2009年1月

598200911日(木) 多事多難な中に新年を迎える。
新しい年、2009年(平成21年)がやって来た。例年通りいつものように7時30分ごろ起床して、同じようにお雑煮と簡単なおせち料理をいただくが、お屠蘇はいただかない。これは毎年元日になると母校・湘南高校ラグビー祭へ参加するため、車で出かける予定なので酒抜きはやむを得ない。
  郵便受けに今年最初の新聞を受け取りに行ったら、もう年賀状が届いていた。こんなことは初めてだ。更に驚いたのは、母校から帰ってみると午後の配達分として第二便の年賀状が届いていたことである。これは遅ればせながら郵政民営化の効果が良い面で表れた結果だろうか。そうだとしたら国民が恩恵に浴したことになる。だが、果たして明日は年賀状が配達されるだろうか。

  空を見上げると真っ青に晴れ、無風快晴の素晴らしい天候である。ラグビー祭はOB会(SRC)総会の後、グランドでOB対現役戦、OB紅白戦で出場者は気持ちのよい汗を流したようだ。同期生の大島くんは、今も茅ヶ崎ラグビースクール校長で相変わらず若者に負けずにグランドを走り回っている。脱帽である。一年先輩の武智さんも、ジャージーを着てお子さんやお孫さんの声援を受けながらプレイする熱心ぶりである。こうしていつまでもラグビーを楽しむ習慣が健康にも、家族融和にも効果がある。武智さんは今年年男で、大島くんは去年古希だった。

  懇親会ではいつもながら現役部員の保護者が、食事の手配をしてくれる。現役とOBが一体となって立食で交流を深める。時代が移り変わり親がこういう場で、子供たちのために献身的に協力してくれるようなことは、我々の時代にはまるで考えられなかったことである。OBの中には酒が提供されないからと不満を漏らすものもいるが、こればかりは場所柄我慢してもらうより仕方あるまい。自画自賛するようだが、こういう試みはきっと子供たちにとっても将来忘れられない高校時代のグラフィティとなることだろう。
 夜は妻といつも通り毎年恒例のNHK「ウィーン・フィルハーモニーのニューイヤー・コンサート」をテレビで楽しむ。今年の指揮者、アルゼンチン生まれのイスラエル人、ダニエル・バレンボイヤ氏は元々ピアニストであるが、生誕200年に当るハイドンの「告別」ではコミカルに演奏してオーケストラがいなくなるカラオケ?状態となった。こんなところにも、演奏者のみならず観客の間にもゆとりというものが感じられた。格調の高い芸術は、本当はじっくり生で味わうに限る。その意味では物足りないとも言えるが、それでも新年早々に芸術の一端に触れることができるニューイヤー・コンサートは、定番の愉しみのひとつである。
 今年は昨年よりもう一歩質的にグレードアップの一年間を送りたいと思っている
59912日(金) 正月2日の過ごし方
 正月2日のわが年中行事は、毎年決まっていて関東大学箱根駅伝と全国大学ラグビー準決勝をテレビ観戦することである。生放送は時間的に一部ダブルが、お熱を上げるのはやはりラグビーだ。リーグ戦グループでは優勝した東海大だったが、対抗戦グループの2位早稲田にディフェンス面で完全に押さえ込まれ、完敗だった。やはり伝統の力というのは、いざという時大きな力を発揮する。もう一試合は、対抗戦グループ優勝の帝京大がリーグ戦グループ2位の法政大を文句なく破って、結局決勝戦は対抗戦グループの1位と2位の決戦と決まった。あまり新鮮味のない対戦であるが、身体的に優れ今シーズン全勝の帝京大と、伝統校の良さを発揮してチーム戦力を整備しつつある早大の対決は、質の高い玄人好みの試合になるかも知れない。
 さて、今年は西暦で2009年であるが、9年というのは過去世界史上においてエポックメーキングというより、ショッキングな事件がしばしば起きている。古くは192910月にニューヨーク証券取引所で株価が大暴落を起こした。世界大恐慌の始まりである。1989年になってベルリンの壁が崩壊した。アフガニスタンからソ連軍が撤退した。同じく天安門事件が起きた。これがきっかけとなって東西冷戦時代が終結し、社会主義国家が崩壊して民主国家・アメリカの一極集中に拍車がかかった。1999年にはヨーロッパの単一通貨「ユーロ」が産声を上げた。これにより従来のドルの機軸通貨化に風穴を開けた。必ずしもドルだけが機軸通貨ではないが、ドルの圧倒的な価値観は何と言おうと比類ないものである。
 果たして今年2009年には、内外にどんな政治的、経済的な事件が待っているだろうか。
 それから今日2日にも年賀状が配達された。これは小泉元首相の郵政民営化のおかげではないだろうか。
600.1月3日(土) 加藤周一氏、1968年を語る。
 今年の関東大学箱根駅伝では、去年のように途中で3校も棄権するようなことはなかった。終盤になって城西大が唯一リタイアした。しかし、2区で22人抜きのような記録はあったが、全般的にハップニングのない平板なレースだった。今年は85回目の記念大会とあって、出場チームも例年より多い23チームだった。
  今年のレースで特に面白いと思ったのは、予想の外れ方だった。優勝候補の駒沢大は、選手全員揃って一級品と予想されていたが、蓋を開けてみると揃って二級品だったことである。選手が誰ひとりとしてブレーキを起こしたわけでもないのに、ダントツの優勝候補が優勝に一度もからむことなく、力を発揮せずに選外の13位に落ち、来年度のシード権すら獲れなかったことである。あれだけ前宣伝で華やかに書きたてられていながら、この結果には唖然とするばかりである。監督は淡々と全体の力がなかったと悔しさをおくびにも出さない。昨年の正月は堂々逆転優勝し、11月に伊勢で行われた全日本大学駅伝でも優勝して優勝候補の筆頭だった駒沢大学だが、トラブルもないのに最初からぱっとせずにすべてのランナーが2日間何の存在感も示せないままに終った。過去10年間に6回の優勝を誇る強豪が、かくも脆いとは意外だった。マス・メディアの予想もまったく外れてしまった。こうなると記者の取材能力にも疑問符が付く。とにかく駒沢大の予想外の不振がなんとも腑に落ちない。
 さて、静かな正月休みを利用して、1214日にNHK・ETV特集で放映された「加藤周一、1968年を語る」DVD録画を妻とともに観る。1時間25分の少々肩の凝る作品だった。同月5日89歳で亡くなられた加藤氏に関する文献は、「羊の歌」を始め、主に学生時代に岩波の月刊誌「世界」を通して読んでいたが、このビデオに関する限り加藤氏は「1968年」という年に、格別のこだわりを抱き、世界的なエネルギーの爆発と圧倒するようなうねりを感じたように受け止めた。実際世界的な動きを見てもその年はエポックメイクな一年だった。まず5月にパリでゼネストが起き、パリ市内は機能麻痺に陥った。8月「プラハの春」事件発生、そして同じころシカゴでベトナム反戦デモが勃発して警官隊が無抵抗の市民に暴力を振るった。日本では東大篭城を始めとする全共闘紛争等があったが、当時のフィルムを振り返りながら加藤氏は解説された。懐かしいフィルムがかなりあった。その中でも「プラハの春」には私自身格別の思いがあり、大きな影響を受けた。フィルムが映し出すソ連軍侵攻当時の光景は、強く印象に残っている。地下放送によって事件を外国へ伝えた当時の放送関係者の話は貴重な資料である。私自身この事件によってチェコへの留学を諦めたし、その後三度訪れたチェコへの郷愁を募らせてくれたきっかけとなった。
 それにしても晩年の加藤氏の記憶力と鋭い観察眼には感嘆するばかりである。平凡社で出された加藤周一著作集の「言葉と戦車」は、氏が実体験した「プラハの春」から感じたことを書いたものだ。パリのゼネストのあとオーストリアからプラハへ車で出かけ、周囲の雰囲気が怪しいと感じてウィーンへ帰り、そこでチェコのテレビ(地下放送)でソ連軍の戦車による侵攻を知ったという。書斎に閉じこもっただけの人とはやはり違う。それが著書「言葉と戦車」に書かれている。リベラルな方で、核心を突く論考にはいつも頷かされていたものだった。このNHKの番組も良かった。
601.1月4日(日) 「カティンの森」を考える。
 昨晩NHKのアーカイブスで放映された、ポーランドの映画監督アンジェイ・ワイダがメガホンを取った「カティンの森」の製作意図の紹介を通して、初めて「カティンの森」事件の真相を知った。
 第二次大戦前のポーランドはドイツと旧ソ連に挟まれて複雑な立場にあった。1939年ポーランドはドイツとソ連に侵略され降伏した。1943年ソ連領内へ進撃したドイツ軍はソ連領内カティンの森で、ポーランド将兵及び民間人、併せて4,000人の残忍な殺戮手段による遺体を発見した。ドイツはソ連が虐殺したと主張したが、ソ連はドイツ軍によって殺戮されたと反論し、お互いが対戦国に罪を被せようとした。第二次大戦中、更に戦後になっても双方が罪をなすりつけようとして真実は解明されなかった。ポーランド統一労働者党ですら、同じ社会主義のリーダーであり、同盟国であるソ連に気兼ねして真相の解明に及び腰だった。しかし、カティンの森だけに止まらず犠牲者の数は益々増え、その数は実に22,000人が加えられた。
 1952年アメリカ議会では、虐殺はソ連内務省によって計画され、赤軍が処刑を実行したものと断定した。しかし、ソ連が公式にその残虐行為を認めたのは、社会主義体制が崩壊した1989年になってからだった。スターリンの命によって実行されたと公表されたが、すでに殺人鬼スターリンはこの世にいない。それでもなお、ソ連政府は隠し通そうと試みたようだが、すでに証拠が明白となり、1990年になって漸くゴルバチョフ大統領が対外的にその大量虐殺を認めた。あまりにも遅く、極悪非道の振る舞いは長きに亘って表沙汰にされることはなかった。しかも敗戦国ドイツに罪と責任を被せようとした。許しがたい反道徳的蛮行である。
 ワイダ監督の父親もその犠牲者のひとりである。社会主義体制内のポーランドにあっては、身内の死、行方について疑問を抱いても、体制を批判するがごとき行為は許されず、苦悩の時代を送ったようである。
 冷静に考えてみると、戦争中とは言え蛮行を計画し、それを実行する風潮に対して、阻止しようとの声は抑止されたのであろう。だが、それでもなお一片の良心と人間としての誠実さでその行為を止めることはできなかったのか。今世界各地で繰り返されている人間性無視の流れには、同じように空恐ろしさを感じることがしばしばである。文明は進歩しても人間の行為の野蛮性は、むしろ原始狩猟時代よりも進んでいるのかも知れない。
 力で権力を奪い取った者たちの所業には、そういう怖さが隠されている。絶対的な強大な力は、ともすると良い面より道を誤らす方へ向かう傾向があることを心配する。
 寡聞にして知らなかった「カティンの森」の大虐殺であるが、戦争のもたらす非人間的行為について深く考えさせられた。
60215日(月) 第五次中東戦争へ発展するか。
 ガザ地区に対するイスラエルの攻撃は、今日も益々熾烈になり、空爆に加えて地上攻撃も開始され、ガザ地区の死者は民間人を含めてついに500人を超えた。イスラエルはガザ地区への攻撃を続行することによってガザを南北に二分した。
 国連安保委員会が三度に亘って両陣営に停戦を訴えたが、まるで暖簾に腕押しである。むしろ攻撃は日々激化している。かつて私が中東を訪れた第三次中東戦争のころは、アラファト議長率いるパレスチナ解放機構(PLO)だけがイスラエルと対決していた。今ではパレスチナ暫定自治政府は穏健派のファタハが主導し、過激派でイスラム原理主義組織のハマス、北部のヒズボラがガザ地区内に分散して活動している。当初サルコジ仏大統領が仲介に乗り出そうとしたが、両陣営に相手にされず一度は退いた。しかし、サルコジのスッポン作戦は、ならばと明日イスラエルに入って直にオルメルト首相の説得工作に当るという。イスラエルとファタハに電話で自制を促したという麻生首相もお体裁だけではなく、この果断にしてアグレッシブなサルコジの行動力を少しは見習ったらどうか。戦火はエスカレートするばかりである。目立ちがりやのロシアと、地上の様子を眺めているモグラ中国は渦中の栗を拾う様子もなく、じっとアメリカの出方を見守っている。そのアメリカは、攻撃を続けているハマスこそ戦争をたきつけているとして、ハマスを非難してイスラエルに対しては攻撃を停止させようとの素振りを見せない。これでは難問が解決する筈もない。アメリカはニューヨークに六百万人もの裕福なユダヤ人が居住して、彼らからの見返りが多い。平和とか、人類愛とか、生命の大切さなんかより、ユダヤ人から得られる損得勘定ばかり考えている。
 サルコジがイスラエル入りして果たしてどんな交渉力と説得力を示すことができるか。仮にサルコジに成果があった場合、アメリカの地位と信頼は急速に低下するだろう。
 もしこのままの戦闘状態が続けば、パレスチナが焦土と化すことは間違いない。ユダヤ人国家アメリカ、パレスチナ紛争の火種を作ったイギリス、覇権争いの常連ロシア、モグラのおっちゃん中国はこのまま放っておいて良いと思っているのだろうか。
 さて、今日から日本も再起動である。早速大発会で日経平均は9,000円を超えた。円安傾向も示した。このままこのトレンドが維持されればよいが、専門家の予測でも今年中には景気は元に戻らない。
 通常国会が今日召集された。まずは、人気のない定額給付金を盛り込んだ来年度一般会計予算を成立させようとの政府の目論見である。政策論争よりも常に政局にらみである。政治家の無為無策にはまったく呆れ果てる。
60316日(火) 転機のアメリカはどう決断するのか?
 イスラエルのパレスチナ・ガザへの攻撃は益々激しさを加えている。いつになったら戦火は止むのか。サルコジ仏大統領のイスラエル政府との即時停戦調停は結局失敗に終った。パレスチナ暫定自治政府を代表するファタハは停戦を受け入れる姿勢を示したが、過激派のハマスがイスラエルの存在自体を認めない態度を取っていて、イスラエル側が妥協することを拒否した。この間国連はまったく無力である。アメリカが反対するとこうもすべてが機能しなくなるものか。その意味では反面教師のように、アメリカはその存在感と力を見せつけてくれたようなものである。
  アメリカにしたって、今はそれどころではないというかも知れない。自動車産業ビッグ3の経営不振は落ちるとこまで落ちて、政府が相当な覚悟で資金援助しないと数ヶ月でまた行き詰まるそうだから、えらいことである。どうしてこうもジリ貧になるまで誰も緊急事態に気がつかなかったのか。3社の販売実績は対前年18%減である。アメリカ市場におけるシェアが50%を割った。
  アメリカ政府にとって政治的、外交的、かつ経済的に清水の舞台におけるシビアな決断を迫られている。オバマ次期大統領はまだ公式に動けず、さりとてメッキの剥げたブッシュ大統領では、説得力と指導力を失っている。さあ、アメリカさん、どうする?どうする?
  今朝の日経紙によれば、各地方自治体に「隠れ債務」が30兆円あるという。これまで地方債など自治体が抱える借金は約200兆円とされていたが、このほかに企業などが積み立てている退職給与引当金が加算されていないことが明らかにされた。損益計算書は作っていたが、貸借対照表が作成されていなかった。これで当然かかる経費が帳簿から落ちていたことになる。これにしたって、これまで誰も気がつかなかった、放っておいたこと自体が怠慢でずるいやり方ではないか。都合の悪いことは表に出さない役所の隠蔽体質が、こういうところにも表れている。
 ところで個人的に昨年秋辺りから血圧が上昇気味で、このところ上が160前後になってきて、些か心配になったので、森内科で診てもらったところ、下は比較的安定しているので、今服用している血圧降下剤を現段階でワンランク・パワーアップした降圧剤に代える必要はないとの診断だった。寒い時期を考えて仕事にあまり精を出さない方がよいとアドバイスされた。それは、その後松本整形外科で診てもらっても同じだった。松本先生からも少し仕事の手を抜いたらどうかと言われてしまった。どうもひとつのことに掛かりきるとそれに没頭してしまう熱中症のキライがある。年齢を勘案して、ゆっくりゆっくりを心がけるように自戒しなければいけない。
 正月明けということもあり、いずれの医院も千客万来で随分待たされた。混雑する整形外科へ中年のインド人夫婦と妙齢の娘がやってきたが、狭い待合室で大声を出してペチャクチャ話し続けて煩くてしようがない。他の患者も迷惑そうな顔をしていたが、話を止めるどころか、オクターブの高いインド方言は一向に止む気配がない。ついに見るに見かねて、もう少し小さな声で話してくれと英語で注意したら、母親が不満そうな顔をしながらも、少し小声になった。だが、その内に揃って外へ出て行ってしまった。あの後彼らは戻ってきて診察を受けたのだろうか。あの大声があのインド人親子にとっては当たり前の話し声なのだろうか。はた迷惑も甚だしい。インテリ親子に見えたが、節操のない外国人にも困ったものである。 
 思い返すと、昨年多摩大学でおしゃべりを止めない学生を怒鳴りつけたことといい、相変わらずわが若気の至りは止まるところを知らない。血の気が多く衰えるどころか、益々意気軒昂である。
60417日(水) 内向き志向の日本は存在感を示せるのか?
 まもなく離任するトーマス・シーファー米駐日大使が船橋洋一・朝日新聞主筆のインタビューに応えている。大使は日本が自信を失くし内向き志向になっている点を懸念している。そのうえで日本が世界で役割を明確にしていないし、発揮していないことが、アメリカにとって気がかりな点だという。アメリカがそう仕向けているにも関わらずである。大使の懸念の最たるものは、アフガニスタンの安定支援とか、対テロ支援からの「撤退」だそうだ。ただし、大使の述べる根拠には正確な視点がある、と同時にアメリカにとって都合の良いいびつな誤解もあると思う。
  前者については確かに内向き志向であることは残念ながら正しいと思う。大使は、民主党の小沢代表に対して話し合いに応じようとしない点を惜しんでもいるし悔やんでもいる。小沢代表がアメリカの希望に合致しない主張をすることも、小沢代表に好意的でない原因だろう。いずれにせよ日本の内向き志向は海外から日本について誤解を生じさせる最大の原因である。日本が六カ国協議でアメリカはもとより、中国や韓国からも拉致問題だけしか向き合おうとしないという点で批判されている。この背景には、日本の立場を主張する日本側代表の説明不足と説得力欠如がある。これは政治力学はもちろん、外交哲学の問題だと考えている。現在のわが国の政治のあり方、また政治家の能力と哲学から考えると、外交力が身につく筈もないからである。
 後者の誤解については、アメリカに同調することを求められたが、従わなかったことからアメリカの不満をテロ支援からの撤退とすり替えられたのだ。完全に誤解されている。これも説得力が足りないからである。日本の判断がぐらついていた点を見抜かれてもいる。政治家というのは、相手の弱みを利用したり、逆手にとったりするものである。それは外交面でもはっきりしている。
 結局日本は日本たるべき磐石の考えを固めて、喩え相手が同盟国であろうとも動じない、是々非々の立場を貫くことが相手にスキを見せず、長期的には信頼を勝ち得ることにつながる。その点で日本の現在の政治家は、残念ながら当てにならない。
 シーファー大使も言っているように、日本はもっと世界へ向かって政治的行動を起こすべきである。そして、アジアでも、中東でもどんどん仕掛けをするべきではないか。金だけ出して黙っている手はない。行動の中にこそ存在感が浮かび上がってくるものだ。これは私自身の信念でもある。
60518日(木) 時限停戦って何だ?
 未だに解決のメドが立たないガザ地区における戦争状態は、イスラエルの攻勢によって益々悲惨な状況になっている。ガザ地区の死者はすでに650人を超えた。そこへエジプトのムバラクおじさん(大統領)が助け舟を出した。このムバラクという人は、198110月サダト前大統領の暗殺によって、副大統領から急遽繰り上げされた大統領である。サダト前大統領が暗殺された衝撃的なテレビニュースを、偶々出張先のアメリカ・インディアナポリスで観ていたが、その後大して実績も人望もないままに、いつの間にか在任27年を超え、独裁政権の様相を呈してきた。現在80歳である。アラブ諸国の中では唯一イスラエルとまあまあの関係にあった。ガザとエジプトの国境門をイスラエルの意向を汲んで遮断して、あまりガザ寄りの姿勢を示さなかった。ところが、このイスラエルのガザ地区攻撃がアラブ諸国内でエジプトへの非難を急速に強めることになったので、この強い風当たりを避けるために、ムバラクおじさんは急遽停戦調停に乗り出した。アメリカやフランスも一応の評価をしているが、その内容とは停戦は一日僅か3時間で、しかも一日置きの時限停戦だという。こんなへんてこりんな停戦もあるのかなぁ、またこんな戦争あるかなぁというのが率直な実感である。まあ所詮ムバラクの売名、実績作りの停戦であるが、とても本格的な停戦とはなるまい。やらないよりはやった方がいいという程度の3時間停戦である。しかし、やはりと言うべきか、3時間経過して現地ではまた火を噴いた。はてさてこの行方はどうなるのか。
 グッドニュースもある。昨年9月エチオピアのオガデン地方でオランダ人看護師とともに誘拐された、NGO組織「世界の医療団」に所属する赤羽桂子医師が昨日解放された。ソマリアの各地を移動させられていたらしい。犯人もソマリア人だという。今ソマリアは無政府、無警察状態にあり、極めて治安が悪い。ソマリア沿岸では海賊が跋扈している。ソマリア沖合いでは各国の船団がソマリア海賊に襲撃され、被害も甚大である。このまま海賊対策に手を拱いていたのでは、安心して航海することができない。
  これまでの拉致被害者と異なり、赤羽医師のケースは貧しい地域で直接的な医療支援活動に当っていて、現地住民のために献身的に活動されていただけに気の毒だった。解放されてまず良かった。
60619日(金) なりふり構わぬアメリカも末期症状か。
 漸くパレスチナ情勢に対する危機意識が国連安全保障理事会において具体的な結論を導き出した。ガザ地区の即時停戦を求める決議案を賛成多数で採決したのである。
  しかし、14カ国が出席した安保理事会でも、全会一致とはいかなかった。停戦案には反対する国こそ出なかったが、主旨に賛同できないアメリカが採決では棄権を選択した。言い分が奮っている。ライス国務長官は仲介に当っているエジプトの仲介協議の結果を見極めてから決めたいと言っている。いつもは先頭になって独断的に決め、他国にも押しつけがましい行動をとるアメリカが何をこの期に及んでと言ってやりたい。結局アメリカ国内のユダヤ人と彼らの母国・イスラエルにだけ気を遣っているのである。当事者のイスラエルとイスラム過激派ハマスが果たしてすんなり受け入れるかどうかも不透明である。
 朝日朝刊によれば、オバマ次期政権としては「日本が自信を持ち、米国が思いつかないような構想を打ち出し、米国ができない役割を果たして欲しいと考えている。単なる『劣位の同盟国』から、補完的、有機的な関係を築ける対等なパートナーになることを期待している」と相変わらず自己本位なことを言っている。 
 つまりこれがアメリカの本音であり、対日スタンスである。
 経済においても従来のアメリカ的な考えや手法ではセイフテイネットが充分でないとの考え方が浮上してきた。強欲主義でよいのかとの反省である。槍玉に挙げられたひとつの例は、アメリカ政財界のリーダーを育成してきた「資本主義の士官学校」ハーバード・ビジネススクール(HBS)である。HBSの卒業生の四分の一が危機の震源地となった金融界で働いている。金さえあれば何でもできて、大手を振って歩ける。例えば、破産したリーマン・ブラザースのCEOリチャード・ファルド氏は2000年以降330億円の高額報酬を得ていた。そしてリスキーな投資のうえ会社を倒産させた。汗水たらして働くことよりも、労働の手を抜いても金融工学によって最終的に手元資金を残すことが世の勝利者である。これがHBSの指南書である。
 アメリカはすべての面で自己過信している。もうそろそろ目覚めないと他の国々が迷惑するばかりである。そのアメリカのお先棒を担いでいるのが、自己判断できない日本の政治家どもである。
 夜のNHKニュースのインタビューでノーベル賞作家・大江健三郎氏が「今年の正月の新聞ほど暗いニュースが盛られていたことはかつてなかった。・・・・・ものを書くということは想像力が必要である。今の日本には想像力がなくなっているが、それを社会が咎めない」と言っていたのが印象的だった。
 話は違うが、イギリスのインディペンデンス紙によれば、近年の発明品の中で最も重要で下らないものは、カラオケだそうである。次いで、24時間スポーツチャンネル、ゲーム機、携帯電話らしい。
607110日(土) パレスチナ危機はどうなるのか。
 イスラエルがパレスチナ・ガザ地区を攻撃してから二週間になる。前日国連安保理事会で即時停戦が可決されたにも関わらず、イスラエル軍とイスラム過激派・ハマスの交戦は止まない。死者はついに八百人を超えた。エジプトが仲介交渉しているようだが、その内容がはっきり分らない。この対決に対して戦力の弱いハマス側、というよりパレスチナに世界の同情の声が寄せられている。しかし、イスラエルを背後で支えるアメリカは、イスラエルがハマスの攻撃に対して反撃する立場を理解するような下院決議を行った。イスラム諸国の神経を逆撫でするような行動である。当然というべきだろうか、イスラム諸国を中心に反イスラエル・反米のデモが世界各地で起こりつつある。
 しかし、当然ではあるが、イスラエル国内における世論は圧倒的に自己弁護が強く、世論調査では9割以上がイスラエルの空爆は正当化されると回答している。 国連決議を無視され、メンツをつぶされた潘基文事務総長はすこぶる機嫌が悪い。イスラエルのオルメルト暫定首相に電話で失望の意を伝えた。このままでは、いつ解決するのかまったく見当がつかない。どこかで落としどころを見出さないと取り返しのつかないことになり、アメリカは世界中の鼻つまみものになる。年明け早々まったく困ったものである。
 数日前イギリスの高級陶磁器ウェッジウッドが倒産してファンから惜しまれていたが、救いの神が現れた。アメリカの投資ファンドが買収することになった。
  七年前にスコットランド湖水地方のウィンダミアから200km近い道のりをバスで本社工場のあるストーク・オン・トレントを訪れた時、牧場のような緑いっぱいの環境に目を奪われた。工場とか工房の印象はなかった。こういう自然環境の中で芸術品が製作されているのだということを感慨深く受け止めた。あの名品工場が、まさか破産するとは思いもよらなかった。しかし、どんな形であれ、伝統工芸品が残され、後世に伝えられていくのは伝統文化継承という意味でも大いに価値のあることである。
 今日大学ラグビー選手権決勝戦が早稲田大と帝京大の間で行われ、早稲田が対抗戦で敗れた借りを返し、二連覇を達成した。やはり早稲田は試合運びが巧く洗練されている。帝京大監督をして伝統の力と言わしめた。試合とは直接関係ないが、それにしても早稲田は全国から高校ラグビーの超一流選手をスカウトして入部させている。今日の選抜メンバー15選手のうち、11人が高校日本代表選手だった。先週の準決勝では15人中14人が日本代表選手だった。選手を種子を蒔いて地道に育成するのではなく、よそに咲いた花を刈り取るのだ。しかも、入学試験という厳しい試練を乗り越えても優秀な選手を集めてくる。過去45回の大学選手権で三分の一に当る15回の最多優勝回数を誇るのは、こんなところにも原因がある。これはアマチュアスポーツ、なかんづく学生スポーツにしては少し行き過ぎではないだろうかというのが、失礼ながら率直な感想である
608111日(日) 高校ラグビー新人戦は3回戦どまり
 神奈川県高校ラグビー新人戦3回戦が法政二高グランドで行われた。母校湘南高の対戦相手は県立横浜修悠館高であるが、失礼ながらこれまで校名を聞いたことのない学校でシードされるような戦績を残しているわけではない。正月に顧問の芹沢先生に尋ねたところ、制度の改正により旧湘南高通信制が、新たに校名を変更したこの学校に組み込まれたらしく、それなら元々わが母校と兄弟校だったということになる。自衛隊少年工科学校生徒の多い旧湘南高通信制なら結構実績を残しているし、一度戦ったこともある。かなり手ごわそうだということは分っていた。母校の1~2回戦の戦いぶりから推して、些か心配してはいたが、FWの弱点は正月にOBが練習台となって鍛えてくれていたので、少しは骨のある試合をやってくれるのではないかとの期待感もある。
 試合は立ち上がり続けてトライを2本とられて、完全に相手のペースにはまってしまった。しかし、徐々にペースを取り戻し、前半終了寸前にセット・スクラムからウィングが右タッチライン沿いに走り抜け、右中間にトライ、ゴールも決まって10-7で前半を終えた。後半は一進一退の攻防の後、湘南はバックスが左中間にトライして、14-10と逆転。稚拙なプレイもあったが、相手にもミスが重なりほぼ互角のまま推移した。ノーサイド5分前にキャッチング・ミスから左隅に攻め込まれ、執拗なモール、ラックの攻めにディフェンスが堪えきれずゴールを割られてしまった。これで再逆転、1417とされ、更にPKを決められ万事休す。よく戦ったが、全般的には押されていた。スコアは2010、トライ数も3-2で負けていた。反省点はいくつもあるが、前2試合の戦いぶりから察すれば、今日の試合は充分力がついていたと受け取れる。今年もベスト8進出を逃してしまったが、次の目標である春の大会に期するとしよう。
 夕べ近所の和田正温先輩の奥さんから電話をいただき、和田さんが心不全で東京医療センターへ緊急入院したと伺った。今日帰ってから奥さんへ和田さんが気にしている試合結果をお知らせした。容態は安定して今日個室へ移ったそうでほっとしている。
 パレスチナ・ガザ地区では今日もイスラエル軍の容赦のない攻撃が続けられている。死者は850人を超えたそうである。世界各地で、特にイスラム社会ではイスラエルとアメリカに対する非難と抗議が高まって、デモが大型化しつつある。いつまで続くぬかるみぞ。
609112日(月) イスラエルは殺人鬼となるか。
 何年か前に「成人の日」が1月15日から第二月曜日に替わった。今日がその第二月曜日で、各地ではそれなりにさまざまな催しがあった。7年前の「成人の日」(1月15日)には父が亡くなった。自分が迎えた「成人の日」当時は、目前の大学入試をどうやってパスするかということ以外何も考えられなかったし、何も覚えていない。暗い憂鬱な毎日だった。二年間も浪人していて、父からこれ以上浪人すると同年齢の仲間からどんどん遅れて、将来絶対損するからどこの大学でもいいから、今年は決めろと言われた。毎日が追い詰められた暗い日々で、成人式のような晴れがましいことなんか考えたこともなかった。あれからちょうど半世紀、50年になる。
 ある意味では、折角の「成人の日」を周囲からも、自分自身でも祝うことがなかったのは、ほんのひと時ではあったが、不幸と言えば不幸であったかも知れない。
 さて、パレスチナ・ガザ自治区におけるイスラエルの残虐ぶりが少しずつ明らかになってきた。AFPによれば、死者は885人、加えて「白リン弾」を使用していることが分った。この「白リン弾」は敵の目をそらすために煙幕を張ったり、塹壕に隠れている敵をあぶりだすために使用されるが、化学兵器とは看做されていないために国際条約上禁止兵器とは考えられていない。しかし、人体への影響が残るため非人道兵器と指摘され、人権団体からの批判も多い。ガザ地区のような狭く、住民が密集する場所でこういう兵器を使うこと自体どんなに甚大な人的被害をもたらすかは、火を見るより明らかである。それを承知のうえで、蛮行を重ねているイスラエルは確信犯である。
 折も折小中陽太郎氏からメールをいただいた。パレスチナの現状を伝えるとともに、日本政府がイスラエルの残虐行為に対して抗議をしないアメリカ寄りの姿勢、アウシュビッツの悲劇を味わったにも関わらず同じような行為を行うイスラエルへの義憤を思い、どうしてこの残虐行為を止めさせるべきか、効果的なアイディアや意見を募ってこられた。私も考えているが、在日イスラエル大使館へデモをかけるとか、ガザ地区支援のための義捐金を集めることぐらいしか咄嗟には頭に浮かばない。
 これから考えて提言はしたいと思っているが、行動までできるかちょっと自信がない。しかし、現時点で日本政府はもちろん、日本の政治家が誰ひとりとしてイスラエルの攻撃を止めさせるための具体的な提言とか、行動を起こそうとしていない。この一点だけを見ても、日本の政治が内向き志向だということが分る。しかもみんなアメリカに気兼ねしている。その一方で、当然パレスチナに同情的と見られる共産党や社民党がまったくイスラエル非難の声を上げないのはなぜか。どうも腑に落ちない。それにしてもイスラエルのやり方は酷い。恨みを後世に残し、将来のイスラエルにとって決してプラスにはならないと思うのだが・・・・・。
610113日(火) ガザでは戦火、日本ではノー天気の政治 
 昨日パレスチナ・ガザ地区支援問題に関して、小中陽太郎氏へ宛て私見をメールした。我々の声がマス・メディアを通じて政治へ届くと信じようというのが小中氏からいただいた返信である。それにしても今日の国会は第二次補正予算案の是非について建設的な議論が交わされたとはとても思えない。与野党の足の引っ張り合いの挙句、自民党代議士が無断でビデオを撮っているのがばれてカメラを取り上げられるお粗末な一幕もあった。まさに内憂である。渡辺喜美・元行政改革大臣が自民党を離党する会見を行った。パレスチナ問題なんかまるで頭の中にはないようだ。目先のこと、しかも本質論から外れた議論ばかりで、多くの尊い生命が砲火の中で無残にも失われつつあることなんかまるで眼中にないようだ。
  夕方のNHK「クローズアップ現代」では、今回のイスラエルの強行作戦について、パレスチナ自治暫定政府の内紛につけこんだイスラエルの本気の戦争だと断定していた。パレスチナ側の内輪もめが巧みに利用されている。パレスチナ自治区がヨルダン川西岸とガザ地区に分断されていることも問題を複雑化している。しかも、暫定自治政府を代表しヨルダン川西岸に本拠を置いているのが穏健派のファタハであり、一方住民から信頼され06年の選挙で勝ちガザ地区において主導権を握ったのがイスラム原理主義組織・ハマスである。イスラエルの狙いは、敵対する過激派ハマスを徹底的に叩いて掃討した後に、条件付で穏健派ファタハと協定を結びたいと考えていると見られている。
  死者はすでに900人を超えた。エジプトの調停案はまだ提示されていない。イスラエルとハマスは国連決議を受け入れる気は毛頭ないという。戦禍は雪だるま式に増えるばかりである。
  今日麻布十番で芳野満彦さんにお会いした。来月10日の出版記念会にご出席の確認をして、山の絵を2点購入した。絵画は出版記念会で出席者に抽選でお贈りしたいと考えている。芳野さんにも喜んでいただいた。
611114日(水) 東大紛争からまもなく40
 昨日ジャーナリスト北岡和義氏から雑誌「現代への理論」新春号への寄稿文をメール送信してもらった。「オバマ圧勝、究極の民主主義、その光と陰」と題して15頁に亘る力作である。やはりアメリカに27年も在住して取材現場に関わっていたジャーナリストの見る目は、的確に本質を見抜いている。外面は黒いが中は白く、ナスビと言われるオバマの白人的な考え、さりとて完全な黒人でもないエリートが選挙期間中に自分の人種的な気持ちを外へ出さないようセーブして行動していたとは、並の人物ではない。
 北岡氏も忙しそうで、元日からアメリカへ行っていたという。日大国際関係学部の非常勤講師を務めていたが、昨年特任教授になったと知らせてくれた。先日のヨタロウ会では、むしろ私の活動に刺激を受けたと言っていたが、どうしてどうして、北岡氏は専門的な分野で派手に活動している。
 昨年暮れ以来「知的生産の技術研究会」で「知の現場」を出版するため東洋経済新報社へ企画書を提出する準備を進めて、その作業のまとめ役を秋田事務局長にやってもらっている。出版社との窓口は久恒理事長とは旧知の編集部長だそうである。今日秋田さんが作成した企画書前文を下敷きに自分なりにたたき台としてまとめてみた。それをプロジェクトの仲間へ送ったところである。今年はこの知研の出版が大きな仕事になりそうだ。
 夜は2時間ものテレビ番組「東大落城」を感慨を持って観た。東大紛争からもう40年も経った。懐かしいフィルムもふんだんに使われ、学生のヘルメットに書かれた「全共闘」「中核」「反帝学評」を見て郷愁を感じたくらいである。あれは1969年1月18日寒い中で放水車によって水を被った学生が震えていたのが印象的だった。60年安保闘争からすでに9年が経過していた。翌年が70年安保闘争だったが、確かあまり盛り上がらず外野席にいた自分としては、少々がっかりしたのを憶えている。それに比べれば、この東大紛争は、医学部改革を主に、全学的にベトナム反戦を訴えていた。その流れもあって当時この東大紛争には強い関心を持っていた。いろいろ批判はあったが、あの紛争をリードした学生たちの元気さは、今の学生には露ほども感じられない。個を抑えて大きな目標のために活動した、われわれよりも10年遅れの若者たちの勇気と元気を誉めてやりたい。
 久しぶりに学生運動に心を奪われた。
 パレスチナの戦火はまだ当分続きそうである。
612.1月15日(木) イスラエル、ますますエスカレートへ
 今日は父の命日である。亡くなって7年になる。わがままで頑固な父だったが、割合われわれ兄弟の言い分を聞いてくれた。今生きていればちょうど百歳になる。時折父の元部下だった方からいろいろ思い出話を伺うが、父が生きていればきっと私の著述について喜び、理解してくれたでしょうと言ってくれた。父も明治乳業の役員をしながら、ペンクラブやエッセイストクラブの会員として、話し方の教室を始めたり、タウン誌に寄稿したり、かなり地域でも自由に活動していた。普段はあまり思い出すこともないが、やはり命日になるとふっと思い出す。おねだりをしたことはあまりないが、いざという時には相談に乗ってくれた。私には頼りになる父親だった。
 今日もガザ地区に対するイスラエルの攻撃は容赦ない。死者はすでに1,030名を超えた。空爆のほかに、イスラエルは市街戦も視野に入れているという。この期に及んでなお攻撃の手を緩めようとしないのは、徹底的に掃討しようと企んでいるからに違いない。ハマス側の攻撃に対抗するためであるというイスラエルの自衛的な言い訳は、ここまで攻撃的になると最早通用しないのではないか。小中陽太郎さんもメールで書いていたが、「ガザはいたいけな子どもたちの血で染まりました。かつてアウシュビッツほかで民族クレンジングの悲劇を体験した民族が、今度は同じ無法行為を行うとは歴史の教訓を履き違えています」。
  イスラエルの悪質さは、停戦交渉のためイスラエルを訪れていたパン・ギ・ムン国連事務総長が外相と話し合いを行っている効果的な時期を狙って攻撃したことである。流石のパン総長もイスラエル側に怒りを伝えた。アウシュビッツに関してイスラエルは世界の同情を買い、イスラエルも悲劇を強く訴えてこのような残虐な行為を絶対防止しなければならないと被害者として説得力ある行動を行っていたが、このイスラエルも一皮剥けば凶暴な殺人鬼になることを世界中に曝け出した。イスラエルの正義はもう通用しない。
  今日ついに南米のボリビアがイスラエルと外交関係を断絶すると発表した。それにしても従来の外交姿勢から当然断交を主張し、他国にも働きかけると見られたロシアと中国が、一向に明確な態度を打ち出さないのはまったく不可解である。
613.1月16日(金) 危機一髪! 旅客機が不時着水
 ニューヨークで今日奇跡が起きた。ニューヨークのラ・ガーディア空港を離陸したUSエアウェイズの旅客機が、ニュージャージーとマンハッタンの境界を流れるハドソン川へ不時着水したが、幸いにして乗員・乗客合わせて155人の命に別状がなかった。不時着水だから滑走路上の胴体着陸に比べてややショックは小さく、火災発生の危険はない。だが、今まで何度かこのハドソン川をフェリーで往復して感じたのは、大小取り混ぜて一日中往来する船舶が多い船の過密地帯であり、航空機と船舶の衝突の危険性が極めて高いことである。例え航空機は着水の準備ができたにしても、航行する船が上空から飛び込んでくる航空機を避けることはほぼ不可能に近い。そんな絶体絶命の窮地をパイロットは見事に切り抜けた。アメリカでも機長の機転と操縦技術に絶賛の声が上がっている。実際飛行機が墜ちて乗客が全員救助されたという話はこれまで聞いたことがない。
 原因は「バードストライク」と云われる鳥の吸い込みだそうだ。群れとなって飛んでいる水鳥が両翼に付いているエンジンに吸い込まれた結果である。二つのエンジンが機能しなくなり、急速に機体は急降下した。下手をすれば、地上の物体を巻き込んだ大事故につながる可能性があった。このピンチを冷静な操縦判断で救った元米空軍戦闘機のパイロットだった機長をヒーローだと言っている乗客もいた。大事故につながらなくて本当に良かったと思う。日本国内でも大事故にはつながらなかったが、過去に事故一歩手前というバードストライクはしばしば起こっているそうである。
 今日の「JAPAN NOW観光情報協会」の定例観光セミナーは、講師が協会理事であり、高崎経済大学教授を務めている寺前秀一氏である。事前にタイトルが「1930年代の観光」と聞いていたので、どんな内容になるのか興味を持っていた。あの戦争前の暗い時代に観光がインバウンドを中心に結構流行っていたことを強調されていた。興味深かったのは、「観光」という字句は必ずしも易経による「国の光を照らす」ということではないということを寺前講師が主張され、明確ではないにしろ、疑問や異論もあって中々面白い意見交換の場となった。
614.1月17日(土) 阪神・淡路大震災、満14年目を迎える。
 阪神・淡路大震災から今日で満14年になる。その当時は地震であんなにびっくりしたことはなかったと思った。朝起きてテレビ画面で神戸の街の至るところから黒煙が上がり、アナウンサーが絶叫口調で被害の甚大さを訴えていた。6,434人もの尊い生命が犠牲になった。今でもあの時の興奮が甦ってくることがある。
 しかし、その四年後である。実害はなかったとは申せ、自分自身も大地震に巻き込まれる当事者になってしまった。トルコのチャナッカレで20世紀最後とも言われた大地震に遭遇してしまったのだ。まさか外国の地で自分自身があのような大災害に巻き込まれるとは思ってもいなかった。ホテルの七階に宿泊していた明け方に、突然大揺れに揺れた地震は、多くの建物を倒壊させ、一万七千人もの被害者を出す大参事となった。その件については、近著「停年オヤジの海外武者修行」に一項目分まとめて書いた。今となっては懐かしい気がしないこともない。結果としてこのトルコ大地震は、私が書物を書くに当って題材の一部を提供してくれることになった。地震を通してトルコの文化の一端を知ることもできたし、中世オスマン・トルコ文明の骨太さも学ぶことができた。幸い本書は、増刷されることになり、第二刷が昨日手元に届いた。第一刷の出来上がりから出版社に修正をお願いした、帯表紙のコーティングと本文中の写真の陰影箇所が、希望通り良くできていて満足のいくものである。これも何とか在庫ゼロにして、三刷にまで持って行きたい。
 さて、最近の内外ニュースのうちで最も脚光を浴びているのは、外国ではイスラエルによるパレスチナ・ガザ自治区への攻撃であり、国内では不況に伴う企業の人員解雇である。
 イスラエルはリブニ外相をワシントンへ派遣してライス米国務長官と緊急会談をさせて、停戦へ向けた下打ち合わせをやっているようだ。しかし、イスラエルの行動には、国際批判の厳しい目をそらせ、早目に有利な条件を勝ち取りたいとの思惑がミエミエである。その思わせぶりなパフォーマンスは、ハマスの意向に一切耳を傾けることなく停戦を一方的に宣言する戦術に出ると噂されている。なんとまあ手の込んだ手前勝手なことを考えるものか。そのイスラエルの考える姑息な手段にアメリカも手を貸そうというのだから、民主主義のご本尊を自称するアメリカも始末に終えない。やはりアメリカはイスラエルとは手を切れないのだ。死者はすでに1,100人を超えた。
 国内問題では企業の非正規社員解雇問題で、新たに三菱自動車が1,600人を解雇するという。トヨタ自動車では、国内生産を半減するというから、いずれ社員解雇につながるだろう。一向に曙光が見えてこない。
 残念ながら新年早々あまりめでたい話はない。
615.1月18日(日) イスラエル一時停戦、そして再戦
 昨日イスラエルが一方的停戦を発表すると噂が流れたが、事実イスラエルはメリットを計算したうえで一方的停戦宣言をした。しかし、案の定と言うべきか、数時間で停戦宣言をしたイスラエルが空爆を再開した。停戦時間内にガザ地区から、イスラム原理主義組織ハマスがイスラエル南部へロケット砲弾を撃ち込んだことをその理由としている。
 これでまた元の木阿弥となってしまった。今日までにすでに1,200名を超える生命が失われた。今朝の朝日新聞を見るとほぼ2面に亘ってイスラエルとガザの戦火に関する記事が掲載されている。その中で、駐日イスラエル大使の発言が、一方的にハマスを非難して、非は相手にありの一点張りである。その上パレスチナ国家ができてイスラエルと共存していくためには、ハマスではなくハマスに対抗するファタハがガザ地区の支配権を取り戻すことを望むと堂々述べている。これは外交官として他国の内政に介入する発言で治外法権的な発想であり、パレスチナにとっては大きなお世話であり、許しがたい発言だろう。こういう外交官の本音が束になったのが、イスラエルという国家の体質であり、外交政策であると思う。今度の衝突がこの先一時的に回避されるような結果になっても、今後激しい戦争にはならないという保証はあり得ないように思う。このような対立を知りながら、まったく手を差し伸べようとしない日本を始めとする大国の無慈悲さにはがっかりする。
 一方、今夜放映されたNHK番組「ETV特集・ミャンマーに医療のかけ橋を」を観て感動した。ビルマ(ミャンマー)における地域医療で日本人医療チーム(ジャパン・ハート)の活躍ぶりが、ビルマのサガインで展開される。医療施設も不十分で、待遇も悪く、休みもほとんどない。言葉も通じない。完全なボランティアである。この中で日本人医師と看護師が献身的に、ビルマの人たちのために働いている。指導者の博愛的な信念にも感動した。なんでもやればよいというものでもない。現地で働くチームが疲弊したのでは元も子もない。期間が過ぎたら日本に帰り、日本のどこかで一定期間医療活動に当たり、その後またその気になったら海外で活躍してもらうというローテーションを考えている。患者と正面から向き合い、不可能なことはダメとはっきり宣告する。患者との会話を大切にして何とか意思を伝えようとする。若い医師は何でもありの現場治療から少しずつ医師として成長していく。ビルマ人の患者、家族と医療チームのコミュニケーションが素晴らしい。
616.1月19日(月) ようやくパレスチナも休戦か。
 漸くイスラム原理主義組織ハマスも条件付きで停戦を受け入れることになった。ごちゃごちゃあったが、これで一応戦火が収まることを期待したい。イスラエル同様に、窮地に追い詰められたハマスも一方的な停戦宣言である。条件としてイスラエル軍の一週間以内のガザ地区からの撤退を求めている。これはイスラエルも同意した。最初の戦火が交わされてから3週間以上が経過している。すでに1,300人を超える犠牲者を生んだ。停戦と言ってもいつまた戦闘が再開されるか分らない。相変わらず爆弾を抱えていることには変わりない。両者の間にはそれくらいお互いの憎しみ会い、神経をとがらせる要因がある。
 イスラエルとしては、ハマスを制圧すればしたで、別の心配もある。ガザが権力の真空地帯になり、この機に乗じて国際テロ組織アルカィーダが潜入してくることを恐れている。イスラエルにとってはこの地域でアルカィーダが勢力を広げることは、貧しいパレスチナ自治政府が穏健に統治することに比べれば、懸念材料としては遥かに大きい。
 とりあえず停戦ということになったが、これから先パレスチナの将来はどうなるのか。イスラエルはこのまま大人しくしているのか。長期的にも短期的にも心配の種は尽きない。
 しかし、今回の騒動で国連の力の弱さとその力が失われつつあること、アメリカが自国のエゴのために主導的な役割を果たすこと、つまり仲介の労をとることに尻込みしたこと、大国の力が通用しなくなったこと、イスラエルとアラブの対立が一層険悪になったこと、等々が明らかになり、今後に問題を残した。
 日本では、現在雇用が大きな社会問題となっているが、そのほかに今日の国会では相変わらず消費税アップ問題で非建設的な論議ばかり行われていた。消費税を上げざるを得ないことは、認めたくないが税収不足面から現状では止むを得ないのではないかと思われる。民主党が主張する行政の無駄を省くという説には、行政当局がすんなり受け入れようとしないので無理だと思う。一般会計予算が新年度88兆円と大幅な増加傾向に対して、昨今の経済状態から推して税収不足は明らかで、これを解決する名案は中々浮かんでこない。とても国の税収不足を補いきれない。結局消費税に頼らざるを得ないのではないか。ただ、消費税をどのように使うのかという肝心な点に論議はなく、あまりにも無為無策で知恵がない。アイディアも提案されていない。単に、いつから上げるか。上げ幅をどうするかということにしか知恵が回らない。これだから、小泉純一郎元首相が、先日突然マイクの前で、衆参両議院を統一して議員数も500人程度に減らした方がよいと提言して一部で喝采を浴びていたが、暴論ながらも一理ある。
 無駄遣いばかりで、無責任な国会議員ゴッコはもう止めてもらいたい。
617.1月20日(火) バラク・オバマ氏第44代米大統領に就任
 まもなくバラク・オバマ氏がアメリカ大統領に就任する。もう何日も前から就任式のリハーサルが繰り返され、当日の式典に参加する聴衆は過去最大とも噂されている。国内外が多事多難の中で、政治的に世界の最高位と見られている職責を全うするには相当の能力を発揮し、課せられた重い責任を果たさなければならない。時差の関係で日本にニュースが伝えられるのは明日になるが、今後オバマ氏の実行力がどのように発揮されるのか見守り続ける必要がある。個人的にはかなり期待が持てるような気がする。
 コロンビア大学のカーティス教授によれば、オバマ氏は①感情的にならない、②ナショナリズムを煽らない、③理念、政策がぶれない、④難しい問題を分りやすく説明する、と評価している。確かにオバマ氏は、終始冷静で賢明な対応をとる。これが国民の安心感を呼ぶのだろう。翻ってわが麻生首相はどうか。オバマ氏とはすべての面で対極にあるのではないか。
 オバマ新大統領がどんな就任演説を行うのか、この点でも世界が注目している。引き合いに出されるのは、リンカーン大統領であり、ケネディ大統領である。それぞれに簡潔にして、説得力のある格調高い名スピーチで、とりわけ若者の共感を呼んだ。オバマ氏もきっと世界中の人々を唸らせ、後世に残るスピーチをやってくれるものと期待している。
 今年初めての「酒のペンクラブ」例会が六本木の「All of me club」で持たれた。このクラブはJAZZクラブで毎晩ライブを行っている場所なので、いつもとは少々勝手が違う。クラリネット、ギターとベースのトリオが生演奏をやってくれた。しかし、何であれ生とか、本物というのはやはり良いものである。
 昨日「知的生産の技術研究会」秋田事務局長から、「知の現場」出版計画について、交渉した東洋経済新報社から、好感触を得たとメールで連絡があった。知研としては久しぶりの書籍出版事業計画であり、企画書自体は時宜を得た内容だと思うので、うまくいくといい。私も編集スタッフの一人として、これから多くの著名人をインタビューしていく立場上、アイディアをどんどん出していきたいと考えている。
 元朝日の加納隆氏さんから拙著を新聞の「書評」に取り上げてもらうひとつの方法として、直接新聞社学芸部「書評」係宛へ送付するのもひとつの方法であるとアドバイスをいただいたので、今日全国の新聞社の中から37社へ拙著を郵送した。取り上げていただければ、有難いし、この先も三刷の道が開けてくるかも知れない。多少の期待をしながら待ちたいと思う。
618.1月21日(水) オバマ政権人気先行でなければ良いが・・・
 派手な演出の中でアメリカ合衆国大統領へ就任したバラク・オバマ氏は早速衆人環視の中で、大統領就任演説を行った。キーワードは、「新たな責任の時代」である。ブッシュ政権で深刻になったアメリカの分裂を修復し、結束を促すため、自らが先頭に立つだけでなく、ひとりひとりのアメリカ国民にも危機突破への自覚と協力を求めたのである。このスピーチがどのようにアメリカ国民に訴求力を持って捉えられたか、果たして名演説だったかは後世の人たちが評価すべきであろう。全米中からお祝いの式典会場に押しかけた、国民の数は実に200万人を超えたという。
 これまでオバマ氏ほどその就任を待たれた大統領は古今東西を通じていない。アメリカのメディア世論調査でオバマ氏の支持率は80%を超え、就任前の大統領として史上最高を記録したと伝えている。それほど新大統領政権は、アメリカのみならず世界中の期待と注目の中で発足した。異常なくらいの盛り上がりである。今アメリカ経済と外交はどん詰まりである。アメリカから広がった金融危機は世界を席捲し、世界中を経済不況の渦の中に引きずり込んだ。対外的な戦略もアメリカの一極集中主義が破綻して、現在ではアメリカ不振と反米感情がイスラム社会を中心に拡散している。
 一方、政権内には経済に精通した陣容を揃えた。マス・メディアは就任後100日が試金石と予測している。カーター政権のスタグフレーションの再来だけは御免蒙りたい。
 対外的な手腕を問われるのはイラク戦争とアフガニスタン戦争、そして急展開を見せてきたパレスチナ問題であろう。すでにイラクからの米軍の撤収を公約の柱に掲げてきた。今後はアフガニスタン戦線の強化へスイッチする。しかし、国防総省が検討している最大で3万人の増派は、下手をすると情勢を悪化させるとの懸念もある。そこへ、オバマ政権発足祝いに停戦作戦を取ったイスラエルの姿勢にどう向かうのか。全イスラム諸国を敵に回してこれまで通りイスラエルの肩を持つのか、イスラエル寄りのクリントン国務長官が就任しただけに、その対応次第では国際社会から異論も噴出しかねない。
 ところで経済活動の指標とも言うべきニューヨーク株式市場のダウ平均が、オバマ政権船出のご祝儀相場が出ると思っていたら、現実は厳しい。2ヶ月ぶりに8,000ドルを割り込んだ。新大統領就任に沸いても市場は一層の景気後退を織り込んでいる。
  当分の間オバマ新政権の行方を監視する必要がありそうだ。
 今日は小田急経理部時代にお世話になった岡村透さんご夫妻に一年ぶりにお会いして、豪華なご馳走に与った。経理部主計課長と平社員という上下関係だったが、温かい気持ちで指導してもらい、あまり好きになれない経理業務で気が滅入ったが、随分気を遣ってもらった。今日はご夫妻と楽しいひとときを過ごすことができた。岡村さんは今も日本公認会計士協会・東京会常任幹事として活動しておられる。積もる話もあり、自由闊達に話すことができた。岡村さんには来月開催の出版記念会にご夫妻お揃いでご出席いただき、乾杯のご挨拶をお願いしている。一時健康を害されたのではないかと心配したこともあったが、お元気そうだったので安心した。
619.1月22日(木) ホワイトハウスというところ
 「NATIONAL GEOGRAPHIC」今月号に「知られざる米大統領の日常」という特集記事が掲載されている。公的な仕事場と私的な家庭をひとつにした個人商店のような、通常ホワイトハウスの窺い知れない一面と、年に5~6回予定される大統領の外国訪問の際の対応について興味津々のホワイトハウス情報をリポートしている。
 この特集の中で意外だったことが3つばかりある。ひとつは、普段大統領が移動に使用している専用リムジーンは、特別仕様でテロリストからの毒ガス攻撃にも耐えられるようになって、車内は外部の音を遮断する完全な密室構造になっている。重さも4.5トンもあるという。大統領が外国訪問する時にも、いつも思い通りに使用できるように航空貨物機でスペアの専用車とともに海外へ運び、訪問先でも国内と同じように利用するというから恐れ入る。
 二つ目は、外国を訪問する時、しかも大規模に移動する時は、総勢800人もの人が動き、専用機「エアフォースワン」には、大統領夫妻とスタッフ30人、シークレットサービス100人以上、そして14人のプレスが乗り、他のプレスはチャーターされた別の航空機で追随する。しかも、支払うべきその航空運賃はファーストクラス並みだそうである。
 三番目に驚くのは、ホワイトハウス内で開かれる晩餐会、外交団を招いたレセプションに掛かる費用は税金で賄われるが、日常的な家族の食費はすべて大統領の負担だそうである。第一級のシェフを多数雇い入れ、高価な仕入れのために、初めて請求書を見たファーストレディはそのあまりに高い食費にびっくりされるということである。
 まあこういう環境の中で多くのスタッフの協力を得ながら世界の政治のリーダーが活動しているのだと思うと、納得することができる反面些かの戸惑いを感じざるを得ない。
 そのオバマ政権はすでに実質的なスタートを切った。最初の日本流に言う閣議で、閣僚に国のため、国民のために奉仕して、自分自身のために奉仕することは控えて欲しいと言い渡したということであるが、当たり前のことで、こんなことを言わなければならないこと自体、勘ぐれば過去においてこういう反倫理的なことが行われていたということを匂わせる。しかし、日本では大臣だって私利私欲に走るケースが多く、透明性という点に関してはアメリカ政府の方がまだしも上だと思う。
 それにしてもオバマ大統領の演説、行動力、雰囲気、若さ、異質な経歴、どれをとってもカリスマ性とか、期待度がこのままだと益々広がっていくような気がする。リーダーシップに非凡なものがある。他方、自らは動けない、動こうともしない日本の政治家の動きを見ているとまったく情けなくなる。率直に言ってアメリカ国民を羨ましく思う。
620.1月23日(金) 世界的経済不況と小学校クラス会
 今朝の新聞を読むと不景気な記事満載に少々うんざりする。曰く「日銀、2年連続マイナス成長」「トヨタ、海外で正社員削減」「ソニー営業赤字2,600億円」「米マイクロソフト、初の大型リストラ・社員5%5千人削減」「米住宅着工件数、最低に」「6大銀、最終利益8割減」等々、国内外の有力企業が軒並み直近の金融危機の影響をまともに受けているのが分る。
 そんな中で「オバマ外交、早くも本格化」「アメリカ再生への道・新エネ産業創出へ結束」とオバマ大統領は中々勇ましい。実行力に大きな期待を寄せられ、一歩踏み出した。翻ってわが日本の政治はどうか。消費税を上げる論議が、自民党財務金融部会と政調審議会の間で「消費税を含む税制抜本改革を行うため、2011年度までに必要な法制上の措置を講ずる」とする付則を盛り込んだ税制改正関連法案として妥協の末に了承された。今の若者風に言えば、「何だよ、これって?」ということになる。麻生首相は就任当初定額給付金と引き換えに、2011年までに消費税を上げるとはっきり明言していた。「ぶれる」首相は、近づく総選挙を前に消費税値上げに批判的な党内事情を配慮してトーンダウンして、玉虫色の決着にした。「決定が必ずしも決定でない」おもわせぶりの文言だけが法案に付されている。日本のリーダーである麻生首相は、こういうその場しのぎの身の処し方で切り抜けることにしたのである。オバマ氏と比べて何と迫力のない、みみっちいことをやっているのか。
 日本の政治が機能していない一方で、他の分野で眉唾ものであるが面白い統計もある。日本経済研究センターが昨年の世界50カ国・地域の潜在競争力ランキングを発表した。少々分りにくいが、長期的、持続的な成長力について企業、教育、インフラなど8項目の主要な指標を分析して偏差値を算出し、今後10年間に一人当たりGDPをどれだけ増やせるかを示しているそうだ。部門別に面白いのは、06年に財政赤字が縮小したことで「政府」の順位が上がったことだそうである。この時期は小泉首相だったので、安倍、福田、麻生の実績によるものではない。
 しかし、よく考えてみると日本経済研究センターがまとめた、この予測統計はあまり意味があるとも思えない。香港が一位、シンガポールが2位を占め、産業生産力のある国や資源国が上位にランクアップされていない。経済力の実態を正確に映し出しているようには見えない。日本が12位へ上がったと喜んでいるようだが、ロシアが30位、中国が34位というのも潜在競争力という観点から少々疑問である。
 日本政府同様に官直営の作業や研究機関には、少々的外れでムダなものも多いのではないかと気になる。多額の経費を注ぎ込む以上、一般国民が納得し、役立つ情報収集と分析を行って欲しいと思うのは至極当然と思うのだが・・・・。
 58年前に卒業した千葉市立幕張小学校(旧幕張町立幕張小学校)のクラス会「和会」は、毎年恒例の新年会を錦糸町の寿司屋で行っているが、今年は私の出版記念会を兼ねて開いてくれた。生憎体調を崩した友もいて、例年は10名くらい集まるが、今日は6名きりだった。いつも肩の凝らない昔話に終始する。今日成績が良くマドンナ的存在だった小林禮子さんが担任だった湯浅和先生に書いていただいた言葉を和紙にコピーして配ってくれた。それぞれの生徒に卒業前に書いてくれたらしいが、誰一人として覚えていない。素晴らしい達筆で次のように書いてある。
  

    「美しい気持でね

  でも
  美しい気持ってむずかしいよ
  一生かかってやるんだよ
  美しい気持でいられたら
  きっと幸福だよ
  元気で」

 この後に湯浅和先生の住所と署名がされている。先生がこどもたちのことを真剣に考えてくれたことがよく分る。
 とにかく素晴らしい先生だった。みんな慕っていた。体当たりで何でも教えてくれた。小林さんが「12歳の時に、一生かかってやることを教えて頂いた私達は、幸せな生徒だったと思います」と補足して書いてくれている。
 私も学生のころに父の仕事の関係で歌舞伎座の入場券を度々手にして、3~4回は先生と歌舞伎を観劇したことがある。22年前母が急逝した一ヵ月後に先生も亡くなられた。千葉市内の自宅で行われた通夜と葬儀に参列して無性に寂しい気持に襲われたことを思い出す。我々同級生もみんな古希を迎えた。いつまでこのクラス会が続くか分らないが、悪戯盛りだったこどもがもういいじいさんとばあさんになった。級長だった高橋繁くんがマメにお世話役を引き受けてくれるので、何とか続いている。せっかくの衆生の縁である。できるだけ縁を大切にして出席するようにしたいと思っている。
621.1月24日(土) マス・メディアに隠蔽工作はないか?
 夕べ遅く小学校のクラス会から帰宅して、風呂に入り自室に入る直前にオバマ米大統領がイスラエルについて好意的なコメントを発表したとのテレビニュースをちらっと見た。就任直後で世界が注目するこの大事な時に、あまり刺激的な発言はしないだろうと思っていたので、一瞬オバマ新大統領もブッシュ前大統領同様にアメリカ国内に根強い親イスラエルの世論に引きずられて、イスラエル殺人鬼派かと実はがっかりした。どんな意図でイスラエル寄りの発言をしたのか今朝の新聞を楽しみにしていたところ、朝日にも日経にもオバマ関連記事は、大統領就任演説全文と妊娠中絶容認ほかチョボチョボ程度である。親イスラエルの発言は新聞でも、テレビでもまったく扱われていない。あれだけ話題のパレスチナ問題について新大統領がどんな所信を示すのか興味を惹かれる場面であるにも拘わらず、発言したことに対して一切コメントが報道されていないのは納得がいかない。
 しばらくして一年前の韓国の火災を思い起こし、またか!という思いがこみ上げてきた。多分この時期にアメリカ新大統領の親イスラエル発言が、アメリカ政府が望まない形で流布され広がることが好ましくないのだろう。発言が野火の如くあっという間に世界を席捲してしまうだろう。今アメリカと敵対関係にあるシリア、イランがオバマ大統領へ祝福を送り、アプローチしようと考えている。こういう動きに水を差すようであってはならない。それがいかなるものか、どうも勘ぐるところ報道管制的な何らかの手が伸びてきたと考えざるを得ない。夕べのニュース報道について特別な筋からの「サジェスチョン」とか、報道したくない理由が日本のマス・メディアにあるのではないか。或いは私の予測は的外れであるかも知れない。私の思い過ごしでなければいい。アメリカ国内ではどうだろうか。
 とにかく昨年一月に起きた韓国・利川の冷凍倉庫爆発による40名即死事件を日本のマス・メディアがすべて隠蔽して外部への報道を止めたのは、マス・メディアとしての責任と義務を放擲した自滅作用とも呼ぶべきものである。この利川事件の真相は、一年を経過して未だに闇の中にある。日本のジャーナリストは誰も真実を突き止めようとしない。昨年12月の岩波市民セミナーの際にも質問したが、講師をはじめとして出席のジャーナリストから明確な答えはなかった。否この事件を知らなかったようだった。やはり、今の日本のジャーナリズムは腐りかけている。願わくば、オバマ発言が報道されなくなったのは、意図的な目的からではないということであって欲しい。
 どうもすっきりしない。しかし、直感ではあるが、日本のジャーナリズムは徐々に崩壊へ向かっているような気がしてならない。
622.1月25日(日) 窮地の横綱朝青龍、5場所ぶりの優勝
 昨日ブログに書き込んだオバマ大統領の親イスラエル発言について、今日もニュースとしては大々的に扱うことはなく、ニュース討論番組の中でこの発言からすればブッシュと同じ政策であり、ことパレスチナ問題に関してはオバマ政権の先行きが心配であるという程度のコメントでしかなかった。話題としては俎上に上がったことは上がった。
  しかし、マス・メディア全体でオバマ大統領のコメントを批判する、アラブ寄りの論調や発言はほとんどなかった。われわれはこのまま黙っているより仕方がないのだろうか。イスラエル寄りということは、いずれあの国連施設を含めてガザ地区を空路からも、陸路からも砲撃を加えるということにつながる。こうなるとオバマ政権が落ち着いたらイスラエルがアメリカを後ろ盾に、パレスチナを攻撃することになるのだろう。
 さて、人気沸騰の大相撲一月場所も今日が千秋楽である。優勝争いが興味を呼んで、当日の自由券を求めて徹夜組も出たそうだから、悪役朝青龍さまさまではないか。結びの一番で3場所連続休場で、引退を賭けて強行出場した横綱朝青龍が、4場所連続優勝を狙っていた横綱白鵬を、優勝決定戦で圧倒して14勝1敗で優勝を飾った。場所前にはまったく考えられもしなかった。
 実力は伴っているが精神面で問題があり、相撲界の看板力士としてわがままのし放題で、とかく問題発言を繰り返して顰蹙を買っていた朝青龍が、心機一転して並み居る強豪を倒して優勝したのだから、その精神力と実力には頭が下がる。
 考えてみるとこれだけ四面楚歌の中にあって、苦境を突破した精神力は並大抵のものではない。今こういう「なにくそ」精神を持って困難に立ち向かう若者が少なくなったと思う。朝青龍は約束したわけではないにしても、優勝を期待されていることは自覚しており、その横綱が引退の瀬戸際にまで追い詰められていた心の内は察するに余りある。自業自得の面もあるが、黙って非難に耐えながらその期待に応えるのは、相当な覚悟が求められる。普段からもう少し行儀よくしたらどうだと思っていた朝青龍だが、今日のところは「お見事!」「あっぱれ!」と言ってやりたい。
 久しぶりに大相撲の醍醐味を堪能した。
623.1月26日(月) 自民党はいよいよ末期症状か。
 ここ数日来昨年分の税務申告の取扱いで頭を捻っている。個人事業主として青色申告を行うのは今年が初めてなので、心構えはできていたが、やはり難しいとか何とかよりも、実際取り扱ってみると知らないこと、分らないことの多さに些か閉口である。勘定科目の決定も迷うところだし、これまでの素人会計では複式簿記というのがどうも分りにくい。しかし、極めて小規模の個人事業主なので、それほど沢山の勘定科目のお世話になるわけでもない。何とか青色申告会の人たちにも教えを請いながら申告書を書きたいと思っている。
 日経紙によると麻生内閣の政党支持率の世論調査では、ついに20%を割って19%となった。麻生首相は昨日珍しく国技館土俵上で、優勝した朝青龍に総理大臣杯を渡してスピーチまでやって、えらくご機嫌だった。これも貴乃花が優勝決定戦で曙を破って優勝した横綱貴乃花へ杯を手渡し、歴史に残る名スピーチをやった小泉元首相にあやかって、ご自分も朝青龍のように乾坤一擲の優勝を勝ち取りたいのだろうか。
 政党支持率にいたっては、自民党の支持率は29%まで下がって12月に比べて6%も下がり、民主党に追い越されてしまった。因みに民主党の支持率は37%で、こちらは4%上昇している。民主党の方がやはりいいというわけではないが、自民党の地盤沈下はどうしようもない。これでは今年中に予定される衆議院総選挙の結果が心配であろう。
  折も折昨日行われた山形県知事選で、二期目当選を狙う、ばりばりの自民党系現職候補・齋藤弘知事を新人の女性候補・吉村美栄子氏が、野党の支援を得て僅差で破り知事の座を射止めた。これには永田町の自民党本部も流石にショックを隠せないようだ。麻生首相が引っ張る自民党も、退潮傾向に一向に歯止めをかけられないでいる。自民党が当面している難問は、自ら蒔いた定額給付金と消費税増税である。これがデッドロックに乗り上げている。しかし、現状では政治にまったく展望が開けない。アメリカは新大統領の下で、金融危機やイラク、アフガニスタン戦争を何とか凌ごうとしている。その姿勢には力づけられる。こういうエネルギーが日本の政治家たちには感じられない。
  もう総選挙で国民の審判を仰ぐより、他に手はなさそうだ。
624.1月27日(火) アメリカ経済も行き詰まった。
 実体経済に表れた金融危機は、アメリカ主要企業を直撃している。すでに自動車産業のビッグ3が従業員削減を実施したが、驚いたのはアメリカ企業が今日一日だけで何と7万5千人もの首を切ったことである。建機業のキャタピラー社が2万人を解雇したのを筆頭に、製薬会社ファイザー社も1万9千人を解雇した。ヨーロッパでもフィリップス社が6千人を削減、オランダの金融機関INGも7千人の削減を表明した。
 日本でも同じように差し迫った状況で主要企業が軒並み雇用削減を打ち出し、すでにトヨタを始めとして自動車メーカーがその実施に入った。ソニーは正社員を含む8千人を解雇するとしていたが、追加措置として2009年度末までに1万6千人以上の人減らしを行うと発表した。安定していた大手企業でどこもかしこもこれだけ雇用の道を封じられてしまうと、社会全体に沈滞ムードが流れることはもちろん、人々の気持が下向きになり、思い切ったことができなくなってしまう。チャレンジ・スピリットが萎えることを懸念している。
 流石と思えるのは、オバマ大統領がまず打ち出した地球環境対策である。二酸化炭素削減についてブッシュ政権の後ろ向きの姿勢から一転して、京都議定書以上の実現へ踏み出すことを明言した。ブッシュ大統領は過去にアメリカが世界最大の二酸化炭素排出国であるにも関わらず、排出ガス削減はアメリカ経済の発展を阻害するという手前勝手な理由で京都議定書を批准せず、世界中の顰蹙と軽蔑を買っていた。それを新大統領はひょいと飛び越えて、その一環として大量の排気ガスを排出する効率の悪い車を排除しようとするもので、具体的にガソリン1ℓで15km以上を走行できる車を生産させるというものだ。こういう果敢な政策は、根強い反対もあるだろうに実行しなければだめだと判断したら、一気呵成に実行に移そうとする行動力には感心する。これだけの実行力は、日本の政治家にはまず無理だろう。
 今日は医者めぐりで、時間を費やしてしまった。歯科、整形外科、内科と順番に3軒の医院を回った。中でも最近高くなっていた血圧がまた高くなって、2週間前から服用している「ブロプレス4」錠を、1錠から1.5錠へ増量した。にも関わらず上が「160」前後を彷徨って期待したほど下がってはいない。ところが内科医に測ってもらったら上が「130」と「127」へ急降下したので、先生には「大分増量した降圧剤の効果が少し出てきましたねぇ」とか、「自宅で測った時は医院で測った時より低いのが普通です。このまま行きましょう」と不本意なことを言われてしまった。実は、効果があまり上がらないので、「ブロプレス4」を2錠服用にしてもらおうかと考えていたところである。しかし、こればかりは、お医者さんの処方に従って言うことを聞くだけである
625.1月28日(水) 税務申告について相談する。
 日経夕刊のコラム「あすへの話題」に経済学者佐和隆光・元京都大学教授が、「私の書斎」と題して新幹線の東京・京都間の車中の使い方として、PCの効果的な利用による書斎というユニークな工夫を述べている。片道2時間20分程度の乗車時間なので、確かに時間的には有効な使い方だろう。佐和教授のように毎月5回も往復し、多忙で原稿を書く時間が中々見つけられない人だとどうしてもムダのない時間の過ごし方を考えるのだろう。実際に車内で原稿も大分書くらしい。佐和教授のような高名な学者にして、一ヶ月に四百字詰め原稿用紙に換算して、50枚の原稿を書くとのことだが、字数だけから言えばそんなに多いとは思わない。私だって文章の質とか水準を問わなければ、その程度、否それ以上は書いている。むしろ一瞬だが日頃から忙しい著名学者でもこの程度の分量なのかなとやや意外な感じがしたくらいである。
 今日は青色申告書の記入方につき、玉川青色申告会の相談会に出向いて約1時間指導してもらった。中々分りにくかった点についてもある程度理解することができた。しかし、まだまだ分らないことが多い。相談員と話してみると勘定科目の内いくつかが自分で考えていたものとは違っていたり、想像できなかったような勘定科目が出てきて、やはり特殊で専門的な仕事だと痛感する。習うより馴れろということかも知れないが、観念的に憶えても実務を念頭に記入してみないと中々分りにくいものだ。判断基準が分かれる事柄は自分なりの根拠を税務署に説得できるかどうかということも大切だと思った。だが、経験を積み馴れてくれば段々分るような気もする。2月16日の申告日までに、実際に書類に記入して作り上げてみて改めて相談に伺おうと思っている。
 それにしても初体験というのは、何かと戸惑い気を遣うものだ。
626.1月29日(木) 北方四島ビザなし交流に外務省の無策・無関心
 高級官僚の怠慢と不誠実さが露になったのが、国後島への上陸断念で子どもの使いのようにそのまま根室港へ舞い戻ってきた「ビザなし交流」事業のお粗末である。これはプライドばかり高くて、現場に立って考え汗を流すことをしない外務官僚の典型的な手抜きとしか言いようがない。
 この北方四島事業は遅々としてはいるが、曲がりなりにも17年の間細々と続いてきた、堅実な国家事業であった。それがなぜこんな情けない結末になってしまったのか。ことは、ロシアが要求する「入国カード」に記入しなかったというだけの瑣末な手続き上の問題ではない。
 頓挫した背景にはロシア側の国内事情もある。2002年のロシア連邦法の改正で出入国カードの記入が義務化され、その管理機関である移民局が、ロシア外務省に対してビザなし交流を特例として認めることは連邦法違反であると抗議をした。この政府内の対立の結果、ロシア政府内が不穏な空気になり、ロシア政府から日本の外務省に対してこの先の入国承認事情について知らせてきた。しかし、わが外務省はこの微妙な空気に鈍感でさほど重大視しなかった。ロシア政府から難しい国内事情の通知があったにも関わらず、外務省は移民局から妨害的なメッセージがないとして、確認をとるとか、じっくり腹を割って話し合うという手までは打たなかった。敢えて厄介で堅実な交渉を行わなかったのである。はっきり言って手を抜いたのである。軽率であるし、誠実さのかけらも感じられない。外務官僚は自らの仕事は何だと思っているのか、つまりこの事業のために彼らはまったく動かなかったのだ。
 普通でもロシアという国は自国のためには、いかなる狡猾な外交でも展開するしたたかな新帝国主義国家である。こんなロシアの体質を熟知している筈の外務官僚が、直接自分を利することのない余分な?業務には手を出そうとしない。何度確認を取っても心配な国なのにである。そんな当たり前の知識も常識も分っていない。それが威張ることだけは一人前で、「渡り」を繰り返している官僚体質なのである。外務省は今後この難問をどう解決しようというのか見当もつかないが、高級官僚なんて国を毒することはやっても国を利することはほとんどやらない。遠からず旧島民の墓参の希望も叶わなくなってしまう。どうしようというのだ。われわれは官僚の怠慢と利己主義をしっかり肝に銘じておく必要がある。
627.1月30日(金) 経済も、自然も、ボンクラ大臣もすべては闇の中
 今日本は百年に一度の経済危機に見舞われていると言われているが、現実に厳しい数字と企業の現実的な対応が新聞に溢れている。今日の日経、朝日の朝夕刊紙上だけでも次のような見出しが踊っている。「雇用・生産一段と悪化―12月失業率4.4%、41年ぶり悪化幅」「トヨタ営業赤字4,000億円」「非正規社員失職124,800人」「内定取り消し、過去最悪」「鉱工業生産前月比9.6%低下」「東芝、営業赤字2,800億円」「日本板硝子、社員15%、5,800人削減」「丸井今井民事再生法」等々、日本中がこれだけ暗い話で覆われているのである。
 名だたる有名企業も軒並み討ち死にである。トヨタでは生産調整のため今日は国内12工場のうち11工場で一斉休業した。雇用を確保するための生産削減であり、ワークシェアリングの動きである。一方でこんな奥の手も出てきた。大手企業の非正社員の雇用を守る手段として、企業がこれまで蓄積してきた内部留保に注目が集まっているのである。共産党が主張する「内部留保を労働者へ」のスローガンに、河村長官が「内部留保はこういう時に活用を」と乗っかり、割合まともな与謝野経済財政相も「何兆円の内部留保を持っているところが職を簡単に奪うのはどうか」と官房長官のコメントに歩調を合わせている。しかし、公認会計士のひとりは、内部留保は経営者が預かってはいるが、基本的には株主のものとはっきり言う。企業としては、手元資金が枯渇すれば心理的な不安は限りなく広がる。結局ここまで追い詰められているというのが、実態なのである。
 他方で酷い話があるもので、やる気を失った大臣が国会議場で演説原稿を26箇所も読み間違えていたそうで、後になって所管の役所が議事録の訂正を申し出て分ったそうだから、何をか言わんやである。このやる気を失っている大臣とは、麻生首相の右腕と言われている中川昭一財務相である。漢字を読めない首相とは違い、字を取り違えて読んでしまうのだから、一層酷く始末に終えない。特に、「歳入」を「歳出」と読み違えたり、数字を一桁間違えたりしたのでは、予算が大きく狂ってしまうではないか。中川大臣は以前から酒の上での間違いや勇み足が多かったようだが、とてもご愛嬌と言って許せるものではない。こういうアル中大臣は当然のことながら、辞めてもらうより仕方がないのではないか。
 このところ毎日厳しい寒さが続いている。加えて今日は朝から冷たい雨も降っている。例年冬の間は降雨が少なく空気が乾燥しがちだ。それが、今日の東京は92%の湿度だった。これだけ空気が湿っていると風邪も流行らないというのが一般の常識であるが、今年はインフレを始めとして風邪も結構流行している。経済だけに留まらず、自然現象も異常な状態になってきたのだろうか。
628.1月31日(土) 公的資産取引を情報公開せよ。
 一週間ほど前から郵政事業を管轄する鳩山邦夫総務大臣が、日本郵政が所有する「かんぽの宿」と称する、かつての簡易保険契約者利便のために作った宿泊施設のオリックスへの一括売却に待ったをかけたことが物議を醸している。
 新聞記事に掲載されるだけでなく、大新聞の社説でも情報公開せずに自論だけを主張する双方に対して厳しい指摘がなされている。そもそも鳩山大臣は日本郵政が郵政民営化懇談会座長の役を務めた、宮内義彦氏が会長を務めるオリックスへ宿泊保養施設を一括売却する取引は、出来レースであり国民は納得できないし、売却価格も安すぎると怒り出した。70施設で総額109億円という売却価格は、確かに土地、建物を併せた簿価2,400億円から考えれば破格のビッグセールである。遂に鳥取の施設に至っては、転売の過程で1万円で売却したものが、老人福祉施設として6千万円で購入されたという話まで明らかになった。他にも怪しい秘密が隠されているのではないかと今や疑心暗鬼を呼んでいる。濡れ手に粟で5,900万円を設けた仲介の不動産業者とは現在連絡が取れないというデタラメぶりもこの取引に影を落とす。業者の選定に当っても不明瞭な闇の部分が隠されていたのではないか。
 大臣の言い分も一応筋が通っているが、感情的に主張しているだけで正確な資料や裏づけが示されていない。ただ、この不透明な取引が調査されるにつれ、少しずつ事実が明らかになってきたのは、大臣の功績と言ってもいいだろう。
  今や民間会社となった日本郵政にもそれなりの言い分があるらしい。施設はひとつずつ売却していたのではとても時間がかかり、しかもほとんど商品価値のない施設には買い手がつかない。いつまでも塩漬けにして、赤字を垂れ流すわけにもいかない。一日も早く処分をしたい。まあこんなところだろう。
  それにしても住友銀行頭取まで務め上げた日本郵政・西川社長にしては拙速に過ぎたのではないか。銀行マン上がりにしては勘ぐりたくなるパフォーマンスである。噂される通りオリックスに対する審査が甘かったのではないかと考えざるを得ない。この取引に私情が挟まれることはなかっただろうか。
どうも銀行というところは、経済が順調な場合は表沙汰になることは少ないが、一旦頓挫すると民間企業の諸悪の根源であると思わざるを得ないことが少なくない。机の上だけで資金を動かし、利益を得る。現場で苦労する労働者の気持を忖度できない非情な一面がある。そういう長年の慣習が、銀行マンの小賢しく、ずるくて利己的な性格を作り上げるのではないか。
  鳩山大臣派と日本郵政の言い分がガチンコ勝負になった。日本郵政も強弁は止めたように見えるが、巻き返すことも考えているのではないだろうか。言いたいこと、考えていることをこの際お互いに公開の席で主張しあってみてはどうか。そうすれば、後ろめたいことはできないし、国民は納得する。つけ加えれば、この問題の発端は、これだけ多額のムダ使いをしながら、逃げまくり、責任もとらずに「渡り」を繰り返していった、厚生高級官僚の実行責任にある。その責任についても今改めて追求されるべきだと思う。