2009年2月


629.2月1日(日) 手前勝手なアメリカの保護主義政策
 スイスのダボスに世界の政財界人が集まり世界経済フォーラム、通称「ダボス会議」が開かれている。日本からも麻生首相が乗り込んで気前よくアジア諸国へ1兆5千億円以上の途上国援助(ODA)を新たに供出すると威勢良く表明した。国内では政治的に弱い立場から言いたいことも言えず、国会でも厳しい追及に晒されているが、世界に対してお土産付きなら好い顔ができる。浮かれたのかどうか分らないが、またスピーチ原稿を読み間違えたようだ。まあ外国でのスピーチなので、通訳が正しく翻訳すれば相手に正確に伝わるわけで大きな問題にはなっていないようだ。しかし、「基礎」を「基盤」とよんだり、前日会談したイギリスのトニー・ブレア前首相をトニー・ブラウン現首相と呼んだり、こればかりは流石に側にいた秘書官が注意したらしいが、相変わらず無神経で非常識な点は修正されていない。
 もうこれ以上恥を晒さない内に、潔く職を辞した方がよいのではないかとつい思ってしまう。
 ダボス会議に合せて、世界貿易機関(WTO)の非公式閣僚会議が開かれている。建設的な会議という点では、むしろこちらの方が注目されるのではないかと思っていたところ、アメリカの保護主義政策に対する批判で持ちきりだったようだ。アメリカの言うバイアメリカンに対する不信感の表れである。
 アメリカは自動車産業保護を表向きに、保護政策へ転換した。過去において日本の米を主とする農業生産品の関税引き上げに対して、日本を激しく叩いた対応からすると、随分都合よく豹変したものだと唖然とする。会議に出席した二階経済産業相と石破農業水産相も、異口同音に「昨年の金融サミットで保護主義に陥らないことで意見が一致した」のにと、あまりのどんでん返しに驚いている。各国の代表からもアメリカの保護主義に対しては批判的な声が強い。
 時間の流れを見ているとアメリカの保護主義には、根底に彼らアメリカ人の利己主義がある。自国に余裕がある時はあまり余計なことはやらず、また言わずである。しかし、旗色が悪くなると一転して自己中心になる。もう一言言わせてもらえば、日本の農業が行き詰まったのも、戦後のアメリカ式食あ言いなりによる農政失敗のせいである。ヨーロッパ諸国がアメリカ保護政策に厳しい立場に立つなら、この際一度日本もヨーロッパと手を結びアメリカに異を唱え、更に一歩進めて叛旗を掲げてはどうだろうか。
630.2月2日(月) 日本相撲協会の大麻事件処分
 今朝未明浅間山が噴火して噴煙が2,000mの上空まで吹き上げた。火山灰が千葉県鴨川市や、横浜、伊豆大島にも降ってきた。浅間山と言えば、学生時代の夏休みに軽井沢にあった父の会社の軽喫茶でアルバイト中に突然噴火して、その直後のにわか雨で、店内のビーチパラソルや、近くに駐車中の車の屋根に灰色の火山灰がたまったことが印象に残っている。とにかく真近くで感じた轟音と降ってきた火山灰には驚いた。この浅間山の噴火と連動しているわけでもあるまいが、今日は鹿児島県桜島の昭和火口でも噴火が見られた。日本列島が火山列島と云われる所以でもある。
 海外でもハワイ、ニュージーランド、イェローストーンでぐつぐつ煮えたぎる地獄を見たが、一番びっくりしたのは、30年ほど前にロンドンでテレビを通して伊豆大島の三原山が噴火した光景を見た時である。あの時は全島避難に近かったと思うが、私が職場にいない間に奥さんが大島出身の部下のひとりが、家族全員で一時大島を離れたと語っていたことを思い出す。
 さて、先月30日に大相撲の十両力士・若麒麟が、大麻を持っていて逮捕された。今日日本相撲協会理事会は若麒麟に解雇処分を下した。普通の感覚では、悪事を犯して警察に逮捕されたら、どんな組織でも解雇処分、つまり首を切られることは自明の理である。当然退職金とか、慰労金なんてもらえる筈がない。ところが相撲協会の常識は一般社会とは違うようだ。「解雇」は、本来の「解雇」とは違うのだ。相撲協会の「解雇」は、職は失うがその代わり退職金はもらえるという。もっと厳しい「除名」という処分を受けるとすべてが無になる。普通の常識とはまったく異なる。理事会が満場一致の断を下した際も、反対者がかなりいたという。にも関わらずそれを強引に満場一致の結論と公表するのは、仲間内の庇いあいの表れではないかと思う。見せかけだけの温情である。処分を発表する武蔵川理事長は、若麒麟はまだ25歳と若いので可哀相だと言った。ある漫画家に言わせれば、25歳にもなってこんなことも分らないのかと厳しい指摘だった。
 結局日本相撲協会は、二度と繰り返さないと固く誓いながら同じ過ちを繰り返している。若麒麟の親方を二階級降格処分にしていながら、昨年九月に起きたロシア人力士の大麻事件の際の親方を昇格させている。その場しのぎの処分と言われても弁解の仕様もない。自らを甘く対応するのは、一向に直らない相撲協会の体質ではないのか。今のままでは、また同じような破廉恥は繰り返されるだろう。
 火山噴火と同じで、大麻の若麒麟事件にリンクして、アメリカのスーパースター、水泳のマイケル・フェルプスが大麻吸引の写真を公開され、大騒ぎになっている。北京オリンピックで史上空前の8つの金メダルを獲得した英雄にしてこのザマである。これも甘えのせいだろう。罪の意識があるのかないのか、案外素直に謝罪している。
 身体だけは立派でも常識が追いついていかない昨今のスポーツ選手の堕落した姿である。
631.2月3日(火) 新たな老人問題発生か。
 NHK「クローズアップ現代」で介護付き住宅で呻吟する老人問題にスポットを当てていた。都心部で生活保護を受けている一人暮らしの老人が、役所の紹介で地方都市の介護付き施設に入居する話である。入居前に知らされた話と実際の待遇が異なり、施設入居者は期待していた待遇を受けられず、知り合いもなく遠い所で喘いでいる。二つの視点から問題が取り上げられた。ひとつは、老人は入居先で住民登録をしていない。その理由は、住民登録を認めれば市町村にとっては新たにかかる経費を負担しきれなくなるので、やむを得ず登録を認めないことになる。そのために住民登録をしている役所が施設の費用を負担することである。もう一点は、住民登録地が施設と離れているために、役所が充分フォローし切れないことである。
 これから高齢化は益々拍車がかかる。この傾向は止まることはない。番組では専門家の大学教授がコメントを述べていたが、抜本的な解決策につながるものではない。むしろ、少子高齢化問題はどんどん悪くなるだろう。地方都市は過疎化の傾向が高まり、そのために都心部からの流入人口を増やすため可能な限りの対策を練っていたと喧伝されてきた。ところが、実情を聞いてみると人口は増えて欲しいが、年寄りはご遠慮いただきたいと露骨に本音が聞かれる。結局みんな自分たちにとって都合のよい、虫の好い話ばかり求めているわけだ。
 老人の受け入れを地方都市が拒否することから、今後新たな問題を産まなければよいがと心配になる。福祉問題は国家プロジェクトとして検討すべき重要課題だと思う。
 日経の夕刊に「プロムナード」というコラムがある。フランス文学者の鹿島茂氏が「最後の砦の陥落」なる興味深いエッセイを書いている。偶々鹿島氏は高校の後輩でもあるが、中々辛らつな内容でもある。日本の文化、教養が危険水域に近づいていると警告?を発しているのである。文化の最後の砦である筈の医者が完全に無教養層に転落しつつあると嘆いている。医者が読んだらかっとなって、がっかりするようなエッセイである。鹿島氏の主張はこうだ。かつて文学史に名を連ねた作家の割合は、医者が多いという点が面白い。森鴎外、木下杢太郎、齋藤茂吉、安倍公房、北杜夫ら多士済々である。その理由として医者にはかつては@インテリジェンス、A金、B暇があった。それが現代の医者はそうではなくなったというのである。その他諸々の理由があるようだが、ちょっと斜めに構えた視点は、なるほどと思わせるところがある。
632.2月4日(水) 私企業支援はもっと慎重に検討を
 今朝の日経紙のトップ記事は、半導体メモリーの専業メーカー・エルピーダが公的資金の申請を検討しているというものである。はてなと考えてしまった。アメリカ政府が、金融機関を始めとして自動車産業への公的資金投入の検討を始めた時、国民の税金を私企業の救済のために使うことが理にかなっているかどうかという議論が起きた。この問題は、大統領が交代したこともあって、まだ決着がついていないが、資本主義の牙城であるアメリカでは、当然の疑問である。日本にしても然りである。  しかし、日本政府は一時的な業績不振に陥った企業への信用補完で経済を安定化させることを狙い、今国会で産業活力再生特別措置法という長ったらしい法律の成立を目論んでいる。この辺の問題発生から結論へ至る道筋がどうも不透明で、国民が蚊帳の外に置かれている印象が否めない。
 エルピーダは国内唯一の半導体メモリーメーカーで、世界市場でも三位のシェアを誇っている。技術力も優れている。この優秀な企業が立ち行かなくなった場合、日本にとっても大きな損失であることは論を俟たない。難しい問題だが、だからといって国民の税金を一民間企業支援のために注ぎ込むことが後々問題を残すことにならないか。やはりもっと議論を戦わせて、誰もが納得のいく結論を出したうえで実行して欲しい。簡単に法律を作るなど、あまりにも拙速に過ぎるのではないか。
 今日もNHKは国会審議を中継している。今急速に俎上に上がった問題は、国家公務員の天下りと渡りである。これに麻生首相は手を焼いているとの印象がある。だから、考えがぶれて支離滅裂で国会答弁もくるくる変わる。昨日は一応「天下りと渡りを今年いっぱいで廃止する政令をつくる」と答弁した。しかし、マス・メディアの論調は言葉通り受け止めていない。第一に自民党議員の一部と役人の抵抗にあってスムーズに進まない。第二に、三年後に官民人材交流センターなる官僚就職あっせん組織がスタートするからである。この間元水産庁長官の天下りの悪例が明るみに出た。天下りの度に退職金を手にして、その総額は3億2千万円とも言われている。天下りは勿論悪いが、普段から高待遇の役人のあり方を再検討してみることの方が重要ではないかと思っている。
 そうでなくても日本は役人がやりたい放題の役人天国だから、少しはブレーキをかけなければダメだと思う。
633.2月5日(木) 「知の現場」の企画始動する。
 今朝の新聞を見ても不景気な話ばかりで、些かうんざりするくらいだ。「パナソニック1万5千人削減」「日航、公的支援を検討」「三菱、パリ・ダカから撤退」「鉄鋼5大手全社が赤字」等々、大手企業にも確実に不況が覆いかぶさっている。この他にも自動車産業では、マツダも、富士重工も赤字との記事が出ている。年度末が近づいてこれから企業の決算予想が発表されるようになると、またぱっとしない情報ばかり流されるようになるだろう。いつになったらこの土砂降りは止むのだろう。
 昨日知研・秋田英澪子事務局長からメールが送られてきた。東洋経済新報社と今年出版する予定の出版書について話合いを進めていたが、企画書が同社から受け入れられたとの連絡だった。このプロジェクトが走り出せば、編集スタッフのひとりとして相当力を注がなければならない。全体像から「知の現場」とのタイトルに沿ってリストアップされた著名な有識者に取材して、彼らの知が迸り出る書斎を見せていただき、話を伺うことを想定している。自分はどの方に取材するのか、どういう形で取材するのか今のところ分らないが、初めての経験でもあり、楽しみでもある。書斎にも興味があるが、最も大事なことは話を伺う過程で、あまり知られていないその方の学問的一面と特徴をどうやって引き出せるかである。
 麻生首相が今日の衆議院予算委員会で日本郵政グループの4社分社化体制は効率がいいのか、もう一度見直す時だと述べた。つまり郵政民営化はこれでよいのかと問題を投げかけたのである。しかし、郵政民営化法案が05年4月に閣議決定された時の総務大臣は麻生現首相だった。そのご当人が知らぬふりで「自分は郵政民営化に賛成ではなかった」とは、武士に二言ではないか。つべこべ言い訳を言いながら、総務大臣ではあったが、郵政民営化担当ではなかったとの言は、潔くない。それなら綿貫氏らと自民党を離党すべきであった。それが、郵政民営化の爆発的人気で当選した自民党議員によって自民党総裁にまで選ばれた。それでいて本当はそうではなかったというのは、人間として屑と見られても仕方があるまい。そんな下賎な人間がわが国のリーダーとは情けない。
634.2月6日(金) 麻生首相の政治センスはゼロ
 長男から電話で孫のひとりがノロウィルスに罹ったので、10日の出版記念会には連れていけないと了解を求めてきた。医師の話だと他の孫にも罹る恐れがあるので、注意が必要とのことで結局、孫3人と嫁は出版記念会に欠席することにした。花束贈呈のセレモニーでプレゼンターを考えていたのだが、これも白紙に戻った。病ではしようがない。
 昨日から麻生首相の郵政民営化発言が物議を醸している。首相の発言には自民党内にも反論や、抵抗がある。小泉チルドレンの代表、杉村太蔵議員も怒り出した。今日の発言を聞いていても、首相は丁寧に説明するというのではなく、突っ張って自分は正しいと言わんばかりである。マス・メディアの質問にもきちんと応えない。茶化したり、はぐらかしたり、せせら笑ったり、人間性にも疑問を感じざるを得ない。
  これに、先週末から話題になった「かんぽの宿一括売却」問題が一緒くたになって、旧郵政省関係が一挙に政治問題化してきた感がある。「かんぽの宿」は、今日の国会で参考人として出席した、日本郵政・西川善文社長が総務大臣の認可が得られないなら、契約を白紙に戻す可能性もあると言った。どうもこの社長も狸寝入りしている。政治家も、銀行トップだった経営者も、みんな国民の共有財産だったことには目を向けない。自分たちのことばかり考えてやっているのが、今の政治家であり、一部のずる賢い経営者である。
 麻生首相は、どうも状況判断が甘いようだ。ことの重大さにまるで無頓着である。自分がどういう経緯で総理の職についたのかということに気がついていない。しかも昨日の発言で、自分は郵政民営化に反対していたということを得意になってのべていたが、そういう人が郵政民営化を進める政府の所管の長であったということが不思議でならない。しかも、本人は一般には郵政民営化に賛成だと思われていた。そのことにこれまで一切触れていない。郵政民営化反対を自分の都合で、出処進退を切り抜けるためのカードに使っていたのではないか。
 こういうように他人を出し抜くような人間が、わが国では総理大臣を務めている。この政府は、トップからして国家の舵取りを委ねられるような人物ではないということは歴然としている。早く職を去るべきだ。
635.2月7日(土) 八方塞りの経済、トヨタはどうか?
 不況もこれ以上進みようがないところまで来てしまったようだ。日経、朝日ともにトップ記事に取り上げているのは、アメリカ企業の雇用状態の悪化である。この僅か一ヶ月で雇用が59万8千人も減少したとある。13ヶ月連続で雇用が減り、そのトータルが何と357万人に達して、1939年以来最悪だそうである。これだけの失業者は、国に照らしてみればアルバニア、レバノン、ウルグァイ、それぞれの国の人口にほぼ匹敵する。これらの国の国民が全員失業者という姿を想像してみれば、いかに深刻で活力がなく、暗くて悲惨であるか。カリフォルニア州はそのくらいの落ち込みぶりなのである。この状態をこれからどうしようというのか。
 この雇用減少とどんづまりの経済市況を受けて驚くべき対策を考えたのは、あのシュワルツェネッガー・カリフォルニア州知事である。財政危機が深刻化して、あっと言わせる手を売った。何と州職員の9割に当る24万人に昨日から一次帰休を始めさせたのである。
 まあこれが良いか悪いかは何とも言えないが、ここまで本腰を入れて真剣に対策を考えているということである。役人と言えば、日本では民間の企業努力に見合う努力をしないのが当たり前と考えられているが、日本の何もしない役人と、たかが俳優と辛らつな言われ方をされたシュワルツェネッガーとの大きな違いである。
 それにしても新聞紙上には、ギョッとする表現があって愕然とする。例えば、トヨタの営業赤字は日が進むに連れて膨らんでくる。堅実そのものと考えられていたトヨタにして迷走し出してきた。今年度のトヨタの決算予想の修正は、期末一ヶ月前になって3度目である。昨年度2兆3千億円もの営業利益を計上して、今年度も1兆6千億円の当初利益を見込んでいた。それが昨年11月には営業利益6千億円に下方修正し、12月には1千5百億円の損失計上と再び下方修正した。そして、それからたった2ヶ月で、その3倍の4千5百億円の赤字に大幅修正したのである。商品が売れないから営業損失の計上もある程度理解できないことはないが、これだけ度々会社決算書の軌道修正を見せ付けられると、そのそろばん勘定もかなり杜撰であると思わざるを得ない。各メーカーの生産計画に基づいた人員管理もその場しのぎに見えてきた。危機に瀕するとぽいと非正規社員を放り出し、基盤をしっかり固めて手堅く経営するというスタンスを失っているような印象を受ける。すべての面で雑なのである。この様子では、経済の基盤ががっちり固まるまでには相当の時間がかかりそうだ。
636.2月8日(日) 日本の好感度評価はまずまず
 読売新聞社がイギリスのBBC放送と共同で実施した21カ国対象の世論調査で、「世界に与える影響」というカテゴリーで日本は良い影響力を与える割合が56%の第3位だった。意外な評価にびっくりだ。こういう調査は初めてであるが、日本の印象が世界で思った以上に良いのは嬉しい。裏を返せば、どぎつさがなく淡白で、外交面で際どい勝負を挑まない側面があることを見透かされているのではないか。つまり考えようによっては、影が薄いということでもある。トップはドイツ、2位がイギリスである。日本は悪い影響力でもそれほど酷いということがない。23%である。良い影響力より、悪い影響力の強いのは、アメリカ、中国、ロシアと並んでいる。この3カ国は悪い印象の方が良い印象を上回った。いずれもパフォーマンスにおいて目立つ、あくの強い国である。外交の相手としては、タフな国である。この順序は大体予想されるところであり、こういう国の人たちは外国へ行った時には肩身が狭いのではないかとつい同情したくなる。
 問題は外国から評価が良いということは、交渉相手としては楽であり、押せば押しきれるということでもあり、反面頼り甲斐がなく日本のペースでできていないという風にも解釈できるのではないか。国際的な外交の場における活躍という点でも明らかである。何と日本の国際外交におけるアッピールが薄いことか。
 悪い影響を与える国では、イラン、パキスタン、イスラエル、北朝鮮という順序である。いずれも政治的に、社会的に問題を抱えた国家である。結局政治と外交のイメージが悪いとこういう結果になる。
 日本の場合、過去にはともかく現在あまり他国に迷惑をかけることも少ないし、自己主張もあまりしない。嫌われる要素が少ないことが、こういう好感度という結果になったのではないか。しかし、せめて政治家や、外交官にはもう少し日本の立場を国際舞台でアッピールしてもらいたいものである。
637.2月9日(月) アメリカの保護主義へ一撃
 明日の出版記念会に備えて会場のハイアット・リージェンシー東京へ書籍、絵画、文具等を三つの段ボールに詰めて車で持っていった。大体なすべき準備は整った。本番を迎えるのみである。出来るだけ大勢の出席者に、出席して良かったと思ってもらえるような気持の篭った温かいパーティにしたい。ただ、出席予定者は割合ご年配者が多いので、やはり昨日と今日になって出席できないと電話とメールで連絡してきた人が数人いる。こればかりは止むを得ない。ほのぼのとした楽しい会合になるよう極力ご期待にお応えしたい。
 アメリカが先日公表したバイアメリカン条項に対する反対の声が各国から挙がっている。アメリカの保護主義、保護貿易に対する強い拒絶反応が示されたのである。珍しく日本が主導する15カ国がWTOに反対の共同声明を提出した。アメリカ以外にも保護主義の動きはヨーロッパ先進国、そしてアジアのインドやインドネシアでもじわじわと浸透している。WTOの多角的通商交渉で、反ダンピング措置などの貿易関連制度を決めるルール交渉がアメリカの抵抗で停滞しているという背景があることも各国が保護貿易反対ののろしを挙げた原因である。
 しかし、アメリカのわがままに振り回され、結局これまでほとんどアメリカの言いなりになっていたのが実態だった。少しでもアメリカに対して、日本が公平な言い分を公の場で主張するのは、主体性を発揮して存在感を際立たせる。
 日本政府もいつもアメリカに従属するばかりでなく、正論をどしどし言えば世界でも日本の存在感と信頼が高まってくる。昨日発表された読売新聞とBBCのアンケート調査が良い例である。
 さて、南半球では現在夏の季節であるが、オーストラリア・ビクトリア州で大きな山火事が起きて史上最悪の悲惨な火災となって、未だに消火できないでいる。すでに、135人が亡くなったという。アメリカ・カリフォルニア州の山火事はしばしば話題になるが、今年のオーストラリアの猛暑は百年に一度と云われるほどの高温続きで最高気温が40度を超える日が続いているらしい。いつ鎮火することだろう。そして、どれだけ多くの犠牲者が出ることだろう。悲しいニュースである。
 ところが、今夜突然北京市内のビル火災のニュースが飛び込んできた。中国中央テレビ(CCTV)が建築中の高層ビルが真っ黒な夜の闇の中で真っ赤な火柱をあげている。北京オリンピック開催の際話題になったテクノビルが今にも倒壊しそうである。火災の原因等の詳細はまだ分らない。
 嫌なニュースが続くものだ。
638.2月10日(火) 拙著出版記念会
 ハイアット・リージェンシー東京で拙著「停年オヤジの海外武者修行」の出版記念会を無事終えた。約120名様のご参加をいただいた。司会役は前回に続いて本橋敬彬氏にお願いしたが、経験豊富で安心してお任せすることができた。今日のゲストは小田急グループ、JAPAN NOW観光情報協会、知的生産の技術研究会、大学のゼミ、山仲間のアルペンクラブ、ラグビー部を中心とする湘南高校の仲間たち、等々普段から皆知っている人ばかりなので、楽しい会合に出来ればよいとの思いだけだった。幸い全体的に良いムードが流れて、私自身高校、大学の仲間とも充分とはいえないまでも、それなりに話すことができた。
  高校時代あまり親しくなかった友人でも、卒業後懇意にしている友人もいる。比較的名の知られた方の中でも、轡田隆史氏や、野村正樹氏からは出席のご返事をいただいていなかったが、ご本人はハガキを投函したと思っていたと仰っていた。お二人には申し訳ないが、実は、最近こういう人が案外多い。轡田氏の知名度は相当なものだが、学生時代はサッカー選手として活躍されたことはあまり知られていない。何と日本サッカー協会の川渕キャプテンと、早稲田大でワンツー・パンチの絶妙なFWコンビだった。
 ご挨拶いただいたのは、前著に推薦文を書いていただいた日本ペンクラブ理事・小中陽太郎氏、前・小田急グループCEO・利光國夫氏、岡村透氏、「知的生産の技術研究会」理事長の久恒啓一・多摩大学教授、登山家の芳野満彦氏でそれぞれに含蓄に富んだお話や、ユニークなエピソードなど良いお話を伺った。尺八の鯉江丈山大師範による尺八演奏が良かったとの話も伺った。 
 久恒教授が多摩大学公開講座で私がお喋りの過ぎる学生たちを一喝し、黙らせたハップニングをご披露されたのにはびっくりした。また、私の「自己紹介図」に対する細かい分析には、流石に「図解」の第一人者であるだけにただ平伏した。平櫛田中記念館を訪れ、107歳で亡くなった平櫛が60歳、70歳は洟垂れ小僧と言ったことを述べ、私がまだ40年は生きることができると仰った。恐縮したのは、大宅壮一ノンフィクション賞か、日本エッセイスト・クラブ賞を獲ると予言していただいたことである。 これは相当なプレッシャーである。この分では、まだ当分の間走り回らなければならない。
 御礼の挨拶では、これからも「向上心」と「好奇心」という二つのキーワードを抱いて、ポジティブに生きていきたいと述べた。皆さんには喜んでもらえたようで、嬉しかった。
 アメリカのオバマ大統領が就任後初めての記者会見に臨んだ。相変わらずエネルギーの塊のような語り口であるが、今日はいつもと違って大きなお世話と言ってやりたくなるたとえ話だった。
 その内容とは、無為無策は経済危機を破局に導く。1990年代の日本経済の停滞は「迅速に行動しなかったため、不況を経験した」と日本を反面教師として早急に手を打つべきことを述べた。
 しかしながら、テレビ朝日の報道ステーションのコメンテーター、一色清氏によれば、今日の世界不況はそもそもアメリカから起きたサブ・プライム問題に始まるのではないかと言っていた。大統領にそう言われても仕方がない一面はあるが、オバマも大きなお世話だと思う。
639.2月11日(水) 旧「紀元節」と盛り上がらない建国記念日
 今日は「紀元節」、改め「建国の日」、建国記念日である。戦後最初の建国の日、昭和21年2月11日は、まだ紀元節と言われていた。当時坊主頭の国民学校初等科一年生だった。田舎の学校講堂で、今ではほとんど歌われなくなった紀元節を祝う歌を、♪雲に聳ゆる高千穂の〜♪と同級生と声高らかに歌ったことを思い出す。歌詞の意味も分らずに口ずさんでいた。確かそれ以降学校で式典は行われなくなったように思う。それから年とともに徐々に右翼的思想や軍国調は薄れていった。
 今日も各地で復古調の儀式が行われるのかと思っていたら、意外なことにどこにもそういう式典が行われたというニュースはなかった。自然にそういう流れになって、嫌な昔のミリタリズムが思い出されることがなくなったのは、むしろ望ましい傾向なのかも知れない。しかし、復古調とか、かつての軍国調が回復するのでないなら、わが国起源の史実的根拠を精密に辿り精査したうえで確認し、それを国民が祝うことは決してとやかく言われることではない。心配なのは、そういうアカデミックな視点が失なわれ、歴史的史実が消されることである。そしていつの間にか誕生日がいつなのか、それさえ分らない根無し草のような国家になることである。
  かつての復古調が影を潜めた原因のひとつに、財団法人日本遺族会の影響力の衰退があると思う。私自身日本遺族会の仕事に携わっていた頃は、日本遺族会の全国的な力が強かった。当時の厚生省援護局も遺族会のド迫力に圧倒されていたほどだった。政治力も並外れていた。遺族会の影響力低下の最大の原因は、会員数の減少であることは明らかである。会員の年齢も高くなり、新しい入会者もほとんどなくなった。こうした流れが、国の祝日でありながら建国記念日が一向に盛り上がらない原因である。分らないものを無理にこじつけて真実を装うのは論外であるが、折角国家の建設を祝う記念日を国が決めたのに、何の行事も式典も行わないのは何か釈然としない。
640.2月12日(木) イスラエルは益々右傾化か。
 イスラエルで10日行われた総選挙の結果、右派陣営が大きく議席を伸ばした。先日のイスラエルによるガザ地区攻撃の再発を予感させる結果である。一党による過半数獲得はならず、元々予想されていた連立政権が樹立されるだろうが、右派が主導権を握るだろうことは間違いないと思う。
 これまで定数120議席の内、第一党の「カディマ」と称する中立政党が、左派と右派の一部と組んだ連立政権を構成していたが、今回の総選挙で「カディマ」の議席は29議席から28議席へ僅か1議席減少しただけだったが、野党第一党の極右政党「リクード」が、12議席から27議席へ大幅に議席を増やしたうえに、同じ野党第二勢力の「イスラエル我が家」が11議席を15議席へ伸ばした。現状では、いかなる方法で連立政権を組んだところで、与野党逆転により右派が連立により政権を握ることはほぼ確実となった。
 こうなるとイスラエルとパレスチナの和平が一層遠のくことは間違いない。逆に言えば、先日のガザ地区の戦闘が、イスラエル国民をしてハマス油断ならじとの攻撃的な姿勢にさせ、ハマス壊滅を主張する右派に票が流れたのではないか。
 イスラエルの姿勢を擁護するアメリカの立場も微妙なものとなった。果たしてオバマ政権はどんな隠し玉を見せるか。
 こんなことってあるだろうか。地球を周回していたアメリカの通信衛星とロシアの使用済み衛星があの広大な宇宙で衝突して飛散した。地球の周囲にはその破片が宇宙ゴミとなって舞っているらしい。いつごろからか、地球の上空はゴミだらけとの報道がなされるようになったが、衛星を打ち上げても機能停止、または御用済みになるとそのまま放り出しておく。回収しようとしない。この無責任感覚がいつの間にか宇宙をゴミだらけにしてしまった。宇宙がゴミ満載になるなんて考えてもいなかったが、遂にそんな時代がやってきたのである。小さな子どもと同じようにやりっぱなしという悪癖が思わぬ事態を引き起こした。ゴミと障害物だらけの危険を避けるためにも、早く対策を立てる必要があるのではないか。
 今日のJN協会主催「観光立国フォーラム」は、前イタリア政府観光局の鈴木正文氏による「ようこそイタリア」だった。フィレンツェ大学を卒業されて、イタリア一辺倒だっただけに中々詳しく解説された。
641.2月13日(金) 13日・金曜日」は大凶か。
 今朝の日経「春秋」によれば、1866年の今日、アメリカで初めて白昼銀行強盗が発生した日とされているらしい。襲われたミズーリー州にあるその町の銀行は、今では歴史博物館になって、犯人のゆかりの品を展示しているという。苦笑を禁じえない、いかにもアメリカらしいパロディである。1975年に初めてテキサス州ダラスを訪れて、犯人がケネディ大統領を撃った教科書販売会社の建物が、その時博物館に変わっていた。その博物館では、ケネディ暗殺のシーンを模型と人形を使ってリアルに見せてくれた。オープンカーに乗ったケネディ大統領が登場するところから、撃たれてジャクリーン夫人がケネディに覆いかぶさり、その後ケネディ夫妻を乗せたオープンカーがスピードアップして消え去る一連のデモンストレーション劇を展示しているのには仰天させられた。ショッキングな暗殺場面を何のてらいもなく一般に見せる。アメリカ社会にはこういう、無神経なところがある。
 今日は13日の金曜日という欧米流に言えば縁起の良からぬ日であるが、NYニューアーク空港からバッファローへ向かったコンチネンタル航空機が悪天候の中で、墜落して乗員・乗客49名全員が亡くなった。バッファローはニューヨークからナイアガラの滝を日帰り観光するときに、いつも利用していた都市である。原因は悪天候にあったのか、機体にあったのか、まだ明らかではないが、できるだけ早く解明して欲しいものである。
 ラグビーについて嫌な事件が起きた。強豪東芝チームのトンガ人選手が大麻吸引で陽性と判定され、東芝はその選手を退部させ、日本選手権準決勝に進出していたチームも日本選手権を棄権させることになった。今年の東芝は良いチームで、2年ぶりにトップ・リーグで優勝し、今年の日本選手権でも優勝候補の筆頭だった。つい先日の若麒麟の大麻所持事件にしろ、大学生の同じような無分別な事件にしろ、近頃の若者は良いことと悪いことの区別がつかない者が多い。この東芝事件にしても、たまたま事件を起したのは外国人選手であるが、チームメートは誰も気がつかなかったのだろうか。監督責任、またチームとしての連帯責任を問われても仕方がない。
 それにしても大麻の世界的な拡大汚染については、アメリカでも先に水泳のフェルプス選手や、ヤンキースの至宝・Aロドリゲス選手らもその使用を認めている。
 アマチュア・スポーツの中でも、最もアマチュア的だったラグビー界も遂に汚染されてしまったとはショックである。
642.2月14日(土) スイス・レーティッシェ鉄道と箱根登山鉄道、姉妹提携30周年記念
 酒のペンクラブの佐賀を尋ねるツアーが明日、明後日とあるが、福岡の友人に会うために一日早く福岡へやって来た。久しぶりに訪れたJR博多駅は大改装工事中で、テナントも閉店セール中で、この様子を見ていると博多駅構内でテナントとして永年商売をやっていた地元の井筒屋が締め出され、新たに高島屋が入店する話を聞かされると身につまされる。
 鉄道と言えば、今朝の日経紙によると今年がスイスのレーティッシェ鉄道と箱根登山鉄道が鉄道姉妹締結を結んでちょうど30周年記念となり、それに合せて、箱根登山鉄道がレーティッシェ鉄道と同じカラーデザインの車両を走らせるという記事が掲載されていた。 
 実は、その30年前の両鉄道の提携式典では私自身多少お手伝いした経験がある。その記念式典ではレーティッシェ鉄道からハッツ専務が来られ、式典の後一日箱根をガイドした経緯がある。そして、箱根登山鉄道がその夏記念行事の一環としてスイスへツアーを派遣したが、そのツアーの添乗員として同行してイタリアのチラノからスイスのサンモリッツへ行った。それが、スイスとのその後の関わりの素となった。その意味では忘れられないツアーとなった。
 そのレーティッシェ鉄道も昨年「世界遺産」に認定され、今では世界中の鉄道ファンから垂涎の的となった。確かにスイスの鉄道は魅力に溢れている。特に、登山鉄道ではアイガーや、マッターホルンの鉄道がその巨峰の近くまでアプローチするので、有名であるが、鉄道の魅力としては長い距離の中で楽しく自然の景色を見せてくれる点で、遥かにレーティッシェ鉄道が上回ると思っている。
 それにしてもどうしてスイスの鉄道会社は、経営的に悠々たる自信を持っているのだろうか。とにかく列車から見る景色、雰囲気が抜群にいい。それでいて経営的に安定している。
643.2月15日(日) 酒のペンクラブ佐賀旅行
 博多から佐賀へJRのL特急を利用した。ほんの35分で到着して駅前からタクシーで佐賀城本丸歴史館へやって来た。まだ酒のペンクラブの一行は到着していない。ボランティア・ガイドと本体到着まで気ままな話をしていた。以前佐賀城へ来た時は、外周りだけだったが、本体と一緒に本丸の中を見せてもらってガイドの説明を聞くと新しい歴史を知ることができる。
 酒のペンクラブの面々だけに、日本酒については興味も関心も普通以上に強い。参加者は、佐賀県東京情報センター所長・西岡剛志氏、副所長・下平幸男氏が案内役で、私を加えてちょうど10名である。今日は3軒の醸造元、窓の梅醸造梶A天山酒造梶Aそして峰松酒造を訪問、見学した。いずれも江戸時代に始まる古い歴史を持つ醸造元であるが、ビール会社のような近代的なものと違って、建物は老朽化して最近の地震の影響もあって前者の蔵のように大きく傾いていたり、後者も古い建物を維持するために、瓦屋根の葺き替えだけで2,000万円もかけたという話を聞くと苦悩が分る。
 地場の産業としてそれなりに経営しているようだが、内情は大変だなぁと思う。最近の傾向として日本酒より焼酎が伸びており、窓の梅で6:4、天山が9:1の割合というくらい、酒の方が多いとは言え、焼酎の消費が伸びていると言っていた。
 佐賀へ来たのは久しぶりだが、地方の特徴として車、人の数が極端に少ないように感じた。国道沿いでも現実に何軒もファミリーレストランが店仕舞いしている様子を見ると地方の苦しんでいる姿が察しられる。現状では厳しいようだが、若い人にとってあまり魅力のある土地と言えないのかも知れない。地方の疲弊ということが言われるが、地方に行く度にう〜んそうかなぁと思う。地方には大きな働き場所が少ないことが大きな原因でもある。その意味でも地方ではその土地ならではの産業を発展させることが生き残りの大きな要因だろう。地酒は決して大企業とはいえないまでも、地方産業を支える大きなつっかえ棒である。
 今日の宿泊は嬉野温泉・和多屋別荘である。夕食宴会には、前東京所長だった山口和夫氏も参加された。
644.2月16日(月) 充実して実りの多い旅だった。
 昨夕宿泊した和多屋別荘は、嬉野温泉でも名湯で建物も一段と高く、ランドマーク的な存在で、一昨年には秋篠宮殿下が滞在されたというこの地の名門旅館で、設備、サービス面で行き届いている。ご自慢は美肌の宿と自称しているだけに、その湯を目当ての客も多いと聞く。肌がぬるぬるするのは、温泉の効用か、でも不覚にも湯船でひっくり返ったのもそのぬるぬるのせいである。滑りやすいので注意が必要だ。
  今日は個性的な日本酒醸造元、嬉野温泉の井手酒造と唐津市相知の小松酒造を見学した。前者は女社長の下で「虎の児」という銘酒を造っておられる。後者は「万齢」という酒を生産しておられる。特に感銘を受けたのは、小松酒造の小松大祐社長の説明だった。東京の文系大学を出てから6年間證券会社に勤めた後地元へ帰り、一旦は酒造会社を止めていたが、復活させたとの苦労話だった。蔵で具体的に、保温、木桶の使用、麹室、圧縮用船、等々について分りやすく説明してくれた。今人気があるからと安易に日本酒から焼酎生産へ切り替えることはしないと言っておられた。奥さんも酒造りに興味があって一緒になったというだけに、夫婦仲良く堅実な経営をしている姿が輝いて見えた。
 経営者の話を分析してみると、日本酒造りは家内製手工業で、愛情を込めて細やかな神経を払い、身の丈を考えて経営すれば、右肩下がりの酒造産業ではあるが、何とかやっていけるのではないかと思えたことである。やはりその基本は、人ではないかと思う。酒造りに情熱を注ぎ込み、根気良く、研究熱心ならばいずれ前途は開けるのではないかと感じた次第である。
 酒の他にも、今日は陶器の町・有田を訪れ、14世柿右衛門記念館を見学した。他方で有田について知らなかった一面を見せてもらった。有田が古く伝統的な町の佇まいを重要文化建築物として保存するために、簡単には増改築が許可されなくなった。風情のある有田の町を後世に残そうというのである。確かに町の中心道路に面した商店街は、このまま自由にリニューアルをやったのでは特徴は消え失せるだろう。
 有田の伝統を残そうという試みは、今日いただいた昼食などにも典型的に見られる。「有田まちづくり女性こんわ会」というボランティア団体が、町屋を借りて「小路庵」という食堂を経営している。毎日オープンしているわけではないとのことだった。さすがに土地に詳しい佐賀県の二人のスタッフがスケジュールを立ててくれ、この「小路庵」で食事をアレンジしてくれた。手書きのお品書きに、こんわ会が土地で取れる自然の食材を考えて、料理した「ひいなご膳」という定食は、ユニークで気持の篭ったものだった。素人っぽく、それでいてきめが細かく多彩な品は、大変珍しいものだった。こういう一般住民からの地域おこしの動きは、徐々に町全体を活性化させる起爆剤となるだろう。
 2日間に亘る酒のペンクラブの旅を終え、佐賀空港から羽田へ予定通り帰ってきたが、随分充実した旅行だった。普通では見ることができない醸造元を数箇所も見せてもらい、佐賀の酒もたっぷり味わうことができた。醸造元のほかにも、有田焼の本家を訪れ、この古い有田の町の町おこしの息吹も感じた。値段的にも極めてリーズナブルだったし、土地の人間でなくては知りえない企画の妙を味わわせてもらった。佐賀県東京情報センターの西岡さん、下平さん、お世話になりました。ありがとうございます。
  みんなで納得!みんなが満足!
645.2月17日(火) 酔っ払い大臣辞職と丹治幹雄氏の暴論暦
 今日中川昭一財務・金融担当相が辞職した。あの破廉恥、というより国辱的な振舞いでは辞めるのは当たり前である。昨朝嬉野温泉の旅館でテレビニュースを観ていて「ウェッ!」と思った。ローマで行われたG7会議後の記者会見における発言や受け答えがあまりにもお粗末で酷かった。酔っ払いが何を言っているのか、テレビではその全容がよく分らず、その表情も上の空で、言葉もしどろもどろだった。こんな不健全な体調で世界が注目するマイクへ向かう神経が分らない。世界中へ日本の大臣の無作法と傲慢、幼稚さを曝け出す非常識だった。
  元々アル中の中川氏がこれまで繰り返した無作法は、ひとつやふたつではない。先日の国会演説でも「歳入」という言葉を「歳出」と間違えたり、予算数字を間違えたり、酷かったのは「渦中」を「うずなか」と読んで麻生首相と同じ国語力を露呈した。この演説の時も恐らく酔っ払っていたのではないか。こういう人を重要閣僚に任命した首相、こんな人物を党内有力者へ変革させた自民党、そして、この下品な口ぶりで威張りまくるだけの候補者を当選させる北海道の地元有権者、みんな悪い。しかし、やはり突き詰めればその原因は、日本人の体質にあるのではないか。つまり無作法を許してしまう国民すべてに責任がある。今までとかくの噂があった世襲議員・中川昭一を、マス・メディアを含めて国民がこれを許してきた。
 もうそろそろ、しどろもどろの酔っ払い国会議員を、飲酒運転と同じように減点制でも採用して、国会から一時退場、或いは永久追放をするくらいにしてはどうか。馬鹿な酔っ払い世襲議員はせめてそのくらいのお灸をすえないと、喉もと過ぎれば熱さを忘れる愚を繰り返すばかりではないか。
 経済が行き詰まっている現況と、それを打開するための最高責任者・中川大臣の一連の愚かなパフォーマンスを考えていると、ついため息が出てくる。
 開業以来杜撰な融資で赤字経営を行い問題になっていた新銀行・東京の旧幹部に対して、新銀行は損害賠償請求を東京地裁に提訴した。約100億円の巨額だという。元の勤務先から訴えられた相手は旧経営陣で、仁司泰正・元代表と何と元代表補佐だった丹治幹雄氏である。丹治氏とは議論を戦わせたことがある。氏は「構想日本」の政策委員でコーディネーターなどを務める人だが、2005年9月「構想日本」HP上に年金制度の存在を否定するような荒っぽい提言を行った。こうまで言っていた。「制度としては他人に老後の所得を補償してもらう仕組みだ。自ら生存できなければ滅びるしかないのが自然界の鉄則だとすれば、このような制度が存在すること自体おかしいかもしれない」との暴論まで披瀝した。ご自身で「マイク丹治の暴言提言」などと思い切った発言を繰り返す方だったが、あまりの傲慢さに対して反論したところ、丹治氏は抽象的な氏の言い訳で応えられた。ご自分の言い分を頑なに主張し、正当化しようとする平行線のやりとりにうんざりして矛を収めたが、どうも納得できなかった印象がある。丹治氏の経歴はよく知らないが、あまり実社会の現場でご苦労された方ではないのではないかと思った。靖国問題に関してもどうも右翼が喜びそうな発言が多い。感情で行動する人ではないだろうか。もう一度丹治氏の主張とその裏づけを読み返して、氏の言い分が正しいのかどうか精査してみようと思う。
646.2月18日(水) 麻生首相は何のためにサハリンへ行った?
 3年前56歳で亡くなったロシア語通訳の米原万理さんの著作「ロシアは今日も荒れ模様」が、ロシアの実情をよく伝えていて、ロシア関係のエッセイを書く際度々利用させてもらっている。今そのロシアのモスクワに小泉純一郎・元首相が滞在していて、一方で極東サハリンには麻生現首相が訪れている。その元首相が現首相をロシア国内で痛烈に批判している。元首相の郵政民営化は基本的には間違っていないと考えているので、気持は分らないでもないが、こういう鞘当てのような非難が、中川大臣会見の時のように外国メデォイアに歪んだ形で捉えられないか些か気になるところだ。
  元首相が国会開会中のこの大切な時期に、何の目的で出かけたのかはっきりしない。麻生首相にしても、ロシアのサハリン2プロジェクト完成祝いに訪問したとなっているが、原油の安定顧客としてロシア政府の招待による表敬訪問的な色合いが強い。互恵的な目的を目指して、北方領土問題解決の扉を叩く方策はないようだ。ほとんど実りのないと言ってもいい首脳会談が、日本の国会から離れたサハリンで持たれたのは、いかにも魚のいない池で釣りをしているようなものだ。正に「ロシアでも、日本でも今日は荒れ模様」の感じである。
 アメリカ自動車産業のどんづまりも行き着くところまで来てしまったようである。どうしようもない事態に立ち至っていて、下手をするとオバマ政権も鼎の軽重を問われかねない。今日GMとクライスラーがアメリカ連邦政府に追加支援を要請した。今後これを議会が承認するかどうかにより、両社の命運も決まる。
 しかし、両社併せて5万人のリストラを含む再建計画だけでは、支援取り付けは極めて厳しいようである。その理由として、人員削減以外の計画が不透明であり、今年1月の両社の販売実績が前年の半分という散々の結果だったことが、昨年12月に支援を受けた分をかなり食いつぶすことになってしまったからである。事態は刻一刻と悪化しているのである。
 ところが、今日再び支援要請した金額はGMが166億ドル(約約1兆5千億円)、クライスラーが50億ドル(約4千6百億円)というから開いた口が塞がらない。支援金額も雇用削減も桁外れである。これではアメリカ国民が怒るのは当然である。どこで折り合いをつけるのか、とても凡人には想像もつかない。
647.2月19日(木) 経済も政治もダメの日本をどう立て直すのか。
 今日本経済は最悪の事態に追い込まれているが、そもそもの経済不況の発信地であるアメリカ経済もどうしたらよいのか、彷徨い出している。本当のところはオバマ大統領もとんと見当がつかないと思う。
 アメリカは金融を別にして、製造業が国の経済を引っ張ってきた。その中でも自動車メーカーの役割は大きかった。その自動車メーカーがここへ来て完全に行き詰まっている。まだ、自動車メーカーが要請した追加支援が決定したわけではないが、すでに支給された分を含めると支援総額は実に9兆円に達する。破産法の適用すら検討され始めている。そこへ住宅対策として公的資金7兆円投入の計画が浮上してきた。ローン返済条件を緩和することによって最大で900万世帯を救済しようというものである。
 しかし、果たしてアメリカ連邦政府にそれだけの資金的余裕があるだろうか。アメリカにはいつも好い顔を見せる日本政府が、アメリカ政府に言い含められてアメリカ国債を持たされたままドルの価値が低下して、資産価値が目減りするというお決まりの構図になるのではないかと少々心配でもある。
 日本では経済の元締めである財務省の国辱大臣が辞職して、後任となった与謝野馨大臣も3つの官庁を抱えることになり、あまり健康そうでない大臣の負担は並大抵ではない筈である。国内の経済対策は一向に進まず、ましてや外交問題はまったく手付かずの有様である。いずれアメリカから強要されるかも知れないのは、アフガンへの支援である。就任前からオバマ大統領は、イラクから撤退して重点的にアフガンへ力を入れるとのコメントがあった。そして、現実に現在アフガンに駐留する外国軍は6万6千人であるが、アメリカ軍が増派されると8万3千人となる。当然日本にも、経済面での協力を求めてくる。アメリカが強い調子で協力を求めてくる、この難しい局面を日本はどうやって対処しようとするのだろうか。自衛隊は派遣できない。また、金で勘弁してもらうより仕方があるまい。だが、拠出できる資金があるだろうか。政局に千鳥足であたふたしているようでは政府をとても当てにはできない。
 これから日本はどうなるのだろうか。
648.2月20日(金) 少数民族の言語は消え去るのみ
 景気が悪いと心配していたが、昨日のNYのダウ平均株価は6年4ヶ月ぶり、今日の日経平均株価も一時7,400円を割り、バブル後最安値となった。東証全33業種中31業種が下落した。月曜日に内閣府が発表した今年度第三四半期のGDPは、マイナス12.7%の落ち込みで、実に35年ぶりだという。政府も追加経済対策を検討している。 
 しかし、ふらつきよろめき視界不良の今の政府が、来年度の第一次予算案すら通せず、政治空白の現状で、果たして追加経済対策まで頭が回転するだろうか。マス・メディアが報道しているように、今の麻生政権はまったく何もできない政府である。死に体と言ってもいい。だが、可及的速やかな手を打てないのは、やはり政治家の質、能力のレベルが一般人と比べて格段に低いことが原因だと見ている。突き詰めれば、現在の政治家の輩出システムに問題があると思う。結論ははっきりしている。一日も早く政治家の世襲制度に何らかのメスを入れる必要がある。問題が起きているのは、みんな世襲政治家の周辺である。ここから目を逸らせてはならない。
  さて、世界に言語は約6,000あるという。そのうち程度の差こそあれ、消滅の危機に瀕している言語が約2,500あると言う。旧約聖書によって紹介されたノアの洪水により増えた言語が、今度は逆に衰退の道を辿るとは何とも寂しい感じがする。日本でもアイヌ語が最も危険な状態にある言語だそうである。今や話す人が少なくなり、アイヌ文化も絶滅の瀬戸際にある。
  国立民族学博物館の崎山理・名誉教授によれば、話し手が固有の文化を持っていれば独立した言語であると捉えている。アイヌ語が危機に瀕しているのは、一義的には話し手が最早15人に減ってしまったことによる。千島列島やサハリンで伝承されていたアイヌ文化が、その場を失ったことにより言語も失ってしまったからである。そういえば、かつてサハリンの博物館を訪れた時に陳列品の中にアイヌ民族関係の展示物が多かったことが強く印象に残っていたが、ソ連に島を召し上げられてからアイヌ民族もアイヌ文化も風前の灯となってしまった。
649.2月21日(土) 中川前財務相の馬鹿さ加減と神谷不二氏の死
 辞めた大臣に追い討ちをかけるのは少々酷だが、それにしても低俗極まりない中川昭一・前財務大臣のパフォーマンスは少々度が過ぎていた。その中川氏の行動に、別の無作法なパフォーマンスがあったことがまた暴露された。あの国辱的な記者会見の後、帰国便出発までのごく限られた時間に閉館時間を過ぎたヴァチカン博物館を見学した。普通に見学していれば何の問題もなかったが、酔っ払った勢いで触れてはいけない美術品に、柵まで乗り越え触って警報ベルまで鳴らしてしまった。
 どうしてこういう無作法な人物が、権威を揮えるポジションに座ったのだろうか。こういう人物は普段から行動が可笑しい筈であるし、普通なら問題ばかり起こして高い地位にはつけないと思う。中川氏の行動はどう見ても常識から大きく外れている。やはり、政治、それも世襲政治家の家柄という特殊な世界にだけ許される非常識な王道にあるのではないだろうか。
 ヴァチカンの日本大使にしろ、中川氏に付き添った玉木外務省国際局長にしろ、しきりに中川氏を庇った発言で弁明し、自分たちはその時は目を離していたとか、離れた場所にいたとか、どうしてこれで大臣の案内役が務まるのか不思議でならない。周囲が中川氏の傍若無人の振る舞いを放って、酔っ払いのなすがままだったということになる。注目される場における、注目される人物の言動、所作に対して、周囲があまりにも無為無策、無神経だったのではないか。
 中川氏の破廉恥な行動を伝える記事の脇に神谷不二氏の死亡公告が載っていた。一瞬目を奪われた。
  久しく表舞台から姿を消していた。享年83歳というのだが、われわれの学生時代には日米問題の専門家、国際政治学の権威として華やかに活動していた。決して共鳴するものではなかったが、大阪市立大学教授として「中央公論」や「文藝春秋」にもしばしば鋭く提言したり、斬新な論考を発表していた。右派の論客といっても良かった。
  大阪市立大から慶応大法学部教授へ転じて、しばらくは健筆を揮っていたが次第に表舞台で活躍する機会が減っていった。英哲な人ではあったが、やや才走り過ぎた感があり、保守的な思考が必ずしも右寄りの実務的な人々から受け入れられなかったことが、活動の場を減らしていった大きな原因だったのではないかと考えている。ある意味では一世を風靡した人であるが、一時は華やかな舞台に立った論客だっただけに一抹の寂しさを禁じえない。
650.2月22日(日) 日本に二大政党制は根付くか。
 今朝の日経紙「風見鶏」欄に「『両雄』は並び立つか」というテーマが取り上げられている。
  格差社会及び対立社会でないと対立軸が見出せないので、日本では二大政党制は成り立ちにくいと、アメリカ社会の例を挙げて興味深く検証している。アメリカ社会には、北部と南部、金持ちと低所得層、白人と非白人の対立というより異なったジャンルの人々が存在し、そこに二大政党が存立する基盤があるとエズラ・ボーゲル・ハーバード大学教授は指摘する。そうだとするなら、都市と地方、失業による格差の広がり等が拡大している現在の日本社会には均質性を失わせ、二大政党成立の条件を満たしていると言えるのだろうか。
  エズラ・ボーゲル教授は日本には本質的に人種や所得水準が均質化しているために対立軸を提示できる余地が少なく、そのことが二大政党制が日本で根付かない原因だと分析している。しかし、私は元来日本人の精神的な根底に論争を好まない温和な性格があるので、必ずしも外的な均質性のゆえに二大政党制が生育しないとの説が的を射ているとは思わない。アメリカ人の間では対立軸があまり露骨に見られない日本社会の特徴から言えば、一般に日本には二大政党は育ちにくいと見られがちなのであろう。
  このテーマの背景には、民主党の岡田克也副代表が昨年12月アメリカの有力シンクタンクの関係者と会食した時に、アメリカの対日政策について苦言を呈したことがきっかけとなっている。アメリカでは日本の政治体制の下では、同根の政党が入れ替わって政権を握ろうとも日本の外交政策は不変であると考えている人が多い。次の総選挙で仮に民主党が政権をとっても、アメリカは日本政府が従来の自民党政権の考え方をそのまま踏襲すると考えている。それは、アメリカ人は小泉純一郎元首相が「アメリカについて行けば間違いはない」と発言したことを信じきっていることにある。これに岡田副代表は、小泉発言は宰相の言葉としては(哲学も、理念もなく)恥ずかしいと異を唱えた。そして岡田副代表は更に「アジアのことでは日本をもっと信頼して任せてほしい。例えば、アメリカは東アジア共同体にアメリカも加えるように求めてくるが、同盟国の日本を信頼してもらいたい」とはっきり意見を述べた。
  それにしてもアメリカに対してはっきりものを言った日本人政治家を久しぶりに見た思いである。
651.2月23日(月) 昨今の就職事情
不況のせいで学生の就職活動も例年になく厳しいようだ。今朝の日経就職特集を見ていると社会の動きや時代性を感じ取ることができる。半世紀近く前のわれわれの就職戦線はあまり深刻に悩むこともなく、4年生の夏になってから決めることができた。景気が悪くもなく周囲もあまりガツガツした感じはなかった。まあ好い時代だったと言えるかもしれない。
  今年の就職戦線を見て気づくのは、人気企業ベスト10内に運輸観光業企業が4社もランクアップされていることである。こんなことはかつてなかった。このほかに銀行が4行で、後は我々の時代と同じ東京海上がトップを占めている。昨年は3位だったトヨタが最近のイメージダウンで46位にまで落ちている。
  士・農・工・商・犬・猫・エージェントと自虐的に考えていた観光業が上位に上がってきたのには昔日の感があるが、それにはそれなりの理由があるようだ。近年学生には全般的にサービス業志望者が多い。具体的には、仕事が面白そうというのが企業選びの重要視点になっている。観光業に永年携わってきた立場から率直に言うなら、「実情がまるで分っていない」。表面だけしか見ていない。楽しそうだとの気楽な視点からしか見ていない。どの仕事でもそうだが、内情はそうは簡単には分らないものだ。中でも旅行業なんか、内部の仕事はどれだけ苦労が多いかという点では、ほとんど学生には理解されていないのではないか。
  例えば、「苦情処理」「相手のプライドを傷つけないで説得する」「長い時間お年寄りの話し相手になってあげる」等々にどれだけ対応する気持があるか。そのうえ忍耐、体力、清潔感、誠実さ、明るい性格等が求められる。特に、旅行は商品としての形が見えないだけに苦情に対して論理で対応することが難しい面がある。
  果たして観光業志望の学生が苦情処理や、裏方的な仕事についてどんな考えを持っているのだろうか。それでもなお好きな仕事だからと初志貫徹できるか、試練が待っている筈である。
  それにしても自分自身の就職活動からもう半世紀近くなる。
  今夜10時からNHKスペシャルで「菜の花畑の笑顔と青春」と題して、昨年アフガニスタンでタリバンに殺害されたNGOスタッフ、伊藤和也さんのドキュメントが放映され、深い感銘を受けた。最近刊の拙著「停年オヤジの海外武者修行」186頁に「2008年8月NGO活動中の若き日本人農業技術者が誘拐され殺害された」との件があるが、それがまさにこの伊藤さんである。ここまでアフガニスタンに溶け込み、献身的な農業指導により地元民の強い信頼を勝ち得た姿を見せられ、こういう地道で有意義な活動をしている日本人には頭が下がる思いである。嫌なことの多い昨今、世間ではあまり騒がれないながらもひたすら利他的な活動に従事する人たちのドキュメントに爽やかさを感じる。
652.2月24日(火) 日本酒造り四方山話
 株価の下落が止まらない。今日で東証は3日連続の下げである。その前提であるニューヨークのダウ平均も下がりっぱなしである。いつになったら上向きになるのだろうか。
 今月の「酒のペンクラブ」例会は新橋の「酒坊いそむら」で行われた。場所が分りにくく近くまで辿り着いていながら、犬のように界隈をぐるぐる回っていたというお粗末。
  皆さんが話されるのはやはり先日の佐賀の旅である。みんな良かったと好評である。酒蔵を初めて訪れた経験から感じたことは、地場の産業である日本酒は、あまり手広くしないで、ましてや全国展開などは考えない方がいいと申し上げた。日本酒製造の振興は、地域の活性化につながる。安定した経営を目指し地元と協力しながら地域、そしてその周辺だけで販路を確保しておけばよいのではないか、と僭越だが個人的な考えを申し上げた。全国展開を試みようとの気持にも尊いものがあるが、下手に広告費や物流に多額のコストをかけることにより出費がかさんで経営が立ち行かなくなる。まあそんなことをお話した。
  今日は多くの差し入れがあり、特に会員のひとりが佐賀から送らせた小松酒造の特別純米酒「万齢」、同じ佐賀組が持ち込んだ井手酒造の「虎の児」を始め、他にも5種類ほどの原酒、生酒の持ち込みがあった。あれこれ飲み回っているうちに些か酩酊気味となり、寒いそぼ降る雨の中を遅からず、早からず帰宅と相成った。
653.2月25日(水) 麻生首相、オバマ大統領とトップ会談
 昨日は麻生首相がワシントンでオバマ大統領と初めて首脳会談を行った。先日来日したクリントン国務長官が手土産に持ってきてくれた晴れがましい話である。オバマ大統領が会談の相手として最初に選んだ外国人首脳である。そして今日オバマ大統領は、議会で大統領として初めての施政方針演説を行った。こういうアメリカ合衆国大統領として、忙しく世界中から注目を集める時期に、日米首脳会談を行った意味は大きいと思う。
 国民の支持率20%を割った麻生首相サイドとしては、ラッキーな話を政権浮揚のきっかけにしたいところだろう。しかし、アメリカサイドには何か含むところがあるのではないかと疑わしく思うのが、下衆の勘ぐりではなく普通人の考えだろう。会談を終えてから両首脳が隅の方で後ろ向きになって、通訳を交えてひそひそ話をしていたのがどうも怪しい。これからアメリカの動き、特に海外における自衛隊の支援活動と経済支援を注視していくことが重要だと思う。
 経済不況は歯止めが利かなくなった。マツダの滞米輸出対前年は73%減というのだから、すごい。輸出関連産業が軒並みダウンして、1月の貿易赤字も統計を取った30年前以来最大幅の落ち込みである。国立大学では収入の低い家庭の子女の場合、例えば東大のケースでは家計が年収4百万円以下なら学費を無料にするという。こうなると鉄砲の無駄撃ちにも見えてくる。その前に教育予算でやることが他に沢山ある。大学生の場合はアルバイトという道がある。しかし、全国にある小中高で耐震建築が成されていない学校はどうするのだ。こちらの方が優先順から言えば先ではないかと思う。
 昨日小中陽太郎さんから、アムネスティで小中さんの知り合いの方のエッセイについてコメントをして欲しいとメールで原稿を送信してこられた。その方は中々の冒険家のようで、ヒマラヤ方面の旅行記を書かれたので、小中さんは旅行記なら私のコメントが良いと考えられたのではないかと思っている。ゆっくり読んでから僭越にならない程度にコメントを考えたいと思っている。
  昨日は急遽酒のペンクラブの西山編集長から「酒だより」の2月会合記を書くよう頼まれたが、今他にもいくつか頼まれている。少しずつ書く機会も、分量も増えてきた。依頼があればできるだけ書いてみたいとは考えている。 
654.2月26日(木) 小沢民主党党首の思惑は?
 案の定麻生首相とオバマ大統領との首脳会談は外国ではあまり高い評価を受けていないようだ。普通ならその直後に会食をするのが正式なプレトコールだが、それをカットした点や、余命幾許もない首相にアメリカが期待できない点を各国のマス・メディアは皮肉っているのだ。最初に日本に出し抜かれたという彼らのやっかみもあるだろう。一方、麻生首相は日米トップ会談を自画自賛して成果を強調している。今朝の衆議院予算委員会でも冒頭に先日のサハリン訪問と併せて、帰朝報告をした。
 まだ新聞では大きく報道されていないが、昨日民主党小沢党首が、アメリカ軍の日本駐留は海軍(第七艦隊)だけで充分だとしゃべった。案外小沢党首の本音かも知れないが、この発言が一部で物議を醸している。自民党からは現在の日米安保体制下では現実的ではないとの声が出ている。小沢党首は米軍や自衛隊についてかなり詳しく勉強している。独自の防衛論も持論として温めている。だが、発表の仕方がいかにも唐突で、民主党内でも当惑気味で対応がバラついている。小沢党首の意図はどこにあるのか。割合小沢氏はアメリカに対して強い姿勢をとる。政権政党である自民党にとっては厄介な発言である。
 現在日本に駐留する米軍は、空、陸、海兵隊、海軍(第七艦隊)を併せて約3万人である。それが第七艦隊だけなら3千人程度でいいことになる。小沢党首は自衛隊があれば、横須賀を中心に展開している第七艦隊だけで東アジア海域の防衛は間に合うと考えているようだ。
 この考えが的を射ているかどうかは何とも言えないが、責任ある立場にいる政治家がいとも簡単に持論を開陳すること自体問題ではないか。同じ党内でてんやわんやの状態では、周囲に統制がとれていない印象を与える。後先考えずに、思いつきのように持論を口外するのは、別の意味で心配である。
 酔っ払って支離滅裂も困るが、根回しもなく周囲への影響を考えることもなく、思いついたことをぺらぺらしゃべるのも軽薄のような気がする。これでは、例え政権交代が実現して民主党が天下を取っても、党首の失言が懸念される。
655.2月27日(金) 初めての降雪に2.26事件とノルディック優勝を想う。
 朝から寒いと感じていたら2℃以下だという。その内に雪が降り出してきた。この冬初めての雪で、今を盛りと開花中の庭の梅とのコントラストも中々風情がある。妻は学生時代の友人とこの雪の中を湯河原へ出かけた。
  考えて見れば、73年前の昨日は「2.26事件」が勃発した日である。あの朝もかなり激しい雪が降って、その時の皇居周辺の神秘的な光景が、この事件を一層ドラマチックなものに仕上げたのではないかと思っている。その2.26事件も、昨日は忘れられたように、どこのマス・メディアも取り上げなかった。過去の歴史はどんどん置いていかれる。これで良いのだろうか。
 しばらくしてフジテレビの田中雄気さんという方から電話があった。「構想日本」政策委員で、前・新銀行東京の代表補佐だった丹治幹雄氏と連絡がとれないかとのお尋ねだった。直接コンタクトはとれないので分らないとお答えしたが、考えてみればメールのやりとりをしていた時期があったので、メールアドレスは手元にあった。
 田中氏は丹治氏が先日新銀行から提訴された一件で、丹治氏にコンタクトしたいとのことだったので、「構想日本」の加藤秀樹代表に連絡されたらよいのではないかとアドバイスした。田中氏は丹治氏と私の「年金」に関するやりとりをホームページで読んで、私の考えに同調していた。他にも元民放テレビ社会部長と大手生保の次長からも、丹治氏の意見には賛同しかねる。私の意見に同感と言っていただいている。
  さて、最近ぱっとしない事件続きだが、今日スキー・ノルディック世界選手権複合競技で日本が団体優勝を飾った。スキー複合競技は、かつて90年代初めに荻原兄弟らの活躍で、日本が毎年のように優勝していたものだ。冬季オリンピックでもアルベールビル、リレハンメルの2大会連続で団体金メダルを獲得した十八番だった。それがいつの間にかメダルどころか入賞すら覚束ない成績となった。
  それには理由がある。ヨーロッパスキー界の日本いじめ、ジャパンバッシングである。ジャンプが得意の日本勢の進出と活躍に、ノルディックスキー本場の北欧勢がメンツをつぶされたと感じたのか、日本にとって不利なルールに改定したのである。それ以来、日本はジャンプでも複合競技でもまったく振るわなくなった。ジャンプと距離の総合点で争う複合競技だが、前半のジャンプが得意だった日本にとって、ジャンプが重視されなくなった。ジャンプで貯金していた日本選手が後半の距離競走で貯金を失ってヨーロッパ勢の後塵を拝するようになった。以後まったく勝てなくなった。
  今日の栄冠まで、血のにじむような努力が積み重ねられてきた日本のスキー界にとっては、久々の快挙である。ざまぁ見ろ、ヨーロッパ野郎、とでも言いたいところだろう。
  それにしてもヨーロッパのスキー界も底意地が悪い。自分たちが不利と見るや、すぐにルール変更して自分たちに有利な条件で競技しようとする。こういうのは、本来スポーツをやる資格がないと思う。柔道もヨーロッパ流になって、日本古来の武道の色彩が薄くなり、一本をとる柔道から、判定で際どく雌雄を決する競技スポーツに変わって来た。そういう傾向に対して異義を唱えようにも、国際柔道連盟の役員に誰一人日本人が名を連ねていないのだから、手の打ちようがない。こういうように表面的にきれいごとを言っているが、ヨーロッパというところは案外したたかで、自分に不利なことはやらないのだ。
656.2月28日(土) 不安を煽る小沢発言
 今朝いつものように血圧を計ってみたら普段よりかなり高い。最近血圧が上がり気味で森内科医とも相談しているところだが、最初計測した時に上が188になったので大慌て。いつも3回計って中の数値を採ってグラフに記入しているのだが、あまりに高くて遂に5回も計ってしまった。結果的に188177190179192となった。どうも調子が悪い。気になったので、今日は数回計ってみようと考え、その後昼間に2回計ってみたところ159155とどうもぱっとしない。夕方妻が湯河原から帰ってきたので、歩いて自由が丘まで軽い外食に出かけた。多少気晴らしになったのだろうか、帰ってきて計ったら131まで急降下していた。実は、このところ集中的に税務申告の準備に忙殺されていることが、血圧を上げることにつながっているらしい。今日も帳簿のつけ洩れのないよう何度も確認しながら、初めて分りにくい書類記入という厳しい体験を味わっている。今年をうまく乗り切れば、来年こそもっと要領よくできると思っている。とにかく早く書類を仕上げたい。血圧が上がらないようにセーブしながら、ボチボチ精力的にやって何とか申告期限までに間に合わせようと思う。
 一昨日の本ブログに民主党小沢一郎党首の在日米軍の再編をめぐる発言について書き込んだが、今日になってマス・メディアの報道もどっと表に出てきた。今朝の朝日新聞には社説のほかに、第4面の四分の一のスペースを割いて批判的な記事が掲載されている。
 「第7艦隊でアメリカの極東におけるプレゼンスは充分だ」という小沢発言の真意を巡って、朝日社説は小沢党首に具体的な説明を求めている。小沢氏の発言からは、米軍は日本の防衛にそれほど必要としないとも受け取れる。ならば、自衛隊の現状で日本周辺の防衛は問題ないのか。そうなら、軍事予算は益々膨れ上がって自衛隊というより、これは軍隊と呼ぶべきものとなるのではないだろうか。そうだとしたら、完全に憲法に違反する。発言内容が疑問だらけである。真意を質した記者に対して、「日本の防衛はできる限り日本が果たしていけば、米軍の負担は少なくなる」と応えた。朝日は生煮えの説明と言っている。実際、この時期にあまり得策ではない発言をしたが、小沢党首は何を狙ってこういう発言をするのか。
 深く考え過ぎると問題が一層複雑になるが、まず現在の日米安保体制下で日本の希望がアメリカに対して通るのか。遡ると日米安保体制は60年安保条約により確立したが、問題はなかったか。大いに問題ありと言いたいが、小沢党首はこの原点を斟酌したのか。
 いずれにしろ、当分この小沢党首の不透明発言が政界を煙に巻くだろう。