去る3日国連安保理事会で、非常任理事国10か国のうち、今月末で任期を終える5か国の後任を決める選挙が行われ、EUではポルトガルとオーストリアが選出されたが、ドイツが落選した。他に選出された3か国はキルギス、トリニダード・トバゴ、ジンバブエである。この選出には違和感を覚える人も多いと思うが、非常任理事国は地域ごとに選ばれ、「西欧枠」は2か国と決められ、生憎西欧から3か国が立候補したために、ドイツが貧乏くじを引くことになった。
今回選出された国々5か国のうち、国連分担金ランクでは、いずれの国も上位10位には入っていない。その点では財政貢献度はやや低いと見做さざるを得ない。常任理事国でもダントツに多いのは、1位のアメリカ22%、2位中国20%で、5位にイギリス4%、6位フランス3.9%、10位ロシアである。ドイツは西欧の中で最大の分担金を支出して4位にいるが、後段のような理由などからやや信頼度が足りないようだ。日本は、中国に次いで分担額の支払いでは7%で第3位である。
ドイツのヴァーデフール外相にとっては、ドイツがポルトガルとオーストリアに敗れたことは流石にショックだったようだ。第2次大戦中にナチがアウシュヴィッツで行った例のようにユダヤ人を虐待したせいで、今日もガザ地区を攻撃したり、レバノンやイランを空爆して交戦状態にあるイスラエルに対して、根っこにある謝罪と同情心から心を寄せたことが、票を失い苦い敗北の原因になったと受け止めている。他にも常任理事国であるロシアが、ドイツはウクライナ戦争などから反ロシア感情を広く煽ってきたことが周知の事実であるとも語っている。
しかし、最近国連も戦争停止については何らの効果ある制裁も出来ず、些か機能不全に陥っている傾向が見える。そのためそのような動きが見られる都度グテーレス国連事務総長が、イラつきながら警告しているが、これを無視するが如きトランプ・アメリカ大統領の言動が問題となっているケースもある。特にアメリカが分担金を削減するとの発言は、国連関係者には衝撃的だった。現状でも、アメリカは国連内のいくつかの組織から離脱している。これもトランプ大統領の一方的な意向であり指図である。現在国連が抱えている最大の問題は、加盟各国の分担金がかなり未納のために財政破綻が差し迫っていることである。このためジュネーブの国連本部ビルでは、節約のための窮余の策としてエスカレーターは定期的に停止され、暖房も弱められているという状況にある。2025年には、分担金総額の77%しか納められなかった。
今や国連は国際紛争を解決する中立的組織との看板も下げざるを得ないほど、地球上で国際紛争や、戦争が常態化している。第2次大戦を経て、その残酷だった大戦の悲劇に鑑みて発足した国連だったが、今ではその目的を果たしているとは言い難い存在になりつつある。