではないという海外企業の言い分は国税当局には認められない。詳しいことは分からないがどう決着がつくのだろう。
 同じく駒沢大で学んだ「グーグル検索エンジン」について、日経では第6頁全段を使って「ネット時代揺らぐ著作権」と題する特集記事となっている。グーグルと権利者との衝突、国会図書館の電子化構想について触れている。大きな問題になりそうだが、こじれるのではないかと心配である。著作権に関して改めて専門家を交えて権利者の権利を擁護する方向でじっくり話し合いを続ける必要がありそうだ。
 昨日北朝鮮が発射したミサイルは、3発どころか7発だった。北朝鮮のやり口は何とアメリカの独立記念日に合わせたものだそうである。アメリカはどう応えるのだろうか。
784.7月6日(月)また中国内陸部で騒乱事件発生
 また中国内陸部で騒乱事件が起きた。昨年3月チベットのラサで暴動、8月にはカシュガルで死傷事件が発生したが、今度は新彊ウィグル自治区のウルムチで騒乱事件である。これに対する中国政府の対応はおきまりの高圧的なものである。有無を言わせず力で押さえつけて鎮圧する、いつもの非民主的な弾圧だ。まだ詳細は分からないが、中国政府は人民を警察権力で押さえつけるばかりでなく、海外メディアを特定の場所に囲い込んで発信を不可能にし、インターネット回線を切断するという乱暴な権力行使に出て、まともなニュースを海外へ流させないよう策を巡らせている。
 夕方のTVニュースでは140名以上の死者が出たという。これは表向きの数字であるから、実際にはずっと増えていることだろう。
 中国政府の代弁機関、新華社は「国外から指揮と扇動を受け、国内の組織が実行した計画的、組織的な暴力犯罪」と伝え、世界各地のウィグル人組織でつくる「世界ウィグル会議」の関与を指摘した。もちろん同会議日本部は否定している。今年は中国建国60周年に当たる。中国はこの記念年を静かに祝いたい。でもこの様子だと中国政府の思惑に反して、10月は荒れるのではないか。この行き着く先は、どうなるのだろう。中国政府は揺ぎ無い体制を誇示するために、簡単には妥協はすまい。徹底的に反抗勢力を押さえつけ、グーの音も出ない状態にしてしまうだろう。心配なのはまだ解決の可能性が見えないことである。中国も共産人民国家から、年々独裁軍事、非民主国家に変貌しつつある。こういう国が大国を名乗り威張っているのは、その他の民主国家にとっては不愉快である。ウルムチの人々の無事を祈るばかりである。
 昨日静岡県知事選挙が行われて、民主党系の川勝平太氏が接線を制した。いよいよ麻生政権の末路が見えてきた。自民党・公明党が推薦した参議院議員・坂本由起子氏は、僅かの差で及ばなかった。しかし、元々民主党は候補者の一本化に失敗して前参議院議員も立候補していたことを考えると自民・公明は完敗したと言えるかも知れない。この後日曜日に都議選が行われ、ここで自民が敗れるようだと来る衆議院選挙は自民党にとってお先真っ暗になるかも知れない。
785.7月7日(火)マクナマラ・元アメリカ国防長官逝く。
 アメリカの歴代国防長官の中で最も在任期間の長かったロバート・マクナマラ氏が亡くなった。93年の生涯だった。ベトナム戦争中はほとんど毎日のようにその特徴のある顔つきを見せつけられ、良きにつけ悪しきにつけ、印象に残る人物だった。フォード自動車社長、国防長官、世界銀行総裁と絢爛たる履歴ぶりである。いずれもその在職中並外れた実績を上げた希代の怪物でもある。その中では何と言っても7年間も世界最強の軍事大国のトップに君臨していたことは特筆されるべきであろう。ニクソン訪中の仕掛け人であり、ベトナム戦争を拡大させた張本人でもあり、ベトナム戦争とは切っても切れないアメリカ政府の要人だった。近年になって核廃絶を訴え出した。晩年は世界銀行総裁としても実績を残した。貧困国向け融資額を在任中に12倍以上に増額した。信念と行動において、これほど振幅の激しい人も珍しい。日本人にとっても彼の存在感は飛び抜けていた。
 ベトナム戦争中は共産国家の脅威を主張して、一国が共産主義化すれば周囲も同化するという有名な「ドミノ理論」を展開した。後年その認識は誤っていたと反省したが、メディアからは「陳腐な謝罪で無駄死にした兵たちの喪失を埋め合わせることはできない」と厳しく指弾されている。ベトナム戦争中のアメリカ兵死者の数は、58,000人に上る。
 ベトナム戦争では、ジョンソン大統領と並んでアメリカ人としては最も名を上げた一人だろう。
 さて、昨日中国のウルムチで発生した騒乱による死者は、その後も増えて156人に達し、負傷者は1,000人を超えた。「世界ウィグル会議」主席は、中国政府が言っている「事件は国外からの指揮と扇動があった」とする説を完全に否定している。アメリカ政府は多数の死傷者が出たことを深く憂慮していると述べたが、中国政府を非難するまでには至っていない。経済的に米中関係が抜き差しならぬ状態にある以上、中国政府のご機嫌を損ねることは極力避けたいところだろう。とは言えこのまま事態が沈静化すれば良いが、暴動化すればチベット事件の二の舞となる。
 今日のニュースを見ていると興味深いことがあった。海外メディア団が中国政府によって取材を許されると、ウィグル人がメディアを目指して声高に騒ぎ立て率先して取材されようとする。すると少し遅れて市内の漢民族が手に凶器を持って街中をウィグル人が集まる場所へ向かった。一触即発と見た警官隊が中へ割って入るという危ない状態だった。
   こうした中で米中首脳は、明日からイタリアのラクイラで開催される、G8サミットで顔合わせする。G8諸国が中国に対してどの程度踏み込んだ注意をするのか不明だが、大いに注目されるところである。そのラクイラも3ヶ月前に起きた地震により一部には壊滅的な状態に陥っている。テント暮らしの人も多い。未だに余震があるという。こんな落ち着かない状態で果たしてサミットも予定通り開催できるのか気になる。ウルムチ・ラクイラ地震が襲って来なければ良いが・・・・。
786.7月8日(水)中国はウィグル族と共存すべきだ。
 今朝は9時過ぎにヤマダ電機から作業員が、46インチの地デジ対応テレビとエアコンを設置にやって来た。漸く世間並みに地デジ対応のテレビを設置することにした。テレビとエアコンは担当部署が違うということから、それぞれ別様に依頼したが、結局同じ時間帯にかち合っててんてこ舞となった。やはり、地デジ対応テレビは画面が大きく画像が細かいので良く見えるが、機能が進化していてすべての機能をマスターするには相当時間がかかりそうだ。この点ではすっかりオジサンになってしまった。
 早速スイッチを入れたら昨日に引き続いて中国・新彊ウィグル自治区ウルムチの騒乱事件について報道している。ウィグル族の中国政府に対する不満が嵩じて騒乱へつながったとの見方が微妙に変化しつつある。
 今では民族対立の色彩が色濃くなってきた。その根源はウィグル地域における漢民族による支配と収奪である。年々漢民族がウィグル地区へ移住者を増加させて、支配権を強め、そこで得た収益をウィグル人へ還元せず自分たちだけで分配する支配体制の確立により、両民族間における貧富の格差が激しくなり、結果的にウィグル人の不満を募らせることになったようである。対応次第では深刻な民族対立に発展する可能性がないとは言えない。
 新彊ウィグル自治区は、1933年と44年に独立を志した。しかし、中国政府により独立は認められず、中国内の一自治区として中国政府の思い通りに支配されてきた。内蒙古自治区に次ぐ広大な面積を誇り、石油、レアル・メタル等多くの地下資源を有する新彊ウィグル自治区の土地を中国が手放すはずがない。
  G8拡大会議に出席する予定でイタリア・ラクイラ市を訪問中だった故錦濤・中国国家主席が開催直前になって急遽中国へ帰った。このままG8のためにラクイラに留まっていたのでは針のムシロで、プラス面は少ないと見たのではないか。世界が注視している今回の騒乱は、下手に対応すると世界中の非難を浴びかねない。さあ中国はどうする?
787.7月9日(木)大きい中国の存在感
 出席する直前になって国内事情でイタリアから帰国してしまった、中国最高権力者、故錦濤・国家主席抜きの会議のせいか、代理の中国代表が小粒のせいか、G8拡大会議は参加各国とも中国に遠慮せずにG8首脳会議のポイントが割合スムーズにまとまった。例えば、温室効果ガス排出量を先進国全体で2050年までに80%以上削減、核不拡散へ協調して包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効に努力、北朝鮮の核実験、ミサイル発射非難、拉致問題を含む人道上の問題の懸念、等は仮に故錦濤・国家主席が出席したらここまで明記されることはなかったのではないか。温室ガスの80%削減なんか、こう簡単に決めて実行できるのだろうかとの心配は残る。昨年の洞爺湖サミットでは確か同じ2050年までに目標が50%削減だったと思う。
 しかし、この合意事項が後になって中国が自国はその場にいなかったからと言って、その効力に異議を申し立てることになりはしまいか。一癖も二癖もある近年の中国の自己中心的圧力外交を考えると、どうもそんな気がしてならない。
 それにしても中国の存在感は今やアメリカに次ぐ。したたかな外交力により、ケース・バイ・ケースで先進国として振舞ったり、後進国の立場を主張したり、中々老獪である。今先進国が最も神経を尖らせているのは、排出ガス規制について、先進国が受け入れにくい後進国の条件を中国が発展途上国グループのリーダーとなって先進国へ突きつけていることである。
 しかし、中国は国内に民族間対立、沿海部(都市)と内陸部(農村)の経済格差、個人的貧富の差、役人汚職、ほかの難問を山のように抱えている。これらの問題解決は今までクリアしてきた問題以上に難しいだろう。今年中に日本を抜いて国内総生産はアメリカに次いで世界第二位になるという。大きなお世話かも知れないが、まずは自分の頭のハエを追い払ってもらいたい。もう少し大国なら大国としての、権威、責任、矜持、倫理観を持ってもらいたいものである。
788.7月10日(金)外務省、密約文書を破棄
 外務省の高官がえらいことをやってくれたものである。1960年以来度々ことの真相が囁かれ、裁判沙汰にまでなった外交秘密文書が破棄されていたとの今朝の朝日記事には、呆れかえってまったく開いた口が塞がらない。もはや外交文書に日米政府間で核持ち込みの密約があったことを否定する根拠はない。アメリカで公開された公文書、村田良平・元外務事務次官、当時の吉野文六・外務省アメリカ局長の証言で明らかなように、核持ち込みを認める密約が存在したことは公然の秘密ではなく事実なのである。これを否定しているのは、日本政府関係者だけで、それも証明する根拠もなく、馬鹿の一つ覚えのように、ただ「ないものはない」の一点張りである。こんな駄々っ子のような言い分を誰が信じようというのか。
 ところが、あると思われていた公文書は外務省によって廃棄されていたのである。都合が悪ければ隠し、いざ証拠を求められる前に証拠を捨ててしまう。外務省としては立場が悪くなったので、大切な外交文書を敢えて廃棄処分にしたと思われても仕方がない。流石に朝日の解説でも「外務省内にあった『核密約』に関する文書がひそかに破棄されていた疑いが強まった。密約で国民を欺き続けているだけでなく、それを検証する可能性を現在と将来の国民の手から奪ったという意味で、二重の犯罪行為だと言える」と手厳しい。
 更に性質の悪いのは、2001年4月に情報公開法が施行されるのを前に、外務省内の文書保管のあり方を見直した際、存在しないはずの文書が将来発覚する事態を恐れたというから悪質極まりない。60年安保から今日まで外務省のやってきたことは、右翼政治家の尻馬に乗ってアメリカと密約を結び、国民を騙し、毎日新聞の西山太吉記者が特異な嗅覚で密約を突き止めると、これを逆手に取りスキャンダラス化して裁判へ持ち込み、例えアメリカ政府の密約文書の存在が明らかになっても、知らぬ存ぜぬの一点張りである。いよいよ立場が不利になると見るや、国民から開示請求が出る前に処分して証拠隠滅を図る。外務官僚の天下一品のあくどさは、大量殺人犯、大型脱税犯人以上である。
 山崎豊子の「運命の人」4部作が今売れている。これこそ本件の外務省秘密外交文書漏洩事件を取り扱ったものである。それほど話題をさらい、世間の注目を集めた事件の証拠書類を国家にとって都合が悪いからといって、いとも容易く捨ててしまうなんてことが認められようか。デタラメばかり繰り返し、何も外交問題を解決できない外務省の国賊役人どもはこれだからダメなんだ。ふざけるな!と言ってやりたい。
 文化人類学者の川喜田二郎氏が亡くなられた。享年89歳だった。新しいアイディアのカード使用法であるKJ法を編み出し、一世を風靡した。私も若いころにこのKJ法を学んで、随分役に立った。川喜田氏は単なる学者としてではなく、専門のフィールドから野外を歩いて、裏づけをとった。ただ研究室で研究活動するだけではなく、実践的に証明する行動科学を実践して多くのファンを惹きつけた。心よりご冥福をお祈りしたい。
 今日7月10日は妻の64回目の誕生日である。玉川高島屋内に出店している佐賀牛のステーキを食べさせてくれる「金の箸」で内祝いをする。
789.7月11日(土)外務省、役所ぐるみの情報隠しと情報破棄
 昨日の続きであるが、外務省の外交機密「密約」文書が2001年4月情報公開法施行直前に、廃棄処分された形跡がある。朝日新聞社が調べた同法施行直前の各省庁の文書廃棄数は、外務省が圧倒的に多い。2位の財務省と比べても桁違いに多い。これはそれだけ国民に見られてはやばい資料が存在したということである。日米政府間で密約した当該の外交文書が、大量に処分された資料の中に入っていたかどうかは推測の域を出ないが、恐らく含まれていたのではないかと思う。事実関係を問い合わせた朝日に対して、外務省はきちんと応えていない。中曽根弘文・外務大臣にいたっては、問題を調査する考えはないと述べた。この世襲議員は一体何を考えているのだろう。流石に朝日社説は「密約自体は半世紀も前の話だとはいえ、破棄が指示されたのは2001年ごろのことだ。現役官僚も関与しているかもしれない。なぜ真剣に調べようとしないのか、納得できない」と不満を述べている。
 情報公開訴訟を手がけている小町谷育子弁護士は、「国民への説明責任も果たさず、重要な文書を捨てるという行為は許し難い。政策の検証もできないまま、真相はやぶの中だ。国民が怒りの声をあげないと同じことが繰り返される」と警告している。外交史専門家、石井修・一橋大学名誉教授も「米国では、政府高官の電話での会話すらテープにとったうえで公文書におこして残す。内容を非公開とする場合でも、文書そのものが存在することは明示される。『公文書は国民のもの』という真摯な態度があるからだ。それに引き換え、今回のように公文書を捨ててしまえと指示するというのは歴史に対する冒涜であり、納税者に対する犯罪である。怒りがこみ上げてくる」と外務省の対応を非難する。
 元々役人のやることには、残念だが心から信頼することはできない。どこの役所も相も変わらず官尊民卑の観念があるうえに、あまりにも非効率な仕事ぶりを知るにつけ、やはり公務員のあり方を根本的に見直し、国民の下僕であるとの心構えをきちんと胸に収めてもらわないといけないと思う。そうでなければ、多分似たようなことは年中行事となるだろう。まったく今どきの役人根性には愛想が尽きる。
 昨日の朝日夕刊「人脈記」の「反逆の時を生きてM」に、懐かしいかつての二人の学生運動家の近況が紹介されていた。一人は加藤三兄弟の真ん中の加藤倫教(57歳)で、もう一人は植垣康博(60歳)である。二人とも連合赤軍の同志で、浅間山荘事件前後に「総括」と称して12.人もの仲間を殺害するという猟奇的な事件に加わり、警官隊と銃撃戦のすえ逮捕された。TV画面に目を釘付けにされた、世間を震撼させた社会的事件である。今年3月には若松孝二監督の映画も観た。事件の起きた1972年当時、随分関心を持ってこの事件に目を奪われながら、彼らの一挙手一投足を固唾を呑んで見守っていた。加藤は兄弟間の愛憎に心が揺れる中で兄の殺害に加わった。植垣はその前から全国に指名手配され、その精悍な顔写真をはっきり覚えているが、37年が経過して頭は光輝き昔日の面影はない。どうしてここまで血迷ったのか言うべき言葉もない。二人ともベトナム反戦運動にも加わったが、ベトナム戦争の終結は獄舎の中で知った。ともに国立大理科系で学びながら、今では加藤は農業を、植垣は静岡でスナックを経営している。
 加藤は「どんな犠牲を払っても武装闘争をという間違った共通認識が素地にあった」と言い、植垣は「自分がこうして存在していることが不条理な気がする。こうして生きていていいのか。亡くなった人たちには『すまんな』というしかない。『すまんな』で済む問題ではないが」と言っている。
 こうした言葉に一抹の哀れさを感じる。カルト集団のように、絶対的な権威者や独裁者から盲目的に「成すべきこと」を信じ込まされるとこうなってしまうのか。かつては、鉄のような信念と強い意思を持って、武闘派集団として軟弱な体制派?と闘っていたかに見えたが、挫折し37年の時間が経過して、今やあまり幸せそうでないことが推察できる。これも70年安保世代の屈折の軌跡と呼ぶべきか。何となく虚しい。
790.7月12日(日)都議選で民主圧勝、自公敗北
 近づく衆議院総選挙の前哨戦で、総選挙の行方を占う東京都議選の投票日である。首都東京とはいえ一地方選ではある。しかし、その重要度と影響力から考えても普通の地方選挙とは少々わけが違う。かつてこれだけ注目を浴びた都議選はないと思う。
 午後光フレッツの設備設置のためNTTと光フレッツの作業員が来るので、午前中妻と近くの東深沢小学校で投票を済ませる。
 それにしても、今回各候補の前宣伝が激しいようだ。これまでにないほどの電話の勧誘や、チラシの投げ込み、街宣車のアッピールがあった。公明党のごときは、会社のOBと亡くなった小学校同級生の夫人からも電話と直接訪問の投票依頼があった。
 今回は総選挙の前哨戦との事前の見方から、@自公で過半数を死守できるか、はたまたA民主党が第一党の座を獲得できるか、ということが注目されていた。すでに静岡県知事選挙でも民主党推薦の川勝平太氏が勝利を収めている。千葉市長選、横須賀市長選でも民主党系が勝利を収めている。献金問題で小沢一郎・前代表、鳩山由紀夫・現代表に嫌疑がかかっている民主党も一時的な逆風を乗り越えて、流れは完全に民主党に傾いている。
 さて、その結果であるが、即日開票の結果、夜のニュースでは民主党の圧勝となった。都議選の二つのポイントである、@Aとも民主勝利、自公敗北ということになった。自民党が第一党の地位を滑り落ちるのは、社会党にその座を明け渡して以来、実に44年ぶりだそうである。その社会党の流れを汲む社民党は、前回に続き一人の当選者も出せなかった。
 私が注目したいのは、民主党の勝ち方である。各選挙区ともトップ当選はほとんど民主党候補者が占めた点と、一人区でほぼ民主党候補者が勝ったことである。都議選は中選挙区制であるが、もし小選挙区制だったら、民主党の勝ちっぷりはぶっちぎりだったと思う。例えば、最終的に民主54人、自民38人となったが、開票後一時間半を経過した時点で、民主32人、自民は僅かに4人だった。これは各選挙区に民主党の強い支持者が満遍なく広がっているということである。
 最早自民党の下落傾向を止めることは難しい。麻生首相の求心力の低下に加え、自民党内が仲間割りのような収拾のつかない騒ぎになり、党内のまとまりを欠いている。
 これで明日以降の政局の行方が注視されることになった。麻生政権は解散を選択するのか、任期ぎりぎりまでこの体制で行くのか。麻生首相もあんまり首相の座にこだわっていると、益々地盤沈下を招きそうな気がする。
791.7月13日(月)8月30日総選挙投票日で決まりか?
 昨日の都議選惨敗の結果を受けて政界では今朝から右往左往している。遂に麻生首相も21日ごろをメドに解散を決意して、総選挙は来月30日に行うことを与党内で合意したようである。岡目八目というように、政治家よりも政治記者の方が実態や裏話については本当のことを知っているだろうから、これからきっとマス・メディアも喧しいことだろう。
 知研セミナーを虎ノ門の日本財団で行ったので、夕方になって出かけた。今日の講師は3月に取材させていただいた評伝作家・北康利氏である。タイトルは「白洲次郎のプリンシプル」で、北氏が惚れこんだ白洲次郎をいろいろな角度から語られた。大雑把に言えば、白洲は日本人としての確たるプリンシプルを持っていた人物ということに尽きる。白洲が影響を受けたのは、何と言っても福沢諭吉である。「国を支えて国に頼らず」と独立自尊の精神を体現した福沢の日本人らしからぬ考え方と行動規範は、終戦直後に日本の進むべき道を示唆した白洲次郎の生きざまに大きな影響を与えたと話を続けられた。概略は取材の折に伺ってもおり、格別の目新しい点はなかったが、いつの時代にも必ず道しるべとなる偉大な人物がいるものだと改めて感銘を深くした次第である。
 昨日光フレッツの担当者が来て、先日購入したデジタル対応テレビの光フレッツ対応、つまりアンテナを必要としない機器(ひかり電話対応ホームゲートウェイ・ルータ)を旧来の機器と置き換えて、いよいよ我が家でもアンテナなしのデジタル画面を楽しむことができるようになった。しかし、PCに関しては、ことはそう簡単にはいかない。
 PC機器に改めてIDとプロバイダーのパスワードを記入してインターネットの環境設定をしなければならない。昨日はパスワードの抽斗を失念していて、それができなかった。今日NTTへ電・話で問い合わせしながら、改めて見つけ出したパスワードを打ち込み何とか起動することができた。しかし、問題はまだ解決されたわけではない。2台あるノートPCがインターネットを受信しないのだ。その内の1台がホームページの工房でここからホームページとブログを発信しているので、毎日発信しているブログが発信できなくなる。これは困ったとPC上で調べると「LANケーブルが接続されていない」と表示された。昨日まではこれら3台のPCは無線で接続されていたので、「これはおかしい」と考えながら止むを得ず、LANケーブルでつないで何とか受発信できるようになったが、これでは無線の意味がないし、困ってしまう。結局問題を先送りするようになってしまった。
 しかし、なぜ無線が流れなくなったのだろう。また、誰かに相談しなくてはならない。
792.7月14日(火)外務省機密文書処分が明らかに
 外務省の外交機密文書破棄の件で、衆議院外務委員長・河野太郎氏が元外務事務次官・村田良平氏に会い、村田氏から「密約」と噂された外交文書の存在をはっきり確認した。河野議員はよくぞやってくれたと思う。やっとまともな政治家がいてくれたという思いである。
 ところが、終始一貫密約はないと主張していた政府は、河野議員が密約はないと主張する政府見解の修正を求めたことに関連し、麻生首相が「密約はずっとなかったと申し上げている。改めて調べるつもりはない」とにべもない。河野議員は政府答弁は虚偽だと批判しているが、河村建夫官房長官も「歴代首相、外相は密約は存在しないと明確に否定している。政府方針に変わりはない」と首相の談話を補足した。
 政府や外務省にとっては、実際にあった事実より事実だと信じることの方が遥かに大切だと非教育的なことを外聞もなく言い続けているのである。あまりにも不条理ではないだろうか。
 今後外務省は事実関係についてどう対応し、説明するのかはっきりしないが、半世紀の長きに亘って世間に疑惑を持たれた事件だけにきちんと説明し、国民を納得させるべきであるし、それが国の外交を預かるものの最低限の責務である。
 昨日北康利氏から伺ったところでは、白洲次郎が旧通産省を造り上げるうえで吉田茂の手を借りて計画立案を進めたが、現在の経済産業省の記録を調べてみると白洲の名前はたった一行しか書かれていなくて失望したそうだ。つまり役所というところは、外部から意見を聞いて、ことが成功することが、結果が良くても内心では快く思わないのである。
 このことは、結果が悪く自らに汚点となることなら尚更認めることを回避する傾向かある。今回の密約事件のように国民を半世紀に亘って騙し続けて、いざ事実が明るみに出そうになるや証拠を廃棄処分してしまうがごとき言語道断の行為は、とても普通の神経では実行できるものではない。犯罪行為である。
 先日もそうだったが、昨日も北氏は一方で役人擁護の言葉も述べた。それは、役人を責めたり、引き摺り下ろすようなことではなく、もっと役人の良い点を誉めてあげないと誰も馬鹿らしくて真剣に働かなくなると同情的に言っていた。ご尤もであるが、役人に良い点なんかほとんどなくて、最初から高待遇に胡坐をかいていて、やることは一部の人間が全権を行使して国家を危うくするような行為までする。一民間人が成すこととは違うのである。あくどい限りの悪行を行ったとすると、これは最早全体責任であり、弁護のしようがないと考えるが、いかがなものだろうか。
 外務省の外交「密約」文書事件は、全外務省職員が辞めてもらうに匹敵するほどの大罪だと思う。これが厳しいとなれば、この世に法律なんか要らない。救いようがないからである。
 さて、昨日不通だったPCの無線回線が、やっと通じるようになった。NTTの専門窓口に聞きながら何度も何度もテストを繰り返して、漸く以前の状態に戻すことができた。細かい質問なので、時間はかかるし、分かりにくいので相手も嫌になることも多いと思うが、根気よく受け答えしてくれて気分良く30分近い時間を付き合ってくれた。私のような短気なものには、とてもできる仕事ではない。大型電気店の配送係には、概して程度の低い係員が多いが、その中でもごく僅かではあるが親切な係員も見られる。日曜日に機器設置に来られた電気係員と、今日電話で応対してくれたNTTサポートサービス係員の親切な対応に、久しぶりに涼風を感じたような気がした。
793.7月15日(水)開高健の思い出話を聞く。
 4月以来の「酒のペンクラブ」例会出席である。浅草の「鍋茶屋」は私にとって初めての会場だったが、中々料理も良く気に入った。この次の飯田ゼミの会合に使えそうなので、その旨女将に話をしておいた。
 今日はいつものメンバーの中で会長格の長老山中さんが来られなかったのが、些か寂しかった。脳梗塞で体調が悪いとのことだった。お人柄も良く存在感もあった方なので、やはり柱が欠けたような寂しい気分である。一日も早いご回復をお祈りしたい。
 初めて参加された方の中に、須藤甚一郎さんと北岡和義さんがおられた。冒頭に日本ペンクラブ事務局長・吉澤一成氏が「開高健と酒」と題して30分ばかりお話をされた。現在茅ヶ崎にある開高健記念館の館長職を務められ、生前は特別に親しい関係だっただけにエピソードを交え、他人が窺い知ることができないような話をされた。最近アラスカへ仲間と釣りにもでかけ、生前開高が面倒をみたネイティブとともに大きな鮭を釣り上げたことを話された。他にもベトナム戦争に関わった開高についても分かり易く説明された。
 お開きになってから、小中陽太郎さんと須藤さん、北岡さんと近くの飲み屋の二次会へ流れた。小中さんが北岡さんをもっとテレビ局へ売り込んで出演してもらおうと言い出された。皆さんそれぞれに個性派で、話を聞いていても中々面白い。
 小田実さんが亡くなられて間もなく3回忌を迎える。べ平連のこと、小田さんのこと、外務省外交機密文書漏洩事件のこと、西山太吉記者のこと、話は止め処もない。結局今の政治家の世襲制による劣化現象と役人の横暴に話が行き着いた。
 今の状態に誰も満足しているわけではない。愚痴になるが、なぜか倦怠感が感じられてならない。
 渋谷・紀伊国屋書店でNATIONAL GEOGRAPHIC社の「世界を変えた100日」という分厚な書を購入する。過去150年間における歴史的事件となった瞬間を捉えた100のストーリーを紹介したものである。100の中でも、私自身が影響を受けたり、現場に近いところで聞いたニュースがいくつかある。ベトナム戦争終結、第3次中東戦争、ソ連軍のプラハ侵攻、ダイアナ妃の死、9.11テロ事件、イラク戦争勃発、等々は思い込みもあるが、自分にとっても大きな影響を受けた。今後はもう個人的にこういうことはまずなくなると思うが、若かりしころの些かはみ出た行動がノスタルジアのように懐かしい。
794.7月16日(木)暑い中を日本ペンクラブ例会に出席
 中国の外貨準備高が2兆ドルを超えたそうだ。日本円にしてざっと200兆円である。あれよあれよと言う間の貯蓄ぶりにはただ唖然とするばかりである。ドル備蓄は人口が多く経済的な奥行きの深さが寄与しているのだろう。4月〜6月のGDPの伸び率は7.9%と回復基調に向かった。その他の先進経済諸国が軒並み停滞しているのに引き換え、中国の立ち直りは他国に対して無言のプレッシャーである。中国は2006年2月に日本を抜いて世界一のドル保有国になった。今や日本の2倍超に達したうえに、アメリカ国債の保有額も日本を上回り世界一になった。あまり国際社会から評判の良くない低い人民元相場を保つために、人民元売りとドル買いの市場介入を続けた結果、ドルが積み上がったという側面もある。これらのドルを背負って、これから中国はサミットや、国際協議の場、国際金融市場で一段と存在感を強めそうである。
 直近の日本人平均寿命が発表された。男79.29歳、女86.05歳だそうである。寿命が延びること自体は、慶賀すべき事柄である。誰しも長生きして人生をもっと楽しみたいというのは究極の願いである。にも関わらず、現実はそう単純に喜ぶべき状況にはない。テレビで街中のインタビューを見ていても、健康なら良い、年金で生活が保証されるなら歓迎とか、全面的にWELCOMEというわけではない。それにしても男の平均寿命が80歳となると、健康、生活費のほかに、生きがいがなくては楽しい人生というわけにはいかない。高齢者医療、年金問題がつまずいている中で、不安は益々募るばかりである。今のままだとやはり個人で身を守るしかないのではないか。このことは突き詰めれば、厚労省職員は必要ないということになる。彼らにかかる諸々の経費分を税金から差し引いてもらいたいものである。
 いつも通りペンクラブ例会が東京會舘で開かれた。昨日開高健についてお話をしてくれた事務局長・吉澤一成氏に挨拶したところ、昨日開高について話をしたことは、すでに吉澤氏の浦和高校先輩の轡田隆史さんから聴いたそうである。何のことはない轡田さんには私が話した。もう一人、常務理事で国際関係担当の堀武昭氏は慶応同期生雑誌「慶3839」の冒頭に「この頃になって考えること―戦争と平和」なる文章を書いてくれた。堀さんは慶応の一年後輩になる。その点を話したところ、飯田ゼミに関する拙稿もよくご存知だった。海外出張も多いので、山崎洋さんとも面識があるとの話だった。ベオグラードで山崎さんにお会いしたとのことだったので、山崎さんが次回来日の際に一緒に会おうということになった。須藤甚一郎さんが新入会員のひとりとして壇上で紹介されたが、流石にかつて芸能レポーターとして活躍していただけあって多くの会員がご存知のようだった。引っ張りだこだった。瀧澤洋子さんの旦那さんも新入会員として紹介されていた。中川五郎さんに昨日の会合に長老山中さんが脳梗塞で来られなかったとお話したところ、驚いておられた。西山貢さんから二次会に誘われたが、他に相棒がいなくて止めた。名古屋へ出張中の小中陽太郎さんはご欠席だったが、今日は北岡忠義さん、野村正樹さん、穂高健一さんもお見えではなかった。暑いせいだろうか、今日は国際ペンのゲストが多く出席されたが、日本ペンの出席者はやや少なかったようだった。
795.7月17日(金)北海道で中高年登山者が大量遭難死

 駒沢大学春季公開講座は今日が最終日である。大学はすでに夏休みに入っている。そのため元々出席者が少なかった現役駒大聴講生は誰も出席しなかった。柴野京子講師は、出版周辺の現状について今日まで話を続けられたが、秋には他の講師と交代するということで最後の講義になった。普段あまり意識しないテーマについて出版界内部から現状をじっくり説明された。今日のテーマも「書棚と平台」という珍しい内容だった。今日までの講義で、とりわけわが国の出版業界における岩波書店の大きい存在感が印象に残った。
 さて、北海道大雪山系のトムラウシ山(2141m)周辺を登山中のツアー参加者の中高年者が遭難して、近くで亡くなった別の登山者を合わせ計10人が亡くなった。強風雨による天候悪化で体力を消耗し、バタバタと倒れたらしい。ツアーで全国から参加した人たちは、その死者の出身地をみても広島、岡山、愛知、静岡からの参加者で、普段はお互いに知らない人たちが、まちまちに北海道の山登りのために集まってきた。
 これは東京のアミューズトラベルという旅行会社が主催したもので、以前からかなり登山ツアーを企画、販売していたようだ。根本的な原因は今後明らかにされるだろうが、天候判断を誤ったとか、引き返す決断がなかったとか、今にして思えば反省点はたくさんあるだろう。
 しかし、遭難原因以前の疑問点として、お互いに知らない者同士が一緒にパーティを組んで登山することに問題はなかったかどうかと思っている。トムラウシは作家・深田久弥が「日本百名山」の中で「威厳があって、超俗のおもむきがある。あれに登らねばならぬ」と畏敬の気持ちを抱いた名山である。日帰りのハイキングならともかく、北海道最高峰の残雪の大雪山山中の山小屋に2泊もするというハードスケジュールである。よほどチームワークがないと他人のことまで気が廻らないだろう。遭難した人も数箇所に分れて亡くなっている。普通ならパーティから離れること自体がおかしい。普段から一緒に行動を共にしているパーティなら、絶対取らない行動である。厳しいことを言うようだが、一人ひとりがバラバラでお互いを助け合う気持ちがなかったようだ。登山は気持ちが通じる仲間とともに登ってこそ、頼りになり楽しい思い出となる。
 登山ブーム、特に高齢者登山ブームといわれているが、実際には高齢者の登山による遭難者の数は年々増えている。この辺りで浮かれることなく、高齢者登山について真正面から問題点を探し出し、真剣に検証する必要があるのではないだろうか。
796.7月18日(金)ピラミッド建設にまつわる新説
 先日取材した野村正樹氏の原稿起こしをしているが、騒音が聞こえる忙しないロマンスカー内での会話のやりとりを正確に言葉として拾い上げることの難しさを思い知らされた。また、度々話題を変えたり、会話を途中で一時中止したこともあり、全体的な会話の流れという点でもまとめることは中々難しい。締め切りまで少し余裕を持ってもらっているが、正確性を期するために、改めて野村氏へ照会する必要があるかも知れない。
 NHKハイビジョン「ピラミッド発掘」でピラミッド建設方法について、建築家の視点から最近になって内部トンネル説を公表したフランス人建築家・ジャン・ピエール・ウーダン氏の説を紹介していた。何せ4700前の話である。ギザのピラミッドは世界文化遺産の中でも最も価値ある建造物であると考えている。
 最近の鎌倉と小金井の「世界遺産を訪ねて」講演でもギザのピラミッドを最も価値があり、最も好きな文化遺産として紹介しているが、今までは大きな石を外から傾斜路の上をロープで引き上げ、それを上で積み重ねていくものだとばかり理解していた。その常識を覆す新説である。TV画面を見ながら何となく納得したような気になったが、こう上手くいくだろうか。しかもトンネル内をトロッコのようなものに60トンの石を乗せ、上から人力によって引き上げていた。公開しているピラミッドのトンネル内に2度ばかり入ったことがあるので、感覚的には理解できるが、実際にこの内部を数多くの大きな石をトロッコで引き上げるには相当のエネルギーを要したことだろう。
 やはり6月に取材したドイツ証券副会長・武者陵司氏から、古代エジプトのピラミッド建設目標とメリットを伺ったが、雇用の創出であり、拡大であると仰っていた。武者氏は現代でも雇用創出のために現代ピラミッドの建設の必要性を力説しておられた。このピラミッド解明プロジェクトでも、当時近くに労働者たちが集って住んでいたことをCGが写し出していた。
 CGにより分かり易く説明してくれたので、理解し易く中々興味深い力作番組だった。
 フランスでは国民的話題を呼んでいるらしい。
 ところで、ベトナム戦争中毎日のようにCBSキャスターとして、TVで独特な語り口と鋭い観察眼で個性的な存在感を示していたウォルター・クロンカイト氏が亡くなった。92歳だった。昨年亡くなられたTBSの筑紫哲也氏が、番組「ニュース23」の最後にいつも「では、今日はこんなところです」と言ってフェードアウトしていたが、これはクロンカイト氏の最後の言葉‘That’s the way it is.’の受け売りだったとはまったく気がつかなかった。
797.7月19日(日)旧社会主義国の深刻な失業問題
 このところ全国的に天候が荒れている。トムラウシ山の遭難事件の際の悪天候を始め、今日は全国的に雨が降っていたようで、悪天候による水死者も出ている。そんな中で22日に46年ぶりの皆既日食が見られるというので、最良の観測点、トカラ列島の悪石島では今日早くもツアー客が上陸してきた。島民人口68人の島にツアー客だけで220人も押し寄せては、とてもインフラ整備が間に合わず、緊急の必要品を事前にツアー客に負担してもらう形で入島を認めるという異例の対応をした。飲料水が不足しているので、給水、食料手配、仮説シャワー設置、簡易トイレ設置、電源配備等、相当な準備がなされたようである。
 それにしても「悪石(アクセキ)島」とは、よくも名づけたものである。学生時代に南アルプス全山縦走した序に、静岡県側の悪沢岳(3141m)を登頂したことがあるが、これは「ワルサワ」と呼称された。名前が良くないのか、今では東岳と呼ばれることが多くなった。悪石島には、それなりに伝説や民話でもあるのだろうが、「良石島」とはならなかったのだろうか。
 今日入島したツアー客を島サイドで歓迎する小学校行事は、素朴だがTVで見る限りおもてなしの雰囲気が表れていて、ツアー客の評判も上々のようだった。皆既日食は僅か6分余のショーだが、天候が良いことを願う。46年前の記憶はほとんどないが、皆既日食といえば、むしろ1999年に皆既日食直後のトルコを訪れ、そこでM7のトルコ大地震に遭遇した印象の方がよほど強い。
 今日午後、NHK衛星1で東欧革命20周年を記念した「1989年から出発」を約4時間興味を持ったり、退屈しながら観た。4つのドキュメンタリーを50分ずつ見せてくれたが、1989年という社会主義が崩壊した時の東欧諸国の悩める内実を国ごとに紹介してくれた。
 4部作は「ポーランド大国支配からの脱出」「ルーマニア民主国家への苦闘」「ふたつの道・チェコとスロバキア」「旧東ドイツ・英雄都市」に分かれていて、それぞれに面白かった。通して言えることは、ソ連の社会主義体制の強い締め付けによって民主化を押さえ込まれていた、東欧各国が自らの強固な意志と団結で体制派を打ち破り、ソ連の楔から抜け出た、社会主義体制の崩壊を時系列で映し出したが、新たな問題が表出して今日も社会問題化していることをドキュメントは描いていた。
 共通したその新たな問題とは他ならぬ失業問題である。ある中高年者のごときは、社会主義時代にはなかったことだと昔を懐かしんでいた。私自身あの時代にルーマニアにも、チェコスロバキアにも、そして英雄都市・ライプチッヒにも訪れたことがあるだけに、何とも言えずもどかしく気の毒に思う。今や雇用問題と福祉問題、老人問題は想像もできないくらいゆるがせにできなくなった。どうしたら、国民がかつてより良い生活を送ることができるだろうか。人々が解決しなければならない永遠の課題だろうが、深く考えさせられた。

798.7月20日(月)新聞業界の落日
今日は連休最後の祭日であるが、「海の記念日」であることはあまり知られていないようだ。ましてや雨でも降っていれば祭日が海とリンクしているなんて想像外だろう。
 それより今日をもって早くもアメリカのオバマ大統領は就任半年になる。若さと行動力が好感を与えて支持率は60%前後と人気は上々のようだが、アメリカ経済に一向に回復傾向が見えず、失業者も益々増え経済対策に少しずつ不満がわだかまってきている。
 そんな折NHKで「マネー資本主義」というドキュメント放映が、アメリカの金融工学について説明していたが、アメリカ政府の経済対策が充分功を奏していないことを厳しく突いていた。自由主義経済は法律に触れない限り、いかなる利益活動にも責任を負わなくてもよいという市場主義優先的な考えがある一方で、FRBが取った長期低金利政策によりバブルがもたらされた責任を負うべきだとする意見が対立している。それより意外だったのは金融界へ優秀な人材が流れた結果、数学、物理学の科学者まで金融部門へ流れていたそうだ。金にさえなれば何でも許されるというのは、科学学会にも共通しているのだろうか。
 経済不況のとばっちりを受け、近年新聞業界が低迷してきている。駒沢大学・岩崎宇雄講師の現代広告論でも、新聞とテレビ界の広告減少、経営不安について話があった。
 今年2月には、コロラド州デンバーで2ヶ月後に創立150年記念事業を控えていた‘ROCKY MOUNTAINS NEWS’が倒産した。同社は伝統あるメディアで、2000年のコロンバン高校銃乱射事件の報道や、2005年には「最後の敬礼」と称して、イラク戦争の最後の犠牲米兵士を報じた記事、2008年核施設の汚染を追求した「致命的な否定」ドキュメントでピューリッツァー賞を受賞した。それより驚くのは、創立の年、1859年4月23日号には日本の開国に関する記事が掲載されたそうである。最終号は創刊号と同じスタイルだったというのが泣かせる。デンバー市内には、ライバル社‘THE DENVER POST’もあったが、こちらは一足先に倒産している。倒産の原因はいずれもインターネットによる新聞ばなれであることは明確である。読者が減り、広告も減っていながら真剣に再生への対策が成されなかったことに忸怩たるものがあると思う。これでついにデンバー市内には地元新聞社がなくなった。今後この「インターネットが新聞を駆逐する」傾向は日本にも及んで来ることだろう。私にとっては、新聞のない日常なんてとても考えられないが、若い人たちが増えてくるとその傾向に拍車がかかるのだろうか。

799.7月21日(火)衆議院解散
 衆議院が解散された。数日前から噂になっていたが、政権発足以来のらりくらりしていた麻生首相も遂に腹を固めた。解散とは言っても9月に任期満了なので、ほとんど任期を全うしたようなものである。自民党が4年前の小泉郵政選挙で圧勝したおかげで、現在議席の過半数を自民党が占めているが、今度の選挙は極めて形勢が悪い。地方選挙で連戦連敗の挙句の衆議院選挙であり、民主党も波に乗っているだけに、今度は民主党が過半数を獲得するかどうかが総選挙の見所である。投票日は8月30日と決まった。
 皆既日食が明日に迫り、一番見やすい悪石島、クルージングで海上から見る観光客、上海で見ようとする人、等々46年ぶりの皆既日食に国をあげての大フィーバーである。46年前の皆既日食を調べてみたら、1963年7月に北海道地方で見られたらしいが、まったく記憶にない。当時は、まだほかほかの新入社員として玉川学園前駅に勤務していたころのことで、昼間は先輩とたった二人で小さな駅の大忙しの駅務員として動き回っていたか、或いは明け番となり解放されて前夜の睡眠不足を自宅で補っていたか、のどちらかでいずれにしろ皆既日食どころではなかった。
 気になるのは空模様で、どうも快晴は期待できそうもない。少しでも雲が切れて半世紀に一度の皆既日食を楽しみにしている人々を失望させないで欲しいと祈らざるを得ない。時恰も西日本で豪雨が襲い、山口県防府市を中心に鉄砲水が流れ込み、老人ホームにも土砂が入り込み死者も出た。テレビ画面に映る崩れ落ちて凄惨な光景には言葉もない。
 妻はコーラスの友だちと伊豆方面へ一泊旅行に出かけた。

800.7月22日(水)皆既日食を見た!
代々木の歯科へ行く手前のビルの広場で大勢の人たちが空を見上げ、携帯カメラや観測用黒メガネを空に向けていた。1115分頃だった。同じ方向を見上げると欠けた太陽が見えた。直前まで皆既日食のことを忘れていたが、薄い雲の中に下部が黒く、上部が三日月のような皆既日食が確かに見えた。天候はぱっとせず、小雨さえ降っていたが、それが反って目を保護することなく自然に空を見る姿勢になれたのだと思う。東京都内は70%の部分日食と言われていたので、全体的に周辺は明るくそれが曇りの中でも日食がはっきり見えた原因である。勿怪の幸いと言うべきだろうか、運良く日食を鑑賞することができて感動した。敢えて言えば、偶々日食に遭遇したと言える。ついてもいた。
 それにしても、全国的な皆既日食フィーバーとなったが、その中心地・悪石島では風雨が強く目では見られなかった。こう言っては悪いが、やはり島の名前も良くなかったのではないか。期待していた観測者には気の毒だったが、それでも1053分には島周辺は夜のように暗くなったので、日食の感覚は些かなりとも味わうことができたのではないだろうか。
 構想日本から、日本青年会議所が総選挙に際し、各党、各候補者へマニフェスト討論会を仕掛ける「第45回総選挙全国一斉マニフェスト型公開討論会」記者会見の案内をもらったので、どんなものか後学のために見学させてもらおうと平河町の青年会議所会館へ出かけた。
 30分程度の普通の記者会見だったが、出席者は安里繁信・日本青年会議所会頭、北川正恭・早大教授、加藤秀樹・構想日本代表、そして友人で前鎌倉市長だった、竹内謙・日本インターネット新聞社長だった。
 要は総選挙の300小選挙区の立候補者へ公開討論会に参加を呼びかけるものである。すでに193選挙区から受け入れるとの連絡があり、今後も参加は増えるだろうとの話だった。各社から質問があったが、初歩的なものとしてマニフェストがまだ決まらない現状を指摘していたが、そのマニフェスト採用に道を開いた北川氏は、やはり発表の遅れを酷評していた。各党が他党のマニフェストを参考にしようと様子を窺っている点をついて、今後は早めにマニフェストを発表すべきだと厳しく応えていた。マニフェストとは別問題だが、公示後に候補者がHPの内容を変更することは公職選挙法に抵触するとは知らなかった。
 これからはマニフェストをじっくり注目してみようと思う。
 竹内氏から「またこんなところに出没している」と冷やかされたが、「どこにも出没するよ」と応えておいた。開始前に彼と新聞社の最近の経営について話をしたが、コスト高が足を引っ張っている点で意見が一致した。給料カットは難しいらしい。
 鉄道作家の野村正樹氏から、先日の取材内容の件につき今朝メールで問い合わせたところ、夕方になってわざわざ電話があり、親切に回答していただいた。これで行き詰まっていた疑問が解消され原稿が仕上げられる。野村さんは親切だなぁ。

801.7月23日(木)国道工事凍結解除は元の木阿弥
 知研「出版プロジェクト」の定期会合があった。前回まで集まっていた新宿のレストランが閉店となったので、今日から東京駅近くのビル内のレストランで行うことになった。いつも通り常連メンバー9人が集結した。現役で働いている人ばかりだから、遅れて来る人や早く引き上げる人もいる。こればかりは致し方ない。
 原稿作成が遅れているメンバーもいて他のメンバーで手伝うことになった。原稿の書き手のことでもめたり、私自身も年甲斐もなく興奮して、若い人と口論に近い話し合いになったり、目的はひとつなのだが、それぞれの考えの違いや、過去に編集に関わっていた経験等で意見が分かれる。私も明日には野村さんの取材原稿を書き上げて事務局へ送ろうと思っている。早く立派な書籍として世に出したいものだ。
 いつものことと言って笑って済ませられない国道工事の再開である。今年3月に国土交通省は建設効果が費用に見合わないとして工事を凍結した国道18路線のうち、17路線で工事再開が決まった。まったく役所は何を考えているのか。これは国交省が地方の要求と、道路族国会議員の圧力に屈した図式である。いつもながらの日本的風景である。一旦は工事中止を決めておきながら、たった3ヶ月で元の木阿弥である。
 大体話がおかしい。建設効果が費用に見合わないと言っておきながら、計算の仕方次第ではすぐ建設費を下方修正できるというマジックを操りだす。工事再開の判断は、専門家による監視委員会に委ねるということだったが、何のことはない。委員の人選は国交省の各地方整備局長に任されている。出来レース以外の何者でもない。
 役所には都合の良い数字というものがあるらしい。自分たちの思惑通りにことを進めようとするなら、それを使えばよい。こうして、国の税金は無駄に使われ、役人はでかい面して威張りまくるのだ。日本は倫理や道徳なんて、叩いても出てこない情けない国になったものである。
802.7月24日(金)外部へのPR文書に身内の敬称をつけるか?
 どうも天候がすっきりしないが、3日前に大雨による大きな被害を出した山口県防府市では今日も激しい雨が降り続き全員の行方不明者がまだ見つかってはいない。今日までに死者14名、行方不明者3名の多くの被災者を出している。雨の中で懸命に捜索活動を行っているが、追い討ちをかけるように一層激しい雨が降り出し、二次災害の可能性も出てきたので様子を見守っている状態だという。今回は市の避難勧告の連絡が遅れたことにも大きな被害をもたらした原因がある。まあ考えることは、どうしてこれだけのゲリラ豪雨になったのか。かつてはこんな大雨が連続的に襲うことはそうざらにはなかったと思う。それがいつごろからか、全国的に局地的なゲリラ豪雨というケースが目立つようになってきた。ありきたりだが、ひとつの原因として、これも地球温暖化の影響がないとは言えないのではないか。
 昨日の日経朝刊に多摩大学の1頁全面広告が掲載された。大学創立20周年事業のひとつとして開かれたシンポジウム「現代の志塾・多摩大学の挑戦」の内容を日経紙が紹介したものである。
 これは完全なる多摩大学の全面PR広告である。冒頭に寺島実郎・新学長の講演の概要、そして、シンポジウムのパネリストである野田一夫・初代学長、グレゴリー・クラーク・3代目学長、コーディネーターの学長室長である久恒啓一教授のシンポジウムにおける発言内容、特に大学の考えが紹介されていて、内容的にも結構興味を惹いて面白い。ところが、ちょっと気になったのは、寺島学長以下全員の名前に敬称の「氏」がついていることだ。あれっと奇妙な感じがした。普通の感覚では、世間に対して自分たちの広告掲載をする場合「氏」のような敬称はつけない。
 放っておいてもよかったが、この敬称、「氏」の使い方はどうもおかしい。気になってしようがないので、久恒教授へそれとなく違和感を抱いたとメールを送ったところ、すぐ次のような返事をいただいた。「ありがとうございました。この記事はパブと広告の間なので、日経が『記事風』につくっています。タイトルなどはこちらでつけました。こういう場合は『氏』をつけるようですね」という内容だった。でもそうかなぁ。広告の主体は大学だから、やはりおかしいと思う。民間会社なら自分の会社の社長だろうが部下だろうが、社内の人間を外部に紹介する際、絶対に敬称では呼ばないものだ。大学と民間会社では感覚的に意識のずれがあるのだろうか。私にはやはり大学の感覚は少しおかしいと思えるのだが・・・。 
803.7月25日(土)北方四島はロシアに奪い取られるのか。
 山口県防府市は土砂災害のニュースで大分騒がれているが、同時に北九州地方、中国、四国地方も相当な風水被害を出している。これほどの被害が出るのは、地球温暖化を言う前に気象庁、国土交通省、地方自治体が手を携えて、真剣に災害対策を行っていたかどうかが問われることになる。対策はいつも後手に回るようだが、マス・メディアももっと世論を盛り上げて一過性のものではなく、定期的に恒久的な対策を講じるシステムを構築する必要がある。
 さて、ひとつ厄介な問題が俎上に上がった。日本が一番不得意な外交問題の中でも解決のメドが立ちそうもないのが、北方四島返還問題である。このほど全ロシア世論調査センターによるロシア国民へのアンケート調査の結果が公表された。
 日本が求める北方四島の返還について、ロシア国民の89%が反対し、賛成は僅かに4%という結果である。今から15年前の前回調査では、反対は76%、賛成は7%だったから、更に悲観的になったと言わざるを得ない。いずれにしろロシア国民は四島の返還については大反対なのである。特に驚くのは、ロシア領土として維持して交渉を打ち切るという数字が79%だというから、ロシア国民の5人に4人がそう考えていることになる。2島返還とか、元日本領だったとか、はまったく考慮されていない。芯から北方四島はロシア国民のものだと信じきっているのだ。だからこそロシア国内では日本の国会が今月初めに北方領土をわが国固有の領土と明記した、改正北方領土問題等解決促進特措法という長たらしい法律を成立させて以来、益々反発が高まっている。
 このままではいつまで経っても解決する見通しは立たない。日本国民の間にも最近こそ関心は高まってきたが、ずっと無関心に近い状態のまま四島にロシア住民が住んでいる実態から目を背けてきた責任がある。一方ロシアではどうかと言えば、島の領土占領の経緯が国民にはまったく説明されず、盲目的にロシア国民が戦後居住している固有の領土との一方的な認識がある。
 1875年(明治8年)締結された樺太・千島交換条約により千島は正式に日本領となったことは歴史的事実である。この歴史的事実を隠蔽して旧ソ連政府は国民に四島が旧ソ連領だと説明してきた国としての無責任性も問われるべきである。現ロシア政府は事実を国民に正しく理解させる努力を払っていない。真実を知れば、ロシア国民が極東の小さな島の帰属権にそれほど拘るとは信じられない。まして、サンフランシスコ平和条約で連合軍の占領は解除され、日本に返還されるべきとの約束が無視されている事実は、例え当時のソ連が平和条約署名を拒否したにせよ、ソ連は他国の自由を承認しないという横暴以外の何者でもない。
 ただ、日本側にはこれまで真摯にこの問題を解決しようと努力する姿勢が見られなかった。正面からぶつかろうとせずに、いつも外務省は厄介な問題には腰が引け、素通りしようとしていた。政治家然り、外交官然りである。ロシア側に大半の責任があるとは言え、問題解決を遅らせているのは、明らかに日本のこれまでの外交当局の無責任と職責放棄にある。政治家と高級役人のいつもながらの怠惰と無能ぶりにはつくづく愛想が尽きる。
804.7月26日(日)麻生首相の呆れた発言
 告示はされていないものの、もう選挙モードに突入したかの感がある。各党の党首は全国を遊説に歩いているが、昨日その途上横浜市内で麻生首相はまた大ポカをやった。聴衆を笑わせようとする自己流サービス精神が勇み足をやってしまった。今度は「80歳以上のお年寄りは働くことしか能がない」とつい日頃自分が思っていることを口に出してしまった。後から弁解したようだが、自分も後10余年もすればその人たちの仲間入りだということが分からない。これまで度々失言を繰り返してきたので、もっと慎重に発言すればよいのだろうが、それができない。そして、その場の空気が読めない。いわゆるKYという奴である。
 これだけ失言するのは、国のトップとしての資格、資質に欠けるのではないかと思う。もし、今度の総選挙で自民党が勝てば、この麻生氏を引き続き総理大臣として戴かなければならない。自民党が勝つ可能性はかなり薄いので、その点では善しとするが、それにしても総理大臣たるもの、あまりにも程度が低いのではないかと庶民のひとりとして呆れるとともに、心配でならないのである。
 「選択」7月号にはこんな風に書いてあった。「首相麻生太郎及び麻生周辺の『政治音痴』ぶりには目を覆いたくなる。将来確実に訪れる事態の把握とそれによって生じるであろう政治的化学反応をほとんど想像できないからである。あのべらんめえ口調や偽善的なふるまいからは考えられないほどの決断力不足にも驚く」とまあ匙を投げられているのである。
 漸く「知の現場」の最後の原稿を書き終えて一昨日秋田事務局長へ送ったが、どうも見直してみて修正する箇所を見つけ訂正しないといけないと思い、修正原稿を送った。ところが、更に仔細に見直してみると気になる箇所がまた見つかった。どうも朝令暮改的である。やはりこれは正さないといけないと再び考え直し、再修正して事務局長宛送信した。やはり推敲したとはいえ、数回の手直しではダメだ。完全な文章として書き上げるためには、10回程度は推敲しないと後悔を残す。大いなる反省であるが、これに対してプロジェクト・メンバーがどうアドバイスをしてくれるだろうか。
 まあともかく自分の持分責任は一応果たせた。まだ、再修正する必要があると思うので、完全にフリーというわけではないが、とりあえずはやれやれという感じである。
 早速途中まで書きかけていた「なぜマス・メディアは真実を伝えないのか?」の後半部分に手を染める。これは昨年1月ソウル市郊外の利川で起きた冷凍倉庫爆発事件に関する日本のマス・メディアの対応を批判したものだ。この事件は日本では事件勃発当日にテレビで一部放映されただけで、その後はまったくマス・メディアでは取り上げられていない。そこに恣意的な報道管制のようなものを感じたので、ちょっとアッピールしてみようと考えている。
805.7月27日(月)諏訪園貞明さん、東北大教授に
 今年は総選挙に象徴されるように、東京都議選を始めとして、千葉県知事選、静岡知事選、千葉市長選、横須賀市長選、奈良市長選等々、有力地方選もすでに終わり、今後も各地で市町村選挙が目白押しである。それにしても今までとは大分様相が異なっている。これまでは現職というだけで圧倒的に強かったが、昨今は年齢とか、清潔度、実行力などの方が期待されるようだ。
 昨日政令指定都市である仙台市長選が行われた。現職の市長は、タクシー券の不適正使用を主とする不明瞭な公費支出で有権者の批判を浴び立候補を断念した。そして、名乗りを挙げたのが、副市長だった二人の女性候補を含む6人である。
 今回の選挙で意外に思ったのは、当選した奥山恵美子氏と次点の岩崎恵美子氏がこれまでの市政に厳しい見方をしていたことである。個人的に前市長を批判するのは、前市長が違法行為を行ったから当然ではあるが、過去の市政についても批判するのは前市長を支えて、市政をともに携えていた立場を考えれば、二人の副市長にもその責任があったのではないか。
 詳細については憶測の域を出ないが、前市長のマイナス面だけを暴露したり、批判して、これまで前市長や市政を支えてきた立場や、自分の信念はどう考えているのだろうか。当選した奥山新市長は、民主党の支援を受けて波に乗り、次点の岩崎氏の2.5倍という得票を得た圧勝だった。
 副市長の前に市教育長を務めていたそうだから、教育を始め市行政のあらゆる面で経験を活かしていけるものと思う。東北大学卒だそうだから、仙台市についてはかなり周知しているのだろう。まあやって見なければ評価は何とも言えないが、前市長が失脚したような、古い体質の市政だけは願い下げにしてもらいたいものである。
 今日1通の暑中見舞い状をもらった。何とその仙台からだった。差出人は懐かしい諏訪園貞明さんだった。今年2月私の出版記念会では直前まで出席される予定だったが、忙しかったせいで来られなかった。大学の後輩で、二人の息子の家庭教師を献身的に務めてくれた。日銀に入り、公正取引委員会へ出向して、更に経済産業省へ出向した。そこで独占禁止法、企業内部告発に関する著作も書いた。経済産業省でも課長の要職を務めた後に公取へ戻っていた。それが、ハガキによると今月東北大学大学院法学研究科教授になったそうだ。彼は経済学部の出身だったので、法学部とは意外だったが、経済法や競争政策等の講義を持つと書いてあった。家族を都内に残して単身とある。
 しかし、多忙だった公取、経産省に比べて学級肌の諏訪園さんにとっては、これまでより研究する時間があって、反って新たな実績を重ねるチャンスかも知れない。頑張れ!諏訪園教授!

806.7月28日(火)民主党マニフェストで財源は大丈夫か。
 総選挙を控えて各政党が、選挙公約であるマニフェストを作成して公表するべく準備を進めていたが、その先陣を切って昨日まず民主党が自党のマニフェスト(政権公約)を発表した。
 かねがね噂され、期待とともに注目されていたが、開けてみれば約束事のテンコ盛りである。これだけ目新しいことをやって財源は果たして大丈夫なのかというのが、最初に知った時の率直な疑問であり印象である。実際評論家諸氏もそう言っている。
 案の定自民党閣僚からも厳しい声が挙がっている。麻生首相は「安保・外交政策が極めて不安だ。このような民主党に政権を委ねるわけにはいかない」と言い、甘利大臣は「税金の無駄遣いをやめることなどで財源を捻出するとはポピュリズムの極み」と辛らつである。与謝野大臣は「マクロの財政、経済政策が入っていない。選挙用のフライフィッシング」と酷評した。中曽根外相は「現実的対応という発言は、自分たちの変節をどう説明するのか」とぼろくそである。押され気味の自民党としては、民主党のやることなすこと全てが癪の種で、言える時に言っておこうぐらいの気持ちなのかも知れない。
 これに対して当の民主党鳩山代表は「財源が曖昧との批判に対して、できるだけ細かく調査し、必要な財源を手当てした。公約が果たせなければ責任を取るのは当たり前だ。公約を守ってこなかった政権自体が最も問題だ」と切り替えしている。しかし、実行できなかったら責任を取ると言っているが、代表が辞める程度の覚悟では困る。全員の責任だから、解党するくらいの覚悟でないといけない。
 やはり問題は財源と政策面では安保がらみであろう。インド洋の自衛艦給油、海賊対策法案、等でこれまで自民党に対して反対し続けてきたことだろう。外国との約束であるだけに、今更中止というわけにはいくまい。それに、幼い子や、高校生以下のこどもに対する補助、それに対して収入があまり当てにならない。消費税を4年間は値上げしないという。大丈夫かと言いたい。
 評価すべき項目は、@国会議員の世襲禁止、A国家公務員の総人件費2割削減、B衆議院の比例代表定数80削減、である。
 これから自民党のマニフェストも公表されるので、それでじっくり二つを比較してみよう。
 今日は二つのびっくりニュースがあった。ひとつは中田宏・横浜市長が突然辞職を申し出たことで、中田市長は来年3月まで任期を残していた。50日以内に市長選を行う。別の政治方策で国へ奉仕することを考えていたということであるが、あまりぴんと来ない。市民の間に評価がある反面、女性問題等でスキャンダルを起こしていただけに、その真意は図りかねる。インタビューを受けた市民も狐につままれたような顔をしていた。
 もうひとつのニュースはラグビーのワールドカップ次回開催地が日本に決定したことである。2019年大会だから10年後のことで、果たしてそれまで生きていてゲームを観戦できるかどうか分からない。まあ日本にとってはめでたいイベント開催ではある。
807.7月29() 政務官制度は三権分立に抵触しないか。

 定例のJAPAN NOW光情報協会企画会議が開かれた後に、暑気払いということになった。企画会議では、13日に財団法人日本海事センターと「パシフィコ横浜」で共催して開いた「第6回観光・海事立国フォーラム」で挨拶された、中田宏・横浜市長の話題に終始した。北康利氏のセミナーに出席していたため、残念ながら参加できなかったが、聞けば20分のスピーチの中で、熱心に観光振興のための建設的な話をされたので、まさか昨日突然市長辞意を申し出るとは思いも寄らなかったようである。
 出席者の間で、総選挙と中田市長の思惑についていろいろ話が出た。出席の皆さんは新聞記者出身者が多いので、官庁の内部事情に通じている。余談として民主党の100人の政治家が官庁へ入り込むという話についても、松尾理事長が実際に外人記者から質問を受けたと言っておられた。日本のマス・メディアの方が外国人記者よりよほど遅れているし、突っ込みで後塵を拝している。理事長は、立法と行政の間には三権分立の垣根があるので、政治家が役所で仕事をすることは所詮無理だと応えたと言っておられた。この点は今まであまり議論されなかった。政治主導を以前から主張していた民主党としては、その手始めに大臣のほかに、副大臣、政務官という要職に党の国会議員を送り、その後にいくつかの行政職を議員がやろうとするものである。
 しかし、政治家が官庁へ入り込むことが憲法上可能なのか。民主党のマニフェストは勿論、これまで党代表からも立法と行政の間に超え難い壁があるとは一切話がなかった。このことが今度の民主党のマニフェストに具体的に書かれているなら、公約の実現に問題があることを織り込んでいるということであり、いずれ大きな問題になるだろう。流石に松尾理事長は、行政のトップである運輸省事務次官経験者だけに、詳しくご存知だ。
 民主党にとって、財源、安保・外交、年金、少子高齢化、福祉、教育、等々で難しい問題が山積している。
808.7月30日(木)大人は何歳からか?
 法務大臣の諮問機関・法制審議会の民法成年年齢部会は、民法上の成年年齢を現在の20歳から18歳へ引き下げることが適当とする最終報告書をまとめた。これはひとりの人間が大人であるか、まだ大人には達していないか、その判断を示す基準、境界線を下げることを意味している。長年に亘って20歳になれば一応大人と世間は考えていただけに、18歳でよいと簡単には決めにくい理由もある。
 「18歳になれば大人」は大人としての自覚を持ってもらうため、また一人前に自立するという意識を持ってもらうためにも効果的であり、社会もそれを望んでいる。一方でそう簡単にいかない面もある。成人年齢を20歳から18歳へ引き下げることにより、年齢制限のある法律でひっかかるのが308もあるという。同時に若い人を一人前として認めようとしたがらない傾向のある日本人の性格からして、感情的な根強い反対論があるのも事実である。
 しかし、世界的にみると最早18歳以上を大人の年齢と認めている国の割合は、約7割もある。部会は責任の重さを感じたのか、YESとの結論は国会の議決に委ねるという逃げの形をとった。
 何歳から大人としたら良いのかは難しい問題で、副次的な問題もいろいろある。大人として自分ひとりで不動産契約までできるので、少々危険だという意見もある。しかし、18歳大人説が世界的傾向だとするなら、日本でも傍観者ではいられない。すべてを大人だからと認めるのではなく、今はすべてを認めずに過渡期的取り扱いとして部分的に大人としての処遇をしたらどうかと思う。
 こんなこともあった。西ドイツのギムナジウムを訪問した時だったが、校内でタバコをすっている生徒がいた。これを見た日本の先生がギムナジウムの校長へ学校内で喫煙を認めているのかと質問した際返ってきた返事が、認めたくはないが、憲法上16歳になれば喫煙をとがめられないことになっているのが悩みのひとつとのことだった。まず18歳の大人になったら全面的に何でも認めるという線から、部分的に網をかけていくというような経過措置をしないと変なものになってしまう恐れがある。
 銀座ライオンで恒例の飯田ゼミ暑気払いを行ったが、いつもの2階は予約が取れず、3階のライオン系統の「入母屋」で個室を借り切った。8人が揃ったが、総選挙を前にしてやはり政治への不満、民主党が政権を取ったらどうなるか、等々について話が盛り上がった。小松隆二先生も最近では学長だった東北公益文科大学へもほとんど行くことはなくなったと伺った。
 この「入母屋」で、初めてウナギのカツを注文して食べた。今まで考えたこともなかったウナギのカツが案外美味しいのにはびっくりである。実にうまかったなぁ。
809.7月31日(金)国連総会議長、広島、長崎へ
 真夏だというのに今日は涼しく、全国的にも降雨、低温、洪水等の気象変化で各地にいろいろ支障を来たしている。今日は7月最後の日であるが、炎天とはまったく縁遠い。まもなく暑い終戦の日が巡ってくる。
 来月6日、9日の原爆投下の日に合せてデスコト(ニカラグァ)国連総会議長が来日することになった。国際社会の大物が在職中に広島、長崎を訪れるのは、昨年のペロシ米下院議長に次いで2度目のことである。カトリック神父でもあるデスコト議長は広島に原爆投下した米軍機機長に対して「彼は良心を無視して、命令だけに従うように教え込まれていた。キリスト教社会を代表して、許しを請いたい」と述べた。原爆投下を行い、それを容認していたアメリカに対して、臆せず信念を述べるのは心からそう信じているからであろう。ひとつには、オバマ大統領のプラハ発言により、核廃絶への道が開かれ、大手を振って反核を唱えることができるムードが整ってきたことが大きい。ここでできることならオバマ大統領にもうひとつ踏み出して、大統領自身が広島、長崎に来て核廃絶のスピーチをすれば、どれだけ世界に対してアッピールすることができるだろうか。テニアン島空港滑走路脇に建つ「原爆投下機ここより旅立つ」碑を思い出す。
 デスコト議長は原爆投下を「人類の歴史における大変な悲劇」として「二度と繰り返さないためにも忘れてはならない」と強調している。実は、一昨日小中陽太郎さんからメールを送信してこられた。YOU TUBEの画像を見て欲しいと教えてくれたものだ。核問題、気候温暖、エネルギーを研究している「憂慮する科学者同盟」という団体の上級アナリスト、グレゴリー・カラキー氏が、動画で日本国民に対してオバマ大統領の核政策の転換を応援するよう日本政府とアメリカ合衆国政府にアッピールして欲しいというものだった。核廃絶運動に対する唯一の被爆国・日本政府の対応は、オバマ大統領の核政策の転換に懸念を示した。これは反対の国務省、国防総省内の一部の米議員を勢いづかせる。日本国民に対して日米両政府へオバマ大統領の核政策を支持するよう働きかけることを要望するものだった。
 4月オバマ大統領の核廃絶へ向けた発言以来、漸く核廃絶が認知されたような曙光が見えてきたようだ。デスコト議長は「核不拡散を達成する唯一の道は、すべての核兵器をなくすことだ」と北朝鮮などの核開発も牽制している。こういう人格的にも優れた人物が、国際舞台で発言することの効果は大きい。
 こういう核廃絶の動きがある一方で、6月28日に行われた日韓首脳会談の際、麻生首相が李明博大統領に対して、北朝鮮核問題が深刻化すれば、国内で武装すべきだという声が強まる」と述べていたことがばれてしまった。これはアメリカの日韓両国の「核の傘」を更に強化することにもつながりかねない。両首脳とも元々保守強硬派だけに、中国を意識した会話でもあろうが、相手が北朝鮮とあればいつもの軽口のくせで、つい強硬になったのだと分かる。しかし、時期が時期だけにちょっと問題を起こしそうだ。