
2009年5月
718.5月1日(金) 今日も日本中がインフルエンザの虜
今日も新聞とテレビは新型インフルエンザ感染の話題で持ちきりである。昨晩成田空港へ帰ってきた若い女性が感染の疑いありとして隔離されたが、今朝になり検査の結果新型インフルエンザではなく、通常のインフルエンザということが分かった。ところが、25日にカナダから帰ってきた横浜の高校生が今朝1時過ぎに新型インフルエンザ感染者第一号と診断され、隔離されたと舛添大臣が発表した。しかし、この高校生も疑いが晴れ、大臣が言うように新型インフルエンザではなく、一応通常のインフルエンザと分かった。
この後の舛添大臣と中田横浜市長の鞘当てがお笑いである。まったくこんな時に誤報道の責任は相手方にあると言わんばかりの言い争いを見せ見苦しいことおびただしい。
笑っちゃうと言えば、新型インフルエンザの疑いから解放された高校生の通う高校長が、涙を流しながら「嬉しい。万歳ですよ。ヤッターという感じです」と述べた。この無邪気な喜び方のパフォーマンスは、些か常軌を逸しており、果たしてこれが高校の校長先生かと思った。事柄を間違えているのではないか。どこもかしこも知的レベルが下がっているのではないかと心配になってくる。
ついにというべきか、アメリカ自動車産業ビッグ3のひとつ、クライスラー社が経営破綻した。この後経営再建を目指し政府の支援を受け、同時にイタリアのフィアットとの資本・業務提携を目指す。クライスラーといえば「ジープ」や「ダッジ」が有名だし、マンハッタンのクライスラービルは、ニューヨーク摩天楼街の中でも抜きん出て格好のよいビルで、最も好きなビルのひとつだった。
さて、昨日で連載が終った日経紙「私の履歴書」の筆者、近藤道生氏の自伝は興味があり、久しぶりに印象深いものだった。今年傘寿にしてなお博報堂最高顧問として矍鑠と活動されておられる。第1回から戦争体験を書き、半分の15回分を戦争記述に費やした。戦争の悲劇を実体験から淡々と書いており、しかも生死の境をさまよい終戦をシンガポールで迎えた。その間南方で中学時代の同級生と出会いながら、その友を失うなど、随分苦労を重ねた苦しみを余すところなく描いていた。後に国税庁長官にまで栄達しながら、民間会社で力量を発揮して人間的にも中々の魅力のある人物であることが分かる。
昔はこういう肝っ玉の据わった人がかなりいたものだ。
719.5月2日(土) ビルマのサイクロンから早や一年
昨年ビルマでサイクロンにより多くの犠牲者が出たが、早いもので今日でちょうど一年になる。予想されていたことであるが、一向に原状回復の兆候がない。国際人権団体が軍事政権は被災者の復興に主導的役割を果たしていないと批判した。被災直後に軍政が国際的な人道支援を拒んだことと、被災者や貧困層への食糧や健康、教育支援より軍事費を優先させているとして重ねて非難した。ビルマ人の心の優しさとビルマの貧困を知るだけに、現在伝えられる悲惨な状態はあまりにも切なく悲しい。しかし、今の軍政が続く限り、悲しいかな、ビルマに平和で安定した生活は訪れないだろう。
昨日アメリカでクライスラー社の経営破綻が公表されたが、4月のアメリカにおける新車販売台数は前年同月比34.4%減という惨憺たる数字だった。クライスラーに至っては、48.1%減で昨年に比べて半分しか売れなかったということになる。アメリカ自動車産業の凋落ぶりが数字的に証明されたことになる。クライスラーはイタリア・フィアット社と提携してアメリカ連邦政府の支援を受けて再建を期することになる。いずれにしろこの様子では当分自動車産業はもちろん、アメリカ経済全体の復調は望めない。
さて、先日に続いて今日もITコンサルタントの小糸さんに自宅へ来てもらい、‘SKYPE’の説明をしてもらって使用できるようになった。今はそれほど緊急性を感じていないが、もし‘SKYPE’が使えるようになったら会議もできる。今後知研の出版プロジェクトの定期会議なんかを開催できるのではないかと考えている。編集スタッフはみんなITに詳しいので、今度提案してみようかとも思っている。
720.5月3日(日) 憲法記念日に民放は憲法論議なし
今日は憲法記念日で、今朝の新聞を見るとそれなりに憲法論を取り上げている。その中で朝日新聞の全面「意見広告」掲載が目を引いた。一時流行った市民の意見を訴える手法で、ニューヨーク・タイムズへ載せたベトナム反戦意見広告で有名になった。
意見広告は、「市民意見広告運動事務局」が8,395件の賛成を得て掲載したもので、「戦争をとめよう!人間らしく生きたい」と訴えている。その根幹は日本国憲法9条「戦争の放棄、軍備及び交戦権の否認」と、第25条「生存権―人間らしく生きる権利」を強く打ち出している。反改憲歌も4つばかり発表されている。
「地球村の大人等愚か武器購う隣で飢えし児明日死にゆくに」
「爆音のとどろく吾子の部屋にいて九条切に守らんとぞす」
「七割は餓死と知らさる『英霊』の夏」
「九条に羽つけガザの子包みたし」
それぞれ反戦の気持ちが表れている。
テレビではNHKだけがスペシャル番組を流した。「天皇と帝国憲法『万世一系』はこう書かれた」で天皇機関説について評論家・立花隆と御厨貴・東大教授がそれぞれ分かりやすく解説してくれた。特に、政党政治の始まりから軍部と右翼の台頭、2.26事件、満州事変、大東亜戦争への流れをフィルムを交えて紹介していた。その中で印象に残ったのは、天皇機関説を主張した美濃部達吉教授とそれに反対した上杉慎吉教授の対立論争と、上杉教授の右傾化思想に浮かされた東大生、更に上杉教授の取り巻き学生によって引き起こされた連続的テロ事件等々である。昭和初期の一連の危険な動きを分かりやすく教えてくれた。こういう番組はやはり劣化している民放テレビでは期待できないことを感じさせられた。どこのテレビ局にも硬派の憲法番組がまったくなかったからである。
朝日の世論調査によると九条改正に反対する人が64%だという。しかし、これも条件付きなので実際にどの程度の国民が現在の憲法に賛成しているのか、反対しているのか分かりにくい。そこで以前から一部に改憲論争が浮上していたが、このところそれは下火になってしまった。目先の経済対策が先決で憲法まで手が廻らないというのが本音だろう。しかし、いつまでも憲法論議を放っておくことはできないだろう。実際に現憲法下で自衛隊の海外派遣も行われている。イラク特措法のように、時限立法もあったが、海賊対策のための海上自衛隊ソマリア沖派遣は恒久法の匂いがする。そろそろ期限を定めて憲法と正面から向かい合って議論を進め、結論を出すべき時に来ているのではないか。
安倍首相時に憲法改正の動きが出た時は、安倍シンパが動きかかったが、今は動くのはあまり得策でないと悟ったのか、利に敏い政治家は相変わらず動こうとしない。一体日本憲法は誰のものなんだ。
721.5月4日(月) ジャック・アタリ氏の資本主義経済論
午前中フランスの経済学者であり、歴史学者であり、思想家でもあるジャック・アタリ氏に対する長崎泰裕・NHKヨーロッパ総支局長による45分間のインタビュー番組「危機の中で未来を考える」シリーズの第1回「危機の核心は何か?」を見た。
すでに2005年時点でアメリカの金融危機の徴候を感じていたと言われている人物である。アタリ氏は単に象牙の塔に篭った学者ではなく、ヨーロッパ復興銀行総裁、更にミッテラン大統領の経済顧問も務めて実態経済をつぶさに実体験しているだけにその主張には説得力がある。
アメリカの金融危機については、グローバルな資本主義にルールや規制がなかったことと、アメリカ金融業界が「何でも解決できる」と予想できるリスクを軽視したことが原因であると指摘された。グローバルな市場はできたが、グローバルな民主主義とグローバルなルールがなかったことが致命傷と指摘されたのである。更に金融業界には過去のバブルの反省もないと手厳しい。
改めて学んだことは、資本主義市場最初の市場となった、14世紀ブルージュ(ベルギー)では、国家や教会から離れて商業ルールの下に商人中心の市場が栄えたことである。以降ベネチア、アントワープ、アムステルダムも国家や教会の壁を越えて市場が繁栄した。市場の拠点というのは、時代ごとに移り変わるものであると持論を展開される。18世紀のイギリス、19世紀のアメリカ東部、そして20世紀のロスアンゼルスも同じように市場は移動している。
今後のグローバル市場の候補地として期待されるのは、中国であり、インドであるが、問題は中国には国内問題と官僚社会があり、インドにも国内問題がある。1970年代に日本市場はアメリカに次ぐ世界市場になるとの期待があったが、その可能性が消滅したのは日本の政治状況と国際市場への準備を怠ったことであると辛辣である。
今後アメリカがこれまでのように世界をリードすることは難しいだろうが、やはり世界のリーダーとして存在感はあるだろうし牽引車となるだろう。しかし、これまでに比べて連邦政府が大きな政府となり、保護主義が強まり内向きになるだろう。従って日本を含めて外国への関与も少なくなるだろう。
これからは資本主義の中に民主主義が配慮され、社会的支出と公的支出のバランスが重要になると結論づけた。早速自由が丘の書店に著書「21世紀の歴史」を求めに行ったが、置いてなく夕食に妻と出かけた玉川高島屋内の紀伊国屋書店にもなかった。発行元・作品社の書物は取り扱っていないらしい。近くの書店に注文するより方法はない。
世界中を席捲している豚インフルエンザだが、メキシコで感染したカナダ人の豚舎従業員が帰国後仕事中飼育している豚に感染させて相当数の豚が豚インフルエンザに感染した。人間を介して豚インフルエンザを豚に感染させたという、まるで漫画のような話である。
722.5月5日(祭) アタリ氏が考える超民主主義
昨日に続いてジャック・アタリ氏に対する2度目のインタビューが放映された。アタリ氏は思索的にも、実践的にも「超民主主義」を自分自身で実行している。
まだ読んでいないが、著書「21世紀の歴史」(作品社発行)の中でアタリ氏は「世界を襲う5つの波」について説明している。それが今日のテーマだった。
アタリ氏の思考する5つの波とは、
① アメリカ支配の崩壊
現在のアメリカ型資本主義の終焉である。これはアメリカの国際舞台からの消滅ではなく、一時撤退であり、20~30年間続くだろう。大英帝国がアメリカに取って替わられたり、ローマ帝国がこの世から消えてしまったのとは異なる。
② 多極型秩序
現在の先進国だけではなく、G20のような形でインドネシア、トルコ、ナイジェリア、アラブ諸国などが参加するような形であるが、国家の存在は厳然として残る。
③ 超帝国
強力な資本主義市場に立ち向かうグローバルな統治が求められる。金融制度の確立と自由の規制を考える。物に対する監視は必要であるが、人に対して監視することは許容できない。
④ 超紛争
超帝国になると軍事面で競争が起きる。貧困層の割合が増加する。結局ノマド(遊牧民)が増える。どこにも移動できる「超ノマド」、普通の人間「バーチャル・ノ マド」、生き延びるために移動せざるを得ない「下層ノマド」に分けられるが、「バ ーチャル・ノマド」が減り下層ノマドは増え、40年後には30億人にもなるだろう。両極端に分かれる。
⑤ 超民主主義=利他主義
他人のために尽くす「博愛」が大切である。合理的博愛と云われるもので、その一環としてアタリ氏自身NPO「マイクロファイナンス」を設立して、チュニジアやセネガルで融資を受けられない人々のために無担保、低金利の融資業を実践している。
である。
時代はこのままの経済体制が続けば人類の生存にかかわってくる。21、22世紀に人類が生き残れるか。それは、経済、軍事、環境による崩壊を抑えることであり、行動するのは今しかない。これがアタリ氏の大筋で言わんとしていることだったと思う。
723.5月6日(水) ゴールデンウィークも終った。
麻生首相の変わり身の早さというか、節操のなさには驚くばかりである。つい最近も二つばかり気がかりな発言があった。ひとつは、ヨーロッパ外遊中に日本は唯一の被爆国としてアメリカとともに核拡散防止を進める考えだと威勢のよいスピーチを行った。あれっと思った。考えとしては大賛成であるし、日本としては当然取るべき立場でもある。それが、テレビによる放映はあったが、新聞ではほとんど報道されない点が気になるところである。
取り上げられない理由は首相の発言が信頼されていないからである。3年ほど前北朝鮮がテポドンを打ち上げた時、麻生首相は時の外務大臣として国会で「隣国が黙って核実験をやるようなら自衛上わが国もその備えをすることも選択肢にある」という、核実験に前向きな発言を行ったからである。いとも容易く正反対の意見をいうのはいかがなものかと問うてみたい。本音はどっちなんですか。
もうひとつは、外遊直前に世襲議員制限について記者団から問われて、職業選択の自由の主旨からいって制約するのはいかがなものかと応えた。これは自分も世襲議員である立場からしか考えていない発想であって、世襲議員と争う候補者にとっては最初から不利で、これは憲法が保証する平等の原則の観点から考えて、これこそ憲法に違反するのではないかと思うが、これについて麻生首相はどう思っているのだろうか。
こう信頼できない、自分の立場でしかものを考えない首相ではわれわれ国民もやる気を削がれる。
ゴールデンウィークも今日が最後である。いずこの高速道路も車で混み合って例年以上の混雑ぶりのようだ。海外旅行客も帰国ラッシュを迎えて、検疫検査と重なりこれも大変である。国内で道路が混んでいる最大の理由は、先月から休日にETC利用の普通車の通行料を一律千円に値下げしたからである。この割引通行料制度をうまく使って北から南まで高速道路を走れば、たった千円で通行できることになる。渋滞続きのうえに、高速道路の駐車場も満車状態で車も停められない有様である。
高速道路の値下げが決まった時から、首を傾げたのはどうしてトラックに割引運賃を適用しないのだろうかということだった。案の定取材カメラが駐車中のトラック運転手に聞くと、大いに不満だと怒っていた。それはそうだろう。働いているトラック運転手が渋滞でいつもより無駄な時間がかかる一方で、レジャーに出かける乗用車族がトラックの営業妨害をしたうえに、割引という恩恵を受けているのだから。もう少しきめ細かく制度を決められないものだろうか。
ゴールデンウィークに格別の思いがあるわけではないが、新聞(夕刊)がまともに読めないし、東証株価が発表されないので、世界の経済の動きについていけない。また郵便も配達されないことで不自由である。一年に一度のことであるが、あまり歓迎という気持になれないというのが率直なところである。
724.5月7日(木) 山内昌之・東大教授のイスラム論
GW中休みだった多摩大学公開講が2週間ぶりに開かれた。小雨の肌寒い中をいつも通り車で出かけ、近くの多摩市立武道館駐車場へ停めておいた。
今日はイスラム問題専門家、山内昌之・東大教授の講演でテーマは「中東政治のねじれと‘30年戦争’-オバマ大統領に‘チェンジ’はできるか」である。昨年9月にも山内教授の講義を受講したが、現在日本で中東問題全般について最も詳しい専門家のひとりである。いくつか論点を絞り解説された。今日の講演では、オバマの中東への取り組み、エルサレム・メディア・コミュニケーション・センター(JMCC)の世論調査結果、そしてイランの対米関係へのアプローチが面白かった。
テーマの「30年戦争」というのは、1648年の30年戦争終結の際調印されたウェストファリア条約がほぼ現在のヨーロッパの骨組みを形成したので、1979年のイスラム革命によってアメリカとイランが断交して今年30年目になるのを機会に、イランの核武装を阻止し、中東問題を包括的に解決するためにもアメリカがイランとの対話を開始できるかとの問いかけである。
そこで今日のポイントとして、JMCCによれば、パレスチナ人のオバマ大統領へ寄せる中東和平への期待感は28.1%に達したが、この数字だけをみていると低いように見える。しかし、歴代米大統領の中でこの支持率は最高だそうである。イランの動きを見ているとイランはイスラエルの隣国と認識すべきで、双方ともにお互いを牽制している。この両国の存在が中東の要となっている。特徴的なのは、両国が中東諸国の中で選挙により支配者を選んでいる点で、他の中東はそのような民主的な手段から支配者を選んではいない。
イランは核と石油を持っていることを力にアフマディネジャド大統領がイランは「真の超大国」であると世界へ向かって広言した。残念ながらそのニュースは日本ではほとんど伝えられなかった。レバノンのヒズボラ、パレスチナのハマスを支援しつつ彼らの支持をとりつけつつある。しかし、その野心の拡大によりイスラエルにもまして、エジプト、サウジ、他のアラブ諸国の間に内部分裂の兆しが見えてきた。例えば、イランよりトルコに共鳴するパレスチナ人の数は増えている(イラン55.9%、トルコ89.6%)。これまでアラブはオスマン・トルコ時代を除いてアラブ諸国が揃って同盟関係になったことはない。内部事情は複雑なのだ。トルコへの支持が高まってきたのも、前回のダボス会議の折、イスラエルのペレス首相の一方的な演説に、トルコのエルドアン首相がケツをまくり退場したパレスチナ擁護のパフォーマンスが受けたからだともいう。
今イランがアメリカと対話をするために、アメリカに約束させたい条件が3つある。①ハメネイ氏らシーア派の最高指導者ら宗教指導層による統治を正当化させ、体制維持と現状を追認する、②自前のウラン濃縮化の継続、これはイスラエルに対して抑止力になる、③シーア派宗教資本主義の既得権益を、アメリカのいうグローバリゼーションの大義名分で損なわない保証、の3点を約束することが国交再開の条件だというのである。
果たしてどうか。30年の冷却期間を置いてアメリカとイランが、パーレヴィ国王時代のような蜜月時代を取り戻せるだろうか。
それにしても山内教授はつい最近NHK「爆問」に出演した時、話す言葉が聞きにくく歯切れが悪いと気になっていたが、今日の講演では多少ひっかかったが、それほど気にならなかった。
冒頭に戦争とか、死の現実感ということについて述べられた。昨年9月に40年連れ添った夫人を亡くされて現実に死というものに直面したと話されたが、現実的な死をあまり考えたことがないだろう聴講学生には果たしてどう響いただろうか。
725.5月8日(金) 企業も続々決算発表
朝から雷を伴う激しい雨が降っていたが、昼近くなって止んできたので、予定通りJAPAN NOW観光情報協会の観光セミナーに参加した。今日の講師は、PHP研究所の主任研究員で松野さんと仰る、まだ若い女性でフランスの地方分権について道路、空港、鉄道を例に説明された。広い分野に亘って話されたが、少々話題が多すぎるので細かい言葉、話の内容等について分かりにくい箇所もあった。私が質問したのは、都市交通の財務状況についてだった。経営側の収入が乗客の運賃にほとんど依存していないことに驚いた。全収入の内乗車券収入は僅か2割程度との説明に‘えっ’と思った。これでは地域住民の税負担が大変だし、第一民間鉄道会社なんて存在し得ないということになる。でも、実際にフランスでは小規模な地方鉄道が成り立っている。日本では考えられない。国、地方自治体、交通税で賄っているのである。カラクリを精査してみないと納得できないが、こういうこともあるのかと改めてフランスの都市交通の異色な経営に関心を持った。
このところ各企業の3月決算が次々と発表されている。その中でほとんどの民間企業が赤字決算に悩んでいる一方で、好決算を生んだ企業もある。最悪の決算を発表したのは、何と大企業の日立製作所で、その赤字も桁外れで7,880億円、そして野村HDの7,094億円と続く。不況のトヨタ自動車のごときは前年度は何と2兆3千億円の黒字を生んだ企業である。それが今回の決算は71年ぶりの赤字計上だった。来年度は何と8千億円を超す赤字の見通しだそうだから、相当苦しんでいる。みずほグループと三井住友銀行も悪い。他方で、景気の良い会社もある。任天堂とディズニーランドを運営するオリエンタルランドで、いずれも過去最高益だという。こうしてみると物づくりの企業と金融が悪くて、娯楽に特化した企業がいい。ちょっと考えさせられる。
726.5月9日(土) 日本人初の新型インフルエンザ患者発生!
ついにと言うべきか、やはりと言うべきか、日本人初の新型インフルエンザ感染者が見つかった。それも一度に3人である。カナダで語学研修を終えてデトロイト経由ノースウェスト航空機で昨日帰国した高校生2人と同行の教師である。先日も語学研修の横浜の高校生が感染の恐れがあったが、新型と同じA型と判定されても新型ではないことが分かった。前日には6歳のシカゴ在住の日本人の子どもが新型インフルエンザに罹ったが、そのままシカゴにいる。
厚労省は水際で食い止めようと懸命に検疫検査を強化しているが、それでも感染者が入国してくるのを止めることはできない。精々感染者と非感染者を見分けることだけが現時点で感染を食い止める第一歩である。
まだこの新型インフルエンザが豚から感染され、比較的弱性であるということ以外詳しく分かっていないようだが、それでも感染者に年配者がほとんどいないこと等から、医学専門家の間では年配者には免疫があるのではないかと言われている。一日も早くこのインフルエンザが消滅することを願いたいものである。
それにしても英語研修の高校生の何と多いことだろうか。ゴールデンウィークの間に2週間アメリカやカナダでホームステイしながら英語を学ぶという幸せな高校生たちである。羨ましい限りである。GW中は学校が休みであるが、旅行シーズン最盛期であるのですべての面で費用がかさむ。下衆の勘ぐりと思われるかも知れないが、総費用は相当かかり親の負担も大変だと思う。それを親から出してもらった以上行ったというだけでなく、英語を積極的に学んで自分の人生に役立たせようとの気持ちは持ち続けてもらいたいと率直に思う。先日取材した評伝作家の北康利氏も若い人が国際社会で活動するために何が必要だと思うかとの質問に対して、即座に「英語です」と応えられたほどである。
われわれの高校生時代にはアメリカはもちろん海外旅行はまったくできず、それは大きな夢だった。それが面倒くさい手続きを経て、やっと海外へ出かけたのは27歳の時だった。もう10年早くアメリカへ行く機会があれば、別の人生を歩んでいたかも知れない。
それにしたって今の高校生は本当に恵まれている。
727.5月10日(日) 結婚40周年を迎える。
今日は結婚40周年記念日である。40周年祝いは「ルビー婚」というらしい。あっという間の40年だったような気がする。妻護江ともども何とかやってこられた。漫談家・綾小路きみまろ流に言えば「あれから40年~」ということになる。お互いの両親はすでにいないが、幸いにして兄弟も誰一人として欠けていない。息子たちや孫たちもまあまあ元気なのが嬉しい。このままあと何年生きていけるか分からないが、健康で幸せな生活を送りたいものである。この次目指すのは、50周年の金婚式である。何とか10年後に念願成就したい。本来ならドカンと派手なお祝いをやりたいが、今いくつか抱えている原稿があってどうにも気になり、あまり思い切ったことも考え及ばず、ランチを玉川高島屋のイタリア・レストランでお茶を濁すことになった。
ところで6月に知研「出版プロジェクト」で作家・野村正樹氏の取材を野村さんの自宅兼事務所で行うことになっていたが、野村さんの方から小田急ロマンスカー展望車内で取材をやりましょうと提案があった。さすがに鉄道に詳しい野村さんらしい洒落たご提案に脱帽である。新しいロマンスカーの前後2両の展望車は16席だけ、向きを変えることによってラウンジになる。それでその16席を知研だけで占領し、そこで取材に応じようというのである。更に、小田原へ着いてから栢山駅まで戻って二宮尊徳記念館で続きの取材に応じようと言っていただいた。私がインタビュアーを務めるが、責任も重大になってきた。
しかし、舞台設定が素晴らしいと思う。室内でなく外で、しかも意外な場所でやるというのがいい。これで「知の現場」の雰囲気をうまく記事に作り出せるようにしなければいけない。手配関係も気を配らなければならないが、取材自体にはっきりその成果が表れると思う。景色を眺めロマンスカーに揺られながら野村さんの本音を引っ張り出して気持ちのいい、濃密な取材にしたい。
728.5月11日(月) ラグビー仲間の弓桁くん逝く。
悲しい友の死を知らされた。高校ラグビー部のチームメートだった弓桁博くんが今月4日に亡くなったと同じ茅ヶ崎市に住む、チームメートの大島泰毅くんが電話で知らせてくれた。急性白血症で2月に入院したが、僅か2ヶ月余りで逝ってしまった。卒業後はあまり親しく付き合わなかったが、それでも高校時代はあまり強くなかったラグビー部をともに支えあったものだ。すでに城田くん、長谷川くんが黄泉の国へ旅立ち、そしてここで弓桁くんも後を追って行った。愛知県に住んでいるスタンドオフだった蓮池くんも、体調が万全ではない。大島くんも本人は元気だが、92歳のお母さんの介護をしていたが、ここへきて奥さんが難病に罹ってしまったらしく、あまり遠出ができなくなったと寂しそうに話してくれた。
われわれは昭和13、14年生まれの古希、70歳という年齢だから、ある程度しようがないと言えば言えるが、どうしても元気だったころの勇ましいジャージー姿をイメージしてしまうので、信じられない気がする。この年齢で毎日原稿書きに追われている私も大島くんには元気がいいと冷やかされてしまったが、いつまで現在の健康を維持できるかは予想もできない。もうしばらくは元気に仕事をしたいものだ。それにしても友だちの死は辛く堪える。心よりご冥福をお祈りしたい。 合掌
今日一番の電撃的ニュースは、夕方の記者会見で発表された、民主党の小沢一郎代表の突然の辞任である。都内では号外も発行された。しかし、私は早くから辞めるべきだと思っていた。少し遅すぎるくらいである。折角政権獲得が間近にありながら公設第一秘書が逮捕された不祥事は、部下の管理責任を問われて当然であるし、そもそも違法献金である。秘書の逮捕理由が西松建設から政治献金を受けていた政治資金規正法違反である。民主党内にも代表辞任を求める声が渦巻いていた。このままでは近づく総選挙がいよいよ心配になってきたのだろう。確かにある面で期待されていただけに、代表の辞任は惜しいと言えば惜しい。しかし、これも身から出た錆だ。西松建設とのグレイな付き合いから腹を勘ぐられても已むを得なかった。現実に金銭の授受があったのだから、怪しい金銭ではないという説明責任を果たさなければならなかった。小沢代表はその責任を果たしたとは言えない。国民も納得していなかった。これで党内も反ってすっきりするだろう。麻生政権を倒し新しい政治体制を作る意気込みで総選挙に向かって進んで欲しい。
深夜近くなってロシアのプーチン首相が特別機で羽田へやってきた。プーチンの狙いは何なのだろうか。巷間噂されるところでは、サハリン石油の売り込みのようだ。北方四島問題を持ち出すかどうかはまったく分からない。外交下手の外務省がしたたかなプーチンに変な言質を取られなければいいがと気になる。訪日中はプーチンの動静から目が離せない。
729.5月12日(火) 小沢民主党代表、ついに辞任へ
今日は新聞もテレビも小沢民主党代表の辞任のニュースで持ちきりである。朝日新聞は一面から三面まで全スペースを費やし、四面もほとんどが小沢代表関連記事で埋め、そのせいで昨夜来日したプーチン・ロシア首相関連ニュースは四面の最後のスペースに申し訳程度にしか取り上げられていない。そのプーチンは、麻生首相との首脳会談でも記者会見でも北方四島返還問題については一向に言及しない。ところが森喜朗元首相が昨日プーチンと個別会談を行った際、イルクーツクで両首脳が合意した2島返還から話をスタートさせるのが賢明と話を合せた。しかし、この話はその当時田中真紀子議員を始め、日本国民から総すかんを食ったはずである。性懲りもなく再び2島返還をベースに話を進めればよいと、森元首相はプーチンに入れ知恵したのである。プーチンにすればタナボタ式に活路を開く境地になって嬉しかったのだろうか、自分もそう考えていると応えた。北方返還交渉はどうなっているのだろう。日本の元首相が日本にとっての懸案事項をロシアに有利なアドバイスをするという驚くほど馬鹿げた話である。これだから、政治家なんて信用されなくなるのだ。国家に対する背任行為ではないのか。森は重罪人である。つい先だっても谷地・元外務次官が3.5島返還論を持ち出して物議を醸したばかりである。何とノー天気なことよ。
小沢民主党代表辞任事件に視点が吸い寄せられている内に、程度の低い政治家が国を欺こうとしているのである。プーチンの行動の監視は勿論であるが、お粗末な政治家の行動も執拗に監視しなければいけない。
中国四川省で大地震が起きてから今日で一年になる。復興作業は遅々としている。ついに再興不可能と判断された四川省北川県では、町全体を放棄することになった。生き残った全住民が町を離れることになった。永久に町を捨てるのである。人々が立ち入ることは禁止され、遥かに眺めるだけになった。こんな悲惨なことがあろうか。ましてや住民にとっては亡くなった家族がその町のどこかに放置されたままになるのである。
この地震では学校や病院のような公営施設がもろくも崩壊した。手抜き工事が原因と指摘されているが、中国政府はそれを認めようとしない。それが原因で下敷きになって死亡した遺族と政府が対立している。再建される建物を見ていると、建築法が厳しくなったとはいえ、素人である私の目から見ても耐震性が充分とは思えない。以前と同じように壁は日干し煉瓦を積み上げているだけのように思えた。
元通りに戻るのは、住民には厳しく聞こえるかも知れないが、遠い先の話だろう。
妻が森光子主演の「放浪記」を観劇に行った。89歳の誕生日の9日に2千回公演を果たした。妻によれば、近々国民栄誉賞受賞との噂もある森光子も、休憩時間を含めて4時間の公演は流石に大分お疲れだったようである。しかし、たいしたものである。
730.5月13日(水) 官房副長官のスキャンダル
民主党は16日小沢代表の辞任に伴う次期代表選出選挙を行う。元々小沢代表の豪腕に引っ張られてきた民主党だけに、仮に今候補に挙がっている岡田副代表と鳩山幹事長のどちらが新代表に選ばれようとも前途は茨の道かも知れない。
そんな折りも折り与党自民党の鴻池祥肇・官房副長官が、ゴールデンウィーク中に女性を連れてゴルフと温泉旅行をやっていた。この御仁は議員に支給されているJR乗車券をこの女性のためにも使用したらしい。しかもこの時期は、新型インフルエンザ騒ぎで内閣も自民党も取り込み中だった。鴻池副長官もその対策会議に出席して、そのまま温泉へ出かけたらしい。しかし、その後の対策会議にはゴルフに熱中して出ていなかったようだ。申し開きができなくて鴻池氏は官房副長官を辞めたが、その理由がふるっている。体調が悪いので入院したことになっている。元々失言を繰り返し度々顰蹙を買っていたお粗末な議員である。それにしてもなぜ国会議員にJR無料パスが支給されるのか前から疑問に思っていた。子どものように何でも買い与えるから、甘えて使い方を間違える。こういう議員にはさっさと退場してもらいたい。
日本の国会議員がお粗末なら、アメリカのGM社の役員もお粗末である。先に公的資金を受けていながら巨額のボーナスを受領していたとして、AIG保険会社役員に対してオバマ大統領が激怒していたが、今度のGM社役員の場合は、自社の倒産を見越したのか、自社株を売却していたことが分かった。売買禁止の間隙を突いていわゆる売りぬけをやったのである。大会社の役員たるもの、こうも倫理観が失墜するものか。先日作家・北康利氏をインタビューした際北氏がアメリカの不況の原因には、アメリカ社会の倫理観の欠如があるといみじくも指摘しておられた。日本はアメリカに比べて圧倒的に社会性では優れていると言っておられた。松下幸之助は企業は社会の公器であるとも、福沢諭吉や緒方洪庵は蘭法と同時に道徳も教えたとも仰っていた。
しかし、常識を常識とも思わない政治家は別かな。
731.5月14日(木) ブログを書き始めて2年
今日この書き込みでブログ「ご意見番の意見」を書き始めてからまる2年が経った。あっという間の2年間だった。最初はどう書くべきか、考えてもこれというはっきりしたテーマも書き方も思い浮かばなかった。自分の周囲に起きたこと、自分が感じたこと、マス・メディアに取り上げられたニュース等々を自分なりに自然体で書いていけばよいのではないかと思って今日までやってきた。実際2月の出版記念会のスピーチで「知研」理事長の久恒啓一多摩大教授は、ブログでは私がいつも何かに対して怒っていると表現されたが、その通りかも知れない。それが私のペースであるのかも知れない。これからもこんな調子で気張らず自由に書いていこうと思っている。
多摩大学公開講座は「オバマ新政権の行方を読む」と題して、東京財団上席研究員・渡部恒雄氏が講義された。渡部氏は民主党最高顧問・渡部恒三氏の子息でもある。歯科医師上がりではあるが、10年間アメリカで学び、最後の4年間はワシントンD.C.の戦略国際問題研究所(CSIS)に在籍された。今年44歳のアメリカ政治専門家として今マス・メディアに登場したところである。
与えられた80分間を70分の講義と10分の質疑に充てたが、時間配分もそつなく70分間立て板に水を流すようなしゃべり方に父親のDNAを想像させた。
レジュメに沿って話されたが、オバマ大統領の政策を①閣僚、②ホワイトハウス、③閣僚級以下の重要人事、④アジアチーム、のメンバーの経歴、持論、人脈等の視点から分析された点が、斬新な感じだった。ブッシュ大統領時代の主要シンクタンクとの関係図を示して説明された。スーザン・ライス国連大使の指名、ヒラリー・クリントンとの選挙戦における論戦、ヒラリーを国務長官に任命した戦略についてアメリカの政治研究に深く関わった者ならではの分析が面白かった。
さて、またビルマで厄介なことが起きている。軍事政権は自宅軟禁中のアウン・サン・スー・チーさんを刑事訴追した。先日ひとりのアメリカ人がインヤ・レイク湖畔にある彼女の自宅へ対岸から泳いで渡り、翌日戻ってきたところを逮捕された。彼女は禁止されていた外国人を自宅に宿泊させたとして訴追された。しかし、刑事訴追の真意はそんなことではない。6年前から自宅軟禁されていて、今年その拘束期限が切れる。来年総選挙を予定している軍政としては、人気のある反体制派の彼女が自由になり、軍政に不利な選挙になることを恐れて事前に手を打ったというのが本当のところではないだろうか。
また、ビルマ軍政の悪辣なやり方が表面に出てきた。軍政は外国から厳しく民主化弾圧を批判されながら、相も変わらずもぐら叩きのように民主化の芽が出てくるとつぶすという構図を繰り返している。いつになったらビルマに自由が訪れるのだろうか。
732.5月15日(金) 駒沢大学公開講座始まる。
駒沢大学の公開講座が今日から始まった。今年は「現代広告論」と「本と出版の周辺」の2講座を受講することにした。「現代広告論」を担当する岩崎宇雄氏は、電通出身で桜美林大学教授でもあり、実務と理論に精通している。最近の広告業界の低迷ぶりを指摘された。かつては全広告業界の取り扱いが10兆円を超過していたが、今では7兆円まで落ちたという。TVの取扱も落ちているが、新聞の落ち込みがとりわけ激しいらしい。特に、トヨタ自動車のごとき不況業種は広告宣伝費を30%も削減すると噂され広告業界は戦々恐々のようだ。今日の話は面白かったので次週が楽しみだ。
「本と出版の周辺」の講師は、柴野京子氏で20年間出版取次会社「トーハン」に勤められたそうで、パワーポイントを使いながらわれわれ外部の者が知らない情報を教えてくれた。今の出版業界というのは、出版会社と書店の間で取り次ぎする書籍問屋の内「トーハン」と「ニッパン」の2社で取扱の約70%を占める寡占状態にあるという。書籍、雑誌を取りまとめた流通機構で日本独特のスタイルになっている。そのせいでもちろん欠点もあるようだが、外国に比べて日本の書籍代は安いらしい。こちらの授業も楽しみにしている。
さて、知研の出版プロジェクトで北康利氏へインタビューした時の文章を出版社へ提出して担当者の感想が返って来たが、的確なアドバイスをいただいたと思っている。アドバイスに従い修正したいと思っているが、まだ文章を半分ぐらいに圧縮しないといけない。しかし、ある程度担当者の考え方は見当がつくので、何とか早めに文章化して仕上げたい。先陣を切って他のスタッフが書く際のひとつのモデルにしたいと考えているので、良質な文章に纏め上げたい。
昨日北海道の一部では雪が降った。このところ気候が不順で雪が降ったかと思うと、真夏日になったり普段健康でない人は辛いだろうなとつい同情したくなる。それにしても先日に続いて5月に入って2度目の降雪である。これは何か起きる前触れだろうか。
733.5月16日(土) 民主党新代表に鳩山由紀夫氏
新しい民主党代表が民主党全国会議員の手で選出された。鳩山由紀夫幹事長と岡田卓也副代表の争いとなったが、124対95で鳩山氏が次期民主党代表に選ばれた。同じ党内の争いなので、ほとんど争点がなく選挙戦としては論争もなくそれほど面白くなかった。ひょっとすると総理大臣になる可能性もあるので、二人の候補者はかなり気合が入っていたようだったが、選挙期間が短く対立点もなく民主党挙党一致体制を声高に主張していたので、今ひとつ盛り上がりに欠けた。その中で若干温度差があったのは、消費税値上げだった。鳩山氏は3年間上げないと述べたが、岡田氏は財政事情から3年間上げないと約束してもよいのか、むしろ検討に入るべきではないかと持論を主張した。
まあどちらになっても次期首相?としては、現首相ほど下品でないので、ほっとする。しかし、日本の首相ともなれば、本来最も求められるべきはリーダーシップであろう。鳩山氏に果たして日本のトップとして充分なリーダーシップが備わっているだろうか。政治は愛であるなんて言っていて良いのだろうか。今後どういう戦術で政権を取り、国民のために頼りになる政治をやってくれるのだろうか。
今朝日本国内で初めて新型インフルエンザ感染者が明らかになった。神戸の高校生が国内で感染したというニュースに厚労省と兵庫県教育委員会は朝から慌しい。これまでの4人の感染者は全員外国から帰った直後に成田空港で発見されたので、外国で感染したわけだが、今度の高校生は海外旅行に行ったことがないので、日本国内で誰かから感染されたということが分かった。こうなると他にも国内に感染者がいるし、その感染者が誰か判明しない以上、次から次へ感染者が増えていくのだろう。
こう書いている内に、夜のTV番組内のテロップで新たに兵庫県立兵庫高校の5人の女生徒が新型インフルエンザに罹っていることが突如発表された。更に神戸高校から二人。大阪の豊中市内の私立女高校生に複数。どっと出てきた。やはりそうかと思う。これから国内発症者がどのくらい広がっていくのか。心配である。
734.5月17日(日) 新型インフルエンザの今日の感染者は何と72名
昨日から関西方面で急に新型インフルエンザ感染者が増え出した。一昨日まで国際空港の水際検疫が功を奏して感染者は僅か4名で推移していたが、深夜12時のニュースでついに昨日8名、今日72名と大幅に増えた。合計84名の感染者となった。そのほとんどが高校生であることが異常な現象である。
さて、昨日新代表が鳩山由紀夫氏に決まった民主党では、早速前代表の小沢一郎氏を代表代行・選挙責任者とした。一方代表選挙に敗れた岡田卓也氏は幹事長と決定した。この新体制で来る総選挙に臨むことになる。代表職を辞めたとは言え、小沢氏の選挙上手によって民主党の躍進を後押ししようという魂胆である。
現時点で日本国内に経済不況はあるが、社会不安のある海外諸国に比べればまだまだ天下泰平である。他方アジア各国は国によってその事情は異なるが、いずこもいろいろ政治的、社会的問題を抱えている。
その最大の問題国であるビルマは、つい先日アウン・サン・スー・チーさんを拘留した。性懲りもない強引な行動は、民主化の芽を摘むとして国際社会の厳しい非難を浴びている。ビルマ軍事政権の非民主化・独裁の動きは当分変わらないだろう。パキスタンでもアフガニスタンとの国境周辺でイスラム過激派が不穏な動きを見せている。
ところが、ここへきてスリランカの情勢が揺れ動いている。反政府武装勢力「タミル・イーラム解放の虎」(LTTE)が政府軍との衝突で北部海岸線に押し込められ、多数の民間人を「人間の盾」として抵抗を続けている。これまであまり報道されていなかったニュースだが、狭い地域に立てこもるLTTEに対して政府軍は海上から挟み撃ちにしている。追い詰められたLTTEが集団自決を覚悟して最後の反抗を試みようとしているらしい。「人間の盾」となった民間人も少しずつ脱出して、最近3日間だけでもその数は2万5千人に達した。国連の発表では、盾とされている民間人は5~10万人もいるらしい。戦闘の激化で赤十字の支援物資も届かない。ここ数日が山のようだ。
それに比べれば、やはり日本はまだ長閑な方である。
735.5月18日(月) スリランカ内戦終結か。
昨日スリランカの反政府武装勢力LTTEが追い詰められた状況について本稿に書き込んだところ、今日になって慌しく新聞・TVが取り上げ俄かに大きく報道され出した。LTTEの指導者プラバカラン議長が殺害されたらしく、急速に内戦終結へ向かっている。LTTEは敗北宣言を出し、「人間の盾」にされた民間人は続々解放されている。その数7万人と言われている。普通なら敗北宣言まで公表すれば、終戦となるのだが、政府軍はLTTEに対して最後まで徹底的な攻勢をかけようとしている。まるで蜂の巣殲滅作戦である。この動きに対して流石に各国政府や国際人権団体が懸念を表明している。
しかし、この国の内戦には当然ながら複雑な国内事情がある。宗教が絡んだ民族対立である。スリランカは元来人口ではシンハラ人が圧倒しているが、ヒンドゥー教徒の多いタミル人がシンハラ人有利の政策に対して分離独立運動を起こし、それが政府軍とタミル人武装勢力の間での戦闘となり最近激化していた。
昨年多摩大学の公開講座で講師を務めた明石康・元国連事務次長がシンハラ人とタミル人との対立解決のために、スリランカへもしばしば出かけると述べておられた。日本ではこの民族対立はあまり伝えられていない。しかし、どこの国でも大なり小なり国内問題を抱えているのだ。そこに民族とか宗教対立が入り込むと余計厄介になる。その意味では幸いにも日本国内には民族問題も宗教対立もない。だからと言って知らんふりでいるわけにはいかない。やはり、相当な関心を持って見ないと、世界の情勢が分からなくなってくる。日本人が世界の動静に案外無神経で、国際問題に対して的外れな見方をするのも、案外日本人の日頃の国際問題への無関心が影響しているからではないか。ともかくスリランカの内戦は間もなく決着がつきそうだ。
さて、新型インフルエンザによる感染者は一昨日から急に増えて深夜近くなって158人になった。海外旅行者ではなく普通の高校生が関西地区を中心にこれだけの広がりを見せるところを見ると、どうも以前からすでに国内感染者は発生していたのではないかと言われ出した。大阪市内では一週間の休校となって、修学旅行に出かける生徒たちも駅まで来ていながら旅行中止の憂き目を見ている。もう少し早く通達を出してやれば、学校側もこういう無慈悲な対応をしなくても済んだのにとつい同情したくなる。このまま感染は広がる一方なのだろうか。もしそうなら、社会の活動も麻痺するのではないか、そんなことを大阪府の橋下知事が言い出した。各自治体も対応に追われててんてこ舞いの有様である。
736.5月19日(火) 心配なスリランカとビルマの国内事情
やはりスリランカの反政府武装勢力「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」プラバカラン議長が殺害された。これで一応四半世紀に亘った内戦が終結したことになる。しかし、これですべてが解決したわけではない。根源にあるのは民族対立であり、反って対立は増幅され、地下に潜って陰湿なテロなどに走らなければよいがと気がかりである。
今度の内戦によって改めて深刻なスリランカ国内事情を知った。スリランカではシンハラ人が人口の70%強を占める。彼らはほとんどが仏教徒で、国の公用語もシンハラ語で、国は仏教保護政策を行っている。これでは人口20%弱の少数派であるタミル人が、反発するのも無理からぬ話である。首都コロンボでは、シンハラ人がお祭騒ぎをしているようだが、早くも一部にはタミル人を2級国民扱いにしている者がいるとタミル人は憤慨し、タミルの文化やアイデンティティーも否定されるのではないかと憂慮している。このまま放っておくと虐げられた者の圧制者への憎しみばかりが募ってくる。異民族、異文化への軽視、蔑視が時代を超えて内在化され、いずれ顕在化してくる。こういう民族間の醜い戦いは、嫌なものだ。しばらくスリランカ情勢から目が離せない。
さて、ビルマでは国家防御法違反で刑事訴追された、民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんの裁判がインセイン刑務所内法廷で始まった。強硬な軍事政権にはそれなりの思惑があってスー・チーさんを逮捕しただけに、強圧的で民主的とは程遠い。これが国民が敬愛する国父アウン・サン将軍の娘に対する仕打ちかと言いたい。暗殺された独立の士・アウン・サン将軍はビルマ国民の信頼を一身に集め、「ボ・モ・ジョ(将軍)」と呼ばれ、その愛称はラングーン市内の通りや、ラングーン(ヤンゴン)市内最大のマーケットにも冠せられているくらいである。今のビルマ軍政首脳にとっても、近寄り難い存在の大先輩だったはずである。
まず、当局側による冒頭陳述はあったが、スー・チーさんには罪状認否など発言の機会も与えられなかった。各国大使の傍聴も拒否された。武装警官隊により刑務所への道路をすべて封鎖してスー・チーさんの支持者を排除した。世界各地でスー・チーさんの即時解放を求めてデモを行った。私もかつて何度も訪れたことのある東京のビルマ大使館前でも数百人のビルマ人が抗議活動をした。中曽根外相もビルマ政府のニャン・ウィン外相と直接電話で人道的配慮を要請した。しかし、軍政には今のところ取り合う気持ちはまったくない。スー・チーさんは多分3~5年の刑期を重ねられるだろう。理不尽な話である。
737.5月20日(水) 先行きの暗い経済としたたかな役人
今日内閣府が発表した2008年度第4四半期GDPが、対前年15.2%のマイナス成長となった。戦後最大の減少率だそうである。同じく発表された2008年度通年GDPも、実質で3.5%減、名目が3.7%減となった。いずれも戦後最大の減少率である。企業業績の悪化に伴い設備投資や個人消費などの内需も減少幅を広げた。下げ止まりの兆しは見えるもののまだ当分上向きの様相は見えない。
関西に広がった新型インフルエンザの感染者がどんどん広がりを見せ、今日は滋賀県で大学生が、東京・八王子と川崎市内の同じ高校の同級生が感染したことが分かった。気の毒なのは修学旅行を始めとして、旅行客がキャンセルし出したことによって観光地に大きな影響が及んできたことである。懸念されるのは新型インフルエンザの影響によって国民の消費、サービスが落ち、益々景気に悪影響が出るかも知れない。新型インフルエンザが景気回復の足を引っ張っては泣きっ面に蜂である。
夏のボーナスは大手企業ですら平均して前年に比べて約20%ダウンと言われている。中小企業にとっては、ほとんど期待できない。それが先日の人事院による国家公務員の夏のボーナス勧告は異例のダウンとのことだが、それでも対前年比約10%減のボーナスを大威張りでもらえるという。これは少々おかしいのではないか。公務員のボーナスはゼロでもよいのではないか。元来公務員にボーナスを支給すること自体、ナンセンスである。国民が汗水たらして企業で利益を生んだ結果のご褒美がボーナスである。自営業ならそんな法外なお手当てなんか望むべくもない。公務員のように予算達成の数値目標があるわけでもないのに、決まってご褒美がもらえることは何としてもおかしい。まして国家財政収支が毎年赤字になり、借金が増えるというのは、公務員が仕事をしていないひとつの証左だとも言える。会社でいえばボーナスをもらえる理由も根拠もない。なぜ役人ばかりがひとり良い目を見ることができるのか。
毎度問題になる公務員の天下りにしてもこのところ反って増えている。天下り反対の声が上がると、公務員は国民の目に触れないように巧妙に自分たちの再就職先を探すのである。昨年夏福田内閣が成立させた国家公務員制度改革基本法は骨抜きになった。何ともしたたかな役人どもである。
国家公務員には、ボーナスは諦めて月給だけもらうものだと割り切って欲しい。しかも財政の収支が伴わずに赤字決算の場合は、減給も覚悟してもらいたいものだ。自民党議員を中心に79人の賛同署名まで得て、幹部公務員の降格や降給まで踏み込んで検討していた中川秀直・自民党元幹事長や、塩崎恭久・元官房長官らの良識ある声はなったのか。公務員制度改革は完全に失敗に終った。それにしてもあまりにも役人に対して甘い。これは絶対おかしい。
738.5月21日(木) 寺島実郎講師が語る日米中トライアングル
多摩大学の公開講座は、寺島実郎講師2度目の講義である。今日のテーマは「世界潮流の中での日本―日米関係とアジアへの視座」と題して、日米中関係について歴史的視点から分かりやすく解説してくれた。
冒頭寺島氏は「日米関係は米中関係」との松本重治氏の言葉を紹介された。日米2カ国関係の奥に米中関係があると指摘された。次いで1993年に放映されたNHK特集「トライアングル・クライシス」を1時間に亘って観ることになった。かなり古い特集番組で画面もあまり鮮明ではなかったが、当時三井物産㈱ワシントン戦略研究所長を務めていた寺島氏がリポーターとなって、米中関係が日米関係とは異なることを、タイム&ライフ誌オーナーのヘンリー・ルースの中国人的視点からの分析と、日米・米中関係についての日米の異なる観察を説明することによって解説した点が、斬新な感じに思えた。
この特集番組の質的レベルが高いのには感心させられた。資料を提供したと思われる寺島氏の着眼点もすごいと思うが、トライアングル・クライシスを追求して分かりやすく説明した努力には一層頭が下がった。
アメリカ人の中国と中国人に対する見方は、ルースの出自と生い立ちから身についた中国観に裏打ちされている。それは対中21か条の要求で反日感情が高まり日本が占領した山東半島で生まれ成長したルースが、中国人に同情してチャイナ・ロビーになっていった背景がある。僅か24歳で「TIME」を創刊し、1936年9月のJAPAN特集号で指摘した日本に関する情報の重みと質の高さを注目すべきであるとも寺島氏は言われた。1937年には「LIFE」を創刊して反日キャンペーンを煽った。これに利用されたのが蒋介石と宋美齢夫人だった。モンロー主義のアメリカは対中侵略の日本には余計な手は出さないだろうとの日本の思惑も、国際連盟脱退やルーズベルト大統領の独自観とチャイナ・ロビーの巧妙な舞台回しによってモンロー主義から脱皮していくアメリカによって、ついに対日戦争開戦へ向かわせられた。
昔の中国を好んでいたルースは、共産主義を嫌っていた。アメリカの対中政策も混迷した。1945年に始まった国共内戦がなければ、日本は中国に遥かに遅れ、発展が30年は遅れただろうと言われている。
アメリカ人は日本人より中国人が好きだったという話は、中国の共産化と朝鮮戦争によって覆った。中々深みのある、ドラマチックな話で実に面白かった。
739.5月22日(金) 「世界遺産を訪ねて」講演会
新型インフルエンザ感染者が続々と現れてきた。昨日までに292名である。首都圏及び関西6都府県に亘る感染者でほとんどが高校生というのもどうも分かりにくい。個人の名前を出すような報道はないが、それでも企業名とか、学校名は公にされてしまった。学校名が公表されたことが原因で、何件か学校へ嫌がらせの電話があったらしい。結果から言えば一種の不可抗力であるにも拘らず、どうしてこういう不運や悲しみにつけ込んであくどい嫌がらせをやるのだろう。
それにしても平静な対応を求められている国民としては、帰宅時のうがいと手洗いを欠かせないが、外出時のマスクも防止用には効果がある。ところが、そのマスクが薬局では売切れというから困ったものだ。尤も一年中で今が一番マスクの需要が少ない時で、メーカーも問屋もマスク部門から離れて別の商品の製造に注力していたらしい。
今日は先日高校同級生の小山清くんに依頼されて、彼が主宰している「湘南話し方友の会」の講師を務めた。場所は鎌倉駅前の「鎌倉生涯学習センター」で、テーマは「世界遺産を訪ねて」である。ここで話すのは3回目であるし、旅行関係の話なので、割合気楽に話すことができた。重点的に世界遺産を個体で見ずに歴史、文化、現場の雰囲気の中で歩き回って時代を超えた臨場感を感じ取って欲しいと述べた。鎌倉市内在住の高校同級生を中心に友人らに声をかけたら、友人だけで10名ほどが参加してくれた。中には10年ぶりに会う友人がいたり、奥さんともども参加してくれた友人もいて、嬉しい気持ちで一杯だった。高校を卒業してからもう52
年が過ぎて鬼籍へ入った友人も増えてきたが、その中で相変わらず元気でわざわざ駆けつけてくれるのは実にありがたい。 いつも通りパワーポイントのスライド作成に趣向を凝らしたつもりだったが、結果的にはまずまずではなかったかと思う。今回初めて写真をダブらせるテクニックを数箇所で使用してみたり、若干非現実的だと思えるようなトリックも使ってみた。反応を見ていると熱心に聴いてくれて割合受けているなと感じた。これから使えるテクニックのひとつであると思う。いろいろ試行錯誤を繰り返しながら、向上していければよいと思っている。友の会の人たちも小山くんを中心に気持ちの良い人たちばかりで、終ってから夕食にも招かれて楽しいひとときを過ごすことができた。
740.5月23日(土) 驚愕!盧武鉉・韓国前大統領が自殺とは・・・
旧知の鯉江丈山・尺八都山流竹帥が主宰する尺八演奏会のご案内をいただいたので、静かに聴こうとJR中野駅近くの「なかのZERO小ホール」へ出かけた。プログラムに沿って順次演奏されるのは、ほとんどが尺八、琴、三味線の合奏だったが、鯉江さんは流石に主催者で実力者だけに自信たっぷりに独奏された。そして大合奏の時には指揮者を演じられた。鯉江さんの独奏と言えば得意の「岩清水」である。ぴんと張り詰めたような雰囲気の中で、会場にも緊張感が漂い聴衆は聞き惚れている。2月の拙著「停年オヤジの海外武者修行」出版記念会の折りにも、鯉江さんは粛々と「岩清水」を吹奏してくれた。参会者にも印象深く心に響いたようである。
しかし、余計なことを言えば、この「岩清水」はプログラムにも、舞台上にもそのように書いてあったが、確か「石清水」と書いて「いわしみず」と読ませるのが正しいのではないかと少々気になった次第である。
帰りの山手線内のTV文字ニュースが盧武鉉・韓国前大統領が崖から落ちて死亡したと報じた。先日韓国最高検察庁の尋問を受ける直前取り囲んだマス・メディアの前で「ごめいわくをおかけしました。申し訳ありません。これから行ってきます」とやや沈んだ表情で、しかしはっきり挨拶された姿が印象に残っている。ニュースを知って直ぐにひょっとするとこれは自殺ではないかと疑いを抱いた。案の定家族に対して遺書を残していたうえに、側近が岩の上から自ら飛び降りたと明らかにした。
気に病んでいた不正資金疑惑が、想像以上に心に傷を負わせ、かつての最高権力者に死を選ばせたのだろう。韓国では歴代の大統領がほとんど疑惑の中でその職を追われ、悲惨な晩年を送っている。権力を一手に手にした最高権力者が誘惑に駆られ汚辱に塗れた生活の虜になってしまうのだろうか。盧武鉉・韓国前大統領も大統領在任中に妻と息子が有力支援者から巨額の金品を受け取っていたとの疑惑は、前大統領のプライドも名誉もずたずたにしてしまった。政治家としては功罪相半ばしているが、2003年に彗星の如くトップの地位へ上り詰めた時は、インターネットによる選挙民の獲得や、清潔さであれよあれよという間に大統領の座を射止めてしまった。今回の検察側の事情聴取はかなりの証拠があったのだろう。前大統領に何としても降りかかった疑念を取り除こうと努力することより、恥辱から逃避する道を選ばせてしまった。小泉前首相とは済州島でトップ会談を行ったが、小泉前首相の靖国神社参拝に拘ったあまり、歴史認識の違い、更に竹島問題が絡んで、日韓関係はとげとげしいものになってしまった。一時的にしろ日韓関係を悪化させた背景には、小泉前首相にも大きな責任があるが、盧武鉉・前大統領にも責任の半分はある。そして、金大中・元大統領の太陽政策を踏襲して、北朝鮮と融和関係を図ったが、結果的には南北関係は裏目に出て、反って関係は冷え込んでしまった。
しかし、何と言っても盧武鉉・前大統領にとって一番悔しかったのは、清潔さを誇っていた誉れを家族の強欲によって捨てさせられてしまったことだろう。惨めといおうか、栄耀栄華を極めた者が谷底まで転げ落ちる運命はあまりにも儚く切ない。日本の政治家にとっても他山の石となるのではないか。ほんの2年ほど前自らの命を絶った現職農林水産大臣がいたではないか。
741.5月24日(日) 恥辱の韓国大統領史
朝刊は昨日自殺した盧武鉉・韓国前大統領の記事で埋め尽くされている。目を釘付けにされたのは、歴代韓国大統領の不審な出来事と不正事件による恥辱のオン・パレードである。盧武鉉氏ばかりでなく、その前任者・金大中、遡る金泳三、盧泰愚、全斗煥、崔圭夏、朴正煕、尹潽善、初代李承晩に続く1948年以来の歴代全大統領の実績がこれほどまでに恥辱に塗れていたのかと些か唖然とする。皮肉なことに、これらの人たちが良くも悪くも戦後の韓国をリードし、今日の繁栄した韓国に育て上げてきたことは紛れもない。
個人的には小学生の頃勃発した朝鮮戦争時の初代大統領・李承晩と、足掛け17年に亘って権勢を誇っていた軍人・朴正煕が格別印象深い。
李承晩は戦前日本人に虐待されたことをバネに戦後韓国最初の大統領の座についたが、一方的に李ラインを宣言して進入した日本漁船を国境侵犯として日本漁船を片っ端から拿捕して、とかく日本に対してきつい制裁処置を取り、日本人の逆恨みを買ったことは否めない。晩年は気の毒にも不正選挙が原因で学生デモに追い出されるにハワイへ亡命した。末路はあまり幸せとは言えないようだった。
日本の陸軍士官学校を卒業した朴正煕は軍をバックに磐石の態勢を固めたが、ブルータスの如き側近に射殺される悲劇によりその座を去った。その暗殺事件直後に初めて韓国を訪れた時、ガイドさんから朴大統領に纏わる話をじっくり聴いたことを懐かしく思い出す。いずれにしろ個人的なスキャンダルでないにせよ、亡命とか暗殺で栄光を閉じるのは何ともおどろおどろしい。
こうしてみると民主的な選挙で選ばれ、実績を残し、惜しまれながら身を退くという理想的なパターンは、そう多くはないことに気づかされる。軍部クーデターや不正選挙による政治にだけはなってもらいたくないものである。
今日大相撲夏場所千秋楽は、優勝決定戦の末、大関日馬富士が横綱白鵬を破り初優勝を飾った。その後の優勝インタビューで、日馬富士がお世話になった周囲の人びとに対して感謝の言葉を述べていたのが初々しく好もしく感じられた。特に、両親に対する感謝の言葉を何度も何度も述べたことに聴いている人は感動を憶えたらしい。こういう素直な若者がいるということを嬉しく思ったし、これほど強いスポーツマンでもこのように謙虚で親を思う気持ちをいつまでも持ち続けていることに心を打たれた。一日ですっかり日馬富士ファンになってしまった。これからも横綱を目指して精進して欲しい。
742.5月25日(月) 性懲りもない北朝鮮の暴挙・地下核実験!
知研「出版プロジェクト」で、ドイツ証券副会長・武者陵司氏へインタビューした。景気予測がやや楽観的として注目されている実務派である。東京メトロ・銀座線溜池山王駅の真上に建つ山王パークタワーの19階をいつも通りプロジェクト・メンバーとともに副会長室をお訪ねする。出版社担当者とカメラマンも同行する。
最初は応接室を用意していただいたが、普段通りの仕事ぶりを写真に撮りたいとの出版社の希望もあり副会長室に変更してもらい、そこでインタビューということに相成った。予め質問案をお送りしておいたので、ほぼそれに沿って私がインタビューした。同席した八木哲郎・知研会長もいくつか追加質問をされた。
横浜国立大経済学部卒業後大和証券へ入社されたが、証券会社は特別に入社希望したわけではなかったそうである。特に印象に残っているご回答は、情報元は「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙だということと、日本人の若者が国際社会で活動するために必要なことを、先日北康利氏と同じ質問をしたことに対して、答えはこれも北氏と同じ英語に強くなることだと仰った。武者氏の考えは、北氏と若干異なり、人口1億人の人しか話さない日本語では世界の中で通用しない。やはり英語でないと世界と交渉する力になり得ないとの見解である。直ちには納得し難いが真理を突いていることも事実である。7時から新宿のプロジェクト会議で今後のプロジェクトの進捗を確実に、かつ早めに進めることを申し合わせた。
また厄介なことが起きた。突然北朝鮮が地下核実験を行ったのである。3年ぶりの実験だ。先月ミサイル発射を行ったばかりである。明らかに世界へ向けた挑戦である。北朝鮮にすれば意図的な軍事行為である。これで巨大核保有国は9カ国になる。つい最近オバマ大統領が核不拡散の方針を打ち出し、日本をはじめ核に反対する国々から拍手を浴びたばかりである。
北朝鮮の露骨な核実験に対して、日本は直ちに国連安保理事会に緊急会合の開催を要請し、新たな制裁決議を求める方針である。アメリカ、ロシア、中国も厳しい非難声明を発表した。当分朝鮮半島は緊張し、北朝鮮の動きを神経質に監視しなければならない。今後の成り行きが注目される。
743.5月26日(火) 金融危機と観光振興の講演を聴く
JAPAN NOW観光情報協会の本年度定期総会が日本プレスセンターで開かれた。決算報告では、財政的に数多くあるNPO法人の中でも珍しいくらい良い財務内容ではないかと思う。その原因は700万円以上の寄付金をいただいたことが寄与している。決算数字としては約900万円差益が生じた。この不況の時勢にあってまあめでたいことである。
総会の後例年通り講演が行われた。昨年は渡辺喜美・行政改革大臣が当時の話題である役所の行政改革について、奥歯に物が挟まったような歯切れの悪いスピーチをされたが、今日は二人のスピーカーがタイムリーなテーマについて、濃い内容を立て板に水を流すが如く話された。
最初に前経済産業省事務次官・北畑隆生氏が「世界同時不況は怖くない」と題して明快に話された。金融危機の現状と原因、日本の相対金融、日本の景気回復のシナリオ、日本経済の将来―人口減少下での成長戦略等について、資料を示しながら分かりやすく説明された。今回の金融危機について、アメリカの証券型金融が崩壊したのであり、日本の相対金融とは違うとはっきり論じた。従ってアメリカの金融危機と日本のそれとは根本的に違う。アメリカの経済、GDPについて車、住宅、クレジットの3業種が打撃を受けたと説明されたが、その一方で農業、航空機、IT、医療等の分野で依然として世界トップの実績があり、その点から3業種が回復しても即アメリカ経済復活とはいかない。アメリカの救いは日本とは違い人口が増えていることである。来年半ばから回復へ向かうだろうとの結論だった。中国は来年の上海万博を成功させるとの国家目標があり、現状では成長率は鈍るとしてもアメリカ、ヨーロッパ、日本等の先進国がマイナス、或いは成長率鈍化の中である程度の成長率を維持できるものと考えられている。
中々頭のシャープな人で澱みのない話しぶりに、聴衆は感心していた。北畑氏については、3月に北康利氏にインタビューした際伺っていた。北畑氏は北氏の故郷・兵庫県三田市の出身で、北氏の母上の教え子である。北畑氏は現在日本生命に特別顧問として初めて天下っている期間だが、これは高校時代の友人・牧野力くんが通産次官の後に最初に天下った会社と同じである。多分最高位まで上り詰めた役人が最初に天下る指定席なんだろう。
次いで登壇したのは、須田寛・JR東海相談役で都市の観光振興について持論を展開された。単に観光業界の論客として各地で講演されるばかりでなく、独自の観光論を持論としている。特に、これまで観光が地域振興等の経済的プラス面を取り上げられることがなく、「遊び」の観点から語られることが多かった。東京の観光、自分たちが住む都市の観光をもっと意識して、売り込もう、それが経済効果をもたらすと語って話を締めくくられた。
終ってからパーティが開かれたが、二人の講師の話す内容が良かったので、中々充実した総会プログラムとなった。
744.5月>27日(水) 下町の三代目社長の企業経営と町おこし
東京の下町で三代目社長として新しいタイプのTシャツを作り出している久米繊維の久米信行社長を取材した。久米社長の商品作りの狙いとキーワードは「着心地」と「エコ」のように思えた。インタビュアーは若手会員の蓑島和浩さんが上手に務めてくれた。久米氏は単なる世襲社長ではなく、3年前第二の創業と称して家業だったYシャツ製造業から、製造と販売を一貫してTシャツを売り出した。地域でも町おこしのリーダーとして率先して行動しておられる。同社はわが国では珍しく初めてTシャツを作った、国産Tシャツメーカーの草分けであり、商品作りと販売の仕掛けが独創的で独特のこだわりがある。中国製品のような安さには勝てないが、国内でオーガニック・コットン生産にこだわり、数量限定のコットンTシャツを製造している。また、プロモーションも四万十河口の砂浜でTシャツのアート展示会を企画したり、コットン生地のTシャツ製作のために有機綿栽培を行って、それをインターネットで告知して啓蒙活動を広げている。ポジティブに自分の思うところを試行し、上手く営業に結び付けているように感じた。
本社には垢抜けしたショールームを併設して自社製品の展示を行っている。Tシャツが一番安いもので19,600円だった。インタビュー前にプロモーション・ビデオを見せてもらいながら、久米氏から会社経営の哲学を聞かせてもらった。話し方もにこやかでいて情熱的である。
久米氏は敬虔な仏教徒のようで、それはブログ「縁尋奇妙」の言葉にも表れているし、尊敬する人物が僧侶ということからも分かる。ブログを通して外へ意見を発信したり、情報収集も得意なIT機器を駆使しながら、併せて多彩なPR企画を仕掛けている。メルマガを1千通送信しているそうだが、その中の何人かがそれを更に再送信してくれることを期待している。自分が影響を受けたものとして、NETだと明言された。
「知の現場」としては、自分が仕事をしている会社を挙げた。そして、人々が訪ねるような場所だとも語られた。久米氏にとってそれは河原であり、畑なのである。挫折は大分味わったと言っていたが、大学で留年したことくらいしか浮かんでこなかったところから察すると、ドン底まで落ち込んだ経験はないのではないだろうか。つくづく幸せな人だと思う。
まだ、45歳の若さで脂が乗り切っている今日に至るまで思うところをやってきて、新しいビジネス展開で成功し、ご自分なりの地域おこしも考えておられる。会社の経営も順調とお見受けしたが、中小企業が経営破たんに陥る今日の経済不況の中で、新しい発想で新しいビジネスを起こし、これを地域に還元し、それが巡り巡って自分たちのところへ還ってくると考える太っ腹は、会社経営のひとつの理想と見た。
久米氏が偶々母校慶応・経済の後輩で、常盤訽子教授(父は日本共産党理論派のひとり、平野義太郎氏)のゼミ生だったとは意外だった。失礼な言い方だが、頼もしい後輩である。
久米氏は夕食を兼ねた懇親会も設営してくれた。こだわりの蕎麦店「ほそ川」は江戸東京博物館近くの路地を入り込んだ下町風情の漂うお店である。蕎麦店にしては珍しい人参の天麩羅や、イチジクのデザートを美味しくいただいた。新しい企業タイプの経営者として益々発展されんことを祈りたい。
作詞家の石本美由紀氏と作家・評論家の栗本薫(中島梓)氏が亡くなられた。
745.5月28日(木) ついにGM社も経営破綻か?
すったもんだしていたGM社経営者側と債権者間の債務削減交渉が決裂し、アメリカ最大の自動車会社破産の公算が強まった。債権者のほとんどから同意が得られなかったことがその理由である。政府支援を受け入れて引き続き再建計画を検討していたが、最後になってついに行き詰ってしまった。虚虚実実の駆け引きの末に経営側と組合が妥協するかに見えたが、その交渉内容は労働者に有利で、債権者にとっては見返りが少なく不利と判断され、デッドロックに乗り上げてしまった。経営者は期限までにまとめるほどの余地はなく、連邦破産法を申請して経営破たんする可能性が高まった。
GMが行き詰まった3大原因は、①高待遇、②高燃費、③金融危機と言われているが、敢えて言えば、GMの従業員に対する高待遇が最後になって足を引っ張る原因になった。GMの高待遇は、他の企業に比べて抜群に良いとされている。工場従業員の中には親子代々GMに勤めるのが夢だと言っている労働者が多い。真面目に勤めると普通の企業従業員の給料の約2倍、アメリカ国内の日本企業の約1.5倍がもらえる。自動車産業が順調なら天国の生活を送れたはずだった。しかし、この従業員優遇が逆に会社再建の芽を摘むことになってしまった。
クライスラー社がすでに破産宣告され、いままたアメリカ経済を引っ張ってきたトップ企業がいとも簡単に倒産の道へ向かうとはかつては考えられなかった。先日ドイツ証券副会長・武者陵司氏から伺ったアメリカの証券金融が形を変えて失敗したサンプルのひとつとも言えるのではないか。
成績の優れない金融大手シティグループでは、日興コーディアル証券株式を三井住友FGへ売却したが、そのシティグループの経営執行委員会会長が株主総会で退任が報告された時、歓声が上がったそうである。その会長こそ誰あろう、クリントン政権の財務長官を務めたロバート・ルービン氏である。ルービン氏は10年間に亘りシティの拡大路線を引っ張ってサブ・プライム関連で9兆円近くの損失を計上する元凶となり、株主の大きな怒りを買った。
日本はそれほどドラスチックではないが、北畑隆生・前経産相はアメリカ経済の仕組みと日本のそれとは根本的に違うと明言された。一方で現実派の武者氏は日本経済が今や地球帝国の一部であり、強い影響を受けると話されていた。どちらの見方が的を射ているかは分からないが、いやはや難しい問題である。
746.5月29日(金) 改造社の円本と岩波文庫創刊
今まで気にも留めなかった岩波文庫本の最終頁に書かれた「読書子に寄す」を改めて読んでみた。「岩波文庫発刊に際して」と断って岩波書店創立者・岩波茂雄が昭和2年7月に書いたものだ。一説には「人生論ノート」の三木清が書いたとされる。小さな文字で頁一杯に書かれていて読みにくい文は、文庫創立者の心意気や文庫創設の趣旨を書いたものだとばかり思っていたが、そればかりでなく文庫発刊のきっかけとなった円本を大いに皮肉った、いわゆる円本へのアンチテーゼだったのだ。
円本とは大正15年に改造社より発刊された、1巻1円全巻一括予約制の「現代日本文学全集」全37巻のことである。当時の1円が現在の価格でいくらに該当するかは判然としないが、1巻の重みから推定して3千円近いものだろう。だとすると全巻で10万円ほどを支払わないと手に入らない。岩波はこれを皮肉っているのだ。
「~近時大量生産予約出版の流行を見る。その広告宣伝の狂態はしばらくおくも、後代にのこすと誇称する全集がその編集に万全の用意をなしたるか。千古の典籍の翻訳企図に敬虔の態度を欠かざりしか。さらに分売を許さず読者を繋縛して数十冊を強うるがごとき、はたしてその楊言する学芸解放のゆえんなりや。吾人は天下の名士の声に和してこれを推挙するに躊躇するものである~」と遠慮がない。そして、岩波は「このときにあたって、岩波書店は自己の責務のいよいよ重大なるを思い、従来の方針の徹底を期するため、すでに十数年以前より志して来た計画を慎重審議この際断然実行することにした」と世に向かって岩波文庫の発刊を堂々宣言したのである。
円本は洛陽の紙価を高めた。これによって文学愛好家は以前に比べて文学を読む機会がぐっと増えた。岩波はその先を読んでいたのである。2年後の昭和2年に岩波文庫が発刊されたが、爆発的なブームとなり、それは今も大きな市場を保っている。
今日駒沢大学の講座で「本と出版の周辺」について柴野京子講師が新刊書の委託販売の解説の中で話してくれた。
考古学ファンにとってまた新たな謎が浮かび上がった。国立歴史民俗博物館の調査によって奈良県桜井市の箸墓古墳がひょっとすると女王卑弥呼の墓ではないかと推測されている。箸墓から出土した土器が西暦240年~260年の「布留0式」と同じ時代のものと見られている。「魏志倭人伝」によれば卑弥呼の没年は時代的にも見合うという。これまで邪馬台国は北九州との説が有力であったが、今後これに一石を投じることになる。これで反って考古学ブームに改めて光が当てられるか。
747.5月30日(土) 振幅の激しい韓国人の国民性
盧武鉉・韓国前大統領の国民葬が昨日ソウル市内で営まれた。NHKは弔問者が500万人と大げさに伝えていたが、韓国の全人口が5千万人弱で、いかに追悼の気持ちが強くともそんなに大勢の人が集まるはずもない。案の定今朝の新聞では18万人と書かれていた。ソウル市内は哀悼ムード一色に染まったというが、盧武鉉氏はほんの一週間前までは「バカ大統領」とまで陰口を叩かれていた。大統領就任時までは清廉な印象が強く、弁護士という前職のせいもあり正義感に溢れたリベラルな政治家との期待も大きかった。しかし、あまりにも北朝鮮に対する太陽政策にのめり込み、その挙句経済発展は失速して、韓国国民の失望を買ってしまった。二期目の大統領には再選されず、かつてのトップとしては寂しい生活を送っていたが、そこへ妻子の収賄疑惑が表面化して一気に悪者へ変身した。このころであろう。「バカ大統領」との罵声が飛び交うようになった。かつてインターネットであれよあれよという間に大統領にまで上り詰めた盧武鉉氏にとっては、内心大いなる屈辱であっただろう。
それが、前大統領の自殺という前代未聞の事件になるや、あれほど非難や中傷を浴びていた盧武鉉氏が、悲劇のヒーローとして一身に同情を集めるようになった。盧武鉉氏が自殺したのは検察当局の強引な捜査のせいで、李明博現政権に責任があると非難するありさまである。これほど感情の起伏が激しく、ひとつの方向に流れやすい朝鮮民族だが、太陽政策の恩恵を蒙っていた北朝鮮の金正日総書記は、弔問にも訪れなかった。このような振幅の激しい韓国人の国民性について、ある韓国人カトリック神父は「韓国人は、どんなに批判していても、その人が死ねばともに悲しみ、許し、冥福を祈る。今国民は盧武鉉を身近に感じている」と分析していた。
翻って日本人にも若干似た傾向があるが、これほど極端ではない。しかし、こういう性向は気をつけないと思いがけないところで政治的に利用され、気がついたら自分の意思とはかけ離れた方向に進んでいたということになりかねない。そうなってからでは遅いということを危惧するものだ。
大東亜戦争前の世論の流れがそうだった。万が一にも大きな政治運動に利用されないよう祈る気持ちである。
748.5月31日(日) 麻生首相もオバマ大統領も喫煙派だったとは!
今日は世界禁煙デーというそうだ。市民団体「タバコ問題首都圏協議会」というのが、アンケート調査したところタバコをやめてほしい著名人というリストの1位に、落語家の立川志の輔が挙がった。木村拓哉が2位、麻生首相が4位のほかに11位にオバマ大統領がリストアップされていたのには少々驚いた。イメージとしてまったくそぐわないからだ。清潔感のある若手のリベラル政治家というイメージの強いオバマ大統領がタバコを好み、それが日本人の間で嫌われているとは思いも寄らなかった。アメリカでは喫煙率が年々下降して、今や公共の場は言うに及ばず、地域ぐるみで禁煙運動をやっている最中に、話題の大統領がスモーカーとは確かにイメージが悪い。日本人の、それもタバコ嫌いの日本人もよく観察しているものだと感心する。それにしても日米首脳が揃って喫煙するとは考えてもみなかった。ちょっとがっかりである。
海外へ頻繁に出かけていた頃、それも30年前ごろから日本人と外国人の喫煙率の大きな差に愕然としたものである。アメリカでは公共の場ではまず禁煙が当然で、吸う場所を探すのは大変だった。特に、当時の文部省教員海外視察団とともに小中学校を訪問した際には、随分訪問校に気を遣ったものである。アメリカの教育関係者の間には喫煙者はまず見かけなかった。それに引き換え、日本の先生は一般の人より喫煙者が多かったように記憶している。アメリカの身障者教育の学校では、女校長先生にえらくお説教を食らったこともあった。アメリカ社会では押しなべてインテリ層はタバコを吸わないという空気だった。それだからこそ、新進気鋭のオバマ大統領が喫煙者であるということが理解できない。恐らく在任中に禁煙するのではないかと思っている。それでなければアメリカ社会の良識は彼を許さず、再選はないのではないか。
今年横浜市では各種の開港150周年行事を行っているが、その一環として昨日横浜市市歌と市立横浜商高(Y校)校歌がY校野球部選手によって歌われた。何と市歌とY校校歌の作詞者が誰あろう、文豪森鴎外で、今から100年前に作詞されたものだそうである。鴎外が外国へ出かけたのが横浜港からだったという縁によるもので、市と市立学校のために詩を作ってくれたらしい。それにしても文豪が秘かに一商業学校のために校歌を作ってくれたとは打算が微塵もないことを感じて何ともほほえましい。わが母校校歌もかの詩人・北原白秋が作詞してくれたが、やはり若い生徒のために打算なしに書いてくれたのだろう。その母校校歌の詩も素晴らしいが、昭和初期に作詞されただけに一部歌詞に時代の空気を感じる。歌詞2番の中にある「立身報国期せよ!友よ!」の文言は少々時代がかっていて歌うのに些かとまどいを感じる。