
2008年8月
445.2008年8月1日(金) 福田首相内閣改造を断行
六本木にある国立新美術館に初めて行ってみた。岡村進さんの奥さま、岡村桂鳳さんが毎日新聞社主催の毎日書道展に作品を出品されておられ、招待券をいただいたからである。書道展は流石に最高級の書ばかりなので、とても足元にも及ばない傑作ばかりで、かなり力強い揮毫を揮った作品もある。甲乙つけがたい多くの作品の中に、「RO」「念」「阿」のような文字を筆にした作品があった。素人が論評するのは口幅ったいが、まるで一枚の絵に見えた。確かに、考え抜いて時間をかけて仕上げたのだろうが、抽象画のように思えた。こういう作品も書というのだろうか。文化作品というものは、レベルが上がれば上がるほど唸るようなものと、さっぱり分らないものに二極分解するように思えるが、うがった見方だろうか。
国立新美術館は、建物自体が斬新で内部は分りやすい構造になっていた。ロビーはガラスで吹き抜け構造になり、今流行りの外観が格好いいデザインだと思う。これが、一時東大の研究所に使用されていたようだが、その前は帝国陸軍第1師団の建物があったところだという。
それにしてもレベルの高い書道展と新しい六本木の建物を見られたのは、まあ良かった。
今日福田内閣初めての内閣改造が発表された。今のどん詰まり政府が、人気底上げを狙って打った博打のようなものだ。WTOで何の存在感も示せなかった甘利経済産業大臣と若林農業水産大臣は予想通りお払い箱となった。内閣閣僚の平均年齢も2歳上がったそうで、何の目玉も期待もできない内閣改造となった。
それにペースを合わせるかのように、厚労省が日本人の平均寿命を発表した。男が79.19歳で世界3位、女が85.99歳で世界1位だった。65歳以上の人は全人口の21.57%、75歳以上が10.04%で長期高齢者が1割を超えることになる。一方で15歳以下のこどもの割合が全人口のうち、13.62%というのだから、少子高齢化現象は明らかで、今後日本社会にいろいろな形で負担が浸透してくる。その最たるものが医者不足であり、医療費の増大であり、年金問題である。この厚労省のトップが変わらなかったことは良かった。こんな火事場で代えられたのではたまらない。この点だけは、一安心したところである。
446.2008年8月2日(土) 内臓は問題ないのだが・・・。
森内科医院でもう一度胆嚢に異常がないかどうか確認してもらうよう、月曜日に松本整形医に言われたので、森先生に昨日もう一度処方を仰いでみた。結局今日エコー(超短波)をやってみましょうということになり、待望のエコー診察を受けた。
結論から言えば、超短波検査結果では100%ではないにしてもまず内蔵は問題ないということになった。肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、腎臓等の内臓器官を一通り調べた結果、問題ないだろうということになり、相変わらずなぜ炎症度合いを示すCPRが下がらないのだろうと首を傾げながら、今日の結果をまた松本整形医院に伝えることになる。
昨日福田首相は内閣改造を行ったが、これがどうもあまり評判が良くない。人気浮揚策と総選挙準備として改造したのだが、目玉やサプライズがなく改革という言葉が、小泉首相のいう「構造改革」と裏腹だったり、今ひとつ軌道に乗らない感じである。しかし、最後のチャンスが近づいている麻生太郎氏を約束がらみで幹事長に就ける、捨て身のささやかな目玉もあった。
さて、驚いたことに、7月のアメリカ市場で日本車のシェアが初めてアメリカ車のそれを上回った。年々アメ車と日本車の差が狭まってきてはいたが、実際にこんな逆転現象になるとはかつて想像もしていなかった。戦後数年間に見たアメリカ車の豪華さは、戦時中から続く日本の惨めな戦後生活とは遥かにかけ離れたものだった。初めて見たアメリカ車の豪華さには、目を丸くしたものだった。小学生のころには、アメリカ車の名前を覚えるのが流行ったこともあった。それが安保闘争ころから日本の自動車産業のアメリカ進出が、日本の戦後経済の復興とともに大きくクローズアップされてきた。アメリカお訪問する度に日本車が目立つようになり、ホンダが良いというアメリカ人もいたくらいである。
アメリカ車ビッグ3のシェアは、42.7%と過去最低に落ち込み、日本車8社合計43.0%と僅かの差だったが、それでも日本車がトップに立った。だが、問題はこれからだと思う。アメリカ車が本気になって、日本車を目の仇にし始めたら今後の展開は予断を許さない。かつて、日本車が進出してアメリカ自動車業界が大打撃を受けたころ、自動車業界労働者が日本車を打ち壊している写真を何度も見ている。アメリカ人は常に自分たちがbPだと思っている。それまでは支援の手を差し伸べても自分たちが天下を取られたら、急に態度を改め相手に報復することがある。実際には、アメリカ経済全般の景気が下降して、シェアは増えたが販売実績は日本車も下がっている。問題は日本車販売にとってもこれから正念場だが、アメリカ人のプライドに傷をつけないように、アメリカ経済とうまく調和をとり、日本車のシェアを維持していくという点を考えていかなければならない。難しい舵取りを迫られている。とにかく、根っこに複雑な事情があることは忘れない方がいい。
447.2008年8月3日(日) 「源氏物語」国際フォーラム
ある国際フォーラムが、10月から11月にかけて東京と京都で開かれる。内外17カ国から41人が参加して研究成果を発表する。国際会議であるにも関わらず、公用語は日本語というのも珍しい。種を明かせば何のことはない。源氏物語の文化史的意義を探るフォーラムである。最近幻の写本が発見されてとかく話題が一杯の源氏物語の魅力的なところである。最近著名な学者の話を聞いていると、文学のテーマでないにも関わらず不意に源氏物語の話題に触れることが多くなったと感じる。世界最初の女性文学にして、しかも質が高く、千年前にこんな恋愛秘話が日本の慎み深い宮廷女性によって著されていたということもそもそも話題を呼ぶ理由のひとつだろう。
源氏物語は、英語訳はもちろんであるが、仏、ロ、蘭、伊語訳も出ていて、参加者も非英語圏からの関係者が多いという。どのくらいマス・メディアが採り上げてくれるか分らないが、今秋このフォーラムを注目してみたい。
やっと「知的生産の技術研究会」八木哲郎会長と連絡がとれた。今月末に初めて岩手県の気仙広域連合の図解講師を担当することになっているが、まだ講義内容の打ち合わせをしていない。中でも、私にとって初めて講義する「合意術」を、2日間の中の半日を充てることになる。テキストの内容についても話し合っていないので、明日から福島県研修を終えて翌7日にじっくり話し合いすることになった。
その前に福島県の今年2回目の職員研修が5日、6日の2日間行われる。福島県の研修講師は今回が10回目になるが、自分自身としても毎回味付けをして受講者により分りやすく仕事面で役立つ講義をしたいものだと思う。
さて、北京五輪開幕がいよいよ目前に迫ってきた。日本式に言うと縁起を担いで「末広がり」を意味する数字「8」にあやかり、開会式も8月8日8時8分に開始される。北京市内は熱気が溢れ大騒ぎである。テロ警戒も厳しいようだ。報道が過熱しているように感じていたが、これでも中国政府がかなり規制を加えているらしい。中国社会の光と影の部分が報道されているが、影の部分では大分強引な「臭い物に蓋」式隠蔽がされているらしい。最近の中国の経済発展が目覚しいことは誰しも疑わないところだが、いろいろ現象面で不愉快に感じるようなことがしばしば報道される。どうしてこうも自己主張が激しく、些細なことに大きな声でガーガー騒ぎ立てるのだろうか。これも中国の愛国主義と愛国心の発露だろうか。もっとも最近の日本の若者も似たような点がある。かつての静かだった中国の人々が懐かしい。
448.2008年8月4日(月) 悪徳役人を追放しないと駄目だ!
今朝の朝日新聞一面に「官庁、娯楽に3億円−06年度」カラオケ機、マージャン牌、ビリヤード、スキー旅行、さくらんぼ狩り・・・・とある。わが国のごくつぶしである中央官庁の役人は、税金を湯水の如く使って遊び回っているのだ。先ほど東北新幹線で福島へやって来たが、その車中の電光ニュースでも伝えていた。使用したタクシー券のうち、1,900件は一回当りの利用料金が3万円を超えるという。その内財務省関係が970件だという。かつて話題になった財務省のノーパン・シャブシャブに象徴されるように、財務省以下役人どもの金銭感覚と庶民感覚は手の施しようがないほど狂っている。
3億円だって18の省庁だけの回答だという。残りの10省庁は「そうした支出はない」と回答した。誰がそんなデタラメを信じられるだろうか。それに3億円だって氷山の一角ではないだろうか。これで役人のお小遣い、遊興費や玩具代は、国民が額に汗をたらしながら上納するシステムがほぼ定着した。
国家の重要な業務に携わっているとのプライドは大いに結構だが、あなたたちには自己満足のプライド以外に何があるのだと尋ねてみたい。もう一歩突っ込んで、国民のために本当に仕事をする気持ちがあるのかと聞きたい。仕事の陰ではさぼり、ごまかし、たかり、無駄遣い、私的流用、背任行為等の悪事を積み重ね、高待遇の後に、天下りという民間企業の社員をバカにするような、「働かず高収入」を得て、有利な年金を終生受けられる。甘い汁を吸うことばかり考えている。腐りきっている。「揺り籠から墓場まで」というスローガンは、わが国の役人に献上されたアイロニーで、本音を言えば「役人になったら早く死んでしまえ」という意味だ。
449.2008年8月5日(火) 福島県研修始まる。
夕べは福島駅前のホテルに宿泊した。今年の福島県第二回図解研修で「ふくしま自治研修センター」で明日から2日間講師を務めるためである。駅前からタクシーでやってきたが、明け方のかなり激しい降雨の名残か相変わらず激しい雨が降り続いていた。
今日の講義は前回と同じ参加者が12名で、県庁をはじめ、各市町村から参加されている。いつも通り担当の武田剛さんと打ち合わせた。福島の県民性だろうか、皆さんいつも通りおとなしい人たちばかりである。恒例によって自己紹介を済ませ、今日のメインは「ホテル開設に伴う運営方針、並びに営業計画」を3つのグループに分かれてもらって、それぞれ図解作成してもらう。中々チームワークがよくそれぞれ良い作品ができたと思う。夕食はセンター内の食堂で打ち解けた雰囲気の中で愉しく行われた。これなら明日の「私の仕事図」作成はきっと期待できると思う。
新彊ウィグル地区で襲撃事件が発生して、16人が死亡した。北京オリンピック開幕3日前にしてこの危険な状態である。中国政府としては問題点をすべて無理に押さえ込んで、何とかオリンピックを開催しようとしている。しかし、いつ事件が起きないとも言えない危うい状態である。この襲撃事件を起したグループは、先日昆明でバス襲撃事件を起した東トルクメニスタンのイスラム教徒のグループだ。五輪という世界が注目する中で、彼らは新たな自分たちの目的を達成しようと考えているようだ。新彊ウィグル自治区は中国の最西端でほとんどがイスラム教徒である。一方イスラム圏の最東端がトルクメニスタンで、その隣国が中国・新彊ウィグル自治区であり、中国領土であることに必ずしも納得していない。中国政府に依れば、犯人はウィグル独立派らしい。ここに民族的な独立を成し遂げようとの動きが出て、トルクメニスタンと通じる隙間が出来てくる。中国政府としても悩ましいところである。
450.2008年8月6日(水) アメリカは原爆犠牲者をバカにするのか。
今日は福島県研修の第2日目で、課題は受講者の「私の仕事図」作成である。12名の受講者にそれぞれ自分の図解を作成してもらい、発表をして個々の作品にコメントを述べた。総体的なレベルはかなり高く、中々素晴らしい作品ができたのではないかと思う。気持ちよく講義できて、作品の水準も高いとなるとつい嬉しくなるものだ。昨年度までは、PCのソフトとして「VISIO」を使用していたが、八木哲郎知研会長とも相談のうえ、今年度からは「POWER POINT」を使用してもらうことになった。結果的に受講者には抵抗がなく、反って受講者が普段から「POWER POINT」を有効に使っていることが分った。「POWER POINT」は、今やいろんな場面で有効に使える。逆に言えば、これなくして縦横無尽の表現は思うようにはできない。
今朝広島で原爆投下63年目の慰霊祭が行われた。ふくしま自治研修センターでTVを見ていると秋葉広島市長や、福田首相らが出席して花輪を捧げていた。外国政府からも官民を問わず多くの要人が出席していた。今日初めて知ったことだが、アメリカ政府からは誰も参列していない。当然駐日大使か、近くの領事館から総領事が出席していると思っていた。当然のことであると思う。ところが、これまでにも公式にはアメリカ政府関係者は出席していないという。原爆投下を実行した当事国が、投下により被爆して多数の犠牲者と被爆者を出している相手国の現状に、何の贖罪意識も感じていないということである。アメリカの手前勝手外交は、これまでも、自国は核を所有してしながら、新たに核を持とうとする国に対しては徹底的に反対しようとする態度に明らかである。広島市はこれまで核保有国すべてに、案内状を送ったようだ。このうち今年初めて出席したのは、中国であり、その前にロシアも出席している。大体アメリカという国は、論理的で開放的で行動は理解できることが多い。しかし癒しがたい傷を負わせた国に対して、原爆記念日に鎮魂の気持ちを抱いて誰一人として国の代表者を送らないというのはどうい料簡だろうか。どうもこればかりはアメリカのやることに納得できない。
やはりそうか。1月に発生した中国のギョーザ中毒事件である。6月に中国国内でも日本で中毒事件を起した同じ天洋食品のギョーザから中毒患者を出したことが判明した。何か割り切れないまま日中どっちに原因があるのか分らなかった、ギョーザ事件もやはり中国側で毒が混入された可能性が濃厚になった。
問題は、このニュースを日本政府が中国から知らされたのが、1ヶ月も前だったということである。何の思惑があって、日本政府はこんな大事な情報を長い間隠蔽していたのだろうか。情報公開を日中首脳間で取引していたとしか思えない。これから当分マス・メディアの格好の好餌となるだろう。
451.2008年8月7日(木) 北京五輪と中国製毒入りギョーザ事件
八木哲郎「知研」会長と朝10時に新宿で会って、月末に予定されている岩手県・気仙広域連合の研修内容、日程表、テキスト作成について話し合った。この広域連合の職員研修を担当するのは初めてで何かと戸惑うことが多い。特に、日程表の中に「合意術」が入っているので、今福島県で教えている内容とスケジュールとはかなり異なる。私自身も「合意術」を教えるのは初めてであり、この「合意術」については、以前から研究している八木会長と一緒に担当することになった。
私の考え方を八木会長から広域連合へ伝えてもらうことにした。特に、講義では「POWER POINT」を効率的に活用したいと考えている。
さて、開会式前から異常に盛り上がっている北京五輪も、いよいよ明日が開会式本番となったが、その前の昨日すでに女子サッカーの緒戦がニュージーランドとの間で行われ、引き分けに終わった。今日も男子サッカーが行われたが、前回大会金メダルのアメリカに1−0で惜敗した。明日から暑い日本国中で五輪フィーバーが駆け回るのだろう。
それにしても昨日公表された、6月に中国国内で発生したギョーザ中毒事件は、今日になって高村外相が、中国側への配慮で暫時公表しなかったと、どこの国の外相かと疑わせるような発言をした。日本の国民の安全より、外国の加害者に対する気遣いを優先している、この神経は常識外のものだ。
今朝の新聞でも、1月の国内ギョーザ中毒事件は中国で毒が混入された可能性が一段と強くなったので、中国政府はきちんと真相と経過を説明すべきだと強い口調で述べている。そこへこの高村外相の発言である。なぜ日本政府は中国にここまで遠慮しなければならないのか分らない。外相が日本人なら、加害者(多分)である中国が、被害者である日本へ配慮するべきだと考えるのが普通ではないか。どうもこの外相もしばらくその職にある間に、力を発揮しない外務官僚のペースに合わせることを学んでしまったようだ。頭の中の構造が少々変わっているとしか思えない。
この後、この不鮮明な隠蔽事件にどうやって対応し説明するのか、そして落としどころをどうするのか、高村外相の発言を注目してみたい。ことは、国家の外交のトップが鼎の軽重を問われているのだ。
452.2008年8月8日(金) 北京オリンピック開会
6日から麻布十番で登山家・芳野満彦さんの山岳絵画展が開かれているので、お会いして次の拙著帯文に推薦文を書いていただこうと、先日書状をお送りし、今日お伺いしてお願いすることをお伝えしておいたが、今日は会場に来られないとの話だった。係の方に聞いてみると会場気付で郵送した私の手紙も、まだ芳野さんには手渡していないことが分った。明日午後に電話をして、確認を取ってから改めて伺うことにした。ご健康に支障がなければ良いがと少々心配になる。
今日北京五輪が開催された。2008年8月8日午後8時(北京時間)に開会式は始まった。今まで開会式のイベントは、ほとんど秘密のヴェールに包まれていた。それがいざ蓋を開けてみるとその演出は見事なばかりで、中国古来の文化と伝統行事の紹介を電光の中で立体的にやってくれた。事前に治安、テロの問題等の悪い噂が流布され、暗いイメージばかりが先行していたが、それを打ち消す出来映えだった。大勢の出演者が一糸乱れず舞い踊る光景は、迫力すら感じた。これだけ矢継ぎ早に、後から後から目新しい仕掛けによるショーが繰り返されて、TV視聴者としては1時間10分ほど口をあんぐりしているだけだった。開会式だけは、予想を遥かに上回る素晴らしいパフォーマンスだったと思う。
この演出の総監督は中国人の著名な映画監督、チャン・イー・モウ氏で、スケールの大きさとテンポの速さ、洗練された技能等、中々衝撃的で洒落た演出だった。この後の主役である選手入場もすっかり食われ、少々影が薄い感じだった。どこの国も整列進行は行わず、小旗を手にニコニコ、ダラダラ歩くだけの入場行進だった。この200ヶ国以上のダラダラ行進を見ていると、とても緊張感とはかけ離れた、たがの緩んだ烏合の衆の行進のようだった。前座のパフォーマンスが10点満点以上とすると、役員・選手の入場はせいぜい半分の5点ぐらいだろう。
福田首相夫妻も開会式に出席していたが、今日午前中に行われた福田・胡錦涛会談で早速問題のギョーザ事件について話し合われたようだ。6月の中国国内のギョーザ毒入り事件については、しばらく公にしないようにと中国政府から口止めされた。これを日本側は分りましたと了解した。すべて中国ペースで進められていたことが分る。これだから、いつも外交問題で日本は舐められてしまうのだ。なぜお互いに責任は明確にして、是々非々をはっきりさせて論理的に話し合うことができないのだろうか。
453.2008年8月9日(土) 推薦文は芳野満彦さんが・・・。
ついニコニコしてしまった。麻布十番のギャラリー東京映像で開催中の芳野満彦山岳展へ渋谷から電話してみると、芳野さんは来ておられるとのことだったので、30分後に伺うと伝えて会場へ直行した。半年振りに顔を合わせると、もう私の手紙は読まれたように机脇に置いて、いかがでしょうかと咳き込むようなお願いにすぐ大きく頷いていただいた。推薦文をお書きいただくことについて快くお引き受けいただいたのである。これでやっとほっとした。芳野さんの赫々たる登山経歴もさることながら、山岳画家としても名を成しておられ、ご著書も「山靴の音」「われ北壁に成功せり」ほか何冊か残しておられるので、願ってもいない方に推薦文をお書きいただけることになって、実に光栄の至りである。何と言っても芳野さんは、凍傷で足の指をすべて失いながら多くの山で初登攀者となった実績は、わが国の山岳界では、伝説的な話として伝えられ、中でも日本人初のマッターホルン北壁冬季登攀者になったということは、他人の追随を許さない。前回お会いした時に差し上げた「現代・海外武者修行のすすめ」も大変面白かったと仰っていただいた。私が山と絵画に関心を持っていることに、良い印象を抱いていただいたような気もする。A4判130枚の原稿を読みきるのにお疲れになるのではないかと心配していたが、芳野さんはご自分から本を読むのが早いと仰っていただいたので、一応1ヶ月後にこちらから電話をして様子をお聞きするということになった。偶々会場へ来られたアルパインツアーサービス轄武惠社長から、同社の創立者のひとりが芳野さんだと伺って驚いた。
ともかく、これで一安心である。
北京五輪も今日からいろんな種目で競技が始まった。しかし、日本にとってはほろ苦いスタートとなったようだ。3回連続金メダルを期待された柔道の谷亮子選手も銅メダルに終わった。競泳種目でもほとんど日本選手は予選落ちが続いている。日本記録を大幅に破っても決勝へ進めない女子400mリレーのような種目もあった。女子マラソンで連覇を期待されている野口みずき選手のように、疲労のため合宿先のヨーロッパから早めに帰国して京都の病院へ検査入院している選手もいる。日本選手の間には、どうも油断と甘さがあるのではないか。
それより驚いたのは、ロシアとグルジアとの険悪な関係がついに戦争にまで突入してしまったことだ。元々両国の関係は良くなかった。早速国連安全保障理事会では、武力行為の停止を呼びかける報道声明の取りまとめを試みたが、ロシアとグルジアを支持するアメリカなどが対立して、決裂した。グルジア国内には、南オセチア自治州、アブハジア自治共和国のような親ロ国家があり、EU加盟を目指すグルジアとしては、盲腸のような存在だった。ロシア空軍機がグルジア国内を攻撃して多数の市民に犠牲者を出した。これから先が心配である。長崎への原爆投下記念日に、空爆をやるというのもロシア流か。
454.2008年8月10日(日) また中国でテロか?
グルジアとロシアの軍事衝突がついに戦争状態に突入した。覇権主義国家ロシアはロシア流面子にかけても撤退することはない。ついにアブハジア自治共和国にも飛び火して、グルジア側の発表によれば、2千人が死亡した。今日になってグルジアが南オセチアから軍隊を撤退させた。ロシアの要求に従った形となった。今度はロシアが撤退する番だ。しかし、いつもながらのことではあるが、ロシアがすんなり退くとも思えない。むしろ、報道によれば黒海に連合艦隊を出動させて、海上封鎖を始めたらしい。まあ昨日よりは戦火拡大の要因は無くなったので、国連でも解決の糸口をつかめるのではないかと思う。もうこれでシース・ファイアといきたいものである。
4日の新彊ウィグル地区カシュガルにおけるウィグル族独立派のテロがあったが、今日同じ新彊のクチャでテロがあり12人が死亡した。昨日はアメリカ人観光客が中国人に殺害された。五輪の式次第は一応順調に進められているが、警戒の厳しさは異常なくらいで、市内に軍人と警察官が溢れているらしい。開会式直前には、こんなことまでやっていた。開会式中に降雨の恐れがあるとして雨雲を蹴散らすために高射砲で化学薬品を1千発以上打ち上げたのである。それなりの効果はあったようだ。とにかく国を挙げて五輪成功のために、何でもかんでもやろうという意思ありと見た。地方からの出稼ぎ者を地方へ帰し、北京を五輪一色に埋め尽くしている。勝ち残り組や恵まれた人たちだけが、五輪を楽しむ。暗いところや、汚いところ、恥部は徹底して隠してしまおうというのである。五輪関係以外は仕事にならない。この不自然な状態は五輪閉会まで続く。地方は警察力が弱められ、テロに対する警戒も北京ほどではない。テロリストにしてみれば、ここに一つの狙いがある。それが今日のクチェのテロのようだ。これから約2週間、中国全土はこのままの状態で恐れているボロを出さないで済ますことができるのだろうか。
それにしてもギョーザ中毒事件は、当分日中間で話し合いが持たれる気配もなく五輪が終わらなければ解決しそうもない。
今日男子柔道で内柴正人選手がアテネ大会に引き続き、金メダルを獲得した。日本選手金第1号である。
455.2008年8月11日(月) 外相はどこの国の政治家か?
昨日朝のNHK政治討論番組のさわりが再放送されるのを昨夜のニュース番組で見た。その中で高村外相の節度のない発言には失望するとともに、日本の外務大臣というのは、この程度の脳みそしか持ち合わせていないのかと呆れ果てた。先日明らかになった中国製毒入りギョーザ事件に関する情報公開の遅れについて、外相はこう述べた。「相手(中国)から今公開すると捜査に差し支えるので、しばらく公表しないでくれと言われた。相手がこちらを信用してそう要求しているのに、当方で一方的に情報公開したら、以降重要な情報は入ってこない。これは情報の世界では常識的なことである」と言ってのけたのである。こんなことは事と次第によるのである。そんな区別もできない、この大臣のオツムはどうなっているのか。外務大臣というのは、国益のために外国の高官と話し合い、国家の利益を背に相手国に対して丁々発止と言うべきことは主張し、相手が間違っていればその間違いや矛盾を指摘して、諭すがごとく間違いを糾し、事態を現状より好転させるというのが職務とその責任ではないか。ところが高村外相は、自国の立場を主張するより、相手国の言い分と都合のみを黙って汲み取っている。外相たるもの、こんな硬直的なロジックしか分らないのか。
情報を受けた段階で、これはギョーザ事件発生の経緯と事実関係の不透明さから考えて、トップ・ランクの重要な情報だと知るべきだ。中国が言っているのは、自分たちの虫の好い都合であって被害に遭った日本人のことはまったく考えていない。被害者が誰で、加害者が誰であるかをまずお互いに確認しあうべきである。そのうえで、日本は論理的に、かつ常識的に中国を説得すべきだった。公開することが両国国民の疑心暗鬼を解く、両国にとって最良の方法だと。だから、とりあえず情報公開して、その前提で改めて解決策を講じましょうというのが普通の常識である。それを相手がこう望んでいるから、こうしてあげるのが筋だと考えているとしたら、高村外相は外相としての器ではないし、その資格はないと思う。即刻辞職すべきである。外務省の役人は、当の大臣以下世間知らずが多すぎる。「世間一般の常識は外務省の非常識、世間の非常識は外務省の常識」などと揶揄されぬよう、もう少し毅然として外交交渉に当ってもらいたいものである。
気になっていたグルジア情勢が混沌としてきた。昨日グルジアが南オセチア自治区から軍隊を撤退させた。これを機会にグルジア政府はロシアに対して、停戦を呼びかけていた。仲介したクシュネル仏外相が両国を訪れ、グルジアからは停戦受託書を預かったが、覇権国家ロシアは停戦を拒否した。プーチン首相はグルジアが南オセチアで民族浄化を行っていると一方的にグルジアを非難するばかりだ。今日になって一旦は撤退させたグルジアが再び南オセチアへ軍隊を出動させた。こうなると泥沼状態で、徐々に深みにはまっていく。国連事務総長、アメリカもロシアを非難している。これでは当分停戦は望み薄である。
今日の明るいニュースは、水泳で北島康介選手が、100m平泳ぎで前回に続き、金メダルを獲得したことである。しかも世界記録樹立である。アテネ大会後のスランプ、周りの雑音やプレッシャーに負けず、逆にそれをバネにして力に変える術を身につけている。そしてここ一番でエンジン全開である。こういう逞しさを、政治家や外務官僚や公務員たちは少しは見習ったらどうだろうか。
456.2008年8月12日(火) 「読取革命」という便利なソフト
「読取革命」というパナソニックが販売しているPCソフトがある。バージョンアップ版で、6,800円だから、少々値は張るが、こんな便利で革命的なソフトがあるとは知らなかった。PC講師から勧められソフトを購入したが、印刷物が鮮明であれば、ほとんど復元できる。元の原稿がなくても印刷物(勿論鮮明なものほどよい)さえあれば、スキャナーを使うことによってかなり正確に復元できる。今日もHP上の自分の論考やエッセイの中で、タイトルだけで文章が載っていない文をこの「読取革命」によって復活させ、リンクして、4つばかりHPへアップした。
念のために40年ぐらい前に発行された、ガリバン印刷の古い冊子の文字起しをやってみたところ、さすがにこればかりは相当手を入れないとまともな文章に戻らない。やはり癖のある文字や、画数の多い漢字などは、他の文字に変換されるケースが多い。漢字が似ている文字や、平仮名に変換されて修正に相当時間がかかる。まあしかし、ガリバンの文字起しなんか他にはないので、今後安心してどんな印刷文でも文字起しができることが分った。こうなれば、一応これまでに書いた文章の形さえ残っていれば、文章が復元できるので、記録文集をまとめて冊子として印刷することが可能である。
さて、気になっていたグルジア情勢が急転直下解決しそうな芽が出てきた。予断は許さないが、メドベージェフ・ロシア大統領がロシア軍のグルジアからの撤退命令を出した。その前後にクシュネル仏外相とも会っているので、その影響もあるかも知れない。アメリカ政府はかなりきつい調子でロシアの侵略的行動を非難している。それにしても、よくロシアが本性を隠して撤退に踏み切ったものである。それでいて停戦交渉の当事者としては、サーカシビリ大統領を相手にしないときた。反ロ的言動のサーカシビリ大統領がよほど気に入らないと見える。しかし、子どもの喧嘩ではあるまいに、民主的手段によりグルジア国民から選挙で正当に選ばれた人物を相手にせずとは、開いた口が塞がらない。これは一種の内政干渉ではないだろうか。伝来のロシアの覇権主義、領土拡大主義には、毎度うんざりしているところだが、今回はさっと撤収したのは他に思惑があってのことだろうと推測する。ロシアと国境を接している国家は、苦労が絶えないと思う。日本は国境を接していない北方領土でさえ、ロシアには手を焼いている。昔の南北樺太のような境界線があったら、ロシアにはどんどん侵略されて結局オホーツク海へ落とされてしまう。現実に存在する覇権国家とは、よほど戦略を練って今までのお行儀ばかり良い外務省式の付き合いではなく、現場で腹を割って付き合う外務官僚の養成が必要になるのではないか。
もうひとつ救いようがない国家がある。北朝鮮である。国民が国民すべて、あんな理不尽な政治統制、外交交渉を求めているわけではない。昨日から中国の瀋陽市で日朝会談が行われているが、「ああ言えばこう言う」北朝鮮方式で今回も拉致問題が主題だけに、前進はほとんど期待できない。それでいて前進しなければ、北朝鮮はその責任はすべて日本側にあると言うであろう。こういう世にも不思議な国がある。外交というのは、確かに一筋縄では行かない。特に、北朝鮮のような国家の体を成していない国との交渉、ロシアのような覇権主義国家、そして戦後教育の中で愛国主義を間違えて教えてしまった中国などとは、相当の覚悟をして付き合わないと貧乏くじを引くことになる。政治家はこういうことが分っているだろうか。
今日のおめでたいニュースは、女子柔道で谷本歩実選手が、北島、内芝選手に続き、連覇達成したことである。男子体操は銀メダルだったが、これだって上々の首尾ではないか。
また、新彊ウィグル自治区で小さなテロ事件があったようだ。
457.2008年8月13日(水) 合意術とは?
夕方になって京王線・聖蹟桜ヶ丘駅周辺の居酒屋へ出かけた。「知研」の久恒啓一理事長、八木哲郎会長、秋田英澪子事務局長のトップ3がこれからの運営方針を検討する機会に、会長が私も加わって月末の岩手県気仙広域連合の職員研修について話し合いましょうとお誘いいただいたからである。特に、これまで「図解」だけを指導してきたが、新たに「合意術」について講義しなければならない。まだ、この「合意術」が世間一般に充分浸透していない嫌いがある。私も門外漢であり、講義は八木会長が担当してくれることになっているが、傍にいて朴念仁というわけにもいかず、これから急遽勉強し、当日教室で使用するパワーポイントのスライドを作成したいと考えている。
その席上で恒理事長から日経新聞社発行の著書「合意術」をご恵贈いただいたので、とにかく読んで講義の折には、ある程度理解できて、質問に答えられるレベルまでには到達したいと考えている。
今日の北京五輪の結果は、女子柔道で上野雅恵選手が連覇した以外に、水泳200mバタで松田丈志選手が銅メダル、フェンシング男子フルーレで太田雄貴選手が銀メダルを獲得した。女子体操団体も善戦して5位入賞となった。特筆すべきは、フェンシングでメダル獲得は初めての快挙である。しかし、金メダルは、すべて連覇というのがいかにも不思議である。明日は男子水泳200m平泳ぎで、北島康介選手が連覇で金を獲ってくれるか。
458.2008年8月14日(木) 日本の「合意」形成は大丈夫か?
北島が100m平泳ぎで金を獲った! 有言実行の選手だ。やはりアテネ大会で金を獲った連覇以外、金は獲れないという北京五輪伝説は今日も現実だった。その意味では、日本選手団の主将で、男子柔道の100kg級に出場し、連覇を目指した鈴木桂治選手に大いに期待がかかっていたが、緒戦で一本負け、敗者復活戦で一本負けとあっけなく期待を裏切ってしまった。北島選手のアテネ大会に続いて2種目「金」というのは、日本人として初めての偉業である。あの落ち着いた態度と計算したうえでの泳ぎっぷりは、見事というしかない。男子体操個人総合もよくやったと思う。19歳で初出場の内村航平選手が、「あん馬」で落下しながらも立ち直り銀メダルを獲得した。エースの冨田洋之選手も「吊り輪」から落ちなければ、メダルを獲得していただろう。個人総合で4位だった。
ところで、「合意術」を勉強しつつある中で、二つの合意が気になった。一つは拉致被害者に関する北朝鮮の再調査を今秋までに終えることを目指すことで日朝両国が「合意」したことである。
もう一つは、グルジアとロシアの停戦に関する「合意」である。
第一の合意は、本当の合意ではない。相変わらず北朝鮮は、日本から経済制裁解除を得ようと日本の腹を探っているように見えるだけで、「合意=当事者の意思の一致」とはかけ離れている。いつもながらのポーズに過ぎない。
第二の合意は、戦争の当事者同士が停戦に「合意」していながら、相変わらず一方のロシア軍が軍隊を撤収させないことで、実情とは別に、ケース・バイ・ケースによって、言葉を巧みに都合の良いように使い分けることがあることを教えてくれた。当事者の意思が合致しながら、不満が出て相手を非難したり、友好国からも厳しく糾弾されるというのは、厳密に言って「合意」とは言えないのではないか。
さて、翻って日本の外交交渉における「合意」はどうだろうか。今まで知る限りでは、相手の意思をある程度聞き及ぶことはあっても、日本の意思を相手国に伝え、理解を得ることは極めて不得意である。一番問題なのは、日本の外交官は現場の最前線における交渉実務に疎いことではないか。それは、現場の空気を知り、現場の人たちを知り、現場の実態に理解を示すことであり、当然土地の人々との正面切っての付き合い、接触、交流が欠かせない。こういう実態を認識することによって、合意には何が必要か、また判断基準として現場の空気が大切だということが分ってくる。その点から考えると、日本の外交官はあまり現地人、特に普通の市民との付き合いがないようで、これでは「合意」形成は難しいのではないかと考えざるを得ない。
459.2008年8月15日(金) 終戦の日を静かに迎えたい。
63年目の終戦の日を迎えた。この記念すべき日だけは、静かに過ごし考えたい一日であるが、例によって北京五輪の騒々しさで静謐はどこかへ飛んでしまった。朝から晩までオリンピック、オリンピックとマス・メディアは大騒ぎである。
そのせいでいつも中国、韓国が注視する靖国参拝が、大きな話題とはならなかった。日本も福田首相以下ほとんどの閣僚が参拝しなかったこともあって、関心そのものが低かったように見える。ただ、オリンピックのお祭騒ぎの中で、大切な問題が見過ごされるようでは、困ったことであるし、由々しきことだと思う。
今日の全国戦没者追悼式で、河野洋平衆議院議長が「政府が特定の宗教によらない、すべての人が思いを一にして追悼できる施設の設置について真剣に検討を」と式辞を述べた。かつて新追悼施設建設案が真剣に検討されたこともあった。ところが、語弊があるが、いつの間にかあやふやになってしまった。福田首相が官房長官時代に私的懇談会で提言されたものである。靖国神社は国の代表者が参拝するととかく反発を買うので、現状を維持したまま、国として国民誰もがお参りすることができる、新たな追悼施設を建設することを考えた方がよいと思っている。
テレビがオリンピックに占領されている中で、終戦とか戦争がどんな風に取り上げられるかと見ていたが、NHK以外は特集番組を組んでいなかった。NHKの夜の1時間番組では、レイテ島から生還した人たちの声を伝えていた。レイテ島には、一度訪れたことがあるが、ここは大岡昇平の「レイテ戦記」でも知られるようになった。私は主にビルマに展開された陸軍航空隊に関わったので、帰られた方から聞く話は、今日の生存者の話ほど悲惨ではなかったが、ビルマでもコヒマ・インパール方面は派遣された歩兵部隊が悲惨な目に遭ったと随分耳にした。
年々旧軍人、遺族が亡くなられ、戦争も風化していくのではないかという声を聞く。怖いのは、自分たちさえ良ければ他はどうでもいいという考えが表れるようになると、戦争は確実に風化していくだろう。その意味では、今年の北京五輪のバカ騒ぎは、戦争風化の悪しき見本ではないだろうか。
さて、次作品「停年オヤジの海外武者修行」の出版打ち合わせのため、早稲田出版の大塚靖敏編集長に初めて会い、契約、写真、推薦文、出版までの予定等について話し合った。年内に発行される予定であるが、前著が11月上旬に再販されるので、この後両書のセールス・ケアをどうしようかと考えている。まあもう少しのんびり、じっくり考えてみようと思う。
460.2008年8月16日(土) ロシアとグルジアの停戦は実現するか?
ロシア・グルジアの戦争が解決する見通しと可能性が薄くなってきた。ロシアが一向に軍隊を撤退させようとの気がないからである。アメリカが烈火の如く怒っているが、EUは割合冷静である。アメリカやEUは、まず戦闘が始まったときの状態に戻すことを合意事項に入れた。ところが、ロシアはその状態だとサアカシビリ・グルジア大統領に不満を抱く南オセチア自治区の住民が弾圧され、民族浄化されると称して、進軍した軍隊をそのまま駐屯させたままだ。
これまでにも停戦合意、合意と伝えられながら、どうも口約束だけなのか、或いは合意文書に署名したのか、分りにくかったが、署名まではしていなかったようだ。グルジアはアメリカに説得され、「停戦と軍の撤退」を盛り込んだ和平六原則「和平合意文書」に署名して、アメリカのライス国務長官に提出した。ライス長官はロシアにも同じく署名を要求しているが、むしろ新たな軍事作戦を展開し出したもようだ。
ロシアには、アメリカの口出しや仲介に簡単に応じられない強い決意がある。このところ、旧社会主義国のロシア離れに歯止めがかからないところへ、先日アメリカのチェコへの核弾道弾配備とか、同じようにポーランドへのミサイル配備とか、ロシアにとっては仮想敵国と見られて腹の虫が収まらない。アメリカの仕打ちに対する不満が積もり積もった私怨が、この機に乗じて親ロ派の多い南オセチア自治区をロシアの衛星国として取り込んでしまおうと思っているに違いない。同じように親ロ住民の多い、アブハジア自治区も、グルジアから独立させてロシアの同盟国として、ロシアは勢力拡大を図っていく狙いがある。しかし、今のままロシアが戦線を拡大させても、国際世論はロシアの行動を容認しないだろう。さあ、ロシアはこれからどう出るか。今は、冷静で両国の仲介役を務めている、フランスやドイツもいつまでも黙って見ていない。
さて、昨日の北京五輪は、柔道男子の100kg超級で、石井慧選手が見事「金」を獲得した。今日は、女子レスリングで期待通り吉田沙保里選手が連覇した。そのほかにも銀、銅メダルを獲った選手もいて、前回ほどではないにせよ、結構日本選手も頑張っている。
夜遅く23:30(日本時間)に行われた陸上男子100m決勝を期待していた。準決勝で、世界一トリオと言われたジャマイカのパウエル、ボルト、アメリカのゲイの内、ゲイが決勝へ残れず、ジャマイカ同士の同士討ちとなった。結果として若いボルトの圧勝だった。9.69秒の世界新、しかも最後は横を向いて流しながらテープを切るゴールインだった。こんなに強い短距離ランナーは見たことがない。度肝を抜かれたといったらいいだろうか。世界には凄い選手がいるものだとつくづく思う。
それにしても、開会して9日目になるが、体重制の競技が続いているせいか、ヨーロッパ勢にやや元気がなく、アジアに勢いがある。中国のメダル獲得数はダントツ・トップで、次いでアメリカ、韓国と続き、日本は7位である。かつてメダル荒しだった旧ソ連、チェコ、ポーランド等の旧社会主義国はどうしたのか。
461.2008年8月17日(日) 戦争についてもっと話す機会を
終戦の日、オリンピックにかき消された戦没者追悼について、新聞やテレビの討論番組でもやはり話題になっていた。テレビの討論会に出演するような人が、すでに圧倒的に戦後生まれが多くなり、いわゆる戦争を知らない世代であり、こういう人たちだけで議論することが果たして的を射ているのかどうか疑問にさえ思っている。
それでも、15日の追悼式で河野衆議院議長が式辞の中で述べた、新しい追悼施設建設について、日本遺族会会長でもある自民党の古賀誠氏は河野案には賛成だが、そのためには、前提として遺族会内部がひとつにまとまることと、靖国神社の了解を得ることが必要だと述べていた。
別の番組では、日本では先の大戦の反省が成されていないと厳しく指摘した評論家がいた。いつも喉もと過ぎれば熱さを忘れる。広島や長崎の原爆慰霊碑に訴えるように書かれている「2度とこの悲惨な過ちは繰り返しません」の誓いの言葉は、その場では強い説得力を持つが、言い放しになって、それから一歩も「2度と繰り返しません」の方向へ進んでいないと指摘していた。つまり、広島や長崎の言葉、言い換えるなら「反戦の誓い」の一方で、日本政府はイラクへ給油活動を行っている。アフガニスタンへもPKO部隊を派遣しようとしている。慰霊碑の前では、残酷な戦争は繰り返さないとあれだけ固く誓っていながら、現実には新しい戦争に次々に加担している。あれだけ多くの犠牲者を生んだ先の戦争が、まったく反省にはなっていないのだ。これでは徴兵されて亡くなった兵士や遺族、巻き込まれて亡くなった一般市民は浮かばれない。せめて終戦の日には、こういう問題を国民が真剣に考えてみる習慣を持ちたいものである。
さらに、数日前明らかになった東条英機の終戦直前の直筆の日記が見つかった。敗戦を覚悟しながらも、国民の愛国魂の欠如を嘆いているというから情けない。東條には、軍人らしい潔さがない。大勢の部下を預かる軍隊には、いてはいけない、上官にしてはならない軍人だった。関東軍参謀長の傍ら、国際法で禁じられた中国におけるアヘン売買の総元締めという悪役まで務めながら、自らの責任を逃れ、その罪をすべて国民に被せようとした。その最低の軍人が東條英樹だった。今も戦没者の英霊を靖国神社から分祀することについて、頑なに反対しているのは東條の遺族である。
462.2008年8月18日(月) マラソン出場選手の健康管理の責任
昨日行われた北京五輪の女子マラソンに出場した土佐礼子選手が、右足の痛みから途中でレースを棄権した。元々土佐選手は左足に外反母趾を抱えていたが、これまであまり大きく報道されることがなかったし、本人もあまり口にするようなことはなかった。野口みずき選手が棄権を公表した時も、残る2人で野口の分も頑張ると言っていたが、何とその時点では右足に痛みがあったようだし、練習も1ヶ月間やっていなかったという。熱に浮かれた日本陸連幹部連は、そもそもレース本番1ヶ月前になって練習をほとんどやっていない選手が、過酷なレースで勝てると本気で思っていたのだろうか。その後野口選手の故障が判明するや、土佐選手らは彼女の分も頑張ると言ったり、こういう不可解な言動とその経緯を考えてみると、今回のケースは本人、コーチを含めて日本陸連全体としての責任も問われるのではないかと思う。
オリンピックに大金を注ぎ込み、日本中1億総フィーバーとなって、マス・メディアも狂うがように派手に報道している。最近では女子マラソン競技も4大会連続メダルを獲得して、有力なメダル種目となって怖いもの知らずとなり、陸連も女子マラソン関係者を少々甘やかし過ぎたのではないだろうか。
何が尋常ではないかと言えば、棄権と欠場が、これまでの報道されるニュースの中から一向見えなかったことだ。あまりにも発表のタイミングが悪過ぎる。これだけ大事なレースに、日本中の期待の目を向けさせておいて、一方的に病気ですから止むを得ませんというのは、当事者が万端すべてを尽くしたというならともかく、今までの経緯だけでは釈然としない。野口選手の場合にしろ、土佐選手のケースにしろ、3人の代表選手の内、2人も満足な体調ではなかった。その一方で、1人決めていた補欠選手を早々にキャンセルしている。
怪我や病気はどんな人間も避けられない。しかし、それを防ぐ工夫と知恵、さらに不測の事態に備える対応策は常に考えておくことがリスク・マネジメントではないだろうか。そういう意味では両選手の取り巻きと日本陸連執行部のお粗末な健康管理と事前・事後対策には、疑問符をつけておきたい。
463.2008年8月19日(火) ムシャラフ・パキスタン大統領辞任
国際政治の舞台は、相変わらず波乱含みである。両国が停戦に合意したにも拘らず、ロシア軍の南オセチア自治区、アブハジア自治区からの撤退が、現実には実施されていない。新聞記事だけみると、お互いに駆け引き、嘘の付き合い、騙しあいを繰り返している。権力を握ると、嘘に理論付けして公然と嘘八百を述べる。それが分っていながら、さも真実のようなデタラメをつけ、恥ずかしげもなく国家のステートメントとして堂々公表するのである。
さて、99年、軍部の無血クーデターで権力を握ったムシャラフ・パキスタン大統領が遂に辞任した。野党連立4党が大統領を弾劾することで合意、下手をすると大統領死刑の可能性もある弾劾決議を前に、野党は弾劾取り下げを条件に大統領に辞任するよう求めた。かつて軍参謀長だった大統領は、自らに軍の支持がないことを認めざるを得ず、野党の提案を受け入れた形になった。
近年パキスタン国内ではイスラム教徒と、政府・軍が対立するケースが多く、9.11テロ事件以降テロリスト掃討という点で、アメリカと足並みを揃えてきただけに、ブッシュ政権にとっても大きな痛手だろう。にも関わらず、一部ではムシャラフ氏は、頼みの綱だった軍とアメリカに見限られた末の決断だったと見られている。
これからのパキスタンは誰が政権を担当しようとも、問題山積で前途に光明が見出せない。核保有国として重い責任と負担を強いられる一方で、経済停滞と経済格差問題が日常化しているうえに、欧米文化とは相容れないイスラム文化がある。その中でフシャラフ大統領はアメリカ政府に協力的だった。テロリストの根城ともいわれるアフガン国境地帯は今でも危ない無法地帯である。8年前にカイバル峠を訪れた時も、パキスタン政府の力はこの周辺には及んでいなかった。パシュトウン人のイスラム教徒が、自由気ままに往来していた。こういう地域を安全に管理することが、政府の責任でもある。しかし、見たところ、そんな安全な状態はいつの時代になるやらという感じがした。
寺島実郎氏も言っていたが、これからはパキスタンの動静から目を離せない。
464.2008年8月20日(水) 北京五輪・男子陸上200m決勝もすごい!
昨日、北アルプス・白馬岳大雪渓近くで岩石の大崩落があり、行方不明になっていた山岳ガイドと登山客が遺体で発見された。学生時代から何度も通った登山道で、懐かしくもたくさんの思い出のあるところだ。最近大きな地震や大洪水があり、地盤が微妙に緩んでいたのではないかと思う。学生時代にも一度大きな岩石が上から転がり落ちてきたことがあった。大雪渓といい、雷鳥といい、山頂からの360度のパノラマを含め、白馬には随分愉しい登山のイメージを膨らませてもらった。あまり悪いイメージにつながらないよう願っている。
次の作品「停年オヤジの海外武者修行」の「おわりに」の項に、今年3月にご講演を聴いた後の食事の場で、京都学派の社会学者・加藤秀俊先生から伺った「知的道楽」という言葉が気に入って、講演の場でしばしば使用することもあり、その言葉について書いている。しかし、一応先生のご了解をいただいた方がよいと考え、先日お便りを差しあげて、「知的道楽」とお名前を使用させていただきたいとお願いした。
今日、加藤先生らしく恬淡とした感じで、「ふと、つぶやいたことばに『知的所有権』などあるはずもなく、どうぞご自由にお使い下さい」と温かいご返事をいただいた。
北京五輪、今日の200m決勝種目も予想通り圧巻のレースだった。夜11時20分スタートだったが、楽しみに待っていただけの価値のあるレースだった。先日の100m決勝といい、今日の200m決勝といい、近来稀な好レースだった。やはり、ジャマイカのウサイン・ボルト選手がアメリカ勢3人らをまったく寄せ付けず、ぶっちぎりの優勝だった。タイムも19.30秒の世界新で、アトランタ大会でマイケル・ジョンソン選手が不滅の世界記録として走った19.32秒を軽々と破ってしまった。それにしても素晴らしいレースを観ることができるということは有難い。
こういう明るいスポーツ・ニュースに比べて、相変わらずダーティなのが、日本相撲協会だ。昨日、ロシア出身の関取・若の鵬が大麻所持違反で逮捕され、今日は所属する間垣部屋も家宅捜索を受けた。どうもお行儀の悪いお相撲さんが、増えてきた。やはり礼儀作法やしつけがきちんと教えられていないことが分る。監督する立場にある親方も権威と指導力が落ち、弟子を指導できないのだから、話にならない。若の鵬関は、独身で部屋に自室を持ちながら、近くにマンションを借りていたという。相撲界では前例のないことだが、これを黙っている親方も親方である。案の定、警察の家宅捜索の結果、部屋からもマンションからも大麻吸引パイプがぞろぞろ出てきたという。いつも北の湖理事長は、あってはならないことと一旦は恐縮の素振りをするが、一向に抜本的対策へ動こうとの姿勢が見られない。グルジア出身の黒海関は、ロシア・グルジア戦争に関してロシア大使館へ抗議に行ったとか、横綱・朝青龍は、モンゴルへ帰国の途次北京五輪を見学したり、これまであまり見られなかった、個人的行動が目立つお相撲さんが増えて来た。これでは、相撲協会ももうちょっと指導、監視を強めないと今後もこういうパフォーマンスがどんどんエスカレートするのではないかと心配である。
465.2008年8月21日(木) 黒海に米艦隊展開!
一昨日フランスが国連安保理事会に提案した、和平合意のための決議案に対して、昨日ロシアは同じようにロシア流の決議案を提案した。前者はロシア軍の撤退を促し、開戦前の状態に戻るというものだが、後者のロシア案は、ロシア軍は撤退すると言いながら、南オセチアとアブハジア両自治区内のロシア系住民に対するグルジアの弾圧を監視するという理由で、ロシア軍を国連平和維持軍として駐在させるというものだ。どうも自分勝手な屁理屈で、何としても両自治区への影響力を残したいのだろう。二つの停戦決議案が出て、これを安保理事会が議題としてまともに討議することができるだろうか。
ところが、アメリカが突然黒海へ艦隊を送り込んできた。黒海には以前からロシア艦隊も活動している。アメリカ艦隊はグルジア難民への支援物資の輸送活動であるが、ロシアを刺激しないわけがない。すでに、チェコとポーランドのMDミサイル配備で、相当ロシアの神経を逆撫でしているところへ今回の米海軍艦隊の出動である。10年ほど前のロシアなら、くしゅんとなっただろうが、今や国威の発揚に国を挙げて意気軒昂で、ロシア首脳の鼻息も荒い。強気同士が正面切ってぶつかりあわなければよいがと思う。
来月中旬に民主党党大会が開催され、任期満了の小沢一郎代表の後任人事が取りざたされているが、小沢氏は引き続き代表職を続ける意向があり、対立候補が現れそうになかった。ところが、野田佳彦・前党国対委員長が手を上げ、党内に同士を集めている。今回は小沢氏の基盤は揺ぎなく、まず誰も対抗馬にならないだろう。かつて党首だった、鳩山由紀夫氏、菅直人氏、岡田卓也氏ら有力者が早々に降りてしまったのが、何か拍子抜けのような感じである。野田氏の言うように、対立候補者を出して、総選挙を前に民主党の政策について論争を戦わし、国民に民主党についての理解を深めてもらうよい機会だと思う。ただ、野田氏では偽メール事件が尾を引いていまひとつ訴求力が不足だ。やはり、前三人のうちの一人が対抗馬として丁々発止建設的な論争を繰り広げれば、盛り上がっただろうし、民主党も点数を稼ぐことができただろう。どうも自民党の談合政治と五十歩百歩だ。
夜のニュースで、パリ滞在中のダライ・ラマ14世が18日にチベットで中国軍の発砲事件があり、チベット人の間に相当数の死者(一説には140人といわれている)が出たと述べた。これが事実とするなら、18日以降オリンピック・フィーバーでまったく報じられていなかっただけに、ことは簡単には済みそうもない。10月に初めて新宿・四谷倫理法人会という組織で講演をすることになっているが、そのテーマも「青海チベット鉄道とチベット旅行事情」と、時節柄チベットへの関心が高いとみて決めたものだ。オリンピック期間中は新しいニュースが入ってこなくなったが、まもなく閉会となってからどっと吹き出るかもしれない。
今日の嬉しい五輪ニュースは、ソフトボールで日本が初めて金メダルを獲ったことである。昨日のアメリカ戦で延長戦の末に敗れ、昨晩のオーストラリア戦に逆転勝ちで決勝戦に進み、再び宿敵・アメリカと対峙して今度は堂々3−1で勝った。2日間の3試合をすべて投げぬいたエースの上野由岐子投手は、実に413球を投げた。ロンドン大会ではソフトボールが競技種目からなくなってしまう最後の散り際の場面で、初めて優勝したわけだから、選手たちの想いはさもなりなむと想像する。まさに有終の美というのだろう。よくやったと思う。
466.2008年8月22日(金) 良かった!「開高健記念館」見学会
茅ヶ崎にある「開高健記念館」を、酒のペンクラブとして訪ねることになった。かねがね「ベトナム戦記」でその行動力に敬意を払っていた作家であり、「第1回開高健ノンフィクション賞」に応募したいきさつもあり、一度訪れてみたいと思っていたところだ。
3時前にJR茅ヶ崎駅で待ち合わせて、タクシーに分乗して記念館へ向かった。菱沼海岸にほど近いところにあり、入口から海の方を見通すと、僅かに烏帽子岩の頭が覗ける、静かな住宅地の中にある。入口では、お世話役の吉沢一成・日本ペンクラブ事務局長が出迎えてくれた。2003年に開館して、週3日のオープンで年間6千人の入館者だという。個人の記念館の運営が難しくなっているときに、ここはまあ安定しているらしい。吉沢さんは、開高健に憧れてサントリーに入社したほどの開高崇拝者で、家族とも親しいご交誼を続けられた。作品についても隅から隅までよくご存知で、加えて生前住居だったころに、出入りして総合的に建物、書籍、遺品、家財道具等についてよく心得ており、開高さんが亡くなった後、また夫人の牧羊子さんと娘さんが亡くなった後、杉並の土地・建物とこの土地・建物を含む財産管理を任され、この記念館を作るに当って、茅ヶ崎市との交渉役も務められた。室内には山のように書籍が積まれていて、片付けるのが大変だったと苦労話をされた。牧羊子夫人も整理が苦手なのか、そのままにしておくことが開高の面影を残すと思われたのか、主人のいなくなった書斎・居間が夫人の亡くなるまでそのままだったという。
どうしても作品を通して一面的にしか見ないものだが、直筆原稿を見て見かけに依らず開高が几帳面な性格であったことが想像できる。1枚の原稿用紙に1文字ずつきちんと万年筆で書き込んで、加筆や訂正があまりない点で読みやすい原稿であることが分る。性格、生活態度、くせ、羊子夫人との関係、等かなりの部分も知ることができた。朝日新聞社刊「ずばり東京」が、大当たりしてご褒美に何を上げようかと聞かれたとき、即座に朝日の取材記者としてベトナムへ派遣して欲しいとねだった。それが、ベトナムと関わるきっかけとなり、ベ平連を結成してベトナム反戦運動にのめりこむ結果になった。ご夫妻で参加された小中陽太郎さんが、NHK時代に撮った「米空母『イントレピッド』から脱走した4人の水兵」の記者会見のフィルムを、小中さんが持参され、解説付きで拝見することになり、なお一層開高健の一面が映し出された。開高健のベトナムにおける戦場体験は、所属した米陸軍歩兵大隊がベトコンの襲撃を受け、開高は秋元カメラマンと命からがら脱出するという厳しい臨場体験を味わった。
その後、ある時期を境にベトナム反戦から次第にフィッシングに足場を移していった。これについて共産党辺りは挫折したとか、背を向けたとか言っていたようだが、小中さんのご意見は、元々開高は作家なんだと結論づけていた。屋内は少しずつ増築されて、開高の趣味の世界が居つくようになり、中々興味は尽きない。
通り一遍の解説ではなく、開高本人を熟知した文学者が生活習慣を交え、説明してくれたことにより、普通とは違う感覚で記念館を見学することができた。とても良い見学会だった。
終わって駅近くの小料理屋で、全員で愉しい会食をした。13名の参加者が異口同音に言っていたことは、酒のペンクラブも時にはこういうイベントもあってもいいのではないかということだった。
帰りに茅ヶ崎駅でJRに乗ろうと思ったところ、東横線が人身事故で運転停止ということなので、珍しく湘南ライナーで恵比寿駅へ向かい、東横線は中目黒から逆方向で帰ってきた。
467.2008年8月23日(土) この世は魑魅魍魎だ。
世界は一見して大きな争いはないように見えていながら、その実小競り合いや、表面的には分らない泥沼紛争が増えてきた。ロシア・グルジア戦争もそのひとつの典型である。ロシアがグルジア領土から撤退すると繰り返し言いながら、一向に実行に移そうとしない。前日までロシアの国旗を立てていた戦車が、国連平和維持軍の旗に変えているだけなのだ。これでは法螺を吹いているだけになる。
一昨日ダライ・ラマ14世がチベット自治区内で、中国軍によりチベット人が大量殺戮されたと公表したニュースについてもその後詳細が伝えられない。中国外務省は、その話を聞いたことがないとまで言っている。まったく魑魅魍魎である。
さて、盛り上がった北京五輪も明日が閉会式となった。昨日は見る機会がなかったが、男子400mリレーでめでたく銅メダルを獲得した。決勝に進んだ各国チームのタイムから予想すれば、不可能ではなかったが、トラック種目では、1928年アムステルダム大会の女子800mで銀メダリストとなった人見絹枝選手以来、実に80年ぶりである。トラック種目は、今ではほとんど黒人選手の独壇場となり、アジアの選手にはほとんどメダル獲得の可能性がないと思っていただけに、嬉しい誤算であり、よくやったと思う。運もついていた。アテネ大会の金、銀、銅の3チームがバトン・タッチミスで失格したし、イギリスはバトン・タッチゾーンを越えて失格になった。早く走ること自体が重要であることは言うまでもないが、百にひとつのミスを防ぐバトンタッチ練習を地道にやってきた日本の努力が、この期に及んで報われたとも言えよう。しかし、ブラジル、カナダやドイツチームにも競い勝った力は並ではない。その実力と勝利を称えてあげたい。
それに比べると期待されていた野球はどうだっただろう。昨日準決勝で韓国に逆転負けした星野ジャパンは、今日の3位決定戦で、またアメリカにも逆転負けで予選から数えると4勝5敗の負け越し結果となり、開会前の意気込みの割りには力を発揮できなかった。攻撃力が不発だったことと、投手の起用法に首を傾げる点があったが、一番の問題は、油断とか気の緩みにあったのではないか。例えば、G.G.佐藤選手のように、凡飛を2度も落球するなんて普通では考えられない。心構えから改めなければ、同じように覇権のかかった大会では勝てないかもしれない。幸か不幸か次回ロンドン大会から野球が競技種目からなくなる。こんな背景もあっただろうか。それにしては、同じくロンドン大会から消えるソフトボールは、堂々金メダルを獲得しているではないか。
それにしても韓国が最後の野球で金メダルを獲ったが、韓国チームは力強かったし、去年アジア大会で敗れてから反省と、再建、国際試合対策をしっかりやっていた。気持ちのうえで、すでに韓国に負けていた。
もうひとつある。男子マラソンの大崎悟史選手がレース前日になって怪我のため出場辞退を発表した。陸連の甘ちゃんが、女子マラソンに続いて、やれやれまたやってくれたかと呆れる。
468.2008年8月24日(日) やっと終わった! 北京オリンピック
YahooのWEBサイトを何気なく覗いていたら、二つのアイテムが目に留まった。ひとつは、友人「山崎洋」の名前がインターネット百科事典「Wikipedia」の「日本の翻訳家」の1項目に載っていたのである。その紹介文の中に、篠田正浩監督作品「スパイ・ゾルゲ」に関する彼のエピソードが載っている。読んでみると、そのエピソードは私が「知研フォーラム」に寄稿した、山崎くんの母上について書いた「ある女性の波乱の生涯」から引用されている。勿論脚注にその旨書かれている。友人のおかげで、私も「Wikipedia」に名を連ねることになった。
もうひとつは、「はてなアンテナ」というサイトに私のブログ「ご意見番の意見」が紹介されていたことである。HP(知の狩人・知の旅人)本体ではなく、人目につきにくいHPの中に組み込んだブログが紹介されたということは、HPのトップページを通してブログを読んでくれ、その内容をある程度評価してくれたことだと思う。
驚くのは、私以外の9人のHP掲載者には、今をときめく副島隆彦、加瀬英明、高市早苗氏らの他に何と塩見孝也がいる。誰あろう、元日本赤軍議長である。
まあ、あまり気にもしていなかったが、意識しようとしまいと自分の知らないところで自分の考えを多くの人に読んでもらい、それなりに評価されるというのは嬉しいものだ。ひとつの刺激になる。これからも今まで通り、しっかり腰を据えて書いていきたいと改めて思う。やはりHPは効果テキメンで、これから出版物のPRにもうまく使えるのではないかと思っている。
17日間続いた北京五輪も今日閉会式を迎えた。最後の陸上種目男子マラソンも案の定惨敗だった。派手で時間のかかったサプライズ開会式に比べて、閉会式は開会式ほど時間をかけなかったが、相変わらず中国らしい派手で毒々しい演出だった。ようやるなぁというのが本音だ。とても感動を与えるという演出ではない。一種の芸能人のイベントである。バベルの塔でも真似たような高い塔の周囲で、曲芸をやったり、入れ替わり立ち代りエンターテイメントをやって、ロンドン名物2階建てバスを入場させ、サッカーのベッカムにボールを蹴らせたり、ジャッキー・チェンに唄わせたり、プラシド・ドミンゴまで狩り出して中国人ソプラノ歌手と唄わせる。どうせ唄わせるなら、あまり知らない中国の歌より、中国所縁のオペラ♪トウランドット♪の「誰も寝てはならない」を唄って欲しかった。いずれにしても、厳粛、荘厳、人間の尊厳、愛情、思いやりなどとはまったく縁遠いものだった。漸く終わったというのが、率直な感想である。
獲得した金メダル数も開催国中国がダントツ・トップで、中国の国威発揚もそれなりの効果を上げたことだろう。中国の狙いは達せられた。だが、そのためにどれだけの資金を注ぎ込み、人海戦術で人をかき集めたのか。国際政治が専門の藤原帰一・東大教授は、開会式を評して「伝統の誇示と政治宣伝に才能を消費するばかりで、悲しい光景だった」とまで言っている(本日付朝日)。徹底した警備体制により、五輪を混乱させるような事態は表面上発生しなかったようだが、昨日ジャック・ロゲIOC会長は、期間中ただ一件のデモも許可されなかったのは異常だと苦言を呈した。
中国政府には、これからは世界の大国としての責任を果たしてもらいたい。国連関係でも分担金は、国連本体、世界遺産、ODA等々、恩恵に浴していながらほんの微小である。それでいて五大常任理事国のひとつとして、そのパフォーマンスはいつも国際世論とは逆行するように見える。もうそんなわがままは許されない。人権問題も含め、中国の行動には目を光らしていく必要がある。
ともあれ、騒がしかったオリンピックも終わった。それなりに楽しませてはもらったが、最大の不満は、この北京五輪が中国の政治的な宣伝と伝統文化の自画自賛に利用されただけで、今世界の中でも大きな課題となった環境汚染対策に対するメッセージが、何ひとつ示されなかったことである。絢爛豪華な仕掛けばかり考えずに、時間を決めて電気を消すとか、ナイターをできるだけデーゲームにするとか、方法はいくらでもあったと思う。煌々と電気を照らし、花火を打ち上げるばかりが祭典ではないと思うのだが・・・。
次回ロンドン大会について、ブラウン英首相はイギリスとしては中国とは違う形のオリンピックを開催すると言っていたが、もっと小規模で、個性的で手造りのオリンピックを開催して欲しいと願っている。
469.2008年8月25日(月) 北京五輪後の中国はどうなるか。
日本中、というより世界が悲喜こもごもだった北京五輪フィーバーが漸く幕を下ろした。ほっとしている人も多いのではないかと思う。夏休みということも影響しているが、この17日間「日本」国内は、何ひとつ前進がなかった。政治、経済両面ともまったく目に見える成果はなかった。ほぼ一ヶ月近く政党首脳は時折会議と称して雑談をやっているに過ぎなかった。あとは夏休みと称してゴルフをやったり、ずる休みを貪っている。つくづく気楽な商売だと思う。
五輪が終わり宴の後、これから中国は、どうやって経済成長を維持していくのか、今押さえ込んでいるウィグル地区やチベット、その他の人権抑圧問題はどう解決するのか、中国農村の疲弊化をどう立て直すのか、経済格差と役人の汚職をどう解決するのか、等々課題は山積である。ところが、実は一部の問題はこのままわが国にも当てはまる。政治家は働かず、官僚が主導して経済を減速させている。財務官僚のタクシー券を事後清算払いにしたところ、9千万円も減ったという。つまみ食いを当たり前として上司は見逃して、国民には苦しい生活を我慢しろと言っている。
オリンピックが終わって日本政官の国民を舐め切っているありようが露骨に浮かび上がってきた。
小中陽太郎さんから電話があり、先日お渡しした次の作品「停年オヤジの海外武者修行」の梗概をお読みになって、内容がタイムリーなカイバル峠やテロ事件を取り扱っているので、うまく新聞や雑誌で取り上げてくれれば、結構売れると思いますよと嬉しいことを仰ってくれた。大きな励みになる。
今日早稲田出版の大塚編集長から、今週末ころに一次ゲラができあがるとメールがあった。224ページに10ページくらい増えるとも書いてあった。明日から岩手県の気仙広域連合で研修講師を務めるが、帰ったころから少しずつ動き出すという感じだ。先日来「合意術」の研修テキストとパワーポイントのスライド作成に忙殺されている。今日も朝からずっとPCにかかりきりで、アニメーション設定等に没頭していた。あさって合流する知研八木会長にも出来上がったスライドをメール送信する。
470.2008年8月26日(火) 大船渡線の牧歌的な車窓風景
JR大船渡線に初めて乗った。一ノ関から大船渡まで約2時間。JR新幹線内のギブアウェイ「トランヴェール」8月号に、偶々2頁にわたり大船渡線(一ノ関⇔盛)が地図と写真入りで紹介されていた。それを参考に車窓から沿線風景をたっぷり楽しむことができた。
普段は地方鉄道にあまり乗る機会はないが、それでも偶に乗ると日本の原風景と縮図を見るようで、懐かしい気持ちの反面、寂しさと切ない気持ちが湧いてくる。数年前、日豊本線・城野駅から、田園地帯を飯塚方面へのんびり一人旅したとき、日本の本質を知りたいと日本へやってくる外国人旅行者には、古寺古跡を見学することはもちろん日本文化を知るうえで大切なことだが、できれば地方都市を、列車で巡りながら見るのもいいのではないかと思った。地方の鉄道はすいているし、田舎では人や車が込み合わないので、旅行も楽にできる。それに日本人のホスピタリティーに触れることができるのではないかと思った。
2輌編成のジーゼルカーだが、車窓から気がつくことが多い。北上川の水が意外に汚い。陸中松川駅前には「太陽と風の家」という公的な施設があるが、見学者がいそうもない。これも夕張化してしまうのではないかと他人事ながら気になる。沿線南側にはセメント工場が無造作に鉄骨をむき出し無気力に稼動している。二つの駅前の大きなパチンコ店が2軒も閉鎖していた。客も来なくなったのだろう。駅名も珍しい名が多い。陸中門崎(「りくちゅうかんざき」と読む)、猊鼻渓(げいびけい)、千厩(せんまや)、鹿折唐桑(ししおりからくわ)等々である。上鹿折(かみししおり)から陸前高田の区間は、山間部の小高い森林帯の中を勢いよく走ったかと思いきや、稲穂の中を疾走したり、山の中から海岸近くを走り抜ける。旅行者には飽きることのないバラエティに富んだ牧歌的な風景の連続である。
この大船渡線がドラゴンレールと言われたり、ドラゴン急行が走っているのは、路線がくねくね上がったり下がったり龍のような形をしているからだそうだ。岩手県と宮城県の県境を2度ばかりまたいで、三陸海岸へ到着する。三陸とは、陸前、陸中とは知っていたが、もうひとつの陸○は何だろうと大船渡駅までわざわざ出迎えてくれた、気仙広域連合の森正さんに尋ねてみたところ、「陸奥」と即座に答えられた。
471.2008年8月27日(水) 気仙広域連合研修第一日
広域連合の森さんが8時に車で迎えに来てくれた。研修場所は「陸前高田市ふれあいセンター」という公共施設で受講者は21人。この広域連合を構成している大船渡市、陸前高田市、矢田町の2市1町から参加したほぼ30代の人たちばかりで、6人の女性が含まれている。2日間のスケジュールの中で、「図解」の他に「合意術」があるので、時間的には少々きつい。今日の感じでは、受講者の水準はかなり高いと感じた。ホテルの営業計画を図解する作業では、4つのチームがレベルの高さを示してくれた。PCを使わずに4チームがそれぞれ個性溢れる図を立派に仕上げたので、驚いたくらいである。明日の日程もタフで「私の仕事図」の演習時間がかなり少ないと思っていたので、説明・解説を今日最後の1時間の中に済ませた。これで明日は最初から「私の仕事図」の演習に充てることができる。明日のスケジュールに多少ゆとりを持つことができる。
何と言ってもPCを使えないことから、作図はすべて手作業になるので、時間がかかるうえに作成した図の見映えが今ひとつ優れない。受講者には、PCを使用すれば確実に見映えが良くなりますと伝えた。
明日の研修は、「私の仕事図」の作成と各人の発表、そして「合意術」である。夕方ホテルへ合流された八木哲郎・知研会長と「合意術」の講義内容について、新しい説明資料も加えて細かく検討し、何とか明日の研修で受講者に納得をしてもらいたいと思っている。
イラク以上に国内が危険になってきた最近のアフガニスタンで、日本人が一人拉致された。アフガニスタンで医療活動などを続けているNGO「ペシャワール会」の一員で、農業専門家である。4年以上も現地の農業指導に当っていた人物で、先日長い拉致から解放された大学生とは主旨が違う。拉致された場所は、アフガン領内のカイバル峠に近いジャララバードで最近不穏な情勢にあると伝えられたところだ。タリバンが関与しているとも聞く。特に最近はイラク情勢よりも、アフガン情勢の方がより深刻だと報道されている。元々山賊が出没するような場所へ、タリバンが再びその力を誇示し出したわけである。無事に解放されればよいが、相手はタリバンでもあり、少々気になるところである。
472.2008年8月28日(木) 日本人、タリバンに殺害される。
八木知研会長にお手伝いしていただきながら、気仙広域連合2日目の研修を無事終えることができた。初めて「合意術」を教えることになり事前の自己研修で、かなり学んだつもりではあったが、教えるとなるとまた話は別だ。会長がうまく受講者と会話してヒントを受講者に与えてくれたので、かなり効率良く進めることができた。出来上がった作品も昨日に次いで、なかなか立派なものである。私自身も大体教え方のコツらしいものを学んだので、これから自己研鑽に励みながらもっと力をつけ、受講者にさらに納得できる「合意術」を教えられるよう努力したい。
帰りは、森さんに車で研修会場の陸前高田から一ノ関まで送っていただき、随分時間をセーブできた。くねくねしたJR大船渡線に沿った山間の道路だが、大きなカーブを切ったループ線の道路と橋など、珍しい景色に興味をそそられる。受講生も良い方ばかりで、気持ちのよう研修だった。2日間全力投球したので、やや疲れた。
昨日アフガニスタンで誘拐された「ペシャワール会」の農業専門家・伊藤和也さんが射殺体となって誘拐現場近くで発見された。先日解放された横浜国立大生や、数年前拉致され殺害された飯塚市の青年とは目的が異なり、この伊藤さんは心からアフガニスタンの農業復興のために力を注ぎ、言葉も覚えて土地の人々との交流も強めて、効果が出ていただけにこういう悲惨な結果は残念である。これから民間の現地支援事業は難しくなるし、現在海上自衛隊がインド洋海上で活動している石油補給活動も特措法が絡んで微妙な問題となったような気がする。
今日の新聞もテレビもあまり見ていないが、夜遅く帰ってきてニュース番組を見るとやはりこの問題を大きく取り扱っている。折も折、早稲田出版の大塚編集長から、殺害されたジャララバードはカイバル峠から僅か50マイルで、次作品の描写に臨場感が表れているとのメールがあった。小中陽太郎さんからも話題の地でもあり、書評でうまく取り上げてもらえればよいですねとメールをいただいたばかりだ。
8年前にカイバル峠を訪れたとき、感じた不気味さはやはり世界中の他のどこよりも、奇妙な空気が充満していたような気がする。
それにしても、また日本人に犠牲者が出てしまって残念でならない。伊藤さんのご冥福をお祈りするばかりである。
473.2008年8月29日(金) 国会議員の呆れたパフォーマンス
新宿で知人と食事をした後に、早稲田出版・大塚編集長に会いに行った。先日来カバー表紙のデザインについて連絡があり、大塚さんは「川崎タカオ」のイラストを使ってみたいと考えていると説明してくれた。インターネットで川崎の作品を観たが、私には少々きつい印象が残った。定年後の中高年者が出かけるとの前提なので、愉しく優しいイメージの顔写真を考えていたが、大塚さんは定年を過ぎてなお世界へ飛び出していこうとする「停年オヤジ」をイメージしているので、むしろギラギラした顔の方がよいのではないかと話された。さらに着るものも行動的なサファリ・ルックがよいという。いろいろ考えてみたが、大塚さんの考えの方がごもっともな点もあるので考え直し、ごつい線でいくことでお任せすることにした。写真と地図も大体決まりつつある。来週中には、写真、地図を盛り込んだゲラを送ってくれるということになったので、まあ順調に進んでいると思う。
帰りに松本整形外科へ寄って、先日の血液検査の結果を教えてもらう。また、がっかりの数値だった。どうして、炎症度が下がらないのだろうというのが、私自身はもとより、松本先生の率直なご感想でもある。昨年秋から数値は上がりっぱなしで、理由がよく判らない。松本先生のお考えではリューマチ系統の支障があって影響しているのではないかとのことだった。やはり専門医に診ていただいた方がよいとご意見をいただき、東京医療センターの膠原病内科の大島先生に宛てて丁重な推薦状を書いてくださった。来週火曜日に早速訪ねて行こうと思っている。それにしても、もうかれこれ治療していただいて5年になるが、回復しそうな状態からむしろ数値的には悪化している。とにかく早く直したい。
政治家というのは、普通人とは生き方も考え方もまるで違うと思っているが、また常識的にとても考えられないパフォーマンスをやってくれた国会議員が現れた。昨日民主党・渡辺秀央参議院議員以下3名の民主党所属参議院議員、二人の無所属参議院議員、併せて5人の参議院議員が、「改革クラブ」というミニ政党を立ち上げると堂々記者会見した。ところが、これまでにも独特なパフォーマンスで派手な話題を提供していた、「虎退治の姫」、こと姫井由美子議員が、今日になって所属する民主党からの離党届を撤回し、民主党にそのまま留まり「改革クラブ」への参加を取りやめると発表した。これで参加者が4人となり、「改革クラブ」自体も政党の構成要件(5人以上)を満たさなくなり、渡辺議員らの思惑は大きく狂った。
それにしてもスキャンダルや、派手なパフォーマンスばかりが先行して、本来の議員職を全うしているのかとかねてから疑問に感じていた姫井議員に至っては、その朝令暮改の変幻自在ぶりと非常識に呆れ果てて開いた口が塞がらない。当選直後は、自民党のドン・片山虎之助参議院幹事長を打ち破り、「姫の虎退治」と大いに持ち上げられたが、その後は本業以外のスキャンダルで注目されるありさまで、こういう軽薄で無節操な人物がどうして議員になぞなろうとしたのか、また大物対抗馬を倒して議員になれたのか、どうも理解できない。
結局政治家というのは、一部の真面目な人を除くとほとんどが単に金儲けと名誉欲のために、その人にとって政治家になるのが一番の近道だと悟った人がなっているということになる。こういう世間を嘗めきった人ばかりを集めた政治家集団というのは、金もかかるのでもう思い切って現有議員数の半分もいれば充分ではないだろうか。
474.2008年8月30日(土) また、PCがぶっ壊れた!
昨日から普段主に使っているデスクトップPCが起動せず、画面から騒音だけ聞こえるばかりで手の打ちようがなく、SONYのVAIOカスタマーセンターへ電話で問い合わせた。担当者の指示に従ってキーボードを叩いてみたが、一向に反応がなく、担当者の話では分解修理する必要があるとのことに愕然とする。2年前にも同じような経験があるが、そのときは落雷にやられたことがはっきりしていた。その後雷が鳴るたびにコンセントを外すことにしていた。昨日から、各地に落雷があり、近所でも相当大きな雷鳴が轟いていたが、雷被害防止に関しては備え万端怠りなかった。しかるに、よりによって雷の激しい日に同じようにPCが故障とはついていない。修理に1週間もかかるうえに、修理代も高い。ざっと4〜5万円かかると言われた。さらに気持ちを暗くさせるのは、ハードのメモリーが消滅してしまうことである。聞いてみると、まず消えてしまう可能性が高いという。折角苦労して本体に記憶させていたものをこのまま消失してしまうことが辛い。やはり普段から手間はかかっても大切な資料はコピーをとっておかなければだめだ。CDかUSBにバックアップしておくべきだったというのが、辛い反省である。
さて不人気な福田内閣が、物価高や景気減速を受けた総合経済対策を決定した。国費と事業費を併せた13兆3千億円の補正予算を組む意向だ。更に今年度中に第二次補正予算を組んで、定額減税を実施する考えである。問題は、財源である。景気が後退して財源確保が困難な時期に大盤振る舞いをするわけだから、国民の生活を安定させる「安心・安全内閣」としては、何とか国民のご機嫌を取りたい気持ちが湧いてくるのは理解できる。
しかし、ない袖は触れないのが現実で、早くも党内からも反対や異論もあり、新聞の論調も極めて厳しい。再び赤字国債の発行に頼らざるを得ないことは明々白々である。世界的にも驚くような、累積一千兆円近い国の借金がある中を、反対を押し切って借金を増やすことを決断したことになる。少しでも財政赤字を解消しようとした小泉首相の目指す方向とは、反対である。やはり負けそうな総選挙対策としては、少しでも一時的な国民寄りの対策を立てて人気挽回に努めたいとのあわよくばのスケベ心と、公明党への気遣いがあることは間違いない。
一時的に少し税は軽くなっても、そのツケは将来に回されるということを国民がどの程度意識するだろうか。
475.2008年8月31日(日) ミュージカルを楽しむ。
妻がこのところ練習に次ぐ、練習でほとんど毎日練習に通っていたミュージカル「マリー・アントワネット」もいよいよ今日が本番で、去年と同じく上演する横浜市西区公会堂へ出かけた。妻はもちろん中心人物ではなく、グループで唄い、踊っていただけで、端役も端役で1台詞しゃべっただけだったが、ミュージカルそれ自体は、観ていて愉しいものだった。まあこれで今年は終わったので、少しは家にいる時間が増えるだろう。
昨日は夜遅く車で出迎えに行ったが、第三京浜道路上ではものすごい豪雨に襲われ前方も見えないほどだった。久しぶりに豪雨の中を車で走ったような気がする。
今日は朝から青空でまず雨は降らないと思い傘も持たず出かけたが、自由が丘駅へ戻ってきた途端大降りとなってタクシー待ちは長い行列となっていた。他に手段もなく黙って雨のしぶきを浴びながらタクシー待ち50分の末に帰ってきたら、雨は止んでしまった。まるで落語かなんかのネタである。ここ数日は天候に振り回されている感じだ。
今日でほとんどの学校が2学期も終了して、明日から新学期となる。秋となると、気持ちも切り替わるだろう。
そろそろ中国製ギョーザ中毒事件をはっきりさせてもらいたいものだ。中国としても、北京五輪も終わったことだし、やったことはやったと謝った後に原因究明、再発防止を日中共同で話し合いしてほしい。6月に発生の時点では、日本側は包装パックへ外部から農薬が入った形跡がないと発表したが、中国側も中国国内で農薬が混入した証拠がないとつっぱり、お互いに相手側に問題ありと言わんばかりで暗礁に乗り上げてしまった。洞爺湖サミットの直前に、胡錦涛主席から福田首相へ中国国内でギョーザ食中毒が新たに発生したと報告があった。そして、今回新たに製造元で内部による毒混入の可能性が高まったと発表された。正式に解決してからのことになるが、日本政府は中国に対して言うべきは言うの姿勢で対応すべきである。中国はいつも自分たちは悪くないとの一点張りで、実際にはそうでなかったことが何度かある。その際でも中国は謝罪すべきことに対して、きちんと謝罪しない傲慢な傾向がある。今度こそじっくり両国の対応を見守りたいと思う。